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 六限の終了を知らせるチャイムが鳴った。

 日本の学校のチャイムというのはどこの都道府県も変わらないようで、転校しようと進学しようと同じ懐かしさを届けてくれる。

 最も、高校に入学してから疑問に思うことはあるが。

 それは~限目という呼び方だである。小学校までは~時間目とかいう呼び方だったのに、中学になった途端に限に変わるのは一体何故なのだろうか。

 イメージ的にはお目目パッチリ少女の~時間目ちゃんの方が響き的に優しくて好きだったんだけど…ごついイメージの~限目兄貴は響き的にキツすぎるんだよなぁ。授業時間も増えるし、何より目力がすごそう…。

 思えば図工や算数も、美術に数学と名称が置き換わっているな。この教科は響き的に美しいから尊敬しておこう。(上記 謎理論)

 …ッ…ッ…ッ

 ふと思えばさっきから俺の机がコツコツコツコツやたらうるさい。何事かと顔を上げると、目の前に錦織が佇んでいた。

「約二分間合図をし続けたのですが、反応が遅すぎます。世界一無駄な時間を過ごしてしまいました。どうしてくれるんですか」

 互いに本心で向き合うと誓った時の笑顔はどこへやら。彼女の手元。人差し指第二関節を見てみると少し赤くなっている。どんだけ叩いてたんだよ。

 授業の疲れもあり、俺は重い腰を上げながら席を立った。

「どうもこうも出来ないが、とりあえずボッーっとしてたのは認める」

「謝りはしないんですね…。まあ、いいです。それで早速ですが話…」

 丁寧な敬語のやり取りが少々面倒に感じられたので先走って話してしまおう。

「丁度、俺も錦織さんと話したい頃合いだった。それでどうしようか。カフェでも行く?」

 すると錦織の表情は「うわぁ…」というドン引き顔に変容した。え…俺なんか変なこと言った?

「…夜崎くんも私も別に普通じゃないという自覚はありますが流石にその攻め方は嫌われますよ。本当に」

 ほ…本当?と目線だけで問うと、錦織は静かに首肯する。

「ほ…ほらあれだ。調子乗ってる勢の真似をしてみただけだよ。気にしないでくれ」

 自身を取り巻く自意識がつい先行してしまったようだ。

「へぇー、そうですか。そういう事にしておきます」

 不敵な笑みを浮かべながら、決してその美しい小顔を崩さない錦織。お嬢様のご機嫌もとれたところで伺う。

「で…錦織さん。お話をしたいという事で宜しいでしょうか…?」

「はい。そのつもりでした」
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