夜空ノ向コウ

タラ

文字の大きさ
上 下
1 / 8

第一話『左フックは突然に』

しおりを挟む
「それにしても暑いな…」


開いた車のエンジンルームから手を離し、照りつける太陽を睨んだ。
俺は探検家、水森一斗。俗に言うトレジャーハンターというやつである。
俺の夢は、かつて古代マヤ文明滅亡と共に姿を消した幻のお宝、黄金の壷を探し出すことだ。
俺は今まで数々のお宝をゲットしてきた。徳川の埋蔵金、エジプトのミイラ、イギリスの沈没船…。

そして俺は今、かつてマヤ文明が存在した地に立っている…はずだった。


一斗「クソ!まさか車が故障するなんて!どうしたらいいんだ!」


俺は一人、太陽の照りつける異国の地で途方に暮れていた。水も底をつきかけている。
かれこれ二時間も立ち往生しているのだ。体力の限界も近い。どうしたものか…

その時、一台のトラックが向こうから走ってくるのが見えた。


一斗「おぉ!これぞ神の思し召し!」


歓喜に震える胸の高鳴りを抑え、俺はトラックに向けて親指を立てた。すると数メートル先でトラックが止まった。


一斗「よし!」


俺は急いでトラックの方へ走っていった。すると運転席のドアが開き、一人の大柄な男が出てきた。


「上等だコラァァァ!!!」


男はそうわめくと突然俺に左フックを見舞った。
俺は訳も分からず地面に転がった。そして運転手はさらに倒れた俺に馬乗りになり、


「はぁぁ…これで人生2人目の殺人だ…」


そう言った。


一斗「ちょ、ちょっと待ってくれ!何を怒っているんだ!?ヒッチハイクをしたことは謝るよ!」

男「は?ヒッチハイク?なぁ~んだよ!早く言えや」


そんな時間も与えずに殴りかかってきたのは誰だ…そう思いながら俺は立ち上がった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷車尼僧の回顧録

石田空
大衆娯楽
戦国時代。 密偵と疑われて牢屋に閉じ込められた尼僧を気の毒に思った百合姫。 座敷牢に食事を持っていったら、尼僧に体を入れ替えられた挙句、尼僧になってしまった百合姫は処刑されてしまう。 しかし。 尼僧になった百合姫は何故か生きていた。 生きていることがばれたらまた処刑されてしまうかもしれないと逃げるしかなかった百合姫は、尼寺に辿り着き、僧に泣きつく。 「あなたはおそらく、八百比丘尼に体を奪われてしまったのでしょう。不死の体を持っていては、いずれ心も人からかけ離れていきます。人に戻るには人魚を探しなさい」 僧の連れてきてくれた人形職人に義体をつくってもらい、日頃は人形の姿で人らしく生き、有事の際には八百比丘尼の体で人助けをする。 旅の道連れを伴い、彼女は戦国時代を生きていく。 和風ファンタジー。 カクヨム、エブリスタにて先行掲載中です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冬馬君の夏

だかずお
大衆娯楽
あの冬馬君が帰ってきた。 今回は夏の日々のお話 愉快な人達とともに 色んな思い出と出会いに出発!! 祭りやら、キャンプ 旅行などに行く 夏の日々。 (この作品はシリーズで繋がっています。 ここからでも、すぐに話は分かりますが。 登場人物などを知りたい場合には過去作品から読むと分かり易いと思います。) 作品の順番 シリーズ1 「冬馬君の夏休み」 シリーズ2 「冬馬君の日常」 シリーズ3 「冬馬君の冬休み」 短編 「冬休みの思い出を振り返る冬馬君」 の順になっています。 冬馬家族と共に素敵な思い出をどうぞ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

愛した彼女は

悠月 星花
大衆娯楽
僕、世羅裕(せらゆたか)は、大手会社から転職したその日、配属された先で橘朱里(たちばなあかり)という女性と出会った。 彼女は大輪の向日葵のように笑う人で、僕の心を一瞬で攫っていってしまう。 僕は、彼女に一目惚れをしたのだ。 そんな彼女に、初めて会って30分もしないうちに告白をして玉砕。 当たり前だが……それでも彼女の側でいられることに満足していた。 年上の彼女、年下の僕。 見向きもしてくれなかった彼女が、僕に笑いかける。 いつの日か、彼女の支えとなるべく、今日も今日とて付き従う僕のあだ名は忠犬ワンコ。 彼女の笑顔ひとつを手に入れるため、彼女と一緒にお勤めしましょう。 僕は、考える。 いままでの僕は、誰にも恋をしてこなかったんじゃないかと…… 橘朱里が、僕にとって、初めての恋だったのだと。 初恋は実らない?いんや、実らせてみせるさ!必ず、彼女を振り向かせてみせる。 もう、振られているけど……そんなのは……ちょっと気にするけど、未来を想う。 朱里さんが、彼女が、僕を選んでくれるその日まで…… ずっと、ずっと、彼女を支え続ける。 気持ち悪いだって……?彼女が気にしてないから、僕からは口に出さない。 僕が朱里さんと出会って初めて恋を知り、初めて愛を知った。 彼女となら……永遠さえ、あるのではないかと思えるほどである。 最初の恋を教え、最後に愛を残していってしまった人。 赦されるなら……ずっと、側にいたかった人。 今は、いないけど、そっちにいくまで、待っていてくれ。 必ず、迎えにいくからさ……朱里。

こちらの世界で、がんばる。

阿波野治
大衆娯楽
龍之介の妻の汐莉は、数年前に「あちらの世界」に行ってしまった。よくも悪くも無邪気な妻に振り回される龍之介は、話好きの隣人・榊への好意を自覚するようになる。そんなある日、龍之介は榊と一緒に美術館に行くことになったが、それを快く思わない汐莉との間で一悶着が起きる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...