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クラスメートのある一日
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このお話は城の地下牢に幽閉されているクラスメートのある一日の出来事です
あ、一応言っとくと、クラスメートはカズヤを忘れています
(カズヤなんて人間クラスにいない状態です。忘れたというか消し去っている)
――――――
「早く起きろ。時間だ」
王国騎士団の長、ルークがクラスメートを叩き起こし牢屋から出す
クラスメートは逆らったどうなるか知っているので大人しく牢から出てくる
ルークは全員いることを確認すると全員整列させる
クラスメートの顔は痩せこけ、来た時よりも生気が失われている
「全員いるな。今日は鍛錬ではなく実戦を行う」
「実戦?剣まともに振れないのに無茶だよぉ」
クラスメートの一人である女子の成宮友香が泣きそうな顔で呟いた
成宮はクラスの中ではムードメーカー的立ち位置の女子。すでにリオオンに体と心が支配されている
クラスメートも内心では実戦なんて無理だと思っている
魔法もろくに使えず、剣も扱えないのに実戦をしても死ぬだけだと
既に過酷な環境での生活で精神が限界を超えた者もいる
そういった者は独房に閉じ込められ二度と出てこれないようになっている
今いるクラスメートの大半は精神を摩耗している
「無理ではない。命令だ」
「わ、分かったから……それだけは辞めて、下さい」
ルークはそう言うとリオオンを取り出しクラスメートに見せつける
成宮は禍々しいオーラを放っているリオオンを見ると絶望した顔で懇願した
リオオンの苦痛は死ぬよりも辛い。ゆえにもう二度と味わいたくない、辛い思いをしたくないという思いから誰もルークには逆らえない
ルークはリオオンを見て絶望の表情に切り替わるクラスメートを見てほくそ笑んだ
「辛い思いをしたくないなら命令に従え」
「は、はい……」
成宮は首を縦にブンブン振る。気持ちが行動に顕著に現れている
ルークはリオオンの威力に最初は引いていたが、これが自分のものでこれによりクラスメートが言う事を聞く様を見ていると快楽を覚えるようになった。自分の手元で世界が回っているような気持ちになるのだ
「場所はネルロの森だ。目的地までは先導する。その後は森で魔物たちを討伐しろ」
「「はい」」
ルークがそう言うとクラスメートは力無く返事をした
ルークがネルロの森まで先導する。回復術者も同行し、死なせないようにはしている
もしもがあればルークが直ちに向かい回収する手はずになっている
すぐ回収出来るように愛馬に乗ってきている
「ここから先がネルロの森だ。貴様らにはここで魔物を討伐してもらう」
「こんな場所に放置されるのか……」
クラスの学級委員である男子の亜樹宗悟がネルロの森を見て一言言った
亜樹は心の中で実戦は死人を出すだけで馬鹿な提案だと思っているが、それを口には出せない
口に出せばあの苦痛を味わうことになるからだ
亜樹はルークに最後まで逆らっていたクラスメート。だが、苦痛に耐えられず今は支配されている
亜樹が逆らっていた姿はクラスメートに希望を与えていた
クラスメートは亜樹という希望を失ったことで絶望の色が濃くなっている
「逃げ出すようなことがあれば分かっているな?」
「……」
ルークはリオオンを再びクラスメートに見せつけ命令する
クラスメートは黙って首を縦に振る
ルークはその様を見てまたほくそ笑んだ
「5人ほどのグループで行え」
ルークがそう言うとクラスメートは即座に近くにいた者同士でグループを組む
ルークはクラスメートがグループを組めたのを確認すると回復術者を連れて少し離れる
クラスメートは取り残され、森の奥に進むしか無くなった
「本当に行くの?」
「行くしか無い……」
成宮が同じグループの亜樹に確認するように聞く。亜樹は諦めたように返す
成宮は亜樹の表情を見て退路が無いと改めて思い知った
クラスメートは行かなければいけないのは分かっているが未知の環境に怯え、中々一歩を踏み出せずにいた
「行くぞ。ここに居ても何も無い」
「ちょっと梨本!!一緒に行かないと危ないよ!!」
梨本田一が仏頂面で森の中に入っていく
梨本は亜樹のように最後までルークに逆らっていたクラスメート。だが、亜樹同様に苦痛に耐えられず逆らえなくなった
しかし、心の中では未だに反抗している。心まで支配されていない一人
森へ入っていく梨本を制止するように同じグループになった葵彩花が大声で言った
葵は成宮の親友。成宮に非道なことをするルークが許せず反抗していたが、リオオンに体と心を恐怖・苦痛で支配された
「ここに居ても苦しむだけだ。来るんだったら早く来い」
「分かったわよ!!早く行きましょ」
葵は同じグループになったクラスメートを連れてスタスタと歩いていく梨本の背中を追いかけるように歩き始める
それに釣られるように他のグループも森へ入っていく
「あぁぁぁぁ!!!!」
「門野どうしたんだ……アァァァァァ!!!!」
突然、クラスメートの男子・門野直哉が悶絶しだした
門野は亜樹や梨本が反抗してる間、一緒になって反抗していたが他同様に苦痛に耐えられず支配された
悶絶しだした門野に駆け寄っていった真貝亮も門野同様に悶絶しだした
真貝は反抗などどうでもよく辛い思いをしたくない一心で生きている。なので、成宮と亜樹が絶叫し意識を失った瞬間から支配されている
二人が悶絶しだした様を見た他のクラスメートは一目散に森へと入った
クラスメートにはこれがルークのせいだと分かっている
森で魔物を倒せと言われ、森にすら入っていない状況。この状況はルークに逆らっているのと同じだからだ
クラスメートは二人のような目に遭いたくないため一目散に散っていった
「私たちも早く行こうよ!!」
「でも、二人が……!!」
成宮はグループメンバーに森の中へ行こうと催促する
ほとんどのメンバーがうなずいたが亜樹だけ未だに悶絶している二人を心配していた
「そんなどうでもいいよ!!あれはもう嫌だ!!」
「…………」
成宮はとどまっている亜樹に本心を吐露した
亜樹は成宮の心からの叫びに耳を塞ぎたくなった。嫌なのは自分もだが辛い今こそ助け合うべきじゃないのかと思っていた
だが、今はみんな生きることで精一杯であり他人を構う暇など無いのだと知った
成宮は残っている亜樹の手を連れて森へと入っていった
「うわぁ!!キモいのいる!!」
「あれが魔物だ!!倒そう!!」
亜樹たちのグループが森を進んでいると目の前に魔物のゴブリンが数体現れた
ほとんどのゴブリンは素手だが、一体だけ錆びた剣を握っている
初めて見る魔物に亜樹以外のメンバーは動揺する
「私たちじゃ無理だよ!!危険だって!!」
「でも、倒さないと門野たちと同じ目に遭うよ!!」
亜樹がゴブリンにまっすぐ向かっていくので成宮が大声で制止する
亜樹は制止して来る成宮の方を振り向いて必死な顔で言った
亜樹の言葉に成宮はハッとした表情を見せる。そして、覚悟を決めた顔で一歩を踏み出した
成宮に釣られて他のグループメンバーも一歩を踏み出した
「亜樹!!危ない!!」
「え?ウワァァァ!!!!」
成宮が亜樹に視線を向けると亜樹のすぐ後ろにゴブリンがいた。成宮が大声を出した際、亜樹たちに気づき近づいてきていた
接近してくるゴブリンに誰も気づくことが出来なかった
ゴブリンは錆びた剣を振り上げる
成宮が警告した時には時すでに遅し。亜樹がゴブリンの方に振り向いた瞬間に剣が振り下ろされた
斬られた瞬間、亜樹の絶叫が森に響き渡った。傷跡が胴体を縦断している
斬られてから数秒後に亜樹の口から血が垂れ落ちてくる
亜樹の着ていた服が血で赤く染まり、剣で斬られた部分は破けていた
亜樹は絶叫した後、斬られた箇所を抑えるようにその場に倒れ込んだ
「ど、どうしよう……!!」
「に、にげ、逃げろ……!!」
成宮たちは亜樹がやられて動揺しまくっている
亜樹は意識が朦朧としながら成宮たちに言った
成宮たちは亜樹の言葉を聞いて逃げようとしたが、後ろを振り向こうとした瞬間ゴブリンが倒れている亜樹のトドメを刺そうと剣を向けていた
「亜樹!!」
「……」ニタァ
成宮たちが亜樹を助けようと向かっていくがゴブリンは近づいてくる成宮たちにニタァと笑うと剣を振り下ろした
成宮の目には剣が振り下ろされていく様がスローモーションに見えた
亜樹は自分の最期だと自覚して目を瞑り息を止める
「風魔法・風霊の一撃」
「い、生きてる……?」
剣が亜樹にあと数センチで当たるというところでルークがゴブリンを殲滅した
殲滅する際、ブォォン!!と暴風の吹き荒れる音が森に響いた
ルークは愛馬を降りると残りのゴブリンも殲滅した
「こいつを連れて行け」
「はい」
ルークは瀕死の亜樹を安全ば場所へ運ぶよう回復術者たちに言った
回復術者の一人が亜樹を抱えて森の外へと向かった
「亜樹をどこに連れて行くのよ!!」
「安全な場所だ。死なせるわけではない」
成宮は亜樹が運ばれ行く様を黙ってみているしか無かったがルークにどこへ連れて行くのかと尋ねる
ルークは平然とした様子で返す
成宮は亜樹が死ぬことは無いと安心する。リオオンの苦痛を味わって死にかけても決して殺しはしない
それはクラスメート全員が分かっている
「チッ……手間を取らせやがって。ゴブリンごときにやられるか」
「仕方ないでしょ!!戦い方なんて分かるわけ無いじゃん!!」
ルークは剣をしまうと呆れたように言った
ルークの態度に何かが弾けた成宮は必死でルークに訴えかけた
ルークは成宮の訴えに冷酷な視線で返す
成宮はルークの冷酷な眼差しに一瞬怯んだ
「では、何のために鍛錬をした?少しでも戦えるようにするためだろう?もう忘れたのか?」
「忘れたって……まともに休憩もさせてもらえないのに覚えられるわけ無いでしょ⁉」
鍛錬と言えば聞こえはいいかもしれないが中身は罰のようなものだ
ろくに休憩も取らせてもらえず、少しでももたつけば罵声と木刀で打たれる
そんな環境で鍛錬をしても身に付くわけが無い。クラスメートは毎日の鍛錬を乗り越えるので精一杯なのだ
「駄々をこねるな。やれと言ったらやれ」
「いくら命令でも無理なのは無理なの!!」
「お前たちは駒なんだ。文句を言う権利は無い!!」
ルークは反抗を続ける成宮に罵声を浴びせる
ルークの迫力に成宮を含めたグループメンバーが怯む
「イヤァァァ!!!!」
ルークの懐にしまってあるリオオンが赤黒い輝きを放つ
ルークに逆らった成宮にリオオンが発動した
成宮は苦痛に悶え、のたうち回る
「命令に無理はない。一度命令されたら終えるまで死ぬ気でやれ」
「アァァァ!!わ、わ、わかりました……!!わかりましたから、もうやめて……」
成宮はのたうち回った後、ルークの言葉にうなずいた
成宮は苦しみのあまり目から涙をこぼす
ルークはその様を見て嘲るように口角を上げる
「まだ終わっていない。魔物を討伐しろ」
「一人やられてるのにまだやるの⁉」
ルークは愛馬に乗ると成宮たちに命令する
成宮は亜樹がやられているのにまだ続けるのは正気かと思い、必死になって抗議する
「まだ苦しむか?」
「わ、わかりました!!やります!!やりますから、お願いします……」
ルークは成宮に禍々しいリオオンを見せつけ、邪悪な笑顔を見せる。その姿は悪魔そのものであった
成宮はリオオンを見ると表情を変え懇願するように言う
「もう二度と手間を取らせるな」
ルークは成宮たちに言い放つと愛馬で駆けていった
取り残された成宮たちは絶望の表情で森を彷徨った
実戦が終わるころにはクラスメート全員の顔から生気が失われていた
というのがクラスメートのある一日です
呪いは扱いに気をつけましょう。人にかけるのはもちろんダメですが、下手をすれば呪いが自分に返ってきます
最悪の場合、呪いに取り込まれてしまうかもしれません
この現状を知らないカズヤはいつクラスメートを救えるのでしょうか
あ、一応言っとくと、クラスメートはカズヤを忘れています
(カズヤなんて人間クラスにいない状態です。忘れたというか消し去っている)
――――――
「早く起きろ。時間だ」
王国騎士団の長、ルークがクラスメートを叩き起こし牢屋から出す
クラスメートは逆らったどうなるか知っているので大人しく牢から出てくる
ルークは全員いることを確認すると全員整列させる
クラスメートの顔は痩せこけ、来た時よりも生気が失われている
「全員いるな。今日は鍛錬ではなく実戦を行う」
「実戦?剣まともに振れないのに無茶だよぉ」
クラスメートの一人である女子の成宮友香が泣きそうな顔で呟いた
成宮はクラスの中ではムードメーカー的立ち位置の女子。すでにリオオンに体と心が支配されている
クラスメートも内心では実戦なんて無理だと思っている
魔法もろくに使えず、剣も扱えないのに実戦をしても死ぬだけだと
既に過酷な環境での生活で精神が限界を超えた者もいる
そういった者は独房に閉じ込められ二度と出てこれないようになっている
今いるクラスメートの大半は精神を摩耗している
「無理ではない。命令だ」
「わ、分かったから……それだけは辞めて、下さい」
ルークはそう言うとリオオンを取り出しクラスメートに見せつける
成宮は禍々しいオーラを放っているリオオンを見ると絶望した顔で懇願した
リオオンの苦痛は死ぬよりも辛い。ゆえにもう二度と味わいたくない、辛い思いをしたくないという思いから誰もルークには逆らえない
ルークはリオオンを見て絶望の表情に切り替わるクラスメートを見てほくそ笑んだ
「辛い思いをしたくないなら命令に従え」
「は、はい……」
成宮は首を縦にブンブン振る。気持ちが行動に顕著に現れている
ルークはリオオンの威力に最初は引いていたが、これが自分のものでこれによりクラスメートが言う事を聞く様を見ていると快楽を覚えるようになった。自分の手元で世界が回っているような気持ちになるのだ
「場所はネルロの森だ。目的地までは先導する。その後は森で魔物たちを討伐しろ」
「「はい」」
ルークがそう言うとクラスメートは力無く返事をした
ルークがネルロの森まで先導する。回復術者も同行し、死なせないようにはしている
もしもがあればルークが直ちに向かい回収する手はずになっている
すぐ回収出来るように愛馬に乗ってきている
「ここから先がネルロの森だ。貴様らにはここで魔物を討伐してもらう」
「こんな場所に放置されるのか……」
クラスの学級委員である男子の亜樹宗悟がネルロの森を見て一言言った
亜樹は心の中で実戦は死人を出すだけで馬鹿な提案だと思っているが、それを口には出せない
口に出せばあの苦痛を味わうことになるからだ
亜樹はルークに最後まで逆らっていたクラスメート。だが、苦痛に耐えられず今は支配されている
亜樹が逆らっていた姿はクラスメートに希望を与えていた
クラスメートは亜樹という希望を失ったことで絶望の色が濃くなっている
「逃げ出すようなことがあれば分かっているな?」
「……」
ルークはリオオンを再びクラスメートに見せつけ命令する
クラスメートは黙って首を縦に振る
ルークはその様を見てまたほくそ笑んだ
「5人ほどのグループで行え」
ルークがそう言うとクラスメートは即座に近くにいた者同士でグループを組む
ルークはクラスメートがグループを組めたのを確認すると回復術者を連れて少し離れる
クラスメートは取り残され、森の奥に進むしか無くなった
「本当に行くの?」
「行くしか無い……」
成宮が同じグループの亜樹に確認するように聞く。亜樹は諦めたように返す
成宮は亜樹の表情を見て退路が無いと改めて思い知った
クラスメートは行かなければいけないのは分かっているが未知の環境に怯え、中々一歩を踏み出せずにいた
「行くぞ。ここに居ても何も無い」
「ちょっと梨本!!一緒に行かないと危ないよ!!」
梨本田一が仏頂面で森の中に入っていく
梨本は亜樹のように最後までルークに逆らっていたクラスメート。だが、亜樹同様に苦痛に耐えられず逆らえなくなった
しかし、心の中では未だに反抗している。心まで支配されていない一人
森へ入っていく梨本を制止するように同じグループになった葵彩花が大声で言った
葵は成宮の親友。成宮に非道なことをするルークが許せず反抗していたが、リオオンに体と心を恐怖・苦痛で支配された
「ここに居ても苦しむだけだ。来るんだったら早く来い」
「分かったわよ!!早く行きましょ」
葵は同じグループになったクラスメートを連れてスタスタと歩いていく梨本の背中を追いかけるように歩き始める
それに釣られるように他のグループも森へ入っていく
「あぁぁぁぁ!!!!」
「門野どうしたんだ……アァァァァァ!!!!」
突然、クラスメートの男子・門野直哉が悶絶しだした
門野は亜樹や梨本が反抗してる間、一緒になって反抗していたが他同様に苦痛に耐えられず支配された
悶絶しだした門野に駆け寄っていった真貝亮も門野同様に悶絶しだした
真貝は反抗などどうでもよく辛い思いをしたくない一心で生きている。なので、成宮と亜樹が絶叫し意識を失った瞬間から支配されている
二人が悶絶しだした様を見た他のクラスメートは一目散に森へと入った
クラスメートにはこれがルークのせいだと分かっている
森で魔物を倒せと言われ、森にすら入っていない状況。この状況はルークに逆らっているのと同じだからだ
クラスメートは二人のような目に遭いたくないため一目散に散っていった
「私たちも早く行こうよ!!」
「でも、二人が……!!」
成宮はグループメンバーに森の中へ行こうと催促する
ほとんどのメンバーがうなずいたが亜樹だけ未だに悶絶している二人を心配していた
「そんなどうでもいいよ!!あれはもう嫌だ!!」
「…………」
成宮はとどまっている亜樹に本心を吐露した
亜樹は成宮の心からの叫びに耳を塞ぎたくなった。嫌なのは自分もだが辛い今こそ助け合うべきじゃないのかと思っていた
だが、今はみんな生きることで精一杯であり他人を構う暇など無いのだと知った
成宮は残っている亜樹の手を連れて森へと入っていった
「うわぁ!!キモいのいる!!」
「あれが魔物だ!!倒そう!!」
亜樹たちのグループが森を進んでいると目の前に魔物のゴブリンが数体現れた
ほとんどのゴブリンは素手だが、一体だけ錆びた剣を握っている
初めて見る魔物に亜樹以外のメンバーは動揺する
「私たちじゃ無理だよ!!危険だって!!」
「でも、倒さないと門野たちと同じ目に遭うよ!!」
亜樹がゴブリンにまっすぐ向かっていくので成宮が大声で制止する
亜樹は制止して来る成宮の方を振り向いて必死な顔で言った
亜樹の言葉に成宮はハッとした表情を見せる。そして、覚悟を決めた顔で一歩を踏み出した
成宮に釣られて他のグループメンバーも一歩を踏み出した
「亜樹!!危ない!!」
「え?ウワァァァ!!!!」
成宮が亜樹に視線を向けると亜樹のすぐ後ろにゴブリンがいた。成宮が大声を出した際、亜樹たちに気づき近づいてきていた
接近してくるゴブリンに誰も気づくことが出来なかった
ゴブリンは錆びた剣を振り上げる
成宮が警告した時には時すでに遅し。亜樹がゴブリンの方に振り向いた瞬間に剣が振り下ろされた
斬られた瞬間、亜樹の絶叫が森に響き渡った。傷跡が胴体を縦断している
斬られてから数秒後に亜樹の口から血が垂れ落ちてくる
亜樹の着ていた服が血で赤く染まり、剣で斬られた部分は破けていた
亜樹は絶叫した後、斬られた箇所を抑えるようにその場に倒れ込んだ
「ど、どうしよう……!!」
「に、にげ、逃げろ……!!」
成宮たちは亜樹がやられて動揺しまくっている
亜樹は意識が朦朧としながら成宮たちに言った
成宮たちは亜樹の言葉を聞いて逃げようとしたが、後ろを振り向こうとした瞬間ゴブリンが倒れている亜樹のトドメを刺そうと剣を向けていた
「亜樹!!」
「……」ニタァ
成宮たちが亜樹を助けようと向かっていくがゴブリンは近づいてくる成宮たちにニタァと笑うと剣を振り下ろした
成宮の目には剣が振り下ろされていく様がスローモーションに見えた
亜樹は自分の最期だと自覚して目を瞑り息を止める
「風魔法・風霊の一撃」
「い、生きてる……?」
剣が亜樹にあと数センチで当たるというところでルークがゴブリンを殲滅した
殲滅する際、ブォォン!!と暴風の吹き荒れる音が森に響いた
ルークは愛馬を降りると残りのゴブリンも殲滅した
「こいつを連れて行け」
「はい」
ルークは瀕死の亜樹を安全ば場所へ運ぶよう回復術者たちに言った
回復術者の一人が亜樹を抱えて森の外へと向かった
「亜樹をどこに連れて行くのよ!!」
「安全な場所だ。死なせるわけではない」
成宮は亜樹が運ばれ行く様を黙ってみているしか無かったがルークにどこへ連れて行くのかと尋ねる
ルークは平然とした様子で返す
成宮は亜樹が死ぬことは無いと安心する。リオオンの苦痛を味わって死にかけても決して殺しはしない
それはクラスメート全員が分かっている
「チッ……手間を取らせやがって。ゴブリンごときにやられるか」
「仕方ないでしょ!!戦い方なんて分かるわけ無いじゃん!!」
ルークは剣をしまうと呆れたように言った
ルークの態度に何かが弾けた成宮は必死でルークに訴えかけた
ルークは成宮の訴えに冷酷な視線で返す
成宮はルークの冷酷な眼差しに一瞬怯んだ
「では、何のために鍛錬をした?少しでも戦えるようにするためだろう?もう忘れたのか?」
「忘れたって……まともに休憩もさせてもらえないのに覚えられるわけ無いでしょ⁉」
鍛錬と言えば聞こえはいいかもしれないが中身は罰のようなものだ
ろくに休憩も取らせてもらえず、少しでももたつけば罵声と木刀で打たれる
そんな環境で鍛錬をしても身に付くわけが無い。クラスメートは毎日の鍛錬を乗り越えるので精一杯なのだ
「駄々をこねるな。やれと言ったらやれ」
「いくら命令でも無理なのは無理なの!!」
「お前たちは駒なんだ。文句を言う権利は無い!!」
ルークは反抗を続ける成宮に罵声を浴びせる
ルークの迫力に成宮を含めたグループメンバーが怯む
「イヤァァァ!!!!」
ルークの懐にしまってあるリオオンが赤黒い輝きを放つ
ルークに逆らった成宮にリオオンが発動した
成宮は苦痛に悶え、のたうち回る
「命令に無理はない。一度命令されたら終えるまで死ぬ気でやれ」
「アァァァ!!わ、わ、わかりました……!!わかりましたから、もうやめて……」
成宮はのたうち回った後、ルークの言葉にうなずいた
成宮は苦しみのあまり目から涙をこぼす
ルークはその様を見て嘲るように口角を上げる
「まだ終わっていない。魔物を討伐しろ」
「一人やられてるのにまだやるの⁉」
ルークは愛馬に乗ると成宮たちに命令する
成宮は亜樹がやられているのにまだ続けるのは正気かと思い、必死になって抗議する
「まだ苦しむか?」
「わ、わかりました!!やります!!やりますから、お願いします……」
ルークは成宮に禍々しいリオオンを見せつけ、邪悪な笑顔を見せる。その姿は悪魔そのものであった
成宮はリオオンを見ると表情を変え懇願するように言う
「もう二度と手間を取らせるな」
ルークは成宮たちに言い放つと愛馬で駆けていった
取り残された成宮たちは絶望の表情で森を彷徨った
実戦が終わるころにはクラスメート全員の顔から生気が失われていた
というのがクラスメートのある一日です
呪いは扱いに気をつけましょう。人にかけるのはもちろんダメですが、下手をすれば呪いが自分に返ってきます
最悪の場合、呪いに取り込まれてしまうかもしれません
この現状を知らないカズヤはいつクラスメートを救えるのでしょうか
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