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第十二章:スイートアンドビター

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 風呂からあがってきた波折は、おどおどとした様子でベッドに寝転がる鑓水に近づいてきた。鑓水はちらりと視線だけを動かして、波折を窺い見る。風呂からあがったばかりの波折はほこほことしていて可愛い。ただ、今の波折は何かに怯えているようで、少し哀しそうな顔をしていた。……そうだ、さっき苛々を波折にぶつけてしまったから。鑓水は波折がびくびくとしている原因にすぐに思い当たり、頭を掻く。沙良のときに、波折は突き放されることをとにかく恐れるのだと学んだばかりじゃないか、と自戒したのだ。波折は今、自分に突き放されているのだと思い込み、こんなにも寂しそうな顔をしている。ああ、波折になんてひどいことをしてしまったのだろうと、鑓水はすぐに謝ろうとした。


「……慧太。あの……」

「……」


 しかし、すぐに別の考えが浮かんできてしまう。波折が沙良に突き放されたとき。波折は沙良のことしか考えられなくなっていた。自分が沙良に依存しているのだとそこで思い知り、そして沙良を受け入れることになった。……同じことをしてやろうか。自分への依存を自覚させるために、一度思い切り突き放してやろうか。

 ……そうすれば、もっと俺のことを好きになる。「ご主人様」なんかよりも、もっと好きにさせてやる。


「……波折」

「……ッ、は、はい……」


 鑓水が波折の名を呼べば、波折がびくっと肩を震わせる。何を言われるのかと、恐れている顔。鑓水は目を細めた。

 ……そして、はあ、と溜息をつく。


「……おいで。波折」

「えっ……」

「本当に何も怒ってないよ。ごめん、苛々していたから八つ当たりした」

「……ほんとに?」


 ……ばかか、俺は。好きなやつのことを傷つけてどうするんだよ。

 とことこと自分のところへよってきて、ぎゅっと抱きついてきた波折が嬉しそうに笑った。……ああ、可愛い。愛しい。馬鹿なことをしなくてよかった。鑓水は波折を掻き抱いて、肩口に顔を埋める。あんまりにも波折のことを好きすぎて、心に余裕が無くなっていた。そのせいで波折を傷つけようとしていた。大人になれ、自分のエゴで波折を傷つけるな。鑓水は一寸前の自分を殴りたい衝動にかられながら、波折の頭をよしよしとなでてやった。



「慧太……苛々してたって、何かあったの?」

「いや……何もない」

「ほんと?」

「マジだって、ほんと何もない」


 波折は鑓水の心配をしてくれているらしい。少し罪悪感にかられながらも、更に波折への愛おしさが加速していく。どこまでも可愛いやつ。

 鑓水は波折にちゅーっとキスをしてやる。波折はぎゅっと目を閉じて「んーっ、」と悶えていた。解放してやれば波折がにこにこと鑓水の次の行動を待っている。よっぽど、自分に嫌われていなかったということが嬉しかったのか。それを感じ取ってしまった鑓水はきゅん、と胸が締め付けられた。


「そんなに俺、怖かった?」

「……ちょっと」

「ごめんな、おまえが違う男のところにいくから嫉妬してた」

「……嫉妬?」

「いや、いーよいーよ、気にしなくて。俺とにかくおまえのことめちゃくちゃ好きなんだわ」

「……嬉しい」

「波折。おまえは?  おまえは俺のことどう思ってる?」

「ん?  好きだよ。大好き。慧太のこと、俺、大好き」

「おー、そっかそっか」


 波折が楽しそうに鑓水に「好き」と言う。自分の「好き」とは違うんだろうなー、と思いつつも、鑓水は素直に嬉しかった。でももうちょっと甘い雰囲気を求めてしまうのは仕方のないことで。


「波折」

「ん?  わっ、」


 鑓水はくるりと身体を反転させると、波折に覆い被さった。腕をついて自分とシーツの間に波折を閉じ込めると、息がかかるほどに顔を寄せる。


「……好きだよ、波折」

「け、慧太?」

「ほら、おまえも……好きって返して」

「うん……慧太、好き」

「俺もだよ、波折、好き」

「んっ……」


 低い声で「好き」と囁き、鑓水は波折にキスをする。そして、顔をあげてみれば波折がかすかに顔を赤くしている。


「好きだ、波折」

「お、俺も……好き、だよ。慧太」

「波折……」

「んーっ……」


 「好き」とキスの繰り返し。至近距離で好きと囁けば、波折は照れたように目をそらし出す。初めて想いを受け入れてもらえた夜のように、波折に恥じらいが生まれ始めた。いつもの淫乱も可愛いが、こうなった波折もまた可愛いのだ。鑓水は何度も何度も「好き」攻撃を繰り返してゆく。


「やだ……慧太、あんまり、好きってばっかり言わないで……」

「どうして?」

「だっ、だって……慧太……かっこいい……」

「んー?  俺が?  顔かっこいいもんなー?」

「……真面目な顔で、そんな低い声で好きって言われると……おかしくなりそうなる」

「だって好きなんだもん、しゃーねーじゃん。ほら、波折。おまえも言うんだよ?」

「好き……慧太……」

「俺も波折を愛しているよ」

「あっ、……んっ……」


 波折の声色が段々と上擦ってゆく。ためしに左胸に触れてみれば心臓がバックンバックンといっていた。ああ、いい感じだ。雰囲気が甘くなってきた。まずは雰囲気だけで波折をとろとろにしてやろう。


「波折……」

「ひゃっ……あ、ふ……」

「今日さ、俺に「好き」って言いまくって。そうしながらエッチしようか」

「え、えー……はずかしい、から……」

「ん?  さっきはサラッと好きって言ってくれたじゃん?」

「わ、わかんないけど、……慧太がなんかすごく言ってくるから……なんか、……その……」

「ふ、可愛いな、波折。好き」 

「ううっ……やだ、慧太……」


 波折は実は俺のとこ好きなんじゃねーの、とか自惚れそうになる。そうじゃないにしても、もう一押しで堕とせそうな、この感じ。ギリギリな感じがすごく燃えて、いい。


「波折。俺、おまえのこと本当に愛しているんだよ。おまえのことが欲しすぎて苛々しちゃったけどさ、おまえのことがとにかく好き。どろどろに甘やかしたい」

「んんっ……けいた……俺も、けいた、大好き。えっと……あの……あんまり、見ないで」

「そんでさ?  波折。おまえのこと好きだからエッチでめっちゃ気持ちよくなって欲しいんだよね、波折。他の男なんかとやるよりも俺とのエッチで感じまくって欲しいの。わかる?」

「えっ?  けいた……けいたのエッチ気持ちいいよ?」

「そう。あのな、波折。俺、今日はおまえのこと甘やかしたいんだけど、セックスは優しくできそうにねぇや」

「えっ、えっと……い、イジメてくれるの?」

「泣き狂わせてやる」


 鑓水はふっと笑うと波折のカットソーをめくりあげた。お風呂からあがりたての波折の肌はいつもよりもつるつるぴかぴかとしていて、綺麗。乳首なんかはピンクにぷっくりと膨れていてすごく可愛かった。まじまじとそんな身体を見つめていれば、波折は恥ずかしそうに鑓水のことを見上げてくる。


「波折。好き」

「あっ……んっ……けいた、……すきっ……」


 鑓水は波折の乳首とちゅっと吸い上げた。ぷくぷくとした乳首は口に含むと楽しい。舌でころころと転がしても、歯でくにくにと甘咬みしても、弾力があって可愛い。ちょっと刺激を与えるだけで波折は「あぁんっ……」って可愛い声をあげるから、どんどんイジメてあげたくなる。

 今日の鑓水の目的は、波折に潮を吹かせることだった。「ご主人様」の前で吹いておいて自分の前で吹かないなんてプライドが許さない。波折が風呂にはいっているあいだ男に潮を吹かせる方法を調べていた鑓水は、ぎゅ、と波折のペニスの根本を握った。そして、尿道のあたりをぐにぐにともみはじめる。男の潮吹きには焦らしが大切らしい。あとは尿道や前立腺を刺激しまくって、運がよければできる。とりあえず波折はイキやすいから、と鑓水は波折のペニスの根本を掴んで波折が出さないようにして焦らしをはじめる。


「やぁあっ……けいたぁっ……つかむの、いやぁっ……」

「波折の身体エロすぎてすぐイクだろ。俺がおまえの射精管理してやるよ」

「やだぁ……そんなことされるとこわれちゃう……」

「こわれろよ」

「やっ……けいたのまえでそんなの、いや……」

「俺には全部みせろっていっただろ。恥ずかしいところも全部だ」

「うう……あっ……やぁーっ……んっ、はぅっ……」


 乳首とペニスを両方責められて、波折はいやいやと首を振った。ペニスの先からはすでに透明でぬるぬるとした液体がでてきている。根本を掴んでもカウパー液は抑えることはできないらしく、波折のペニスはだらしなくだらだらだとそれをこぼしていた。まったく敏感すぎるいやらしい身体だな、と鑓水は心のなかで笑う。


「んっ……けー、た……あっ……けーたっ……」

「んー?」

「きすっ……キス、して……けいた……」

「キス? いいよ、よしよし、可愛いな、波折」


 可愛い声をあげながら、波折が鑓水にキスを請う。もうちょっと乳首を責めまくって波折をヘロヘロにしてやりたいと思ったが、可愛い波折に「キスして」なんて言われてそれを突っぱねられるわけがない。鑓水は乳首とペニスをいじいじとしてやりながら、波折にかぶりつくようにキスをする。


「んんっ……んーっ……」


 そうすれば、波折がぴくんっと跳ねて幸せそうな声をだした。そしてそれと同時にとろっとペニスから蜜が溢れだす。腰がひくひくと揺れ動き、脚がもじもじと動いて鑓水に絡みつき。ああ、もしかしてキスがものすごく感じるのかな、と鑓水は嬉しくなった。心を思い切り責めてやろう、どろどろに砂糖漬けにしてやろう。それでイかせてやりたい。


「波折……可愛い……」

「あ、ふ……けいたっ……すきっ……」

「うん、俺も大好き」

「すきっ……けいたっ……すき、すき……」

「波折……愛しているよ……波折、……波折……」


 キスの合間に何度も何度も愛を囁く。波折の腰が落ち着かないように動いて、どうやら波折は感じまくっているらしい、ということがわかる。ペニスを掴む鑓水の手なんてもうすでにびしょ濡れになっている。ペニスの根本を掴みながら先っぽをぬちぬちとこねくり回してやればさらに蜜はこぽこぽと零れてきて、粘度が増してゆく。波折の瞳からは涙が溢れだし、息が荒くなっていき、鑓水はもっともっと波折を責めてやりたいと心が踊る。


「波折……おまえ、我慢はできる?」

「がまん……?」

「俺がいいっていうまで、射精禁止」

「えっ……そんな、」

「今からおまえの中いっぱいマッサージしてやるからな。おまえの気持ちいいところ可愛がってやる」

「むり……そんなことされたらでちゃう……」

「だめだ。な、できるよな。波折はいい子だから」

「うう……がんばります……」


 きゅっと乳首をつまみながら言えば、波折はひんひんと涙目で頷いた。前立腺をいじりまくってやれば潮を吹けるらしいときいているからなかを弄ってやりたいが、ペニスを掴んでいてはそれができない。波折に自分自身で射精を我慢させたいところだが、それができるだろうか。鑓水は波折のいつものイキやすさを考えて、どうなるかな~と少し不安になる。でもまあ、波折が可愛いからいいかな、と思い直したが。


「んーっ……んーっ……」


 キスをしながら波折のお尻の穴に指を挿れていく。あんまり考えたくはないが、「ご主人様」と遊んできたあとだからかそこは柔らかい。一気に三本挿れてみても波折は痛がらなかった。波折のペニスからこぼれたぬるぬるを使って、中をごりゅごりゅと揉み込んでゆく。


「あっ……ふぁっ……んっ……」

「波折……可愛い」

「やぁんっ……けいたぁ……」


 前立腺を指全体を使ってマッサージする。鑓水の大きな手のひらでアソコを覆われてもみもみとされて、波折は気持ちよさそうだ。うっとりとしながら鑓水にしがみついて、腰をくねくねとくねらせる。


「あふっ……んんっ……あぁん……けいたっ……イッちゃう……」

「だめだ、イクな」

「やぁっ……むりっ……」

「だめだって言ってるだろ。波折はいい子だから我慢できるよな?」

「けいたぁ……ゆるして……んっ……」


 キスを深めていけば波折がぎゅっと鑓水の服を掴んで絶頂に耐えている。お尻のなかがぎゅううっと締まって、ああ、もう限界なんだな、と鑓水は察した。それでも、マッサージはやめない。ぐいぐいとしつこく前立腺を可愛がって波折を責め立てる。波折がふーふーと苦しそうに息をしているが、それでもやめてなんてやらない。


「んんっ……! ん~~っ!」


 びくびくっ、と中が痙攣した。ああ、イっちゃったか、と鑓水が視線を下ろしてみれば……波折は射精をしていない。ちゃんと言いつけ通り我慢して、ドライでイッたらしい。


「波折、よく頑張ったな、よしよし」

「んん……けいた……」

「ほら、また中イジメるからな」

「やっ……もう、むりぃ……でちゃう……」

「だめだ。我慢し続けろ」

「やぁ……」


 波折がひんひんと泣いている。可愛いな、と可哀想だな、が混ざって複雑な気分だ。でも、波折をイキ狂わせてあげたい。「ご主人様」とのセックスよりもずっと気持ちよくて幸せなセックスをしてやりたい。

 このまま手でやり続けるのもいいが、もっともっと満たしてやろう。そう思って鑓水は自身を出して、それを波折の穴にあてがう。挿入される、と気づいた波折はぎょっとして鑓水をとんとんと叩いた。


「だめっ……すぐイッちゃう……!」

「出さなければイッてもいいよ」

「でちゃうっ……でちゃうから……!」

「出しちゃだめだ」

「だめっ……けいた……あっ……あぁっ……!」


 鑓水は波折の制止を無視して、猛りを波折の中に突っ込んだ。そうすれば波折はぶるぶるっと震えてのけぞってしまう。おっと、と波折のペニスを確認すれば、ちゃんと我慢している。はーっ、はーっ、と過呼吸気味になりながら、波折は鑓水に「ゆるして、」といった視線を送っている。


「いいか、波折。我慢だからな」

「いやっ……やっ……だめっ、だめ、うごかないでっ……!」


 鑓水はにっと笑って、腰を引く。だめ、だめ、と首を振る波折を見下ろしながら……思い切り腰を打ち付けた。パァン! と音が鳴ると同時に波折がびくっと跳ねる。そのまま息のかかる距離で波折を見つめながら、何度もピストンしてやった。ペニスの先で前立腺をごりごりと擦るようにして、奥をズブッと突いてやる。パン!パン! と激しい肉のぶつかる音とギシギシとベッドの軋む音、波折の甲高い嬌声が混ざり合って、甘い甘い響きが部屋の中に響き渡る。


「あっ……はぁッ……! いく、っ……あっ……で、ちゃう……!」

「我慢だ、波折」

「けいたっ……んっ……ううっ……」


 はあっ、はあっ、と波折の息が荒くなってゆく。中はびくびくっ、びくびくっ、と何度も痙攣していて、ドライでイきまくっていた。我慢して、我慢して、波折はもう暴れるようにして鑓水の身体を押しのける。鑓水が波折の腕をシーツに縫い止めてドスドスと抽挿を続けていけば、波折は本格的に泣きだしてしまった。


「やぁっ、へんっ……へんっ……でちゃうっ、すごい、でちゃうっ……もうやめてっ……」

「出すなよ、波折。我慢しろ、いい子だ」

「おねがいっ、いやっ……いや、いや……もうゆるしてっ……けいた、けいた……おねがいっ……いやっ……」


 中の締め付けがすさまじい。それでも鑓水はやめてやらない。でもそろそろかな、と思って責め方を変えてみる。ペニスをひたすら前立腺に擦り付けるようにして、腰を揺すってやった。中をえぐるようにぐりゅぐりゅと刺激されて、波折は「やーっ!」とひたすらに叫んでいる。きゅんきゅん、きゅんきゅん、と激しく締め付けてくるものだから鑓水も段々加減が効かなくなってきて、思い切りごりっと中を擦ってしまった。


「はっ、……はっ……、で、でちゃうっ……もうだめっ……あっ……いやっ……あっ、あっ、あっ、あっ」

「がーまーん。波折」

「はっ……あっ……あ、あ~……あ……あ~……」


 がく、と波折の身体から力が抜ける。そして、その瞬間に波折のペニスからぷしゃっと精液とは違う液体が飛び出して、そしてじょぼじょぼとそれが溢れだしてきた。


「いや……いや、みないで……けいた……あっ……あっ……」


 かく、かく、と波折の腰が震えながら潮はこぼれていった。やっと波折に潮を吹かせることができて、鑓水は感動してしばらく固まっていた。それがいけなかったのか、波折は鑓水がひいていると勘違いしている。嗚咽をあげながら泣いて、自分の顔を隠して、鑓水の視線から逃げていた。


「ごめんなさい……もらしてごめんなさい……」

「えー、漏らすっていうか、これ」

「嫌わないで……おねがい……今度はちゃんと言うこときくから……慧太、嫌わないでください……ごめんなさい……」


 予想外の反応に鑓水はあれ、と頭を掻く。動画では悦んでどばどばと出していたのに、なんでこんなに申し訳なさそうにしているんだ、と。こっちは波折が潮吹きしているのをみて最高に興奮しているんだけどなあ、正直言えばそうやって唖然としている様子も最高にイイと思っているんだけどなあ、といろいろと考えながら、鑓水は波折にちゅ、とキスをする。


「波折」

「やっ……慧太……おねがい、嫌わないで……」

「ごめんな、よくここまで頑張ったな」

「でも……でも……」

「こうさせたかったんだって。恥ずかしがらなくていいよ」

「……ひいてない? 嫌ってない?」

「嫌ってない。大好き」

「……ほんと?」

「ほんとう。ほら、おいで」


 鑓水がぐっと波折の背を抱えて起き上がる。あぐらをかいて、その上に波折を乗せるようにしてやると、波折がぴくん、と震えた。中にはいったペニスが自らの体重でぐりっと奥に入り込んだからだろう。びしょびしょに濡れたアソコが触れ合って、そこからじわじわといやらしい感覚が広がってゆく。


「もう我慢しなくていい。いっぱいイッていいからな」

「……けいた」

「波折……可愛い。好きだよ」

「けいたっ……好きっ……」


 二人はぎゅっと抱きしめ合った。鑓水はちゅ、と触れるだけのキスをして、波折に微笑みかけてやる。そうすれば波折は本当に嬉しそうな顔をして、へへ、と笑った。

 ゆっくりと、鑓水が腰を揺すってやる。ギシ、ギシ、とベッドのスプリングがなって更に激しく波折は揺さぶられる。ぐ、ぐ、と強く奥を押される感覚がたまらなくて、波折は鑓水の肩口に顔を押し付けながら与えられる快楽に耽っていった。


「波折……締め付け、すごい。おまえ、ほんとイイ」

「ほんと……? あっ……んんっ……けいたも、きもちいい?」

「最高」

「うれしいっ……あっ……あふっ……んんっ……」

「ほら、波折も」

「あぁあっ……やんっ……だめっ、いきなりっ……やぁんっ……」


 ずっぷずっぷと濡れた結合部が音をたてる。波折は我慢から解放されて、ペニスからぴゅくぴゅくと蜜を飛ばしながらイき続けた。波折も興奮が最高潮に達していたのか、自らも腰を揺らし快楽を貪ってゆく。二人で揺れて、揺れて、激しく求め合って。汗だくになりながら、息をきらしながら、熱を生んでゆく。


「あっ……けいたっ……すきっ……すきっ……! あぁっ……あっ……」

「波折っ……波折……!」

「けいたぁっ……もっと、……もっと……! けいたっ……だいすき、けいた……!」


 鑓水も絶頂が訪れてきて、我慢が辛くなってきた。たまらず倒れこみ、波折に覆いかぶさる。じっと波折の顔を覗きこめば、波折はハッとしたように目を見開いて、そして中がびくびくびくびくっ、と震えた。そのままじっと見つめれば、とろんと顔が蕩けていって、唇から「けいた……」と弱々しい甘えたな声が零れてくる。


「……愛している」

「んっ……!」

「愛しているよ、波折」

「あっ……あぁっ……」


 鑓水が波折をみつめながら愛を囁やけば、波折はその度にイッた。波折は顔を真っ赤にして、鑓水の視線から逃げるように目を閉じている。それでも耳元で再びささやけば、またイッてしまう。ゆっくりと、そして徐々に激しくピストンしていけば、波折は嬌声をあげて激しくイきまくった。


「波折っ……!」

「あぁあっ……けいたっ……!」

「出すぞ、なかに……!」

「だしてっ……けいたっ……けいた、けいた……だして……大好き……けいた……」


 恥ずかしそうにしながらも泣きながら、嬉しそうに笑った波折に、鑓水の最後の壁のようなものが壊れてしまう。一気に波折に中出ししてやれば、波折は「あっ……」と儚い声をあげて最後にまた絶頂に達した。

 しばらく、挿れたまま抱きしめあって、キスをたくさんしていた。波折が顔をとろとろにしているものだから、あんまりにも可愛くて鑓水はどろどろに甘い言葉を吐いて波折をたくさん可愛がる。


「けいた……」

「ん……?」

「……しあわせ」

「……っ、そっか」


 波折が、笑った。どうしたの、と波折に目元を触られて、鑓水は気づく。波折のことを好きすぎていつのまにか俺は泣いていたんだな、と。

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