上 下
16 / 170
第1章 リアル人狼ゲームへようこそ(1日目)

1ー13 初日の切り札

しおりを挟む
『Your role is……

 Villager(15) 』

 四角い緑地のアイコンに中世ヨーロッパ風? の農民が描かれている。
 村人という役は一番人数が多く無難そうだ。夜中に変な恐いことをしろとも言われていないしーシュルティは少し気を緩めた。
 切り札はというと、

『あなたの切り札は……

 1日目脱出権(9)

 です。

・同じ切り札のプレイヤーは9人います
・初日、つまり本日に限り二十三時から〇時までの間、部屋及び建物の外に出ることが出来ます
・この間あなたのカードキーで建物の玄関ドアが開きます
・条件をクリアし敷地の外に出られたならその瞬間からあなたは自由です。首輪も無効化されます。同時にリアル人狼ゲームの出場権を失い賞金の対象外となりますので熟考の上行使してください  』

 NEXT

『切り札についての最後にー

・この部屋は「1日目脱出権」部屋です
 全員が同じ切り札を持っています   』

(ということはー)
 シュルティが黒幕から顔を出すとキランが、
「役何だった? あたしは象使い」
 軽く尋ねる。
(へっ?)
「村人だったよ」
「タヒラは?」
「占星術師。キランはチームが違うんだね」
 心持ち眉を曇らせる。
(チーム違うなら点を取り合う感じ?)
 気にした様子もないキランに聞かれるより早く、
「わたしも村人。そんなことより切り札でしょう。……わたしは行使する!」
 サニタはいきなりクローゼットを漁り始めた。
「私も」
(お家に帰れるなら!)
 逃げられるなら逃げなきゃとシュルティもぴょこんと椅子から立つ。残りふたりも後に続いた。

 まだ夜は冷える。初めセーターを手に取ったがマヤが好きではないと言っていたのを思い出し、願掛けの気分でウールのショールを選んで巻き付ける。クリーム色に茶色の幾何学模様のそれはシュルティの好みからは渋過ぎるデザインだ。
 それぞれ防寒具を見繕い気配を殺して部屋を出た。
 広間のシャンデリアは消え、間の照明も間引かれて全体に薄暗かった。

「ここガーラブたちが死んだ所だよね」
「あの子が掃除してたから大丈夫だと思う」
 一瞬躊躇するがサニタの返事に白い石の床を踏んで玄関を通過する。
 カードキーをかざすとキープレートの赤ランプが緑に変わった。カチッと小さな機械音が聞こえる。
 彼らの蹴り跡が残る木のドアは無事に開いた。

「っ!」
 すぐ前に男が立っていた。室内の灯りを映してその眼鏡が光った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

リアル人狼ゲーム in India

大友有無那
ミステリー
目が覚めたら、日本留学中に映画や漫画で見たリアル人狼ゲームの中に居た! 大都市ムンバイ(旧名ボンベイ)周辺で拉致された若者たちに強制されたゲームの中、日本での記憶を活かして場をリードするヒロイン。だがグレランならぬノンベジ(非菜食)ラン始め次々と危機が迫る。 ルールがあろうと首輪があろうとあきらめない。「インドの魂、見せてやる!」 彼らがたどり着くのは? ※いわゆるリアル人狼もの程度の残虐描写があります。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

俺達の日常を取り戻せ

KUMI
ミステリー
なんだか最近人気YouTuberたちの投稿する動画に違和感が 面白いけど 過激すぎ?炎上不可避? どんどんおかしくなっていく、、、 そんな状況を終わらせたいと考えているグループYouTuberのお話。 あえてのあの人視点です 登場人物が多すぎるため セリフの前に名前(敬称略)をつけることをお許しください

処理中です...