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プロローグ

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 石はハサミで切ることができないが、紙はハサミで切ることができる。
 
 そして紙は石を包むことができる。

 じゃんけんはこうした理由で三すくみの関係が決まっているらしい。

 石とハサミ、ハサミと紙の関係については大いに納得できるが、紙と石についてはどうだろう?

 なぜ包まれたからといって負けになるのだろうか。

 石が紙に包まれて見えなくなったから? それとも包まれたことによって外部から認識できなくなり、必然的に紙に主導権を握られた、という解釈になるから?


 綺麗事かもしれないが、人生で考えてみても、大切なものは目に見えないことが多い。

 友情や信頼、思いやり、気遣い、勇気、そして愛情。

 なぜ見えなくなっただけで否定されなくてはならないのか。


 わからない。



 こんなに、好きだったのに。
 
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