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第6章 不信へようこそ(新3日目)
6ー4 種を落とす(新3日目会議後)
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『これ見よや、タミルの民の死へ赴く様』
大好きな日本の物語のセリフを日本語で、「タミル人」だけは母語のタミル語で言った。意味は誰にもわからなかっただろう。
続いて上に向かい、
「『火の部屋』。火葬室を選択する」
告げると動きかけたロハンを強く手で制止する
「連行はお断り! 自分で歩くから。暴力は『ルール違反』だから無理強いしないでくれる?」
視線を注げばロハンは崩れるように自分の椅子に座り直す。
「『殺人』の罪は誰にも着せない」
前の館ではジョージに肩代わりさせてきた。結局誰かわからなかった「狼」にも押しつけてまだ助けることが出来ていない。
これ以上はごめんだ。踏まない、踏ませない。
「私を殺すのはここにいる人たちじゃない。『お前たち』だ」
処刑宣告の流れた黒いスピーカーを目に据える。
「明日から筆記通訳お願い。簡潔に」
ぽんと背もたれの上を叩けばラクシュミがびくりと肩を動かす。マーダヴァンとファルハの背中を過ぎアビマニュとアンビカの後ろも通り火葬室のドアに着く間に全てを落とした。
頭の中で鳴っていた「Aalaporan Thamizhan 」の歌も止まった。
「お姉さん! そこはまずいのではないでしょうか。姉妹として……今からでも他の部屋に変えられるのでは、と思いますが」
見ると立ち上がったレイチェルが泣き出しそうな目で訴えていた。
「日本の 兄弟姉妹は火葬だよ。彼らは真剣に神を求め、信仰を全うしようとしていた」
籍を置いたカトリック教会での姿を好ましく思い出す。
「あの人たちが全員復活出来ないとかあり得ない」
「体」が保たれないことを姉妹として心配してくれたのだろうが、
「主は全能であられる」
告げるとレイチェルは目を見開いて大きく震えた。
(うわー、言っちゃったよ!)
この期に及んで格好付けだ。
神を信じていないのではない。人間には計り知れない壮大なお方で、世界を作れるくらいなのだから全能だとも思っている。
今の地上は全能の主が統べるのではなく、罪深き人が過ちを重ねつつ社会を作る。だから故なき差別で人々が踏まれ、賄賂で人の道はねじ曲がり、この国を幸せにする力を持つ多くの若者たちが力の源泉にたどり着く前に耐えるだけで消耗する。
神様はあまりに大きすぎて、私のそばで悲しんでくれて、いつも見守ってくれるけれど、足の下から自分を退かすことはない。
逆に人が救おうと思えば、理不尽な巨人の足と戦おうと意志すれば、小さなところからでも切り崩せてより幸せに生きていけるようになる。
祖国が紆余曲折はありながらも間もなく世界をリードする大国となる見込みであるように。
闘いの種も既に全て落としてきた。このテーブル周りに。
「火の部屋」と称した火葬室の扉の金属は鈍く光り、青いペンキは雑に何度も塗り重ねられている。上方では小さく天井扇風機の回る音が響きその下に空調の低い音が重なって鳴っている。
鼓動が胸の奥で生命を主張しながら打ち、壁の時計の音と重なる。
照明の傘の下で暗い光がわずかに暖かな色合いに染まり小さく揺れる。
金属製の手すりに手をかけてから振り向いた。
「アビマニュ。『バンバン!』について言ったこと覚えている?」
「はい」
顔は向けるが目はこちらを見ていない。
「私はやはり愛よりも命の方が大事だと思う」
くるりと振り返った背に口笛が鳴った。誰だろう、小気味良くて笑いたくなる。
ひとつ目の扉を引き開け、奥の赤い戸をがらがらと横に開く。目を落として最初の扉を閉めると重い内側の扉は腕に力を入れて引いて閉める。
眼鏡の弦の掛かった耳から髪を掻き上げるついでに隠した先の尖ったヘアピンを右手の内に移す。最初の晩に割ったピンの片割れをポケットに入れ、この建物に来た時にそのままだったものだ。
(最後まで足掻く!)
カチリ、という機械音の後直ぐに視界は炎で覆われた。
ーーーーーー
「ダルシカ。そろそろ上がろう」
席に居着いたまま背を丸めて俯く彼女にアビマニュは声を掛けた。
クリスティーナのはしごを外した。
彼女の信じられないものを見る目にそれを理解したことがわかった。特に反論もなく黙って火葬室へ消えた。
「火の部屋」に入って十分以上、最早彼女は苦しみを感じていない。
それが救いだ。
あの発言は駄目だった。
『「再生族」の皆さんからあの世にいったらどう?』
『私には先がないんでしょ? だったら命を譲って』
八方から追い詰められていたところにロハンの「人狼」外の罵詈雑言、返した「再生族」への言葉は覆いを剥げばそっちが死ねという攻撃になっていた。
広間にいたほとんどの人間、とりわけヒンドゥー教徒には悪く効果的だった。
しかも異教徒からの揶揄でいい気持ちはしない。自分はそこまでのこだわりはなかったが。
賢い人だと思っていたが、この国での現実で色々据えかねることもあり返してしまったのだろう。取り返しの付かない失策だった。
(僕は国に帰る。母さんと父さん、姉の元に戻る)
別所帯の兄にも必ず会う。他人の失敗に足を引っ張られる訳にはいかない。
最後の言葉をロハンは色恋沙汰かと勘違いしてからかったようだがそうではない。クリスティーナはこの酷い誘拐事件の元に迫る情報を掴み、伝えようとした。だが何のことか自分はさっぱりわからない。
魅惑的過ぎるカトリーナの 容を思い描きつつ頭の中で呟いた。
「truelove.com」
ダルシカは少しの間そのまま動かずどうしようかと思った。
損得勘定で切った自分とは違いこの少女は終始クリスティーナをかばい続け、ショックも人一倍だろう。
(強い人だ)
だがその一本気さは『リアル人狼ゲーム』の場所では危うい。
「ダルシカ。君が死ぬことはクリスティーナさんも望んでいない」
我ながらさすがに白々しい。
軽蔑するだろうか。すればいい。後悔と懺悔は無事帰ってからする。頼まなくても親はプージャに連れて行ってくれるだろうー
「そうですね。ご心配かけて済みませんでした」
いきなり立ち上がりダルシカは丁寧に合掌した。
「君のために、君を待つお父さんとお母さんのために忠告しておく。『人狼』だと誤解されるような言動は控えた方がいい、と僕は思う」
「私は『人狼』じゃありません!」
皆引き上げた広間の中、一瞬慌てるほどダルシカは声を張り上げた。
(いやそうだけど……わからない)
ダルシカが人狼でない保証はない。個性的な発想の持ち主で頭は良さそう、真の「人狼」なら非常に手強い。「狼」は女性かとの思いつきにも合致する。
悲壮な調子で彼女は言った。
「もっと酷い大悪魔なんです」
<注>
・Aalaporan Thamizhan タミル語映画「マジック」(「Mersal」2017)内の曲。内容はタミル讃歌。
大好きな日本の物語のセリフを日本語で、「タミル人」だけは母語のタミル語で言った。意味は誰にもわからなかっただろう。
続いて上に向かい、
「『火の部屋』。火葬室を選択する」
告げると動きかけたロハンを強く手で制止する
「連行はお断り! 自分で歩くから。暴力は『ルール違反』だから無理強いしないでくれる?」
視線を注げばロハンは崩れるように自分の椅子に座り直す。
「『殺人』の罪は誰にも着せない」
前の館ではジョージに肩代わりさせてきた。結局誰かわからなかった「狼」にも押しつけてまだ助けることが出来ていない。
これ以上はごめんだ。踏まない、踏ませない。
「私を殺すのはここにいる人たちじゃない。『お前たち』だ」
処刑宣告の流れた黒いスピーカーを目に据える。
「明日から筆記通訳お願い。簡潔に」
ぽんと背もたれの上を叩けばラクシュミがびくりと肩を動かす。マーダヴァンとファルハの背中を過ぎアビマニュとアンビカの後ろも通り火葬室のドアに着く間に全てを落とした。
頭の中で鳴っていた「Aalaporan Thamizhan 」の歌も止まった。
「お姉さん! そこはまずいのではないでしょうか。姉妹として……今からでも他の部屋に変えられるのでは、と思いますが」
見ると立ち上がったレイチェルが泣き出しそうな目で訴えていた。
「日本の 兄弟姉妹は火葬だよ。彼らは真剣に神を求め、信仰を全うしようとしていた」
籍を置いたカトリック教会での姿を好ましく思い出す。
「あの人たちが全員復活出来ないとかあり得ない」
「体」が保たれないことを姉妹として心配してくれたのだろうが、
「主は全能であられる」
告げるとレイチェルは目を見開いて大きく震えた。
(うわー、言っちゃったよ!)
この期に及んで格好付けだ。
神を信じていないのではない。人間には計り知れない壮大なお方で、世界を作れるくらいなのだから全能だとも思っている。
今の地上は全能の主が統べるのではなく、罪深き人が過ちを重ねつつ社会を作る。だから故なき差別で人々が踏まれ、賄賂で人の道はねじ曲がり、この国を幸せにする力を持つ多くの若者たちが力の源泉にたどり着く前に耐えるだけで消耗する。
神様はあまりに大きすぎて、私のそばで悲しんでくれて、いつも見守ってくれるけれど、足の下から自分を退かすことはない。
逆に人が救おうと思えば、理不尽な巨人の足と戦おうと意志すれば、小さなところからでも切り崩せてより幸せに生きていけるようになる。
祖国が紆余曲折はありながらも間もなく世界をリードする大国となる見込みであるように。
闘いの種も既に全て落としてきた。このテーブル周りに。
「火の部屋」と称した火葬室の扉の金属は鈍く光り、青いペンキは雑に何度も塗り重ねられている。上方では小さく天井扇風機の回る音が響きその下に空調の低い音が重なって鳴っている。
鼓動が胸の奥で生命を主張しながら打ち、壁の時計の音と重なる。
照明の傘の下で暗い光がわずかに暖かな色合いに染まり小さく揺れる。
金属製の手すりに手をかけてから振り向いた。
「アビマニュ。『バンバン!』について言ったこと覚えている?」
「はい」
顔は向けるが目はこちらを見ていない。
「私はやはり愛よりも命の方が大事だと思う」
くるりと振り返った背に口笛が鳴った。誰だろう、小気味良くて笑いたくなる。
ひとつ目の扉を引き開け、奥の赤い戸をがらがらと横に開く。目を落として最初の扉を閉めると重い内側の扉は腕に力を入れて引いて閉める。
眼鏡の弦の掛かった耳から髪を掻き上げるついでに隠した先の尖ったヘアピンを右手の内に移す。最初の晩に割ったピンの片割れをポケットに入れ、この建物に来た時にそのままだったものだ。
(最後まで足掻く!)
カチリ、という機械音の後直ぐに視界は炎で覆われた。
ーーーーーー
「ダルシカ。そろそろ上がろう」
席に居着いたまま背を丸めて俯く彼女にアビマニュは声を掛けた。
クリスティーナのはしごを外した。
彼女の信じられないものを見る目にそれを理解したことがわかった。特に反論もなく黙って火葬室へ消えた。
「火の部屋」に入って十分以上、最早彼女は苦しみを感じていない。
それが救いだ。
あの発言は駄目だった。
『「再生族」の皆さんからあの世にいったらどう?』
『私には先がないんでしょ? だったら命を譲って』
八方から追い詰められていたところにロハンの「人狼」外の罵詈雑言、返した「再生族」への言葉は覆いを剥げばそっちが死ねという攻撃になっていた。
広間にいたほとんどの人間、とりわけヒンドゥー教徒には悪く効果的だった。
しかも異教徒からの揶揄でいい気持ちはしない。自分はそこまでのこだわりはなかったが。
賢い人だと思っていたが、この国での現実で色々据えかねることもあり返してしまったのだろう。取り返しの付かない失策だった。
(僕は国に帰る。母さんと父さん、姉の元に戻る)
別所帯の兄にも必ず会う。他人の失敗に足を引っ張られる訳にはいかない。
最後の言葉をロハンは色恋沙汰かと勘違いしてからかったようだがそうではない。クリスティーナはこの酷い誘拐事件の元に迫る情報を掴み、伝えようとした。だが何のことか自分はさっぱりわからない。
魅惑的過ぎるカトリーナの 容を思い描きつつ頭の中で呟いた。
「truelove.com」
ダルシカは少しの間そのまま動かずどうしようかと思った。
損得勘定で切った自分とは違いこの少女は終始クリスティーナをかばい続け、ショックも人一倍だろう。
(強い人だ)
だがその一本気さは『リアル人狼ゲーム』の場所では危うい。
「ダルシカ。君が死ぬことはクリスティーナさんも望んでいない」
我ながらさすがに白々しい。
軽蔑するだろうか。すればいい。後悔と懺悔は無事帰ってからする。頼まなくても親はプージャに連れて行ってくれるだろうー
「そうですね。ご心配かけて済みませんでした」
いきなり立ち上がりダルシカは丁寧に合掌した。
「君のために、君を待つお父さんとお母さんのために忠告しておく。『人狼』だと誤解されるような言動は控えた方がいい、と僕は思う」
「私は『人狼』じゃありません!」
皆引き上げた広間の中、一瞬慌てるほどダルシカは声を張り上げた。
(いやそうだけど……わからない)
ダルシカが人狼でない保証はない。個性的な発想の持ち主で頭は良さそう、真の「人狼」なら非常に手強い。「狼」は女性かとの思いつきにも合致する。
悲壮な調子で彼女は言った。
「もっと酷い大悪魔なんです」
<注>
・Aalaporan Thamizhan タミル語映画「マジック」(「Mersal」2017)内の曲。内容はタミル讃歌。
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