14 / 37
異世界生活47日目:それ本気で言ってる???
しおりを挟む
俺たちは突如襲ってきた災いの騎士を倒し、任務を無事に達成出来た
しかし、その戦いでナリアが負傷してしまい病院で休んでもらっている。医師によれば2日は目を覚まさないとのことなので俺らはその間レイデリアを満喫することにした
ナリアが寝ているのに俺らだけ楽しむのは罪悪感があったが、ケールとロイスはウキウキだったため俺もつられてウキウキになってしまった
この2人に罪悪感はないのだろうか???
俺らもふざまくっていた訳では無い。1日満喫した後はいつも通り任務に励んでいた
しかし、任務が終わるとロイスに無理やり飲み屋に連れていかれた。そこで記憶が無くなるほど飲まされ気がつけば宿屋のベッドの上だった
ロイスが運んでくれたのだろう。頭痛が酷い。ロイス飲ませ過ぎだ
今日はナリアの見舞いに行くんだ。医師が言っていた2日はとっくに過ぎた。もしかしたら、今日目を覚ますかもしれない
それなのに二日酔いとは……何してんだ
早く病院に行こう。ケールとロイスが先に行ってるかもしれない
~???~
コンコンコンコン「大公様。ご報告が」
「お前か……入れ」
「失礼します」
「報告とはなんだ?」
「ラウムが殺されました」
「!?
誰にだ?」
「冒険者のグループにやられたようです」
イボスは王座を思わせる椅子に腰掛けている
部屋の壁面は石でゴツゴツしているが、部屋の真ん中には食卓が並んだ長机と何脚もの椅子が置いてあり最後の晩餐を彷彿とさせる
報告してきた人物はこの豪華な部屋に見慣れた様子であった
「冒険者?そんなものに負けたのか」
「自分の力を過信し過ぎたただの青二才でしたね」
「ラウムを幹部に推薦したのは誰だ?」
「ウルアでございます」
「ただの青二才とはいえ儀式が済めば幹部になる人間だった。そんな人間が冒険者に殺されるとは………
失望した」
「責任を果たせと言っておけ」
「承知致しました。そのようにお伝えしておきます」
「失礼しました」ガシャ
部屋を出ていく人物の顔は醜い悪魔のように笑っていた。しかし、その顔を見た者は誰1人いなかった。悪魔はまた違う部屋へと向かった
コンコンコン「入るぞ」
「バルトスか。ノックくらいしろよ」
「した。昼間からそんな飲んで、イカれた事してるからだろう」
「うるせぇな。俺に口出しすんなよ」
「大公様がお前に責任を取って欲しいと仰っている」
ウルアは何をしても大雑把だ。こいつに任せた仕事は大抵何の変化もなく俺に返ってくる
こいつは酒癖が悪い癖に昼間から酒を飲み、女を部屋に呼ぶ。毎日昼間からうるさいので殺してやろうかとも思った時もあった
だが、ラウムが殺られたことで大公様からの信用は堕ちた。ここで責任を取れなければこいつともおさらばだ
「は?なんだよそれ」
「ラウムが殺された」
「何言ってんだ?ラウムが殺される訳ないだろ」
「本当だ。現にもう2日は帰ってきていない」
「たまたまだ。2日くらいお前も帰ってこない時あるだろ」
「俺はな。ラウムはどんなに遅くても1日で戻ってきてた」
「……たまたまだろ」
本当にたまたまだと思っているならめでたいやつだ。自分の言うことを何でも聞く人形が急に死んで信じられないのか?あいつの実力はお前が1番わかってるだろうに
「大公様はラウムを幹部に推薦したお前に指名責任を取って欲しいと仰っている」
「……ラウムを殺したやつは誰だよ?」
「冒険者グループだ」
「冒険者?名前は?」
「カズヤ、ケール、ナリア、ロイス。全員Cランクだ」
「あいつはCごときに負けたのか…!?」
「早く自分の弟子の尻拭いをして来いよ」
「言わないでもわかってる!!」
まさに滑稽。自分の溺愛した人形を過信し幹部に推薦したものの、Cランクの冒険者に殺られるとは
自分派の幹部を増やして影響を強めたかったんだろうが逆にお前は大公様からの信用を失った
これであいつがどう動くんだろうな?
俺はこの前仕留め損ねたガキのトドメでも刺しに行くか。あのガキのどこに力があるかは知らないが大公様の命令だ。無視する訳にはいかない
~ナリア~
「ん……ここは?」
私が目を覚ますと見慣れない場所にいた
私は左頬にタトゥーが入った男に光線でうたれて……
そこからの記憶が無い
ここは病院?ベッドがたくさん置いてあるし、寝てる人もいる。私が寝ているすぐ横には杖と帽子が置いてある
私はここで寝てたんだ。どれくらい寝てたんだろう
みんなの姿が見当たらない。どこに行ったんだろう?
「お母さん……」
お母さんと呼ばれた気がして慌てて周りを見渡すと隣のベッドで寝ている綺麗な女の人の手をギュット握っている女の子がいた
そこまで小さい訳ではなく、私より3歳くらい年下だろうか。カズヤと同い年位かもしれない
お母さんとは寝ている女の人のことだろう。私かと思ってビックリしてしまった
隣の女の人は重い病気にかかっているんだろう。女の子がいくら呼びかけても返答は無い
「ねぇ……」
「おばさん起きたの?」
この子私のことおばさんって言った???
突然のことすぎて気が動転し私は固まってしまった
おばさんって言っても私まだ19歳だよ。お母さんが綺麗なのはわかるけど、だとしても私の見た目そんな老けてる?
「おばさんじゃなくてナリアって呼んで」
「ナリア……わかった」
「あなたの名前は?」
私がこうやって話している間も女の子はお母さんの手を離そうとはせずギュッと握っている
お母さんがそれほど好きなんだろう。お母さんには早く回復して貰いたいな
「私はヴィネ」
「ヴィネ。お母さんは?」
「お母さんは……………ヒック」
ヴィネが泣き出してしまった。
お母さんのことに触れられて欲しくなかったのかな
だとしたらやってしまった
私はなんて軽率な発言を…………こういう浅はかなところが嫌いだ
「ごめんね!!話したくなかった無理に話さなくても大丈夫だよ」
「お母さんは……襲われたの」
「え!?襲われたって……どうして?」
「分からない。でも私たちが住んでた家に入ってきた人たちは「ヴィネを探せ」って言ってた」
「あなたを?」
「お母さんとお父さんは私を守るために何度も魔法を受けて……ヒック」
お父さんは娘さんを守るために亡くなったんだ………娘さんのために命を張る立派なお父さんだったんだ
お母さんも娘さんを守るために命を張って、今も目を覚ましていない
素敵な家庭なんだね。それを壊すなんて最低だわ
「そうだったんだ。ヴィネは頑張ってるよ」
「お医者さんが言ってた。お母さんは助からないって……ヒック」
「………」
「ナリアならどうにかできる?」
「え!?私!?
私には無理だよ……」
「なんでそう言うの?
やってみないと分からないじゃん!!
なんであなたが元気になってお母さんは助からないのよ!!!私のお母さんを返してよ!!!!!」
そう言われても……無理なことは無理だよ。医師の方が私よりすごい回復魔法を使えるし、医術をマスターしてる。回復魔法だけでは病気や怪我は治せないその人が言っても無理なら私にはできない
ヴィネのことを思うと胸が辛い。ヴィネもご両親も幸せに過ごしてたはず。その幸せが急に壊されるなんて気持ちが不安定になるのもわかる
「落ち着いて!!!」
「うるさい!!!うるさい!!!うるさ……スー」バサッ
「ヴィネ!!」
「どうしました!?」
「ヴィネが!!」
「この子ですか……この子なら寝てるだけですよ」
良かった。彼女は相当疲れていたんだろう
寝ているだけなら一安心だ。ひとまず休んで欲しい
「何かご迷惑をかけてませんか?」
「そんなことないです」
「そうですか。それなら良かったです
元気になったんですね。あと1日は寝てるって先生は言ってたのに」
「そうなんですね……(もう1日寝てたんだ。今はそれどころじゃない)
いつから隣の方はいるんですか?」
「ビアンさんですか?ビアンさんは1週間前に来てそこからずっと寝たきりですね」
「そうなんですね……」
「ヴィネちゃんは毎日お母さんの見舞いに来ていて……なので助からないっていうのを伝えるのが酷だと思って中々伝えてなかったんですけど……
彼女自身お母さんが助からないのをもうわかってたみたいで……」
「本当に助からないんですか?」
「残念ながら……」
そうなんだ……
ヴィネには酷だけど仕方ない。現実がいつも思い通りに動くとは限らない。どれだけ辛いことでも受け止めなければならない
「何か酷いこと言ってませんでしたか?」
「いえ…大丈夫です」
「彼女は他の人が元気になるとなんで私のお母さんだけが元気にならないの?って言うんです。それで患者さんやご家族を困らせてて……」
(私にも言ってた。ヴィネは歯止めがきいてない)
「そういえば、ヴィネが襲われたって言ってたんですけど…」
「はい……どうやら災いの騎士みたいなんですよ」
「災いの騎士ってあのテロ組織ですか?」
「はい……襲ってきた人たちの左手にタトゥーが入ってたって言ってたんです。左手にタトゥーが入ってるのは災いの騎士以外いませんから……」
「その中には顔にタトゥーが入った人もいたみたいなんですよね」
「顔にタトゥーがあると何かあるんですか?」
「顔じゃなくても2つタトゥーが入っているのは組織内でもかなりの実力者ってことです」
私たちがこの前にあったのも左手にタトゥーをしていた。リーダー格の男は左頬にタトゥーをしていた。あいつはかなりの実力者だったんだ
だから1人でもあんなに強かったんだ。常軌を逸してるカズヤと対等にやり合ってたし
「その人、この前倒してます」
「え!?本当ですか!?」
「はい。この前任務をやってた時に左頬にタトゥーが入った男の人を倒したんです」
「お強いんですね
でも、彼女は右手の甲にタトゥーが入ってるって言っていて……」
「ヴィネが見た人とは違う……」
私たちが倒した人とは違う人……
どんな人間なんだろう。1つ言えるのは最低な人間だと言うこと。ヴィネたちの幸せを強引に引き裂いているんだから
私がヴィネのためにやってあげられることはあるかな?何でもいいから彼女のためになりたい
~次の日~
「ヴィネ?」
「………」
私はヴィネに徹底的に無視されている。元気になった私はヴィネが来ると積極的に話しかけているのだが、このように無視されている
「ねぇ……」
「………」
「あなたの望みは何?お母さんを助けて欲しい以外で」
「……!!!」
ヴィネがこっちを向いてくれた
ヴィネのためにできることがあるなら何でもやってあげたい。お節介かもしれないが、困ってる人は放っておけないのだ。それにヴィネはまだまだ子供だ
ヴィネと私はどこか似ている気がする
「あなたの力になりたい」
「なら……お父さんとお母さんをこんな目に遭わせた人を倒して」
「……」
「許せないの…!!お父さんとお母さんを酷い目に遭わせた人を…!!!」
「……分かった」
「え?」
「ヴィネのその願い叶えてあげる」
私はヒーローでも何でもない
だけど、酷い目に遭って前を向けないヴィネに光を照らしてあげたい
私にできることはヴィネたちをこんな目に遭わせた人を倒すこと。ならそれを全力でやらないと
「いいの?」
「良いに決まってるよ。だから、私が戻ってくるまでいい子にしててね」
「分かった!!!」
~次の日~
「元気そうだな」
「あなたたちは遊んでたみたいね」
「ギクッ!!!別に遊んでないけど」
「顔見れば分かるわよ。頭痛いって書いてある」
全くこの人たちは……
カズヤもケールとロイスにそそのかされて遊んでたんだろう。こっちは寝てたって言うのに……
まぁでもそれくらいの方が私も気が楽だしね。ずっと心配されても気が重い
「さぁ早く行きましょ」
「そうだな」
「じゃあね」
「うん。またね」
「どうした?ナリア」
「何でもないわよ」
私はヴィネに笑顔で手を振ってお別れをした
~カズヤ~
「これからどうする?」
「マラ王国に戻るか?」
「また戻るのか」
「災いの騎士を探すわよ!!!」
「「「え?」」」
この人本気で言ってる???
あなたその人たちと戦って死にかけたんだよ???
正気か???
俺だけじゃなくてもケールとロイスも同じ顔してるけど……
あんな奴らとまた戦わないといけないのは聞いてない。病院で寝てる間ナリアに何があったんだ??
「なんで?」
「そんな急にどうした?」
「記憶ないの?」
「あなたたちは遊んでたんでしょ?」
「「「ウッ……」」」
「なら少しくらい付き合ってよ」
それを言われると反撃できない
これはナリアについていくことになりそうだ
それにしてもなんで急に災いの騎士を探すなんて何があったんだろうか
また死闘をするのか………弱ったな
もう1回聞きたい
姉貴、それ本気で言ってる???
しかし、その戦いでナリアが負傷してしまい病院で休んでもらっている。医師によれば2日は目を覚まさないとのことなので俺らはその間レイデリアを満喫することにした
ナリアが寝ているのに俺らだけ楽しむのは罪悪感があったが、ケールとロイスはウキウキだったため俺もつられてウキウキになってしまった
この2人に罪悪感はないのだろうか???
俺らもふざまくっていた訳では無い。1日満喫した後はいつも通り任務に励んでいた
しかし、任務が終わるとロイスに無理やり飲み屋に連れていかれた。そこで記憶が無くなるほど飲まされ気がつけば宿屋のベッドの上だった
ロイスが運んでくれたのだろう。頭痛が酷い。ロイス飲ませ過ぎだ
今日はナリアの見舞いに行くんだ。医師が言っていた2日はとっくに過ぎた。もしかしたら、今日目を覚ますかもしれない
それなのに二日酔いとは……何してんだ
早く病院に行こう。ケールとロイスが先に行ってるかもしれない
~???~
コンコンコンコン「大公様。ご報告が」
「お前か……入れ」
「失礼します」
「報告とはなんだ?」
「ラウムが殺されました」
「!?
誰にだ?」
「冒険者のグループにやられたようです」
イボスは王座を思わせる椅子に腰掛けている
部屋の壁面は石でゴツゴツしているが、部屋の真ん中には食卓が並んだ長机と何脚もの椅子が置いてあり最後の晩餐を彷彿とさせる
報告してきた人物はこの豪華な部屋に見慣れた様子であった
「冒険者?そんなものに負けたのか」
「自分の力を過信し過ぎたただの青二才でしたね」
「ラウムを幹部に推薦したのは誰だ?」
「ウルアでございます」
「ただの青二才とはいえ儀式が済めば幹部になる人間だった。そんな人間が冒険者に殺されるとは………
失望した」
「責任を果たせと言っておけ」
「承知致しました。そのようにお伝えしておきます」
「失礼しました」ガシャ
部屋を出ていく人物の顔は醜い悪魔のように笑っていた。しかし、その顔を見た者は誰1人いなかった。悪魔はまた違う部屋へと向かった
コンコンコン「入るぞ」
「バルトスか。ノックくらいしろよ」
「した。昼間からそんな飲んで、イカれた事してるからだろう」
「うるせぇな。俺に口出しすんなよ」
「大公様がお前に責任を取って欲しいと仰っている」
ウルアは何をしても大雑把だ。こいつに任せた仕事は大抵何の変化もなく俺に返ってくる
こいつは酒癖が悪い癖に昼間から酒を飲み、女を部屋に呼ぶ。毎日昼間からうるさいので殺してやろうかとも思った時もあった
だが、ラウムが殺られたことで大公様からの信用は堕ちた。ここで責任を取れなければこいつともおさらばだ
「は?なんだよそれ」
「ラウムが殺された」
「何言ってんだ?ラウムが殺される訳ないだろ」
「本当だ。現にもう2日は帰ってきていない」
「たまたまだ。2日くらいお前も帰ってこない時あるだろ」
「俺はな。ラウムはどんなに遅くても1日で戻ってきてた」
「……たまたまだろ」
本当にたまたまだと思っているならめでたいやつだ。自分の言うことを何でも聞く人形が急に死んで信じられないのか?あいつの実力はお前が1番わかってるだろうに
「大公様はラウムを幹部に推薦したお前に指名責任を取って欲しいと仰っている」
「……ラウムを殺したやつは誰だよ?」
「冒険者グループだ」
「冒険者?名前は?」
「カズヤ、ケール、ナリア、ロイス。全員Cランクだ」
「あいつはCごときに負けたのか…!?」
「早く自分の弟子の尻拭いをして来いよ」
「言わないでもわかってる!!」
まさに滑稽。自分の溺愛した人形を過信し幹部に推薦したものの、Cランクの冒険者に殺られるとは
自分派の幹部を増やして影響を強めたかったんだろうが逆にお前は大公様からの信用を失った
これであいつがどう動くんだろうな?
俺はこの前仕留め損ねたガキのトドメでも刺しに行くか。あのガキのどこに力があるかは知らないが大公様の命令だ。無視する訳にはいかない
~ナリア~
「ん……ここは?」
私が目を覚ますと見慣れない場所にいた
私は左頬にタトゥーが入った男に光線でうたれて……
そこからの記憶が無い
ここは病院?ベッドがたくさん置いてあるし、寝てる人もいる。私が寝ているすぐ横には杖と帽子が置いてある
私はここで寝てたんだ。どれくらい寝てたんだろう
みんなの姿が見当たらない。どこに行ったんだろう?
「お母さん……」
お母さんと呼ばれた気がして慌てて周りを見渡すと隣のベッドで寝ている綺麗な女の人の手をギュット握っている女の子がいた
そこまで小さい訳ではなく、私より3歳くらい年下だろうか。カズヤと同い年位かもしれない
お母さんとは寝ている女の人のことだろう。私かと思ってビックリしてしまった
隣の女の人は重い病気にかかっているんだろう。女の子がいくら呼びかけても返答は無い
「ねぇ……」
「おばさん起きたの?」
この子私のことおばさんって言った???
突然のことすぎて気が動転し私は固まってしまった
おばさんって言っても私まだ19歳だよ。お母さんが綺麗なのはわかるけど、だとしても私の見た目そんな老けてる?
「おばさんじゃなくてナリアって呼んで」
「ナリア……わかった」
「あなたの名前は?」
私がこうやって話している間も女の子はお母さんの手を離そうとはせずギュッと握っている
お母さんがそれほど好きなんだろう。お母さんには早く回復して貰いたいな
「私はヴィネ」
「ヴィネ。お母さんは?」
「お母さんは……………ヒック」
ヴィネが泣き出してしまった。
お母さんのことに触れられて欲しくなかったのかな
だとしたらやってしまった
私はなんて軽率な発言を…………こういう浅はかなところが嫌いだ
「ごめんね!!話したくなかった無理に話さなくても大丈夫だよ」
「お母さんは……襲われたの」
「え!?襲われたって……どうして?」
「分からない。でも私たちが住んでた家に入ってきた人たちは「ヴィネを探せ」って言ってた」
「あなたを?」
「お母さんとお父さんは私を守るために何度も魔法を受けて……ヒック」
お父さんは娘さんを守るために亡くなったんだ………娘さんのために命を張る立派なお父さんだったんだ
お母さんも娘さんを守るために命を張って、今も目を覚ましていない
素敵な家庭なんだね。それを壊すなんて最低だわ
「そうだったんだ。ヴィネは頑張ってるよ」
「お医者さんが言ってた。お母さんは助からないって……ヒック」
「………」
「ナリアならどうにかできる?」
「え!?私!?
私には無理だよ……」
「なんでそう言うの?
やってみないと分からないじゃん!!
なんであなたが元気になってお母さんは助からないのよ!!!私のお母さんを返してよ!!!!!」
そう言われても……無理なことは無理だよ。医師の方が私よりすごい回復魔法を使えるし、医術をマスターしてる。回復魔法だけでは病気や怪我は治せないその人が言っても無理なら私にはできない
ヴィネのことを思うと胸が辛い。ヴィネもご両親も幸せに過ごしてたはず。その幸せが急に壊されるなんて気持ちが不安定になるのもわかる
「落ち着いて!!!」
「うるさい!!!うるさい!!!うるさ……スー」バサッ
「ヴィネ!!」
「どうしました!?」
「ヴィネが!!」
「この子ですか……この子なら寝てるだけですよ」
良かった。彼女は相当疲れていたんだろう
寝ているだけなら一安心だ。ひとまず休んで欲しい
「何かご迷惑をかけてませんか?」
「そんなことないです」
「そうですか。それなら良かったです
元気になったんですね。あと1日は寝てるって先生は言ってたのに」
「そうなんですね……(もう1日寝てたんだ。今はそれどころじゃない)
いつから隣の方はいるんですか?」
「ビアンさんですか?ビアンさんは1週間前に来てそこからずっと寝たきりですね」
「そうなんですね……」
「ヴィネちゃんは毎日お母さんの見舞いに来ていて……なので助からないっていうのを伝えるのが酷だと思って中々伝えてなかったんですけど……
彼女自身お母さんが助からないのをもうわかってたみたいで……」
「本当に助からないんですか?」
「残念ながら……」
そうなんだ……
ヴィネには酷だけど仕方ない。現実がいつも思い通りに動くとは限らない。どれだけ辛いことでも受け止めなければならない
「何か酷いこと言ってませんでしたか?」
「いえ…大丈夫です」
「彼女は他の人が元気になるとなんで私のお母さんだけが元気にならないの?って言うんです。それで患者さんやご家族を困らせてて……」
(私にも言ってた。ヴィネは歯止めがきいてない)
「そういえば、ヴィネが襲われたって言ってたんですけど…」
「はい……どうやら災いの騎士みたいなんですよ」
「災いの騎士ってあのテロ組織ですか?」
「はい……襲ってきた人たちの左手にタトゥーが入ってたって言ってたんです。左手にタトゥーが入ってるのは災いの騎士以外いませんから……」
「その中には顔にタトゥーが入った人もいたみたいなんですよね」
「顔にタトゥーがあると何かあるんですか?」
「顔じゃなくても2つタトゥーが入っているのは組織内でもかなりの実力者ってことです」
私たちがこの前にあったのも左手にタトゥーをしていた。リーダー格の男は左頬にタトゥーをしていた。あいつはかなりの実力者だったんだ
だから1人でもあんなに強かったんだ。常軌を逸してるカズヤと対等にやり合ってたし
「その人、この前倒してます」
「え!?本当ですか!?」
「はい。この前任務をやってた時に左頬にタトゥーが入った男の人を倒したんです」
「お強いんですね
でも、彼女は右手の甲にタトゥーが入ってるって言っていて……」
「ヴィネが見た人とは違う……」
私たちが倒した人とは違う人……
どんな人間なんだろう。1つ言えるのは最低な人間だと言うこと。ヴィネたちの幸せを強引に引き裂いているんだから
私がヴィネのためにやってあげられることはあるかな?何でもいいから彼女のためになりたい
~次の日~
「ヴィネ?」
「………」
私はヴィネに徹底的に無視されている。元気になった私はヴィネが来ると積極的に話しかけているのだが、このように無視されている
「ねぇ……」
「………」
「あなたの望みは何?お母さんを助けて欲しい以外で」
「……!!!」
ヴィネがこっちを向いてくれた
ヴィネのためにできることがあるなら何でもやってあげたい。お節介かもしれないが、困ってる人は放っておけないのだ。それにヴィネはまだまだ子供だ
ヴィネと私はどこか似ている気がする
「あなたの力になりたい」
「なら……お父さんとお母さんをこんな目に遭わせた人を倒して」
「……」
「許せないの…!!お父さんとお母さんを酷い目に遭わせた人を…!!!」
「……分かった」
「え?」
「ヴィネのその願い叶えてあげる」
私はヒーローでも何でもない
だけど、酷い目に遭って前を向けないヴィネに光を照らしてあげたい
私にできることはヴィネたちをこんな目に遭わせた人を倒すこと。ならそれを全力でやらないと
「いいの?」
「良いに決まってるよ。だから、私が戻ってくるまでいい子にしててね」
「分かった!!!」
~次の日~
「元気そうだな」
「あなたたちは遊んでたみたいね」
「ギクッ!!!別に遊んでないけど」
「顔見れば分かるわよ。頭痛いって書いてある」
全くこの人たちは……
カズヤもケールとロイスにそそのかされて遊んでたんだろう。こっちは寝てたって言うのに……
まぁでもそれくらいの方が私も気が楽だしね。ずっと心配されても気が重い
「さぁ早く行きましょ」
「そうだな」
「じゃあね」
「うん。またね」
「どうした?ナリア」
「何でもないわよ」
私はヴィネに笑顔で手を振ってお別れをした
~カズヤ~
「これからどうする?」
「マラ王国に戻るか?」
「また戻るのか」
「災いの騎士を探すわよ!!!」
「「「え?」」」
この人本気で言ってる???
あなたその人たちと戦って死にかけたんだよ???
正気か???
俺だけじゃなくてもケールとロイスも同じ顔してるけど……
あんな奴らとまた戦わないといけないのは聞いてない。病院で寝てる間ナリアに何があったんだ??
「なんで?」
「そんな急にどうした?」
「記憶ないの?」
「あなたたちは遊んでたんでしょ?」
「「「ウッ……」」」
「なら少しくらい付き合ってよ」
それを言われると反撃できない
これはナリアについていくことになりそうだ
それにしてもなんで急に災いの騎士を探すなんて何があったんだろうか
また死闘をするのか………弱ったな
もう1回聞きたい
姉貴、それ本気で言ってる???
0
お気に入りに追加
417
あなたにおすすめの小説
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
美少女だらけの姫騎士学園に、俺だけ男。~神騎士LV99から始める強くてニューゲーム~
マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
ファンタジー
異世界💞推し活💞ファンタジー、開幕!
人気ソーシャルゲーム『ゴッド・オブ・ブレイビア』。
古参プレイヤー・加賀谷裕太(かがや・ゆうた)は、学校の階段を踏み外したと思ったら、なぜか大浴場にドボンし、ゲームに出てくるツンデレ美少女アリエッタ(俺の推し)の胸を鷲掴みしていた。
ふにょんっ♪
「ひあんっ!」
ふにょん♪ ふにょふにょん♪
「あんっ、んっ、ひゃん! って、いつまで胸を揉んでるのよこの変態!」
「ご、ごめん!」
「このっ、男子禁制の大浴場に忍び込むだけでなく、この私のむ、む、胸を! 胸を揉むだなんて!」
「ちょっと待って、俺も何が何だか分からなくて――」
「問答無用! もはやその行い、許し難し! かくなる上は、あなたに決闘を申し込むわ!」
ビシィッ!
どうやら俺はゲームの中に入り込んでしまったようで、ラッキースケベのせいでアリエッタと決闘することになってしまったのだが。
なんと俺は最高位職のLv99神騎士だったのだ!
この世界で俺は最強だ。
現実世界には未練もないし、俺はこの世界で推しの子アリエッタにリアル推し活をする!
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
さいきょーまおーしゃまは、はらぺこわんこを愛でつづける
きちゅねこ。
ファンタジー
世界最強、容姿端麗、親しみやすい性格、何もかも完璧で、魔族、人間、動物たちに愛される全方面で最強すぎるまおーシキは、街中を散歩していた所、お腹ぺこぺこで弱っているこいぬに引き止められ、余りの可愛さに創造魔法でソーセージを出してあげると、目の前に人間の男の子が…?!しかも、その子はさっきソーセージをあげたこいぬという事も分かった、オマケにめちゃくちゃ可愛いく、一目惚れしたシキは、こいぬの男の子にヨツバという名前を付け、パパとして、兄として育て、一生愛でつづける事を決め、幼いヨツバ(こいぬ)の子育てに奮闘しつつも癒され、愛でつづけるシキと元気で優しく、何もしらないヨツバのおにショタファンタジー。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる