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終章 魂の行方

9ー7 因縁

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「これはリアル人狼ゲームだって言ってる」
 英語がわかるらしい女が説明する。
「何で? macojin会長はとっくに死んだでしょう?」
「macojinって何っすかソレ?」
 少年が疑問を口にする。暗殺はともかくリアル人狼との関与は日本ではあまり話題にならなかったからその年齢では知らなくても不思議ではない。
 大学生風の男が彼に説明し、一方女があなたも英語がわかるのかと自分に尋ねてきた。落ち着いて見えたらしい。
(慌てた演技が足りなかったか)
「多少、程度です」
 彼女は露骨に落胆の顔を見せる。
 実際は業務上英語はこなせ、仕事に使えるレベルではないが韓国語も多少程度わかる。専門の南アジアならヒンディー語は堪能でタミル語とテルグ語も理解する。
 日本人は暴走しそうもないが韓国人がパニック映画の冒頭のモブ的な動きを取らないか心配だ。犠牲が出てからでは処理が面倒だし国際問題になるのは避けたい。
 

 心配の必要もなく説明がまだ続いていたおよそ20分後、福岡県警が突入し9人全員が保護された。
 ベトナム警察は監視センターの急襲に成功、一方で日本警察は影の責任者と思われるインド人男女を取り逃していた。



 台北、桃園空港。
 ラジューだけが税関で別室に呼ばれる。
「先に行ってて」
 不安そうなギニに声をかけ予定通りの行動を促す。
 開けられた荷物には問題になるものは何も入っていない。と、
「!」
 いきなり銃を持った警官に取り囲まれた。
「何かの間違いではないですか。私はただの観光客です」
 英語で訴える。
「間違いではない。お前が対象であることはたった今私が確認した」
 聞き取りやすいヒンディー語。
 部屋に入ってきた藤色がかった紺色のスーツ姿の女は、忘れもしない、
「職業詐称女!」

「相変わらず失礼な。私は本物のCBI捜査員です」
 かざされた身分証にラジューは歯噛みした。


 リアル人狼ゲーム未遂事件において、ベトナム人のリーダーと監視員、日本人の実行犯は逮捕・処罰を受けたがインド人2人の関与は立証されず釈放された。
 証拠が提示出来なかったからだ。
 ただし今後日本への入国は不可能となり共にインドへ送還された。
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