夜空ノ向コウ

第六話『遭遇』

得体の知れぬ物音に俺は思わず身構えた。


一斗「な、なんだ！？」


先程まで銃口を突きつけられていた光景が脳裏に浮かぶ。まさかまた見回りの米兵か。
俺の顔を冷や汗が流れた。
その瞬間…


ガサッ！


とうもろこし畑をかき分けて現れたのは身長１ｍほどの生命体だった。頭部は大きく銀色の肌をしている。
薄く発光しており、その顔は大きな黒い目と小さな口があった。

そう…それは紛れもなく…


ロドリゴ「ましゃるぅ～！！」


そう叫ぶとロドリゴはそいつを抱きしめた。


ロドリゴ「どこ行ってたんだよ、心配したんだぞ！！」

一斗「いや…話が読めな…」

ロドリゴ「こいつぁましゃる。２年前に行方不明になった俺の弟なんだ！」

一斗「おとう…と…ですか…」


固まったまま口をパクパクさせながらかろうじて話す俺をよそに、ロドリゴははしゃいでいる。
現実を受け止めきれないまま俺は立ちすくんだ。


ロドリゴ「ましゃる、これからエリア51に潜入して秘密を暴こうとしてるんだ。手伝ってくれるよな！」


いや…その秘密は充分お前の目の前にあるじゃないか…

だが俺は言わなかった。なぜならここまでのやりとりでこのオヤジには説得など無駄だということを理解していたからだ。

そして俺とロドリゴと地球外生命体の３人は目的地を目指した。
サーチライトに見つからぬよう身をかがめながら、とうもろこし畑を進む。

そしてエリア51が目前に迫ってきた。


一斗「あの…具体的には中に入って何をするのでしょうか」

ロドリゴ「そりゃお前ぇＵＦＯ見んだよ」

一斗「その後は？」

ロドリゴ「後？後ってお前ぇ見たら満足だろ」


こいつは予想を上回るクソ野郎だ。
俺は貴様の道楽のために命張ってじゃねぇよ！

左フックでまだ痛む頬をさすりながら、俺は言えない言葉を飲み込んだ。