上 下
24 / 37

異世界生活49日目:問1打開策を答えよ

しおりを挟む
ヴィネを殺され敵討ちのために災いの騎士の拠点に殴り込みに行ったのだが、そこではウルトルさんがバルトスと戦っていた。だが、少し考え事をしていたところを撃たれた。そのまま帰らぬ人となってしまった
ヴィネとウルトルさんたちの分まで敵を討たなければならない。こんなところで死んだらあの世にいるヴィネとウルトルさんに顔向けできない
負ける訳にはいかないのだが、俺たちが戦っている部屋は罠だらけで下手に動けば罠が作動して矢が出てくる。だからといって止まっているとバルトスに狙われる……
ウルトルさんはどうやって戦っていたんだ?矢に刺さるのを覚悟で行っていたのか?だとしても矢なんて刺さってなかった
勝機はどこにあるんだ?必ず打開策があるはずだ
でも、ナリアが罠のダメージを受けている。ナリアが動ける時間も限りがある。早めに決着をつけなければいけない


「ナリア動ける?」


「これくらい大したことないわ」


「ヤバかったら回復してよ」


ナリアは無理やり肩に刺さった矢を抜く。顔が苦痛で歪むが目には覇気がこもっていた。必ず倒すと言っている気がした


「止まってると死ぬぞ」バキューン


「ナリア危ない!!!」


「水魔法・水門アクアポルタ!!!」


バルトスは大口径のピストルをナリアに向かって発砲したが、ナリアが魔法で間一髪防いだ
動きづらいナリアを狙うのか……確実に1人消しに来てる。ナリアの防御をしてあげたいけど、急にターゲットを変えてくる可能性もある


「4人もいてそれか?あいつも大したこと無かったけどお前らの方が大したことない」


「あいつは弟子の敵とか言ってたな。くだらない」


「しかも、敵討ちに来て返り討ちにあってんだからな。実に滑稽だ」


「ウルトルさんを馬鹿にするな!!」


「死人に口なしだろ。お前らに言ってる訳じゃない」


ウルトルさんは弟子の人がこいつに殺されて、その敵を取りに来てたのか。弟子のために敵討ちに来るなんて弟子思いだったんだろう
それを滑稽???デリカシーのない人間だ
ケールもデリカシーはないが、ケールよりも酷い。人間性が終わってる


「ケールよりもデリカシーないわね」


「なんで僕があいつと比較されるの!?」


「俺に似たようなやつがいるんだな」


「ケールの方が気づいてない分、まだ許せるわ。あいつは気づいてて言ってるから許せない」


「気づいてないって何のこと??」


これを天然というのか??
気づいてるのと気づいていないのでは話が違う。バルトスはつくづく悪役にピッタリだな


「お前らもヴィネとかいうガキのために敵討ちに来たのか?」


「当たり前よ!!!」


「くだらない。そんなことのために命捨てれるのか」


「くだらなくない!!!私たちは敵討ちだけをしに来た訳じゃない」


「は???」


「あなたを後悔させるためよ。ヴィネの幸せを奪っておいて、のうのうと生きるなんて許さない!!!」


ヴィネは超能力さえ持って生まれなければ、普通の子だった。両親と幸せに毎日を暮らしていたはずだ。それがこいつらに壊された。両親を殺され絶望しても、前向こうとしていたのに……!!
それをこいつは踏みにじった。たとえ命令だとしても許せない!!!


「ガキ1人によく、そんなムキになれるな」


「ヴィネは両親をあなたに殺されて絶望してた。でも、前を向いて歩こうとしてた。たまたま知り合った私たちを信頼してくれた。1歩1歩踏みしめてたのに……!!!あなたが全部ぶっ壊したのよ!!!」


「知るかよ。そのガキがどんな気持ちだったとか、どんな性格をしてたかなんて興味無い」


「あのガキの親さえ邪魔しなければ一緒に殺せたのにな。そうすれば幸せだろ?それにあの世で一緒に暮らせるしな」


「別々になったが、あの世で仲良くやってんだろ」


なんだこいつ?
こいつの話を聞いてるだけで吐き気がしてくる
一緒に殺せた?あの世で仲良くやってる?
家族をなんだと思ってる…!!!
一緒に殺されて幸せな訳がないだろ!!!!
こいつはダリアよりもクズだ。人間として、いやこいつは人間じゃない。人間の形をした悪魔だ


ピキッ!!!「………」


「ふざけるんじゃないわよ……!!!!」


「火魔法・地獄の業火ヘルファイア!!!!!!」


「Cランクって聞いてたが……骨があるんだな」


バルトスの発言で完全にキレたナリアは切り札でもある大技を使ってしまった。バルトスは距離を取って躱した。
罠が発動しない?あいつ何十歩か歩いてたけどな……
罠が発動しない場所があるんだ。あいつはここの構造を熟知しているからどこに罠があるのかを知っている


「お返ししとくか
魔法弾・貫通弾ピアスバレット


「水魔法・水門アクアポルタ!!!!!!」


「この弾は魔法で防げない」


「えっ?」グシャ!!!


鈍い音ともにナリアの体を大口径の鉛玉が貫いた。ナリアは力無く倒れ、意識を失った。俺は罠なんか忘れて一直線にナリアのところに向かっていた
幸い撃たれた場所は腹部で心臓では無いが、出血が酷い。噴水のように血が出てきている
早く処置をしなければ出血死で死んでしまう!!!


「ナリア!!!!」「ナリア大丈夫!!??」


「カンちゃんどうにかなんない!!!??」


「治ることは治る。でも今すぐには起きない」


「それでもいいから助けてよ!!!!」


バサバサ「何見てる。戦え」


「分かった」


ここはカンちゃんを信じるしかない。カンちゃんならきっと治してくれる。治ることは治るって言ってたし安心したいけど、まだ不安だ
ナリアに危険が及ばないように、あいつの攻撃を俺らで防ぐ


「鳩に何が出来る?そこ邪魔だ」バキューン


「神格魔法・神聖な槍ホーリーランス


ヒューン「!!!!
大口径の銃弾を破壊しやがった。それに……今のとんでもない槍はなんだ??」


バルトスはカンちゃん目掛けて大口径の拳銃を発砲したが、魔法で銃弾を破壊され顔のすぐ横を槍らしきものが猛スピードで通過したことに困惑している
当たれば良かったのにな


「あの鳩はふざけてるのか??あんな壊れた攻撃ありかよ」


「なめるなよ
魔法弾・貫通弾ピアスバレット!!!」


パクッ「邪魔するな。クズサル」


バルトスは続けざまにカンちゃんに発砲した。今度撃ったのはナリアに撃ったものと同じ弾
カンちゃんは魔法をうたず、向かって来ている弾をくちばしで掴んだ
鳩のすることじゃない……形は鳩だけど中身は神のペットだからな


「!??
なんだあの鳩、本当に鳩か???」


「お前の相手は俺たちだ」


「4人でも相手にならなかったのに、3人で相手になるとでも思ってるのか??」


「なるさ」


「お前たちもあの女と同じように体に風穴空けてやるよ」バキューン


バルトスは俺目掛けて発砲してくる。俺は短剣で銃弾を防ぐ。だが、弾が大きいため短剣が弾かれそうになる
短剣が無くなると銃弾を防ぐ手段が無くなるため、落とす訳にはいかない


「あの女も滑稽だったな。後悔させると言っておいて、1番先にくたばったんだからな」


「大したことないのに大口をよく叩ける」


「弱いやつほど大言壮語する。実に惨めだ」


「あの女がいい例だ。自分には俺を倒す力も無いくせに、敵討ちだの、ガキのために俺を後悔させるだの大言壮語する」


「そして、俺に風穴を空けられて終わりだ。傑作だろ。そう思わないか??」


俺の中で何かが弾けた。気づけば俺は罠など気にせずにバルトスに向かって突っ込んでいた。矢が何本か俺に刺さったが気にしなかった
バルトスは俺が罠なんかそっちのけで突っ込んでくることは想定していなかったのだろう。目を丸くしていた
俺は体術強化をしてバルトスの腹部に渾身のパンチを入れた。バルトスは殴られ慣れていないのか、吹っ飛ばされ壁にぶつかったあと中々立ち上がれずにいた


「仲間、馬鹿にすんなよ…!!」


「……あーダルいな」


「面倒臭い奴らだ。いい加減終わらせるか」


「大丈夫か???」


「何本か刺さってるけど」


矢刺さってるの忘れてたな
痛っ!!!!
思い出した途端に痛みが体に走る。刺さってるって言われない方が良かった


「少し痛いけど動ける」


「走り回ってれば罠は全部無くなるかもしれない。何本か刺さるけど」


「自由に戦うんだったら、その方法を試すしかないね」


「見た感じあいつ殴られ慣れてねぇみたいだな」


「ウルアみたいに護りがついてる訳でもないから、自由に戦えるようになれば勝機はある」


走り回って罠を片っ端から作動させていくという脳筋プレー。だけど自由に戦う環境を作るためなら1番手っ取り早い
案が出たなら実行するまでだ。俺たちは一斉に走り出し、罠を片っ端から作動させていく


「何してんだ??頭おかしくなったのか???」


「そんなに死にたいなら死なせてやるよ」バキューン


キン!!!「銃弾にも気をつけて!!!!」


「おう!!」「了解!!」


「何が目的だ??
……まさか!??」


バルトスが気づいた時には俺たちは罠を全て出し終えた。3人とも何本か矢が刺さってる。ダメージを受けてるけど回復魔法で回復させて準備を整える
これで自由に戦える環境が作れた。こうなればあとは暴れるだけだ


「クソッ!!!!ふざけやがって!!!!!」


「あぁぁー!!!殺してやる!!!!
魔法弾・漆黒弾ダークバレット!!!」


「!??
地面が!!引きづり込まれる!!!」


バルトスは地面に向けて発砲した。頭がおかしくなったのはお前の方かと言いかけたが、銃弾が地面にめり込んでいくと地面がどんどん黒くなり、俺たちは底なし沼のように引きづり込まれる
抜け出せない!!!!!動けないんじゃ格好の的だ!!!


「動けなかった意味無いよな!!!」バキューン


バシュッ「痛っっ!!!!肩が!!
クソッ!!どうにか抜けないと!!!」


「闇に飲まれるか、銃で撃たれて死ぬかどっちがいい???」


「闇???
なら、これで抜けられるはずだ!!!!」


「闇魔法・闇次元ダークディメンション!!!」


「!!?
なぜだ!?なぜ抜け出せる!!!」


あれは闇魔法がかけられた銃弾。どこかに当たることでかけられた闇魔法が効果を発揮させる
闇魔法で俺たちのことを引きづり込んでいるなら、逆にこっち側に引きづり込めばいい
一か八かの賭けだったけど俺の作戦は成功した


「自由になればこっちのもんだ」


「剣術強化・火魔法・炎剣の一撃フレアブロウ!!!」


「グハッ……!!お前らなんかに…!!」バキューン


「どこ撃ってんだよ
体術強化・光魔法・閃光拳フラッシュブロウ!!!」バコッ


「ウッ……!!ハァハァ……なめるな…!!」


バルトスはケールに斬られ、俺に殴られても尚立ち上がるがもうフラフラである
銃も照準が定まっていない。左手に持っていた銃弾も落としている


「体術強化・剣術強化・火魔法・火霊剣サラマンダーソード!!!!!!」


「風魔法・混沌の爆風カオスブラスト!!!!!!」


ドーーーン!!!!!!!!!


「お…れが…まけ…るわけ…が」パン


「お前の負けだ」


「はぁー疲れたね」


「ほんとにな……ゆっくり休みてぇよ」


「カンちゃん!!!ナリアは!!」


「治った目はまだ覚めない」


良かった……
ひとまずは安心だな。あとは目を覚ますまでどうするか?ここは災いの騎士の拠点だし、出た方が良さそうだ
それにウルトルさんの遺体も放置する訳にはいかない。収納魔法に入れてどこかに埋めてあげよう
ウルトルさんには短い間だけどお世話になった。そのお礼はしないとな
これでアグロクの森にいる災いの騎士の幹部は全員倒せたか?まだいるかもしれないけど、3人やられたのはかなり痛いはず
レイデリア地方の災いの騎士は壊滅出来るんじゃないか??テロ組織がいなくなれば人々も安心して生活出来るはずだ
災いの騎士はこれ以上追いたくないな。体がボロボロだ。こんな目に毎回遭わないといけないんだから、もう二度とごめんだ
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

補助魔法しか使えない魔法使い、自らに補助魔法をかけて物理で戦い抜く

burazu
ファンタジー
冒険者に憧れる魔法使いのニラダは補助魔法しか使えず、どこのパーティーからも加入を断られていた、しかたなくソロ活動をしている中、モンスターとの戦いで自らに補助魔法をかける事でとんでもない力を発揮する。 最低限の身の守りの為に鍛えていた肉体が補助魔法によりとんでもなくなることを知ったニラダは剣、槍、弓を身につけ戦いの幅を広げる事を試みる。 更に攻撃魔法しか使えない天然魔法少女や、治癒魔法しか使えないヒーラー、更には対盗賊専門の盗賊と力を合わせてパーティーを組んでいき、前衛を一手に引き受ける。 「みんなは俺が守る、俺のこの力でこのパーティーを誰もが認める最強パーティーにしてみせる」 様々なクエストを乗り越え、彼らに待ち受けているものとは? ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアッププラスでも公開しています。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...