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10話
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私は…優翔先輩に駆け寄った。
未來『優翔先輩…優翔先輩!!しっかりしてください!』
歩行者『おい!救急車呼べ!…いそげ!』
未來『優翔先輩!優翔先輩…!』
私は涙を流しながら先輩の名前を叫んだ。
優翔『み…らい…』
未來『優翔先輩…!!すいません…私のせいで先輩が…』
優翔『いい…から…きいて…く…れ…ハァ…ハァ…』
未來『な、なんですか…もうしゃべらない方が…』
優翔『俺…は…未來のことが…ハァ…好きだった……んだ…ハァ…』
未來『!!』
優翔『…迷惑…かけてごめ…ハァ…ごめん…玲香の呪い…本当みたいだ…ハァ…』
未來『もういい…もういいですから…喋らないでください!
生き延びて…それで聞かせてください!…お願い…ですから…』
優翔『未來…ごめんな…ハァ…俺は…未來と…来年も桜を…見たかっ…』
未來『優翔先輩…?…ねぇ…優翔先輩…優翔先輩!!!』
未來『優翔先輩!!!起きてくださいよ…!まだ話を聞き終わってません!…優翔先輩!!!いやぁぁぁ!!!!!!!!』
歩行者『全員道を開けろ!!救急車がきたぞ!』
救急隊『どいてください!…あなたは?』
未來『同じ…学校の後輩です…』
救急隊『…ついてきてもらえますか?』
未來『…はい…優翔先輩を…助けてください…お願い…します…』
私は救急隊と共に病院へと向かった。
手術室で…緊急手術が行われたが…その甲斐虚しく…
西野優翔先輩は…
今日…6.18………4時42分…玲香さんのところへと旅立った。
ー10年後ー
未來『さあ!部活始めるよ!』
部員『はい!』
私は…今、母校の高校で弓道部の顧問をやっている。
今日は20××.6/18…。時間は3時40分。
私にとって過去の一番大切な人を失った日。
未來『みんなー!今日は私少し用事があるから、副顧問の先生が車ではウォーミングアップをしててねー!危ないから射つことはしないように!』
一同『はい!』
私はそれだけ言い残して職員室へ向かった。
未來『天野先生?部活の方頼んでいいですか?』
天野『白石先生…あぁ、今日は例の…。わかりました。
お疲れ様でした』
未來『すいません…お疲れ様です!』
私は副顧問の天野先生に指導をお願いして、
10年前の大会会場の近くの横断歩道へ来ていた。
未來『優翔先輩…私は…弓道を続けましたよ。
あれからもう10年…私はあなたのお陰で変われました…』
私はそう呟いてから黙祷をした。
私が黙祷をしていると…背後や横に人の気配を感じた。
未來『美波先輩…蘭先輩…優希と蒼太まで…』
美波『ごめんね…栞里はモデルの仕事で今東京出ちゃっててね…どうしても間に合わないってことだったから…
未來の友達の優希ちゃんと、旦那の蒼太君つれてきた』
蘭『早いよね…あれから10年…』
美波『今ではあの大泣きしながらあたふたしてた未來が人妻だもんね…』
未來『その大泣きとかあたふたっていう情報はいらないですよ…』
優希『でも…あの事件のあと教室やら家やらで…大変でしたよ』
蒼太『そうそう…優翔先輩!って叫びながら泣いて…』
未來『もう、10年も前の話…私はもう立派に教師やってるから!』
美波『まあ…優翔も安心してるだろうね…大好きな未來が
こんなに立派になっても弓道を続けてくれて』
蘭『ですね…もう一度黙祷しましょうか』
蘭先輩の一言で私達はもう一度黙祷をして…花束を添えた。
蘭『あ、皆ここから時間ある?』
美波『私は大丈夫だけど…』
未來『私と蒼太も予定はないですよ』
優希『私も!』
蘭『じゃあ…桜見に行きませんか?』
美波『桜なんてもう散った……あ、そういうことか』
蘭『優翔と玲香が大好きだったあの桜を皆で見よう』
未來『いいですね!優希、蒼太は私たちと見るのははじめてだね』
蒼太『そうだな…ついていかせてもらいます』
優希『私も…お願いします』
私達はそこから桜を見た…あの場所へとやって来た。
美波『やっぱり…散っちゃってるか~(笑)』
蘭『でも…新緑が綺麗です…』
未來『やっぱり、桜は時の番人です!』
美波『え?』
蘭『え??』
未來『だって…いつみてもこんなに綺麗な世界を見せてくれて…
私達が大人になるまで見守ってくれて…
春になったら満開の桜を咲かせてくれる!
桜が散っても私達を次の年に楽しませる準備をして待っててくれるんですから!』
優希『あー、なるほど!それで時の番人…ね(笑)』
未來『なんで笑うんだよー!』
蒼太『未來らしいよ(笑)』
美波『でも…未來は玲香に似てるよ。優翔が好きになったのもわかる』
蘭『ですね…時の番人なんて言う人玲香さん以外はじめて見ました』
未來『えっ?…玲香さんが…時の番人…?』
私は…10年前のことを思い出した。
私は今と同じような話を優翔先輩にしていた。
その時の優翔先輩の表情…あのときはわからなかったけど…
私と玲香さんを重ねてたんだ…。
未來『(やっぱり…玲香さんのこと好きなんじゃん…先輩の嘘つき…)』
私はそう思いながらも…涙が目に滲んだ。
蘭『え!?なんでここで泣く!?』
美波『相変わらず…泣き虫は直ってなかったね(笑)』
優希『未來らしいよ』
蒼太『そうだな…先輩?そろそろ行きましょうか』
美波『そうだね。付き合わせてごめんね…あっ、栞里からLINEきてた……『未來教師合格…遅くなったけどおめでとう!🎉🎉
美波、蘭…行けなくて本当にごめん😅…来年は絶対行くから!
優翔の…思い出を今度皆で共有しよう!😄』だってさ…(笑)』
蘭『近々また集まりましょう!』
美波『そうだね!…じゃあいこっか!』
先輩達と蒼太、優希は来た道を戻っていった。
未來『(なにがあるかわからないから…大切な人との時間を大切にする…桜…来年も来るから、ずっとここで私たちの思い出を守っててね…?)』
私は桜の木をそう願いながら撫でた。
大きな風が吹いて…桜の木…いや、優翔先輩が
『待ってるよ』と言ってくれた気がした。
美波『未來!!行こう!!』
未來『はい!!』
私達はその後も優翔先輩との思い出を共有して…帰り道へと帰っていった。
完
未來『優翔先輩…優翔先輩!!しっかりしてください!』
歩行者『おい!救急車呼べ!…いそげ!』
未來『優翔先輩!優翔先輩…!』
私は涙を流しながら先輩の名前を叫んだ。
優翔『み…らい…』
未來『優翔先輩…!!すいません…私のせいで先輩が…』
優翔『いい…から…きいて…く…れ…ハァ…ハァ…』
未來『な、なんですか…もうしゃべらない方が…』
優翔『俺…は…未來のことが…ハァ…好きだった……んだ…ハァ…』
未來『!!』
優翔『…迷惑…かけてごめ…ハァ…ごめん…玲香の呪い…本当みたいだ…ハァ…』
未來『もういい…もういいですから…喋らないでください!
生き延びて…それで聞かせてください!…お願い…ですから…』
優翔『未來…ごめんな…ハァ…俺は…未來と…来年も桜を…見たかっ…』
未來『優翔先輩…?…ねぇ…優翔先輩…優翔先輩!!!』
未來『優翔先輩!!!起きてくださいよ…!まだ話を聞き終わってません!…優翔先輩!!!いやぁぁぁ!!!!!!!!』
歩行者『全員道を開けろ!!救急車がきたぞ!』
救急隊『どいてください!…あなたは?』
未來『同じ…学校の後輩です…』
救急隊『…ついてきてもらえますか?』
未來『…はい…優翔先輩を…助けてください…お願い…します…』
私は救急隊と共に病院へと向かった。
手術室で…緊急手術が行われたが…その甲斐虚しく…
西野優翔先輩は…
今日…6.18………4時42分…玲香さんのところへと旅立った。
ー10年後ー
未來『さあ!部活始めるよ!』
部員『はい!』
私は…今、母校の高校で弓道部の顧問をやっている。
今日は20××.6/18…。時間は3時40分。
私にとって過去の一番大切な人を失った日。
未來『みんなー!今日は私少し用事があるから、副顧問の先生が車ではウォーミングアップをしててねー!危ないから射つことはしないように!』
一同『はい!』
私はそれだけ言い残して職員室へ向かった。
未來『天野先生?部活の方頼んでいいですか?』
天野『白石先生…あぁ、今日は例の…。わかりました。
お疲れ様でした』
未來『すいません…お疲れ様です!』
私は副顧問の天野先生に指導をお願いして、
10年前の大会会場の近くの横断歩道へ来ていた。
未來『優翔先輩…私は…弓道を続けましたよ。
あれからもう10年…私はあなたのお陰で変われました…』
私はそう呟いてから黙祷をした。
私が黙祷をしていると…背後や横に人の気配を感じた。
未來『美波先輩…蘭先輩…優希と蒼太まで…』
美波『ごめんね…栞里はモデルの仕事で今東京出ちゃっててね…どうしても間に合わないってことだったから…
未來の友達の優希ちゃんと、旦那の蒼太君つれてきた』
蘭『早いよね…あれから10年…』
美波『今ではあの大泣きしながらあたふたしてた未來が人妻だもんね…』
未來『その大泣きとかあたふたっていう情報はいらないですよ…』
優希『でも…あの事件のあと教室やら家やらで…大変でしたよ』
蒼太『そうそう…優翔先輩!って叫びながら泣いて…』
未來『もう、10年も前の話…私はもう立派に教師やってるから!』
美波『まあ…優翔も安心してるだろうね…大好きな未來が
こんなに立派になっても弓道を続けてくれて』
蘭『ですね…もう一度黙祷しましょうか』
蘭先輩の一言で私達はもう一度黙祷をして…花束を添えた。
蘭『あ、皆ここから時間ある?』
美波『私は大丈夫だけど…』
未來『私と蒼太も予定はないですよ』
優希『私も!』
蘭『じゃあ…桜見に行きませんか?』
美波『桜なんてもう散った……あ、そういうことか』
蘭『優翔と玲香が大好きだったあの桜を皆で見よう』
未來『いいですね!優希、蒼太は私たちと見るのははじめてだね』
蒼太『そうだな…ついていかせてもらいます』
優希『私も…お願いします』
私達はそこから桜を見た…あの場所へとやって来た。
美波『やっぱり…散っちゃってるか~(笑)』
蘭『でも…新緑が綺麗です…』
未來『やっぱり、桜は時の番人です!』
美波『え?』
蘭『え??』
未來『だって…いつみてもこんなに綺麗な世界を見せてくれて…
私達が大人になるまで見守ってくれて…
春になったら満開の桜を咲かせてくれる!
桜が散っても私達を次の年に楽しませる準備をして待っててくれるんですから!』
優希『あー、なるほど!それで時の番人…ね(笑)』
未來『なんで笑うんだよー!』
蒼太『未來らしいよ(笑)』
美波『でも…未來は玲香に似てるよ。優翔が好きになったのもわかる』
蘭『ですね…時の番人なんて言う人玲香さん以外はじめて見ました』
未來『えっ?…玲香さんが…時の番人…?』
私は…10年前のことを思い出した。
私は今と同じような話を優翔先輩にしていた。
その時の優翔先輩の表情…あのときはわからなかったけど…
私と玲香さんを重ねてたんだ…。
未來『(やっぱり…玲香さんのこと好きなんじゃん…先輩の嘘つき…)』
私はそう思いながらも…涙が目に滲んだ。
蘭『え!?なんでここで泣く!?』
美波『相変わらず…泣き虫は直ってなかったね(笑)』
優希『未來らしいよ』
蒼太『そうだな…先輩?そろそろ行きましょうか』
美波『そうだね。付き合わせてごめんね…あっ、栞里からLINEきてた……『未來教師合格…遅くなったけどおめでとう!🎉🎉
美波、蘭…行けなくて本当にごめん😅…来年は絶対行くから!
優翔の…思い出を今度皆で共有しよう!😄』だってさ…(笑)』
蘭『近々また集まりましょう!』
美波『そうだね!…じゃあいこっか!』
先輩達と蒼太、優希は来た道を戻っていった。
未來『(なにがあるかわからないから…大切な人との時間を大切にする…桜…来年も来るから、ずっとここで私たちの思い出を守っててね…?)』
私は桜の木をそう願いながら撫でた。
大きな風が吹いて…桜の木…いや、優翔先輩が
『待ってるよ』と言ってくれた気がした。
美波『未來!!行こう!!』
未來『はい!!』
私達はその後も優翔先輩との思い出を共有して…帰り道へと帰っていった。
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