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第10章 ムンバイへの道(新7日目)

10ー2 モニター室2(新7日目)

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 〇時三十五分。モニター室、センター長席。
 プレイヤーたちは未だ処理出来ていない。

 軽トラックに攻撃するとの入電以降連絡が途絶えた。こちらから掛けても反応はない。
 プレイヤーにやられたと判断するしかないだろう。次からはもう少しましな警備会社に変えるか。すると非合法監禁と知られない工夫がより必要となる。面倒だ=コストが増大する。

 「ゲーム会場」回りではつい先ほど、死亡した一人を除きが救急車に収容された。元締めからの連絡だ。脱出時に襲われた者だけでなく、バイクで脱出すると言った警備員も近くで事故を起こし意識不明で発見された。
 なだらかで草の生えている場所を落ちたようで命に別状はないそうだが、
『この仕事には別状がある』
 武装警備員を続けられるかは判断出来ないほどの大怪我だそうだ。


「本当に事故でしょうか」
 こちらの建物に呼び寄せた技術部マネージャーが指摘する。
「考えてもみてください。軽トラックにコンパクトカー、バイクも片方は盗んで、携帯まで放り出しているんです。それだけ念を入れた彼らが何故一台だけ逃走手段を残したのでしょうか。あの場所は小高い丘ですよね? ちょっと引っ張って落とせばバイクなどたやすく使用不能に出来ます」
 「爆弾魔」が部品のひとつでも抜いて完走出来ないよう仕掛けたのでは、と言った。
 可能性は高い。

 プレイヤー共の目的地である警察署とは話がついた。
 その他彼らが立ち回りそうな所には一報もらえるよう話を付けている最中だ。
 借りを作るのは出来る限り避けたい。所在さえわかればこちらから人をやって処理をする。
 いや、国道を真っ直ぐムンバイに向かったままならおよその現在地は想像出来る。この夜中遠方にすぐたどり着かせるなど全国規模のネットワークを持つ警察でもなければ不可能だ。

 PCから目を外し、体を伸ばして首を回すだけでガラス向こうの部下たちがぎくりと体を固める。

 耐え難い。

 プレイヤーに電源を破壊されて以降顧客への映像も途絶えた。
 コンテンツこそが我が社の商品、放置は出来ない。そのため今は対応に追われる自分とモニター室のチーフたちの映像を流している。
 見られ聞かれていると思うだけで疲労が三倍に増す。
(お前たちは良くやったよ。ハリー、チャンドリカ)

 自分ももう少しあたふたした方が彼らに受けるとは思う。
 だがすると今度はチーフたちの動揺を誘う。
 予想外のこの状況が顧客にはそれもまた面白くてたまらないようだ。
 この国ではほどほどに上流だった自分よりももっと上の連中の考えることはわからないということか。内側から胸を引っ掻かれる感触に蝕まれる。

 癇にさわることに12番の演説通り事は進んでいる。
 このまま逃亡が成功したなら、既定の賞金を渡せと顧客たちに主張されかねない。

「奴らは必ず始末する」
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