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第八章:甘く蕩けて心まで

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 一糸纏わず、二人は裸で布団にもぐった。鑓水は波折をぎゅっと抱きしめてやって、そのさらさらふわふわとした髪に顔をうずめる。

 身体の相性は、いいと思う。肌はすべすべで、華奢なのにどことかく柔らかくて、しなやかで。抱きしめて寝ると、じんわりと幸福感のようなものが内から湧いてくるような、そんな波折の身体。

  この淫乱は誰が抱いてもイイと思うだろう……ということは置いておいて、こうして触れ合っていれば境界線が溶けて一つになれてしまいそうな、そんな錯覚を覚えるほどに心地よい。情とか、そんなものを持っていなくてもこの気持ち良さは求めてしまう。


「けいた……」

「なんだよ」

「んー……」

「なんだおまえ」


 波折がうとうととしながら鑓水の首元に顔をこすりつける。すっかり懐いた猫のようだ。みんなの前では凛としていて、触れることすら赦されないような、そんな雰囲気を放っているのに。一度飼いならしてやれば、このとおり。この優越感は尋常じゃない。


「波折……」

「ん……?」 

「……放さないからな」

「けいた……んっ……」  


 鑓水はそっと波折にキスをする。

「ご主人様」も沙良も。波折の心の中に居場所のある彼ら。波折の中で他の人とは違う意味をもつ人たち。波折の意識が全て自分に向いたなら――もっときもちいいのに。自分の中に湧き上がったそんな想いを……なんとなく、口にしてはいけないと。鑓水はそう思った。

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