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第九章:青と深淵
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徐々に頭の中が白んでいって、いつの間にか意識が飛んでいた。はっと目が覚めてから沙良は、自分が寝てしまっていたらしいということに気付く。慌てて窓の方を見れば、まだ外は明るい。ベッドから少し離れたところにある時計に目を凝らしてみれば、15時になるところだった。
せっかく波折と一緒に過ごせるというのに、睡眠で時間を潰すことほど勿体無いことはない。うたた寝が短い時間で済んだことに、沙良はほっと安堵の息を吐く。
「あ……」
覚醒してから数分したのちに、沙良は自分の置かれている状況に気付く。裸で抱きしめてあって、下腹部がぬるぬるとしていて。事後そのものの状況に、沙良はかあっと顔を赤らめた。
「ん……」
沙良が動いたからだろうか。波折も目を覚ましてしまった。ぶる、と身体を小さく震わせてゆっくりと瞼をあける。
「先輩……大丈夫ですか?」
「……さら」
吐息のかかる距離。ぼんやりと波折に見つめられて、沙良はどきどきとしてしまう。隙だらけの表情が可愛くて、手を出したくなってしまうから、辛い。波折がすっと寄ってきてキスをしようとしてきたものだから、慌てて沙良は拒んだ。
「だっ、だめですよ! 先輩!」
「んー……なんでー?」
「付き合ってないから! ほら、起きて波折先輩!」
このままだと理性が崩れてしまいそう。沙良はそんな危険を感じて、波折を引っ張って起こしてやった。そして、眠気覚ましに何か飲ませてやろうとでも考えてベッドを抜け出そうとする。
「さら、まって」
「だめー! 俺がおかしくなる!」
「おいてかないで」
「じゃあ波折先輩もいっしょに来て! ベッドはだめだ!」
眠そうながらもじとっと睨んでくる波折に、沙良はタオルと服を投げつける。波折と一緒にいると辛いだけだなぁ、なんて考えて、夕紀には悪いけれどこれから波折に家に来てもらうのはやめようかななんて考えた。
せっかく波折と一緒に過ごせるというのに、睡眠で時間を潰すことほど勿体無いことはない。うたた寝が短い時間で済んだことに、沙良はほっと安堵の息を吐く。
「あ……」
覚醒してから数分したのちに、沙良は自分の置かれている状況に気付く。裸で抱きしめてあって、下腹部がぬるぬるとしていて。事後そのものの状況に、沙良はかあっと顔を赤らめた。
「ん……」
沙良が動いたからだろうか。波折も目を覚ましてしまった。ぶる、と身体を小さく震わせてゆっくりと瞼をあける。
「先輩……大丈夫ですか?」
「……さら」
吐息のかかる距離。ぼんやりと波折に見つめられて、沙良はどきどきとしてしまう。隙だらけの表情が可愛くて、手を出したくなってしまうから、辛い。波折がすっと寄ってきてキスをしようとしてきたものだから、慌てて沙良は拒んだ。
「だっ、だめですよ! 先輩!」
「んー……なんでー?」
「付き合ってないから! ほら、起きて波折先輩!」
このままだと理性が崩れてしまいそう。沙良はそんな危険を感じて、波折を引っ張って起こしてやった。そして、眠気覚ましに何か飲ませてやろうとでも考えてベッドを抜け出そうとする。
「さら、まって」
「だめー! 俺がおかしくなる!」
「おいてかないで」
「じゃあ波折先輩もいっしょに来て! ベッドはだめだ!」
眠そうながらもじとっと睨んでくる波折に、沙良はタオルと服を投げつける。波折と一緒にいると辛いだけだなぁ、なんて考えて、夕紀には悪いけれどこれから波折に家に来てもらうのはやめようかななんて考えた。
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