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第七章:おまえを許さない

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 ――そんなわけで、どこかハルに気まずさを感じていたのである。しかし、一言伝えておかなければ面倒事になってしまう。ラズワードは、意を決して通話ボタンを押した。


「……」


 呼び出し音がなっている。1コール、2コール……10コール。

 出ない。忙しかったのだろうか。またあとでかけ直そうか。

 ラズワードが終了ボタンを押そうとしたその時であった。


『ら、ラズワードか?』

「ハル様……すみません突然」


 妙に震え声のハルの声が、スピーカーから聞こえてきた。とりあえず電話がつながったことに、ラズワードは安堵する。


「お忙しいなか申し訳ございません。お伝えすることがありまして」

『いや、大丈夫。丁度休憩中だったし』

「……そうだったんですか?」

『あ、ああ……な、なんかおまえから電話かかってきてビックリして通話ボタン押すのに時間かかった』

「?」


 ハルが何を言っているのかよくわからなかったが、ラズワードは早めに電話を終わらせなければ、そう思って用件を述べる。


「どうやらレーメンは夜明けにしか姿を現さないようでして……帰宅が明日以降になると思うんですけど」

『え……そうなのか……その村の通貨は一応持っていったんだよな』

「はい、お金の心配ならいりません」

『ああ、わかった。……ああ、言うの忘れたんだけど、その村、ほかにも魔獣でるらしいから気をつけろよ』

「わかりました。ありがとうございます」

『……うん。じゃあ、無事で帰ってくるんだぞ』

「……はい。……では、失礼します」


 ぷつ、と音がして電話が切れる。ラズワードは小さくため息をついて通信機をポケットにしまった。

 ……よかった、思ったよりは普通だった。

 朝の様子からハルが自分に対して何かしら思うところがあるのではないかと心配していたラズワードは、それほどいつもと代わりないハルの声に安心した。
初めてのハルとの電話に妙に緊張していたラズワードは、体の力が抜けていくのを感じた。


(とりあえずどこか泊まる場所見つけないと……野宿は少し辛いし……)


 ラズワードは一晩身をおく場所を探すべく、周囲を見渡した。ネブリナ村は小さな村で、住民同士の密接度も高いようである。明らかに他の住民とかけ離れた容姿をしているラズワードは、「異人」として注目を浴びていた。


(居心地悪いな……)


 ラズワードはかぶっていたフードを引っ張り極力顔を隠す。そしてなるべく人と目を合わせないようにして、宿を探した。

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