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戯の章
5(2)
しおりを挟む「ひっ……」
「神様と添い寝できるんだぞ。喜びを噛みしめて、もっとこっちに寄れ。織」
「じょ、冗談じゃない……近づくな、……ちょ、離せって……!」
するりと織の腹に腕を回す。そうすれば織は大げさなほどにびくりと体を震わせた。焦ったように勢い良く振り向いて、鈴懸が一体どんな顔でこんなことをやっているのかと確認する。
織の視界に入ったのは、鈴懸のなんとも言えない表情。てっきり、人を小馬鹿にしたような厭らしい笑みでも浮かべているのかと思ったが、そうではなかった。真顔に近い表情ではあるが、どこか、情を感じるような、そんな顔。
「……、」
なんだか、気恥ずかしくなって。面映ゆくて。織はうつむいた。そんなに真剣な目で見つめられても、困るのだ。そんな目を向けられたことなど、ないのだから。
「……織、おまえはいつも、どんな夢を見る?」
「え……夢、……あまり、楽しくない夢」
「ほお! 俺と一緒に寝ればいい夢を見られるぞ! なんたって俺様は神だからな! 縁起の良い夢を見られるだろう」
「……あ、ちょっと、」
織が鈴懸の視線から逃げるようにして布団にもぐりこんでいると、鈴懸が体を抱き寄せてきた。突然のことに、そして慣れていないことにびっくりして織は硬直したが、やがてふうと息を吐いて諦めたように鈴懸に身を寄せる。
――案外、こうしていると人肌も心地よい。
苦手だった人肌。それも、この肌寒さのせいだろうか。じわりと冷えた心の臓が溶かされるような感覚は甘ったるく、そして優しい。突き放そうにもなぜか突き放せなくて、織はいつのまにか夢へ堕ちていた。
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