63 / 94
63.
しおりを挟む
「ルームフレグランスの名前はつらつら出てくるくせに、テーブルマナーに疎いとは…」
錦織は呆れた溜息をつく。
ほう、テーブルマナーね。ナイフとフォーク、どちらが右だか左だか分からない程度には疎いと言える。ていうか、ルームフレグランスについての独り言聞いてたのか。(※六話参照)
「パスタ料理にスプーン使っちゃいけないなんて何処で習うんだよ」
俺は不満げにぼやいた。
「使ってはいけない訳ではありませんが本場イタリアではフォークのみを使用して食べるんです。スプーンを使うのは幼児くらいらしいですよ」
「なん…だと…」
つまり、あの場で俺は壱琉に"赤ん坊"扱いされていたと。道理で機嫌を損ねたわけだ。
しかし、スプーンを使うのがお洒落な食べ方だと思っている人間は俺含め五万といるだろう。第一、後ろのテーブル席の主婦も同じような食べ方してたし。親の背を見て子供は育つんじゃないの?
携帯を持っていない俺は情報の真偽など知る由もないが正論製造機である錦織が言っているんだ。多分、正しいのだろう。
「あれか…これが日本語英語とかいう勘違いなのか」
「…少し違いますがそんな感覚です」
錦織は腕組みして、目を伏せた。
「スパゲティがパスタ全般だと思い込んでいる連中も多分存在するだろうな。…残念、スパゲティは麺の種類です」
イタリア料理には結構興味があって、旅行雑誌とかをよく図書館で借りたりしたもんだ。
「自問自答ですか。にしても興味の矛先が限定的すぎです。浅くてもいいので広く学習してみては如何でしょう」
彼女の助言を半ば無視して、知識の披露を続ける。
「他にも知ってるぞ。イタリアのリストランテではピザが食えないんだ。食べるにはピッツェリアという専門の店に行かないといけない」
「勉学は不得意なのに、そういう知識は豊富なんですね…」
錦織は引き気味だったが直ぐに表情を所得顔に変えて、含みのある声音で言った。
「…まあ、その知識。無駄にはならないでしょう」
「そうだといいけどなぁ…」
錦織は呆れた溜息をつく。
ほう、テーブルマナーね。ナイフとフォーク、どちらが右だか左だか分からない程度には疎いと言える。ていうか、ルームフレグランスについての独り言聞いてたのか。(※六話参照)
「パスタ料理にスプーン使っちゃいけないなんて何処で習うんだよ」
俺は不満げにぼやいた。
「使ってはいけない訳ではありませんが本場イタリアではフォークのみを使用して食べるんです。スプーンを使うのは幼児くらいらしいですよ」
「なん…だと…」
つまり、あの場で俺は壱琉に"赤ん坊"扱いされていたと。道理で機嫌を損ねたわけだ。
しかし、スプーンを使うのがお洒落な食べ方だと思っている人間は俺含め五万といるだろう。第一、後ろのテーブル席の主婦も同じような食べ方してたし。親の背を見て子供は育つんじゃないの?
携帯を持っていない俺は情報の真偽など知る由もないが正論製造機である錦織が言っているんだ。多分、正しいのだろう。
「あれか…これが日本語英語とかいう勘違いなのか」
「…少し違いますがそんな感覚です」
錦織は腕組みして、目を伏せた。
「スパゲティがパスタ全般だと思い込んでいる連中も多分存在するだろうな。…残念、スパゲティは麺の種類です」
イタリア料理には結構興味があって、旅行雑誌とかをよく図書館で借りたりしたもんだ。
「自問自答ですか。にしても興味の矛先が限定的すぎです。浅くてもいいので広く学習してみては如何でしょう」
彼女の助言を半ば無視して、知識の披露を続ける。
「他にも知ってるぞ。イタリアのリストランテではピザが食えないんだ。食べるにはピッツェリアという専門の店に行かないといけない」
「勉学は不得意なのに、そういう知識は豊富なんですね…」
錦織は引き気味だったが直ぐに表情を所得顔に変えて、含みのある声音で言った。
「…まあ、その知識。無駄にはならないでしょう」
「そうだといいけどなぁ…」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
麗しのマリリン
松浦どれみ
青春
〜ニックネームしか知らない私たちの、青春のすべて〜
少女漫画を覗き見るような世界観。
2023.08
他作品やコンテストの兼ね合いでお休み中です。
連載再開まで今しばらくお待ちくださいませ。
【あらすじ】
私立清流館学園は学校生活をニックネームで過ごす少し変わったルールがある。
清流館高校1年2組では入学後の自己紹介が始まったところだった。
主人公のマリ、新堂を中心にクラスメイトたちの人間関係が動き出す1年間のお話。
片恋も、友情も、部活も、トラウマも、コンプレックスも、ぜんぶぜんぶ青春だ。
主要メンバー全員恋愛中!
甘くて酸っぱくてじれったい、そんな学園青春ストーリーです。
感想やお気に入り登録してくれると感激です!
よろしくお願いします!
怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う
もぐのすけ
青春
神童と言われた天才サッカー少年は中学時代、日本クラブユースサッカー選手権、高円宮杯においてクラブを二連覇させる大活躍を見せた。
将来はプロ確実と言われていた彼だったが中学3年のクラブユース選手権の予選において、選手生命が絶たれる程の大怪我を負ってしまう。
サッカーが出来なくなることで激しく落ち込む彼だったが、幼馴染の手助けを得て立ち上がり、高校生活という新しい未来に向かって歩き出す。
そんな中、高校で中学時代の高坂修斗を知る人達がここぞとばかりに部活や生徒会へ勧誘し始める。
サッカーを辞めても一部の人からは依然として評価の高い彼と、人気な彼の姿にヤキモキする幼馴染、それを取り巻く友人達との刺激的な高校生活が始まる。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
僕は冷徹な先輩に告白された
隻瞳
青春
全学年から大の男嫌いで有名な『冷徹姫』として恐れられていながらも、心の中では『恋』を求めている高校2年生の石見里奈(いわみりな)は一つ下の学年に転校してきた山本賢人(やまもとけんと)の顔が可愛いかった事から一目惚れし、やがて告白に至った。賢人は家族以外で自分を優しく見守られていた事が嬉しく思って二つ返事で承諾して二人は交際を始める。
やがてそれを知った周りの友人たちに振り回されながらも、徐々に男女関係を築いていく。
元オタでチビだけど成績優秀でクラスから男なのに可愛いと評判の主人公と、学園一恐いけど実際は乙女なヒロインのちょっと変わった青春ラブコメディ。
※刺激の強い表現が含まれるエピソードには*を付けています。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/1/17:『ねえ』の章を追加。2025/1/24の朝4時頃より公開開始予定。
2025/1/16:『よみち』の章を追加。2025/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2025/1/15:『えがお』の章を追加。2025/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2025/1/14:『にかい』の章を追加。2025/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
2025/1/13:『かしや』の章を追加。2025/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2025/1/12:『すなば』の章を追加。2025/1/19の朝8時頃より公開開始予定。
2025/1/11:『よなかのきせい』の章を追加。2025/1/18の朝8時頃より公開開始予定。
食べると未来が見えるようになるアポロチョコを長瀬香が手放した理由
シラサキケージロウ
青春
「あなたって、もしかして幽霊だったりしない?」
季節は夏。喫茶店にふらりと現れた女性は、店員である窪塚馨へそう言い放った。
彼女の名前は長瀬香。「アポロチョコを食べると未来が見える」という不思議な能力を持つ彼女は日々、見えた未来を実現させることを日課としていた。
「泣いていた」「見知らぬ子にありがとうと言われた」「幽霊を見た」などなど……彼女の語る未来の実現を、馨は毎日のように手伝う日々を送っていたが……。
※他サイトでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる