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後編
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里奈、玲香、七海…みんなにすべてを打ち明けた俺は
まだ里奈を抱き締めていた。
里奈『一哉…いつまで抱き締めてんの…私、雄介の彼女なんですけど…』
一哉『あ、あぁごめんごめん…感極まって…(笑)』
七海『一哉の好きな人って…』
玲香『里奈さんなんだ…』
里奈『え?なんのはなし?』
一哉『七海!玲香!違うし…ちょっと黙ろうか…』
玲香『おっと…つい口が…』
里奈『え、なんのこと?ねぇ…一哉…?』
一哉『いつか言います!!じゃあ、俺は約束を果たしたので
学校に戻る!……遅い時間だし戻ろうよ!…じゃ!』
俺は必死になって逃げるようにその場を離れた。
里奈『また隠し事か…』
七海『まあ…そのうちわかりますよ(笑)』
玲香『…一哉の言う通り…そろそろ戻りましょう』
私達は、学校に戻ってきて各部屋に戻った。
玲香『七海?』
七海『…なに?』
玲香『一哉のこと好きでしょ』
七海『え…そんなわけないじゃん!何言ってるの玲香…』
玲香『私の目を見て違うと言える?』
七海『…』
玲香『七海、分かりやすすぎ。…あんなにあからさまにショック受けて…』
七海『でも…私はもう…さっき振られたから…』
玲香『わかんないじゃん…一哉は優しいから…あんなことしただけかも知れないでしよ?』
七海『…優しさだけなら…抱き締めるまでする必要ある…?』
玲香『(うっ…こういうときだけ鋭いんだから…)わかんないじゃん…里奈さんは…過去の人…今は七海が1番近くで一哉といるでしょ?』
七海『…私は一哉のこと好きだけど…あそこまで里奈さんを
守ろうとする一哉見たら…勝てないよ…』
玲香『はぁ…どこまでも奥手というかなんというか…』
七海『…』
玲香『じゃあ、私は一哉に告白するよ』
七海『え!?』
玲香『私も何だかんだ一哉に恋してる部分あるし?
もっとちかづきたいし』
七海『…』
玲香『いいんだね?』
七海『…うん…』
玲香『じゃあ…学校戻ったら告白しようかな』
七海『頑張ってね…玲香…』
玲香『(うーん…逆効果か…)ありがと』
私は…一哉が好きだけど…玲香や里奈さんには勝てないよ…。
練習3日目最後の日…俺は好一と真春の様子を見に2人の部屋に
向かった。
同じ部屋だから…といなぞの理由で里奈もついてきている。
一哉『あのさ…里奈…わざわざいいんだよ?』
里奈『なにが?』
一哉『真春や好一は俺が面倒見るし…わざわざ…里奈が来なくても…』
里奈『何、迷惑なわけ?』
一哉『そーじゃないけど…』
俺達がそんな話をしながら歩いていると前から七海がやって来た。
七海『あ…一哉、里奈さんおはよう!』
一哉『おはよ~疲れはとれた?』
七海『う、うん…なんとかね』
里奈『ごめんね…無理させちゃって…』
一哉『だから…激しくやり過ぎるなって言ったのに…』
そう…初日で倒れた2人は危険度Ⅱの熱中症だったため昨日休んでいた。しかし…七海まで昨日の終わりに倒れてしまったのだ。
まあ…七海は危険度Ⅰの熱中症の重度だったため、もう大丈夫の
ようだが…。
里奈『誰のせいでこんなに頑張ってきたと思ってるの?』
一哉『うっ…それは…』
七海『いやいや!全然平気ですよ!気にしないでください!
ほらほら!!』
七海は走り回って元気アピールをしていたが…
七海『うっ…』
一哉『危ない!!』
俺は階段の近くで倒れそうになった七海をなんとか…支えた。
一哉『だから…無理しちゃダメだって…』
七海『ごめん…まだ十分に動けないみたい…』
一哉『まったく…あ、里奈は気にすんなよ?ほんとに。
今まできつい練習しなかった証拠ってだけだから』
里奈『う、うん…(今の一哉…すごい速くなかった…?)』
七海『ごめん…』
一哉『里奈?悪いんだけど…2人のこと頼んでいい?』
里奈『う、うん…もちろん』
俺は七海を背負って七海の部屋まで行った。
七海『ごめんね…一哉…』
一哉『いいってば…何回謝るの…』
七海『せっかく…大好きな里奈さんと一緒にいれたのに…』
一哉『は?大好き?』
七海『だって…この前の話聞いてると…一哉…好きなんでしょ?里奈さんのこと…』
一哉『…まあ…昔は好きだったよ…雄介と付き合うまでは』
七海『でしょ?だから…悪いなって…』
一哉『でも…今は、違う…かな。好きな人…いるっちゃいるけど…』
七海『え…?里奈さんじゃないの…?雄介さんはもういないし…』
一哉『いないからかなぁ...いないからこそ…里奈を好きでいちゃいけないと思った…そこから好きっていう気持ちは守らなきゃっていう思いに変わったかな…』
七海『(そんな…じゃあ…誰が…?)』
それを聞こうとしたが…部屋についてしまったので聞くことが
できなかった。
玲香『あれ?一哉……って七海!?』
一哉『玲香…しっかり面倒見ててよ…無理して走り回って階段から落ちそうになってあぶなかったんだから…』
玲香『いや…寝てて…起きたらもういなかったから…』
一哉『七海、今日の練習は休まなきゃダメだよ。わかったね?』
七海『(そんな優しい声で言われたら…逆らえるわけないじゃん…
)うん…』
一哉『玲香…じゃあ、七海をよろしく…あ、もうじき練習はじまるから玲香もしっかり来なよ?』
玲香『うん…七海を寝かせてからいくよ』
七海『私は子供か!』
一哉『七海…!おとなしくしてなって…』
玲香『まったく…』
一哉『じゃ、俺はこれで。里奈に2人を任せてあるから、そっちいかなきゃいけないから』
一哉はそういって出ていった。
玲香『七海…分かりやすすぎだって……その分かりやすい七海の気持ちに気づかない一哉もかなりの鈍感だけどね…』
七海『…私…諦めたくない…』
玲香『え?』
七海『…勇気出してもっと近づきたい…』
玲香『な、なにがあったの…』
私は玲香に事情をすべて話した。
玲香『なるほどね…じゃ、応援するよ』
七海『え、玲香も好きなんじゃ…』
玲香『私?好きじゃないよ?昨日のあれは七海のやる気を出させるために言っただけのことだし』
七海『ほんと…?』
玲香『本当…だから頑張ってね!…じゃ!おとなしく寝てるんだよ!私練習行ってくるから!』
玲香は部屋を出ていった。
その日練習が終わるまで私はずっと休まされていた。
しかし、帰る挨拶にはでなきゃいけないので、
荷物をまとめて体育館に向かった。
俺たちは…出場メンバーが練習できず
練習の意味がないという顧問の判断で半日分だけ
練習を早く切り上げて帰ることになり
体育館に再び集まった。
…今日はすぐに沢木さんの挨拶が始まった
沢木『えー…若杉第三高校の皆さん、3日間お疲れさまでした。
最初はどうなることかと思いましたが、最後までできてよかったです…皆さんの都合で1日早く終わってしまうのが心残りですが…
再来週のインターハイでまた会いましょう
出場選手一同皆さんと戦えることを心待にして
これからの練習をしていきたいと思います
本当に3日間お疲れさまでした』
里奈『皆さんと戦えることを楽しみにしてます。
ありがとうございました!!!』
星稜『ありがとうございました!!』
若杉『ありがとうございました!!』
一哉『(今日は揃った…よかった)』
俺達は順番に荷物をバスにのせて、バスに乗り込んでいった。
俺が待っていると…。
里奈『一哉!!!』
一哉『里奈…本当にありがとう。…雄介のこと…本当にごめん。
インターハイで…会おう』
里奈『雄介のことはもういいって…うん、インターハイで
お互い頑張ろう…じゃあね!』
俺はバスに乗り込んだ。
短い短い合宿が…終わってしまった。
帰りのバスは行きとは違い皆が疲れて眠っているか
悔しそうな表情を浮かべていた。
真春『先輩…すいません…今日しか練習できなくて…』
好一『不甲斐ないです…』
一哉『お前らも気にすんなって…残りの練習頑張ればいいから』
七海『そうだよ…頑張ろう!』
玲香『一哉は優勝、私と七海は里奈さんに勝つ!』
一哉『おう。絶対にな…』
俺達は行きのバスほ元気もなく…その後は眠りについた。
それから2時間後…私たちは無事に学校に戻ってきた。
顧問『お疲れさまでした…また明後日から練習を行います
倒れてしまったメンバーたちは明日1日ゆっくり休んで
備えてください…解散!』
一同『はい!!』
例によって私と一哉と玲香は3人で帰っていた。
一哉『いやぁ…疲れた…星稜はなんだかんだ疲れる…』
玲香『ほんとだよね~』
七海『そんなこと言ってちゃダメだよ!』
一哉『体調悪いやつが言える台詞かよ(笑)』
七海『酷いなぁ…』
わたしたちはそんな他愛のない話をしながら、
各自の家に戻っていった。
夏休み…もう少しで終わりだな…。
そして…インターハイ…当日。
会場になっているのは新潟県。』
俺達4人はインターハイにやってきた。
途中で里奈達と合流した。
里奈『みんな!ひさしぶり!』
一哉『いやぁ…インターハイ会場来るのはじめてだから緊張…』
七海『一哉!里奈さんにしっかり返事して!すいません里奈さん…』
里奈『こんなのいつものことだよ(笑)』
玲香『なんか…里奈さん変わりました?』
七海『確かに…なんか…』
一哉『髪…切ったんだな』
里奈『よくわかったじゃん?』
一哉『そりゃ…そんなバッサリいってれば……』
玲香『え、バッサリ…でもなくない?』
一哉『いや里奈は短くすると言っても5cmしか切らないような人なんだよ』
里奈『そうそう…イメージ変わるのが嫌だったからね。
でも…過去の自分を捨てるために…10cm切りました』
玲香『どうりで…でも明るくなってません?』
里奈『それは…雄介の真実が知れて自由になれた…からかな』
一哉『あ、試合始まるぞ、女子からか…頑張ってこいよ』
好一『みなさん、ファイトです!』
しかし、俺が心配する必要なんて更々なかった。
七海も玲香も絶好調に決勝へ出場をきめた。
里奈ももちろん圧勝で勝ち進んだ。
ついに…この3人が対決する。
しかし、男子も決勝までやらなきゃいけないため
俺たちも試合を行った。…問題なく俺も好一も試合に向かった。
まあ、俺も好一もなんなく決勝へ進出し…
ついに雄介との約束を果たすときがやってきた。
まず、男子決勝。勝つしかない。優勝する。
一哉『(里奈や七海に胸を張って帰る…)』
そして、準備のこえがかかり俺達はセットする。音とともに
一斉に走り出す。
一哉『(走ってるときは…風を切るのが気持ちいい…風が俺に話しかけてくる…こういうことなんだな…里奈…七海!)』
俺は過去最高に絶好調で風の声を聞きながら走った。
【45.42】…優勝………自己最高記録だった。
好一は【50.05】で4位という結果を納めた。
その後の女子決勝は…なんと3位までに3人が独占するという
快挙を起こした。
タイムもそれぞれの最高記録。
里奈【53.43】1位
七海【53.59】2位
玲香【54.05】3位
俺達は……無事に雄介との約束を果たした。
男子選手はダメだったけど…七海や玲香をインターハイで入賞させれた。
試合後俺達は雄介のご両親へ報告した。
メダルやトロフィーの写真を送って…。
後日…お礼の手紙が俺達それぞれのもとへ届いたのだった
里奈『皆すごいよ!!!!私負ける…!って焦っちゃった!』
七海『ひっくりしました!あんな過去最高記録だせるなんて!!』
玲香『やっぱ陸上ってたのしぃー!なんか色んな物に話しかけたい気分!』
一哉『え、例えば…食べ物とか?スプーンとか?箸とか?』
玲香『何でスプーン!?なんで箸!?』
一哉『ものっていったから…』
七海『まあまあいいじゃん?こんな驚きの結果…』
里奈『ストップ!それ以上言うと著作権とか色々引っ掛かるから!』
七海『アメージ…』
一哉『やめろっての!!』
玲香『セーフ?かな?』
里奈『多分……でもさ…一哉の速さはおどろいたよ…』
一哉『あ…七海…俺がなんで走るかって気になってたよね』
七海『うん…なんでなの?』
一哉『やっぱり俺も…風の声を聞くのが楽しいからかな!!』
里奈『前私がそういったとき…爆笑してたのはどこのどいつよ…』
一哉『やっとわかったんだ…理由が…そして…俺が速いときの
方程式じゃないけどルールも』
里奈『え、なに?』
七海『そんなのあるの?』
玲香『教えてよ?』
一哉『里奈や七海、玲香…皆がいるとき…皆を思うとおれは速くなる』
里奈『なにそのかっこつけ!』
一哉『事実だから仕方ない!』
七海『でも嬉しい!』
玲香『悪い気はしないね~』
俺達は…試合後ずっとしゃべっていた。
しかし…やはり別れが訪れる。
七海『里奈さん…本当にお疲れさまでした』
里奈『ありがとう…七海も玲香も一哉もお疲れさま!』
一哉『おう。また…ちょくちょく遊びに来るよ…冬休みも合宿できたらいいな』
玲香『あ!それいいアイディア!』
里奈『沢木先生に頼んでおくよ!…じゃあ…』
里奈は俺たちとそれぞれ握手をしてバスにのって帰っていった。
一哉『俺たちも帰ろう…優翔や真冬さんがまってるよ』
そう…優勝報告をしたら2人がパーティーをしたいと言い出して
真冬さんの家でパーティーをすることになっていたのだ。
玲香『そうだね…行こう!皆が待つ東京へ!』
俺たちがバスに向かって歩き出すと七海が突然叫んだ。
七海『来年もインターハイ来るからね!!!』
七海は俺たちを追い抜いてバスに乗り込んでいた。
玲香『やっぱ七海らしい(笑)』
一哉『だな…俺たちもいこう』
俺達の長い長い夏が…今終わろうとしていた。
午後18時半
俺は熱いインターハイ決勝を終えて…帰りのバスで眠っていた
一哉『zzz…』
七海『ねーねー、一哉~せっかくの優勝なんだからもっと
話して盛り上がろうよー』
玲香『七海…優勝したからこそ寝てるんだよ…』
七海『だって暇じゃんー…アドレナリンでて眠れないよ~』
玲香『まあわかるけど…って真春?どうしたの…』
真春『いや…皆さんの結果に感動してしまって…自分はまだまだぁなって思ったら…』
七海『ほんっと真春いいこ!食べちゃいたい!』
真春『食べられたいですぅ…』
玲香『(この2人…危ないな…)好一、来年もインターハイ狙うからね』
好一『もちろんです。来年は西野先輩の優勝を奪います!』
真春『じゃあ、私は七海さんの玲香さんの記録を抜きます!』
七海『負けないよ~?』
玲香『私も七海狙うよ~?』
七海『玲香はやめてぇ~(笑)』
🎶♪🎶♪~♪🎶♪🎶
玲香『この歌…なんだっけ…てか一哉のスマホだよね?…
でも寝かせてあげよっか』
真春『そうですね…この曲…』
七海『私、冒頭の歌詞なら歌えるよ!』
真春『え、聞きたいです!』
七海『いつもの夏と違うんだ、君は気づいていないけど~』
一哉『うるさーーーーーい!!!!』
4人『!?!?』
一哉『も…ゆっ…くり寝かせて…』
玲香『ね、寝言?げ、現実?』
七海『びっくりした…』
一哉『なんで君たちそんな元気なの…』
玲香『あ、起きてたんだ』
一哉『そりゃ…あんな大声で歌われたらね…ん?着信履歴…
真冬さんから!?なんで番号知ってるの!?』
七海『ま、真冬さん…』
玲香『相変わらず…いつの間に…』
一哉『かけ直すか…』
俺はそう言って着信履歴の番号にかけ直す。
TEL
真冬『もしもし~?』
一哉『あの…西野ですけど…なぜ番号を…』
真冬『優翔からきいたの…今どの辺かなぁって思って』
一哉『なるほど…(あいつがかければいいのに…)』
真冬『今、優翔がかければいいのに…って思った?』
一哉『え!あ…いや…すいません…』
真冬『ていうか、同期生なのになんで敬語?』
一哉『いや…なんとなく…』
真冬『まあいいけど…いまどこ?』
一哉『あと10分くらいでつきます』
真冬『優翔が学校にいるから合流して私の家来てね』
一哉『え、あぁ…わかりました…』
真冬『じゃあ、まってるね!ばいばーい!』
電話を切った途端、皆が色々聞いてくる。
七海『真冬ちゃんなんだって?』
一哉『優翔と合流してから家来てって』
玲香『他には?』
一哉『豪華に用意したからたのしみにしててだって』
真春『へぇ…料理うまいんですか?』
七海『かなりね!』
玲香『おいしかったし!』
一哉『あ、玲香はたべたことあるんた』
七海『わたしもあるよ?』
真春『えー!うらやましい!』
一哉『今日食べれるじゃん』
好一『ですね!』
玲香『まあ真冬の料理は期待していいと思うよ!』
真春『はい!』
俺たちがそんな話をしてると…やっと学校へとついた。
俺達が降りて正門の方へ歩いていくと優翔がいた。
優翔『おーい!みんな!お帰り!おめでとう!』
一哉『優翔…ただいま』
七海『ただいまー!』
玲香『やっほー!』
優翔『1年の2人もお疲れさま!』
真春『ありがとうございます!』
好一『ありがとうございます!!』
優翔『じゃ、真冬の家にいそごう!』
玲香『おー!』
真春『緊張します…』
一哉『緊張するなって…』
優翔『そうだよ~する必要なんてないよ~』
真春『は、はい…』
玲香『可愛い人だからって好一、好きになっちゃダメだよ~?』
優翔『そうだぞー!』
好一『な、なりませんよ!!』
俺達は優翔に案内されて真冬さんの家へとついた。
玲香『でか!?』
七海『うそ!?』
優翔『やっぱりいった(笑)』
一哉『真冬さんって…なんなの…』
玲香『普通の大きさなのかもしれないけど…なんか豪華』
七海『豪華なオーラなせいで大きく見える…?』
優翔『そうかもね~』
真春『優翔先輩…どうしたんですか?』
玲香『なんか他人事のような……』
優翔『まあ、皆が合宿いってる間に色々あって。まあ気にしない気にしない!』
玲香『(なんかあった…?…一哉が誘われたことと関係あるのかな…)』
七海『じゃ入ろう!』
俺達は七海に促され、動き出した。
インターホンを鳴らすと…。
真冬『あ!皆いらっしゃーい!丁度準備できたの!入って!』
一哉『お邪魔します…』
七海『お邪魔しまーす!』
真春『お、お邪魔します…』
俺達は奥のリビングに通された。
真冬『じゃあ!今日は皆!おめでとう!
インターハイ…西野君は制覇!七海と玲香は2.3位!
真春ちゃんは惜しかったけど…成宮君は4位!
この結果に……かんぱーーーい!』
一同『乾杯!!』
俺達は食事を始めた。
玲香『うっわ!おいしー!!』
真春『こんなに美味しいの食べたことないです!』
七海『ヤバイよぉ~』
真冬『西野君?どう?』
一哉『はい…おいしいです…優翔も幸せだな』
優翔『あぁ。だろ!』
一哉『おう!』
玲香『いやぁインターハイ…我ながらいい試合だった…』
七海『里奈さんがここにいないのが悔しいね…』
一哉『だな…でも…里奈がいたらえらいことになるぞ…』
真冬『里奈って誰??』
七海『一哉の幼なじみで今年の女子優勝の人だよ!めちゃくちゃ速いんだよ!』
玲香『速いよね…今日の一哉もかなり速かったけど…』
真春『動画見ますか!?決勝の動画ありますよ!』
優翔『あ!いいじゃん!見ようよ!』
玲香『なんか恥ずかしいなぁ~』
一哉『いいんじゃない?見ようよ』
俺達はまず男子決勝の動画を見た。
真冬『え!?これ!?速くない!?』
玲香『めちゃくちゃ速いでしょ!?』
優翔『す、ずげぇ…』
七海『…あ!これ!これが里奈さん!!』
一哉『あいつもやっぱ速いな…』
優翔『あ、もしかして一哉の好きな人ってこの人?』
一哉『昔のな』
優翔『へぇー!見る目はあるじゃん?』
玲香『でも、今の好きな人教えてくれないんだよね~』
七海『まあ、いつかは聞き出すけどね!』
一哉『おれは教える気ないけどね?まあ、今は楽しもうよ!』
俺達はその後2時間ほど騒ぎ続けた。
時間ももう9時をまわっていた。
しかし、せっかくの夏休みということで
真冬さんの家に全員泊まることになったのだった。
俺達は2人1部屋で空き部屋を借りることになった。
一哉『まあ、男子は3人…女子は4人…誰か1人部屋か…』
優翔『俺、好一と仲良くなりたい』
好一『俺も優翔さんともっと話したいです!』
この2人はなぜか意気投合し…師弟関係のようになっていた。
一哉『わかったよ…どうぞ』
俺はその結果…1人部屋になった。
俺が1人で真冬さんに案内された部屋で音楽を聴いていた。
『(1人でいるのが1番楽だった…か…
確かにそーだったかもしれないな…
今は…皆がいてくれる。里奈も俺を許してくれた…この曲はもう俺には必要…ない…かな?保存はしておこう…)』
『(空の下は自由だと言ってる…未来とは今が入り口か…
今…俺がこうしてる間にも未来への扉は開けようとしてるのか…)』
『(失敗しても前を向いて…君ならできる…か
このアーティスト…俺やっぱ好きだ…)』
そう思っていたとき…不意に肩をつつかれた。
俺はイヤホンを片方外して後ろを向くと七海がいた。
七海『なに聞いてるの?』
一哉『この曲…』
俺は真冬さんにイヤホンの片方を差し出した。
七海『本当にこのアーティストが好きなんだね…』
一哉『あぁ…他にもこんな曲もきいてるよ』
七海『あ…この曲は…』
一哉『決心のきっかけは理屈ではない…いつだってこの胸の衝動から始まる』
七海『いい歌詞だね…』
一哉『俺さ合宿行ってよかったよ』
七海『え?』
一哉『だって…里奈にもしっかり話せて…わだかまりが消えた』
七海『今頃…里奈さんなにしてるかなあ』
一哉『あいつのことだから…練習してるんじゃないかな?』
七海『あー、…って!夜何時だとおもってるの!(笑)』
一哉『(俺は…この七海の笑顔が好きなんだよな…)』
七海『ん?な、なに?…そんな見つめられたら恥ずかしいよ…』
一哉『ごめん…みとれてた(笑)』
ー4日後ー
4日後…俺達は学校が始まり教室にいた。
いつものように4人で登校して教室にやって来ていた。
しかし…俺は…この日、目と耳を疑うことを目にしてしまった。
佐々木『はい、では…夏休みも終わり…またこのクラスに
転校生がやってきました。新しくこのクラスの仲間になる
人がいます』
一哉『(懐かしい…俺もこんなことあったんだよな)』
などと他人事のような気持ちで転校生が入ってくるのを
待っていた。
佐々木『じゃあ…堀さん?入ってきて?』
一哉『!?』
七海『え!?』
玲香『あれって…!』
佐々木先生に呼ばれて入ってきたのは…。
佐々木『じゃ、自己紹介よろしくね』
堀『兵庫の星稜高校からやってきました。堀里奈です』
一哉『里奈!?』
佐々木『あら?知り合い?…あ、西野君も星稜だったわね…』
里奈『あ、一哉…』
同級生A『え、なになにこの展開…』
同級生B『え…まさかの知り合い?』
同級生C『ていうか…堀里奈って…一哉と一緒に新聞に載ってなかった?』
同級生A『あ!インターハイ女子優勝!?』
里奈『まあ…そうです』
一同『えー!!』
佐々木『こんな偶然ってあるものなのね…まあいいわ…
じゃあ、堀さんの席は西野くんの真後ろの席で…隣はいないけど前の2人から色々教えてもらって?』
里奈『わかりました』
里奈は何気無い顔で俺たちの後ろの席に座った。
一哉『里奈…なんで転校!?』
七海『そ、そうだよ!星陵は!?』
里奈『なんだろ…親の転勤とでも言っとく』
一哉『うそつけ…』
里奈『んー…転勤は本当だけど…転勤先は北海道
遠すぎるからって私を東京の家に預けたの』
一哉『なんかにたような感じ…』
七海『陸上部入ってくれる…?』
里奈『もちろん!』
一哉『雄介のことは…もう大丈夫?』
里奈『私はもう吹っ切れた…よ』
一哉『そっか…まあ今日から…よろしくな!』
玲香『一哉、顔がにやけてるよ~?』
里奈『私、一応雄介の彼女だよ?…まあ死んでるし…別れたも同然だけど』
一哉『そんな顔してないから!…なんか悲しいこと言うなよ…』
突然やって来たことに俺は最初戸惑ってしまったけど
実際に仲間になってみるとなんも違和感がなかった。
一哉『(昔に戻ったみたいだな…雄介…里奈が俺達の…
ところへ戻ってきたよ)』
俺そんなことを思いながらその日の授業を受けていた。
昼休み…いつもの4人に里奈を加えた5人で食事をしていた
優翔『一応俺だけ面識ないから…北野優翔!
サッカー部だけど…よろしくな!優翔って呼んでよ!』
里奈『私は一応…堀里奈だよ…よろしく優翔』
優翔『おう!……ん?あ、真冬!!こっちきて!』
入口にいた真冬さんを優翔が呼び寄せる。
里奈『だれ?』
玲香『あ、優翔の彼女の山下真冬だよ!』
真冬『山下真冬です!よろしくね!』
真冬が里奈にウィンクをする。
一哉『(やばいな…里奈が嫌いなタイプ…抑えてくれよ…)』
里奈『わたしは堀里奈。よろしく』
一哉『(ほっ…)』おれがほっとしたのも束の間…。
里奈『真冬さんって…あざといんだね』
真冬『うっ…そ、そうかな…』
優翔『ちょ!?里奈ちゃん!?目が怖い目が!』
一哉『里奈…』
里奈『…ハッ!ん?どうしたの?優翔も真冬ちゃんもそんな怯え……』
その様子を見てた七海が小声で聞いてくる。
七海『もしかして里奈さんって…』
一哉『うん…真冬さんみたいなタイプが苦手なんだ…
だから…無意識に毒をはく…』
七海『意外…』
……と、里奈の別の一面を知って、小さな恐怖を覚える
七海達であった………
里奈が転校してきて、早1ヶ月。
俺達は明日に迫った秋の修学旅行の予定を確認していた
俺と里奈は途中参加のため、班に所属していなかった。
しかし、佐々木先生の考慮で
沖縄に行くという優翔、玲香、七海の班に入ることになった。
沖縄の国際通りや美ら海水族館という定番のコース巡りを
することになっているらしい。
里奈も馴染んで来てはいたが…俺といるときのリーダーシップは
クラスにいるときはまだ発揮できていない。
しかし、部活になるとうって変わって…
インターハイ1位の俺と里奈のツートップに
皆はついてくる…という形に変わっていた。
玲香には『最強コンビに部活のメニューは任せる』と
言われるぐらいだった。
しかし…里奈と俺の練習のしかたは兎に角真逆だった。
里奈の方向性はとにかく基礎だけを徹底する。
実践練習は最後の20分ぐらいしかやらない…というもの。
俺の方向性は基礎をしっかり前半でやって、
後半は各種目ごとに練習。そして最後に実践練習も30分以上しっかりやる…というもの。
一哉『だから…そんなに基礎だけやっても実力は延びないでしょ…』
里奈『わかってないなぁ…練習は基礎にあり!って沢木さんに言われたでしょ!』
一哉『基礎ばっかやってたら本来の実力がつかないっていってるの!基礎を否定してるわけじゃない!』
七海『里奈…一哉…ちょっと落ち着きなって…2人で仲良く決めてよ…』
2人『落ち着いてます!!』
玲香『またやってるの…?相変わらず…息ぴったりだな…合宿の時と全然違う…』
一哉『はぁ…少しは変わったかな…って合宿で思ったのに…
まったくかわってない…雄介も大変だったろうな…』
里奈『はぁ!?今、雄介は関係ないでしょ!
雄介じゃなくて一哉が死んでもよかったんじゃなくて!?』
一哉『なんだと…!?』
玲香『はい!里奈!そこまで!!!』
好一『西野先輩もそこまで!!!』
俺は好一に止められ、里奈は玲香に止められる…ということが
日常茶飯事になっていた。
七海『もう…里奈さんも一哉ももっと仲良くしなよ…
合宿の時みたいに…』
一哉『里奈がもっとおとなしくなれば…はぁ』
里奈『一哉がもっと雄介みたいに優しくなれば……はぁ…』
俺達は再び睨みあう。
玲香『やめなさいっていってるでしょ!』
七海『玲香がお母さんに見えてきた…』
玲香『やめてよ…はぁ…』
七海『仲良く仲良く!…一哉の好きなグループもいってたじゃん!ポジ○ースって!!』
一哉『はあ…玲香…メニュー決めてよ…里奈じゃ話にならない…』
俺が最後まで言い終わる前に七海に口を塞がれた。
七海『一哉!!シッ!』
玲香『わかったわかった…今日も私が決めるよ…
今日は大会形式でタイムを測ります。もちろん練習前に走り込みをやってから…皆!いくよ!』
一同『はい!』
皆が一斉に走り出す…。
教室では普通の友達のように静かなのに…。
部活になると…必ずこの喧嘩が繰り広げられる。
玲香『じゃあ…次!短距離!七海と…一哉!』
七海『一哉!!よろしくね!』
一哉『もちろん!負けないよ』
もちろん…俺が勝ち、44秒という記録を叩き出した。
七海『男女とはいえここまで差があると悔しい…』
一哉『まあまあ~体の作りがちがうからね…』
その日の練習も無事に終わり…
俺と里奈は普通に戻っていた。
里奈『一哉、帰ろうよ』
一哉『あぁ、いいよ…ああー疲れた…』
七海『(本当にこの2人不思議…)私も一緒に帰る!』
一哉『よし、帰ろう!』
俺達は4人で帰るのが日課のようになっていた。
一哉『なぁ?』
七海『ん?どうしたの?』
里奈『??』
玲香『どうしたの?一哉』
一哉『沖縄のさ部屋…1人の部屋あったよね?』
里奈『あ、あったね』
玲香『優翔がじゃんけんで負けてなかった?』
一哉『俺が1人部屋になっていいかな?』
里奈『え、なんで?病んでるの?』
一哉『そうそう…最近疲れちゃって……って違うわ!!』
七海『あははは(笑)』
里奈『じゃあ、なんで?』
一哉『んー…1人のほうが気がらくだから』
玲香『じゃ、優翔にたのめばいいじゃん?』
里奈『そうだよ』
一哉『わかった…じゃ、俺が1人部屋ってことで』
里奈『修学旅行…楽しみ!!!』
玲香『だね!!!インターハイのお祝いの感じで遊びまくろう!!!』
七海『うん!!!』
その日の夜
七海達とLINEで会話をしていた。
LINE
里奈『修学旅行たのしみだね!』
一哉『いやーゆっくり楽しもうっと…』
玲香『もう明後日だもんね!』
七海『一哉?優翔にきいたの?』
優翔『え?なんのこと?』
一哉『あ、そうだった…優翔、1人部屋変わってくれない?』
優翔『え、まじ!?いいの!?』
一哉『ああ』
優翔『じゃ、頼んだ!』
一哉『おう』
里奈『良かったね…病んでる一哉くん』
優翔『え、病んでるの?』
一哉『里奈💢…だから病んでないって』
玲香『まあまあ…とにかく遅刻しないようにね!明日!おやすみ!!』
里奈『うん!おやすみ!』
七海『一哉!皆!おやすみ!』
一哉『おやすみ~』
優翔『グッドドリームアメージング!最高に驚く夢見ろよ!おやすみ!』
という普通の高校生の会話をして俺は眠りについた。
AM6時30分…
学校に集合していた俺達。
長い長い校長の挨拶がおわり俺達はバスへと乗り込んだ。
里奈『一哉!写真とって!』
一哉『優翔に頼めよ…zzz…』
七海『優翔も寝てるんだもん…ねぇねぇ…撮って?』
一哉『わ、わかったよ』
俺は言われた通り写真を撮る。
その後も寝てたら起こされ…の繰り返し。
お昼時になれば外での写真撮影…
一哉『(女子の写真好きという気持ちがわからない…)』
里奈達を見ると玲香を見て爆笑している。
俺は気になったので声をかけてみることにした。
一哉『なに笑ってんの?』
七海『あ、一哉…れ、玲香が…壊れた(笑)』
玲香『七海がやれっていったんじゃん!』
一哉『ん?なにを?…見せてよ』
玲香『えー……箸君箸君…』
一哉『それ俺が好きなアーティストがやってたやつ(笑)』
七海『そう!昨日番組見てたらやってて…面白いからやってもらったらにてて…ククク…』
などといつもの明るい会話をしながら空港までの
時間を俺達は楽しく過ごした。
俺達はついに修学旅行の目的地…沖縄へとやって来た。
現在の時刻は4時。今日はホテルで自由行動になる。
しかし…俺は疲れてしまったため、ホテルで休むことにした。
1人…ホテルで初めて今日1人になる。
いつも真春や好一に陸上を教えていたり
里奈と言い争っていたり…日頃のストレスがあるのだろうか。
俺はベッドにダイブすると…すぐに眠ってしまった。
俺は…ドアをどんどん叩くおととスマホの着信音で目が覚めた。
俺は寝ぼけ眼で現在時刻を確認する。
一哉『(18:30…!?やばい!飯の開始時間1時間すぎてる!)』
俺が、そう思って急いで扉を開けて部屋を出ると…そこには七海がいた。
一哉『七海…飯は…?』
七海『もう…何度も呼んだのに…』
一哉『他の皆は…?』
七海『お風呂だったり…20:00までは外出できるから、皆出掛けてる』
一哉『…んで、七海はなにしてるの?』
七海『待っててあげたんじゃん!』
一哉『え!?飯は!?』
七海『食べてない…』
一哉『え!?なんで……あ、俺が寝てたからか…』
七海『ってことで、私をご飯につれてってください』
一哉『いいけど…』
七海『お腹すいたから早くいこうよ』
一哉『わかったよ…何食べる?』
七海『無難にマックじゃない?』
一哉『まあ…だね。いこう』
七海『一哉…お財布は?』
一哉『あ、忘れてた…待ってて…』
七海『(もう…寝ぼけてるんだから…一哉といたくて待ってたんだけど…先が思いやられる…部活の時の一哉はあんなにかっこいいのに…)』
一哉『お待たせ。いこっか』
七海『うん!』
俺達はホテル近くのマックへとやって来た。
一哉『ごめんね…ホテルの料理みたいに豪華じゃなくなっちゃって……』
七海『まったく…でもこういうのもいいじゃん?ある意味いい思い出だよ』
一哉『七海は何食べてるの?』
七海『普通のハンバーガー』
一哉『無難だな(笑)』
七海『いいじゃん!…一哉は?』
一哉『エグチ』
七海『…意外』
一哉『そう?』
七海『うん…あ、ちょっとお手洗い行ってくる』
一哉『おう』
七海は席を立ってトイレへと向かっていった。
私は玲香とのLINEを見返していた。
LINE
玲香『修学旅行でカップル成立…とかベタだけどせめて距離は縮めなよ?』
七海『う、うん…合宿で頑張るって決めたし…』既読
玲香『里奈さんと付き合っちゃう前に気持ち奪っちゃえ』
七海『でもどーしたら…』既読
玲香『告白あるのみ。無理なら…明日の自由行動2人で行動することを約束してもらえばいいんだよ』
七海『わかりました…。』既読
私はトイレの鏡の前で自分の姿を見た。
七海『(一哉は…どんな格好の人が好きなのかな…里奈さんみたいに大人っぽい格好?それとも真冬や玲香みたいに軽い露出がある色っぽい服…?)はぁぁぁ…わかんないや…』
私は悩みながら…玲香にLINEを送った。
LINE
玲香『修学旅行でカップル成立…とかベタだけどせめて距離は縮めなよ?』
七海『う、うん…合宿で頑張るって決めたし…』既読
玲香『里奈さんと付き合っちゃう前に気持ち奪っちゃえ』
七海『でもどーしたら…』既読
玲香『告白あるのみ。無理なら…明日の自由行動2人で行動することを約束してもらえばいいんだよ』
七海『わかりました…。』既読
七海『一哉はどんな格好が好きなのか…何をすれば喜んでくれるのか…まったく検討もつきません…』
七海『はあ…』
私は悩みながら一哉のいる席に戻った。
一哉『大丈夫?遅かったけど』
七海『心配無用だよ…』
一哉『な、なんでそんな元気ないの…』
七海『いや…別に…』
一哉を見るともうすべに食べ終わっていた、
七海『一哉…これ食べる?…飲み物も飲んでいいよ…
私疲れて眠くなっちゃった…』
一哉『え…でも…』
七海が『いいよ、食べなよ…私のお腹は気にしないで』
一哉はなぜか迷いながらも…わかったといって、
私のハンバーガーやら飲み物を食べ始めた。
一哉はハンバーガーを一瞬で食べ終わったが…
喉につまらせ私の飲み物を飲んで助かっていた。
七海『そんな焦って食べなくても…』
一哉『…いや、眠いなら早く帰って寝ないとね…明日も早いし』
…見ると一哉は顔を真っ赤にしている。
七海『一哉…熱でもある?顔真っ赤だよ?』
一哉『!!そ、そんなことないよ…』
七海『(なんでそんな赤くなってるの?早く帰ろうとしてくれたことに恥ずかしくなった?……ハッ!!)』
私は…そこまで考えて…自分の行動が恥ずかしくなった。
七海『か、間接キス…』
一哉『だから、言ったのに…』
七海『まさか…照れ隠しで一気に食べたの?』
一哉『…うん…まあ…………さ、さあ!行こう!』
七海『照れなくてもいいのに…一哉なら歓迎するよ……』
一哉『!?』
七海『ハッ!!な、なんでもない!い、行こう!うん!』
私はホテルに帰る前に一哉と沖縄の浜辺に立ち寄った。
俺は…先程の七海の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。
一哉『(歓迎…)』
七海『海…きれいだね…』
一哉『だね…七海…?』
七海『うん?なに?』
一哉『歓迎ってどういうこと…?』
七海『!!気にしないで!いいから!ね!』
一哉『そんな否定しなくても…』
七海『一哉はさ…明日の午後誰といくか決めてる?』
一哉『んー…後日行きたい場所はグループでいくとき行くし…
浜辺でトレーニングしたいのが本音』
七海『なんで沖縄来てまで…』
一哉『まあね…雄介に負けないためにも、ね』
七海『雄介さんとか里奈さんのこと本当に大切なんだね』
一哉『あぁ。大切な幼馴染みだよ』
七海『そっか…一哉は……前も同じこと聞いたけど…』
一哉『え?』
七海『里奈さんのこと…今も…好きなの?』
一哉『里奈ね…嫌いじゃないよ』
七海『え…?好きなの?』
一哉『…あいつは雄介の彼女だから。雄介がいなくても
あいつの気持ちは雄介にある…だとしたら俺が好きでいても無駄でしょ?…だからって訳じゃないけど…里奈はもう過去の恋』
七海『…なんか寂し…あ!それで病んでたんだ!』
一哉『そうそう!本当にさぁ…違うから!!』
七海『でも…好きだった人と一緒にいるとまた好きになるもんじゃないの?』
一哉『俺も合宿いくまではそう思ってたけど、大丈夫だった。
俺は…今新しい恋してるから』
七海『ねー、それいい加減教えてよ~』
一哉『七海がさっきの歓迎の意味教えてくれたら、俺もじゃあ教えるよ』
七海『な、なんでよ!ずるくない!?』
一哉『ずるくないよ?』
七海『むう…』
一哉『はは(笑)そろそろ戻ろう?』
俺は立ち上がって歩き出した。
しかし、七海が立ち上がらない…。
一哉『七海?』
七海『え?あ、行くんだよね!よし!戻ろう!』
一哉『(?)あー明日の午後はゆっくりしよっと…』
七海『ねぇ…一哉…その事なんだけど…』
一哉『ん?』
七海『午後さ…わたしと出掛けない?』
一哉『え?どこに?』
七海『残波岬…』
一哉『え、岬?』
七海『なんか…きれいな場所なんだって…行きたいなって』
一哉『わかった。じゃ優翔とかには俺から…』
七海『ちがうの!……2人で行きたいの…』
一哉『え!?………………』
七海『だめかな…』
一哉『…いいよ』
七海『ほんと!?』
一哉『いくよ』
七海『やったぁー!!!』
七海は嬉しそうに先に走り出した。
一哉『あ!ねぇ!自由行動終わったらすぐいく?』
先を走っていた七海が俺の方を振り返り…
七海『一哉に任せるよ?』
と、おもいっきり、叫んでいた。
一哉『あ、ほんと?じゃそうしよっか!』
俺は七海を追いかて…つられるように走り出した。
翌朝…俺は…朝早く目が覚めてしまったため、
昨日、七海と約束した海岸まで散歩に行くことにした。
しかし…まだ太陽は昇っていなく、外は暗闇が溶け始める直前だった。
俺が海岸について、砂浜に佇んでいると…どこからか歌が聞こえてきた。
一哉『(こんな朝早く…だれだ…?それにこの曲…)』
俺は声がする方まで歩いていく。
一哉『(やっぱり…この曲…この声…)』
歌声『サヨナラに強くなれ…この出会いに意味がある……
悲しみの先に続く僕たちの未来…。
始まりは…いつだってそう何かが終わることもう1度君を抱きしめ…』
俺が近づいていくと…その歌の主は俺に気づいたようで歌うのをやめてこちらを振り返った。
一哉『里奈…』
里奈『一哉…?どうしたのこんな朝早く…』
一哉『里奈こそ…俺は目が覚めちゃったから』
里奈『私もそんなとこかな…』
一哉『でも…その曲は…別れを惜しむな…出会ったことにこそ意味があるんだって歌う曲だよね…そう…雄介が好きな歌だった』
里奈『さすがだね…この曲は…私の宝物。
この曲は唯一…私と雄介を繋いでてくれる…』
一哉『そっか…俺も歌おうかな…ってカラオケじゃないけどね(笑)』
里奈『いいじゃん?歌いなよ』
一哉『まあ…気晴らしに歌おうかな…どういう意味の歌か
当ててみて』
里奈『イントロみたいだね(笑)まあ、やってみるよ』
一哉『では…ゴホン………地球と太陽みたいに光と影が生まれて…
君を探してばかり…距離は縮まらない…
重力引力惹かれて…1から10まで君次第…存在するだけで
影響与えてる…』
里奈『…なんでその曲…?』
一哉『俺と雄介の存在を象徴してる歌なんだ。
いつも皆を照らしていた雄介と…いつも里奈を困らせたり
喧嘩して機嫌を損ねさせたりする俺…。本当にこの曲のように光と影の存在だった…光の雄介は里奈を見つけ彼女にし、
影の俺は里奈を見つけられなかった…っていうね』
里奈『光と影…か…一哉が光になってたら…すべて未来は
違ったのかもね…』
一哉『…え?』
里奈は立ち上がりそう言い残してホテルの方へ戻っていった…。
一哉『(里奈…どういうこと…?)』
俺は…1人残されたまま…しばらくその場で考えいた。
やがて…太陽が昇り始め、明かるくなり始めた頃。
??『一哉~!!なにやってんのー?』
俺は声がする方へ顔を向けた。
一哉『七海…玲香や優翔も…里奈まで…どうしたんだよ』
一哉『(さっき帰ってった里奈まで…)』
里奈『私は皆に誘われたから』
玲香『一哉だっているじゃん?1人って……本当に病んでるんじゃないの?』
一哉『病んでないってば…ただ朝日を見に来たの』
七海『わぁ!本当だ!めっちゃきれい!アメイジングサン!』
一哉『なんだよそれ…(笑)いやさぁ、学校にいるときはこんなの見れないじゃん…こんな人の心みたいな青空』
優翔『確かにな…一哉もたまにはいいこと言うじゃん?』
七海『この空が…景色が…人の心か…じゃあ、恋心は雨空だね』
里奈『なんでよ?そこは…快晴とかでしょ』
一哉『んー、でも悩んだりすれば暗くなるし…振られれ涙を流すし…ある意味あってるかもよ?山の天気みたいにころころ変わっちゃうけどさ』
玲香『あー、なるほどね…』
優翔『なんでみんなそんな感傷に浸ってるんだよ~』
一哉『俺は…今年の夏こっちにきて、皆とこの景色みたこと
絶対忘れないと思う』
里奈『あー…それはわかる。私も忘れないかな』
優翔『まあこんな景色友達とみたことなんて忘れないよな』
玲香『今年の夏…2人が来てくれてよかった』
一哉『玲香…ありがとう…………そろそろ戻ろっか』
里奈『そうだね…見つかったら怒られるし』
優翔『よし!戻ろう!!』
俺達は…朝日が空に昇るのを見送ってホテルに戻っていった。
俺は1人立ち止まり…もう一度空を見上げた。
一哉『さっきまでの空はないか…今の空は…いいことがあった
快晴空かな?……恋雨空…か…いつか体験するのかな…』
俺は…わからないけど…その空を見れる日はそう遠くない気がした。
玲香『一哉!!なにしてるの?はやくいくよ!』
一哉『おう!今いく!』
俺は玲香に再び呼ばれて、ホテルへと走っていた。
修学旅行へとやってきた若杉第三高校のメンバーたち。
今日、俺達は午前中はクラスで首里城前へとやってきていた。
里奈『でか…赤…』
優翔『坂……』
七海『さすが世界遺産だねぇ…』
玲香『里奈…優翔…小学生みたいな感想いわないの…!』
一哉『ま、とりあえず早くいこうよ』
俺は先に歩き出す。
里奈『私先行くからね。一哉…遅』
里奈はどんどん前へと進みながら俺とすれ違うときにそんなことを
呟いてきた。
一哉『(カチン)あー早く上の景色がみたーい!!!』
俺はそんなこと言いながら坂と階段を一気にかけ上がる。
七海『ちょ!?一哉!!里奈!?』
玲香『部活でもないのになんであのモード…』
その結果…俺と里奈はクラスのみんなが全然下にいるのに
俺達は2人先についてしまった。
ついたために、10分ほど皆がくるまで待つことになった。
一哉『全く…こんな待つことになるじゃん…』
里奈『私は何も言ってないけど?勝手についてきたんじゃん』
一哉『まったく…』
里奈『ねぇ、一哉』
一哉『ん?』
里奈『一哉ってさ七海のこと好きなの?』
一哉『!?…は!?』
里奈『そんな驚かなくても…今朝仲良さそうだったから』
一哉『そりゃ、俺がこっちにきて始めてできた友達だし?……
里奈もそうだろ?』
里奈『まあね~いいこすぎて一哉に狙われてたらどうしようと思ってさ』
一哉『なんだよそれ…』
里奈『私は…一哉に救われてるから』
一哉『…え?』
里奈『…ううん…なんでもない』
一哉『え…?』
俺らがそんな話をしていると皆が階段を昇りきって
門を潜り俺達に声をかけてくる。
クラスメイトA『おーい!西野!堀さん!』
クラスメイトB『1回集合だよー!』
里奈『うん!いまいくー!』
一哉『おう!(なんなんだ里奈のやつ…)』
おれば皆と合流して首里城を見てまわった。
その後皆で国際通りに行き、午後の自由行動となり、
俺が1人でいると約束くしてる七海が近づいてきた。
七海『一哉!!いこっか!』
一哉『おう!残波岬…だっけ?』
七海『うん!楽しみ!』
俺達は国際通りを離れ、残波岬へと向かった。
ー残波岬ー
一哉『海綺麗だな…』
七海『快晴空だから余計に綺麗に見えるね…』
一哉『灯台が他の色より強調して青と合ってて綺麗だな』
七海『やっぱり!一哉ならここの世さわかってくれると思った!』
一哉『ちょっと座らない?』
七海『うん!』
一哉『まさか七海とこんなところ来るなんてな~』
七海『え、どういうこと~?』
一哉『今だから言うけど…最初は優翔や七海のテンションに
ついていけないことがあったんだ』
七海『嘘!?…ご、ごめん…』
一哉『全然。でも、合宿でその明るさに助けられたりして…
七海の存在のありがたさが凄くよくわかった』
七海『…な、なに!?急に…照れる…』
そう言って七海は顔を隠してしまった。
一哉『なんかこんな綺麗なとこつれてきてくれたお礼?じゃないけど…なんか言いたくなった』
俺は七海にそう微笑みかけた。
七海『…私だって一哉に感謝してるんだから…』
一哉『俺、なんもしてないよ?いつも里奈と迷惑かけて…』
七海『合宿で助けてくれたり…部活応援してくれたり…』
一哉『それは別に…当たり前のことで…』
七海『そうかな?でも…私は嬉しかった』
一哉『七海…』
七海『そ、そろそろ戻ろうか!時間も30分ぐらい経ったし!』
七海が立ち上がって去ろうとした…俺は反射的に七海の手を掴んでいた。
七海『!』
一哉『…もうちょっといようよ』
七海『……うん……』
一哉『あ!ごめん…手…』
俺がそう言って手を離そうとすると…七海は握り返してきた。
七海『…このままでいたい』
一哉『…うん……あ!音楽聞く?』
七海『う、うん!』
一哉『最近…この曲をよく聞くんだよね』
俺はイヤホンの片方を七海に渡して流し始めた。
七海『…っていうかこの曲この前も聞いてたよねー』
一哉『よくない?胸の衝動から決心するって』
七海『私もそろそろ…決心しなきゃな…』
一哉『…え?』
七海『一哉…今日の19時に…ホテル抜け出して昨日約束した場所に来てくれないかな…?』
一哉『いいけど…なんで?』
七海『私の決心…見てほしい』
一哉『わ、わかった』
🎵🎶🎶🎵~🎶🎵🎵🎶
俺のスマホのメロディが鳴り響く。
一哉『ごめん…ちょっと』
俺の手を離すのを躊躇いながらも電話に出る。
TEL
一哉『もしもし?』
玲香『一哉!!!いまどこ!』
一哉『え、残波岬ってとこだけど…』
玲香『あ…ごめん…やっぱりいいや…』
一哉『え、なに?なんなの?』
俺がそう聞くと玲香は躊躇いながら…
玲香『…大変なの!!!』
一哉『だからなにが!?』
玲香『里奈が…』
一哉『里奈?里奈がどうした?』
玲香『里奈が…倒れたの!!』
一哉『は!?なんで!?』
玲香『わかんない…わかんないけど!』
一哉『わかった。今いく!』
玲香『え…でも…七海と…』
一哉『…緊急事態にそんなこと言ってられない…』
玲香『…そっ…そうだよね…ごめん…』
俺は電話を切って、七海にいった。
一哉『七海…ごめん…俺行かなきゃ…』
七海『…里奈?』
一哉『倒れたんだって…』
七海『倒れた!?…はやくいってあげなよ!?』
一哉『…ごめん…約束は守るから…待ってて…』
七海『うん…待ってるから…』
一哉『ごめん…いくね…』
七海『うん…』
俺は七海を置いて、市立病院へと急いだ。
一哉『(体調悪いのに無理しやがって…)』
俺は気づけなかった自分へのイラつきと言わなかった里奈への
謝罪の気持ちで…自然と走っていた。
ー市立病院ー
俺が病院の受付で倒れた里奈の名前を告げて、
病室を確認していると…階段から玲香が降りてきた。
玲香はこちらに気づいて近づいてきた。
一哉『玲香…』
玲香『一哉…ごめんね…』
一哉『里奈は?』
玲香『この8階段の820…今寝てる』
一哉『なんで倒れたの…?』
玲香『軽い熱中症と…貧血らしいよ』
一哉『熱中症…秋でも沖縄はさすがってことか…普段鍛えまくってる里奈が倒れるなんて…いや…貧血の方が大きいのか…』
玲香『早く行ってあげて?』
一哉『うん…』
俺が部屋にいこうとすると…
玲香『ねぇ!七海は?』
一哉『…残波岬にまだいると思う…』
玲香『…わかった』
一哉『七海のこと…ちょっと任せた』
俺はそう言い残して急いで上へと向かった。
一哉『(820…ここか…)』
俺は念のためノックをして部屋に入った。
しかし、里奈はまだ眠っていた。…落ち着いているようで俺は安心をして…里奈のベッドの横の椅子に座った。
時間はもう15時を回っていた。
私は…みんなと国際通で買い物してて…待ってる最中に…なんだっけ…………あぁ…貧血が出たんだ。
私はどれくらい眠っていたんだろう。
目を開けるとそこには白い天井があった。
??『里奈…?』
と名前を呼ばれ、横を見てみると…一哉がいた。
一哉『里奈…大丈夫か?』
里奈『…なんで一哉が…七海と一緒だったんじゃ…』
一哉『玲香から電話もらって来たの』
里奈『…玲香が…(なんで…)』
一哉『…大丈夫?』
里奈『もう平気』
私はそう言ってベッドから降りて立ち上がろうとする。
しかし…まだ十分に動けず倒れそうになってしまう。
一哉『里奈!!』
一哉が私の体を支えてくれた。
一哉『だめだって…まだ寝てなきゃ…』
里奈『…ごめん…今何時?』
一哉『18時になるところ』
里奈『え!?そんなに眠ってたの!?』
一哉『3時間ぐらいか…よく寝てたよ』
里奈『な!まさか!寝顔見てたの!?』
一哉『そりゃ、ずっとここにいたからね』
里奈『!!!………こ、この変態!』
一哉『な!?せっかく面倒見ててやったのになんだその物言い!』
里奈『…ごめん』
一哉『!?…お、おう…』
里奈『ねぇ…屋上つれてってよ…』
一哉『…はぁ?だからだめだっ…』
里奈『一哉が背負っていってくれればいいでしょ?』
一哉『里奈…熱でもある?』
一哉はそう言って私のおでこに手を当てた。
里奈『!?…………さ、さわらないでよ!…へ、変態!』
一哉『まあいいや…じゃ、屋上行こうか』
里奈『う、うん…』
一哉『さ、乗れよ』
一哉は私の手を持って起き上がらせてくれる。
私は…恥ずかしながらも、一哉に身を任せた。
里奈『(知らない間に優しくなったんだね…)』
一哉『さあ、着いたよ』
私の病室が8階なだけにすぐに屋上についた。
一哉は私を屋上のベンチに座らせてくれた。
一哉『あー!空気いい!』
里奈『だね…空気が澄んでる』
一哉『まったく…倒れたって聞いたときはなにがあったんだって
ビックリしたぞ…』
里奈『ごめん…最近貧血気味で…』
一哉『そういうことは早くいえよ』
里奈『…一哉には関係ないじゃん…』
私がそう言った瞬間呆れ気味に笑ってた一哉の顔が曇った。
一哉『関係ない?……関係なくなんかねぇよ!』
里奈『な、なによ…』
一哉は…落ち着いたトーンで再び話し始めた。
一哉『里奈になんかあったら…雄介に顔向けできねぇんだよ…
里奈は大切な仲間なんだぞ』
里奈『…(一哉…そんなに責任感じてるんだ…)』
一哉『まったく…』
里奈『…ごめん。雄介……一哉…あのね…』
私は…自分の中にある雄介を思う気持ちと同じ気持ちを…一哉にいつの間にか抱いていた。
一哉『ん?』
里奈『私…一哉のことが好き』
一哉『え…?』
里奈『私は西野一哉が大好きです…』
一哉『……』
里奈『私を…雄介から奪ってください…』
一哉『…里奈…そういう冗談は…』
私は…一哉に抱きついた。
里奈『私は…冗談なんか言わない。私の性格知ってるでしょ…』
一哉『…里奈…』
里奈『(でも…私は知っている…)』
一哉『里奈…あのね…』
里奈『…もういい…それ以上言わなくても…私はわかってる』
一哉『……』
里奈『一哉のここには…他の誰かがいるよね?私のことを心配してくれたり助けてくれるのは私を守らなきゃっていう使命をどこかで感じているから…まあ仲間だからってのもあると思うけど…
私に返事せず…いかないと…どうせ…あの子も思いを伝えるために一哉を呼び出してるよね?…待ち合わせがあるなら…行かなきゃ…ね?』
私は一哉から離れて、一哉の胸に手をあてながらそう言った。
一哉『ごめん…里奈…』
一哉は…私を強く抱きしめてから…屋上を出ていった。
里奈『(はぁ…あっさり振られたな…あれ…おかしいな…)』
私は振られるとわかっていたはずなのに…涙が零れた。
一哉が出ていって…私は一人で泣いていた。
一哉『(急がないと……時間がない…)』
俺は病院から全力で走って、約束の浜辺へと向かった。
時間に余裕はない。俺は……里奈を振ってしまった。
……俺のここにいる人…か…。
俺は練習の時よりがむしゃらに、全力で走り続けた。
時間はすでに…19時をまわろうとしていた
俺は里奈を振り、自分の心にいる人物が誰なのか…それが、
やっとわかった。
好きな人はいると思っていた。
でも、本当にその人なのか…俺は断言しきれなかった。
思えば俺が真剣に部活をやるとき…
俺が過去を話せずにいたとき…
合宿のきっかけを作ってくれたり…
どんなときでもどんなことをするときも
そばにいてくれたのは……七海だった。
七海は俺に私の決心を見せてあげる…そう言った。
それに答えなきゃいけない。
どんなに思いを圧し殺そうとしても
里奈を振ってしまった以上中途半端なことはできない。
一哉『(あとすこし…時間は…19:04…過ぎちゃってるけど…
必ず待っててくれるはず…)』
俺がホテルの前を通りすぎ、浜辺に降りようとした瞬間…
??『西野!!!!』
と名前を叫ばれた。
俺は躊躇したが…立ち止まり振り返ると…そこには…
学校で鬼と呼ばれる体育教師の赤坂がいた。
赤坂『お前、何時だと思ってるんだ?』
一哉『…』
赤坂『何時だと思ってるんだと聞いてるんだ!!早く部屋に戻りなさい!!』
一哉『…』
赤坂『聞こえないのか!?戻れといってるんだ!』
一哉『すいません…でも…戻れないです…』
赤坂『団体行動を乱す行動は慎めと言ったよな』
一哉『はい…』
赤坂『わかったらはやく戻れ』
一哉『嫌です!』
俺はそう言って再び走り出した。
赤坂『おい!西野!待て!』
赤坂は追いかけてくるが…インターハイ優勝の俺に…死角なし…
久しぶりに自分の陸上馬鹿に感謝する俺だった。
俺は再び急いで七海の待つ…約束のところへ向かった。
着いたのは…19:30になる直前だった。
俺は…息を切らしながら浜辺に七海の姿を探した。
私は約束の時間より…少し早く、約束の場所に来ていた。
七海『(あと…5分…来るよね…来てくれるよね…?)』
わたしは昨日約束した場所に座って待っていた。
しかし…待てども待てども一哉の姿は現れない。
七海『(やっぱり…里奈が心配で約束なんか忘れちゃったのかな…)』
私は…そう思った途端、涙が自然と流れてきた。
七海『(そっか…私は…失恋したんだ…)残念だなぁ…』
私は…立ち上がり…その場所をゆっくりと去っていった。
時間は…すでに35分も過ぎていた。
俺は…間に合わなかった…?
七海との約束に…間に合わなかった…。
俺は結局約束も守れず中途半端なことをしてしまった。
どんなに悔やんでももう遅い。
さっき、なんで赤坂にとめられたからと立ち止まってしまったのか、何度でも途中で走り出せたはずだった。
俺は…里奈を雄介から譲り受けることを拒否した。
なのに、俺を待っていてくれた七海を…傷つけた。
俺にできることは…もうないのか…。
私は一哉のことを思いながらも…ホテルまでの道をゆっくり…
ただゆっくりと戻っていた。
ホテルの入口が見えてくるところに…赤坂先生がいた。
赤坂『櫻井…?お前何時だと思ってるんだ!!』
七海『すいません…部屋に戻ります…』
赤坂『あ、待て!』
七海『え…?』
赤坂『西野をみなかったか?お前と同じ陸上部の』
七海『…一哉…?見てません…』
赤坂『あの野郎…俺が止めたのに勝手にどこか行きやがって…』
七海『(え…どういうこと…?)先生…それどういうことですか…?』
赤坂『あ?…あぁ、5分くらい前か…西野が走ってどこかへ行こうとしていたから、ホテルに戻れと止めたんだ。…まああいつはどこかにいきやがったが…』
七海『(!!!…)せ、先生!それ…5分前って確かですか!?』
赤坂『あ、あぁ…なんだ、心当たりでもあるのか?』
七海『すいません!』
私は…無我夢中に…約束の場所に走った。
七海『(一哉は…来ようとしていた…しっかり約束を覚えて、
来てくれようとしたんだ…先生に止められて…間に合わなかったんだ…)』
私は…一哉がまだ里奈と付き合っていないという希望と
願いを思いながらひたすらに走りつづけた。
俺は約束を破った…。本当に後悔しても遅い。
七海は俺に決心を見せずに帰ってしまった。
自業自得ながら…腹が立つ…。
俺は空を見上げた。
一哉『(人の心に現せば…恋は雨空…か…)』
俺は七海の言葉を思い出しながらも涙を流した。
本当にもうできることはないのか…やれることはないのか…。
不意に俺のスマホが鳴った。
もう…あのメロディーは使っていない。
TEL
一哉『もしもし…』
里奈『七海と会えた?思い伝えた?』
一哉『約束に間に合わなかった…』
里奈『え…』
一哉『ごめん…切るよ…』
里奈『ばっかじゃないの!?』
一哉『は…?』
里奈『約束に間に合わなかった。それで終わらせていいの!?』
一哉『でも…俺にはもうできることなんて…』
里奈『一哉の好きなアーティストを思い出して。…辛いとき…私たち3人は必ずその曲をきいてたはず……七海はあなたに決心を見せるつもりだとおもう…なら…一哉も決心を見せないとダメでしょ!』
一哉『(曲…アーティスト…辛いこと…)』
俺はそこまで考えて…1つの答えにたどり着いた。
里奈『ねえ!一哉!きいてるの!?』
一哉『…里奈!!ありがとう!』
俺はそう言って電話を切った。
里奈がなにか言っていたが…あとで聞き直せばいい。
俺にできることは1つしかなかった。
俺と七海がよく聞いていた曲…。
俺は…1人でその曲を歌った。
これがどうになるとかそんなのは知らない。
俺がここにいる。それをわかってもらうにはこれしかない。
きっと届く…そう信じて俺は歌った。
私は一哉がまだ待っていると信じて…。
海へと引き返してきた。涙や回りの暗さで…
前がよく見えない
でも…私は一哉の名前を叫んだ。
七海『一哉!!!いる!?いたら…いたら返事をして!!』
しかし…辺りはシーンと静かに静まり返っている。
私は…何度も何度も一哉の名前を呼んだ。
七海『一哉!!いるんでしょ!?…いるなら…返事してよ…』
私は…悲しさと悔しさでしゃがみこんでしまった。
七海『(もう…帰っちゃったのか…な…)』
私がそう思ったときだった。
私が聞き覚えのある…あの音楽が聞こえてきた。
私が…決心をする勇気をくれた曲。
一哉と何度も聞いた曲…。
私は…声のする方に向かって再び走り出した。
一哉『~決心のきっかけは…理屈ではなくて
いつだってこの胸の衝動からはじまる
流されてしまうこと抵抗しながら
いきるとは選択肢…たったひとつを選ぶこと…』
一哉『(とどけ…とどけ!七海…約束守れなくてごめん…
でも俺はここにいる…)』
そう思いながら…祈りながら俺は歌い続けようとした。
その時…
??『一哉!!!!!』
俺は歌うのをやめて…振り返った。
そこには…涙を流した七海がいた。
一哉『七海…』
七海『一哉…』
七海は俺に近づいてきた。
七海『遅いよ…バカ…19時っていったのに…』
一哉『ごめん…守れなかった…でも…』
七海『でも、嬉しい…約束は破られてしまったけど…こうしてきてくれたことが…』
一哉『七海…七海が俺に決意を伝えるといったけど…最初に俺の言葉を聞いてくれないかな…』
七海『………うん…』
俺は七海に近づく。
一哉『…俺は…なにもできないし…陸上馬鹿です…』
七海『…知ってる…』
一哉『でも…それ以上に…櫻井七海が…』
【大好きです】
七海『ありがとう…本当に…来てくれてありがとう…』
一哉『七海…俺の…彼女になってください…』
七海『…大切にしてくれますか』
一哉『はい…』
七海は…俺に抱きついた。
俺は…七海をそっと抱き締め返した。
七海『やっと通じた…』
一哉『七海が…言ってた通りだね…』
七海『…え?』
一哉『泣いたりすることもある…心の空は…』
2人『恋雨空…』
七海『でしょ…?でも…いま私の心は晴天だよ…過去最高の…』
俺はもう一度七海を抱き締めた。
もう…俺は七海を離さない。
宇宙で1番の宝物を俺は…この日手にいれた。
END
まだ里奈を抱き締めていた。
里奈『一哉…いつまで抱き締めてんの…私、雄介の彼女なんですけど…』
一哉『あ、あぁごめんごめん…感極まって…(笑)』
七海『一哉の好きな人って…』
玲香『里奈さんなんだ…』
里奈『え?なんのはなし?』
一哉『七海!玲香!違うし…ちょっと黙ろうか…』
玲香『おっと…つい口が…』
里奈『え、なんのこと?ねぇ…一哉…?』
一哉『いつか言います!!じゃあ、俺は約束を果たしたので
学校に戻る!……遅い時間だし戻ろうよ!…じゃ!』
俺は必死になって逃げるようにその場を離れた。
里奈『また隠し事か…』
七海『まあ…そのうちわかりますよ(笑)』
玲香『…一哉の言う通り…そろそろ戻りましょう』
私達は、学校に戻ってきて各部屋に戻った。
玲香『七海?』
七海『…なに?』
玲香『一哉のこと好きでしょ』
七海『え…そんなわけないじゃん!何言ってるの玲香…』
玲香『私の目を見て違うと言える?』
七海『…』
玲香『七海、分かりやすすぎ。…あんなにあからさまにショック受けて…』
七海『でも…私はもう…さっき振られたから…』
玲香『わかんないじゃん…一哉は優しいから…あんなことしただけかも知れないでしよ?』
七海『…優しさだけなら…抱き締めるまでする必要ある…?』
玲香『(うっ…こういうときだけ鋭いんだから…)わかんないじゃん…里奈さんは…過去の人…今は七海が1番近くで一哉といるでしょ?』
七海『…私は一哉のこと好きだけど…あそこまで里奈さんを
守ろうとする一哉見たら…勝てないよ…』
玲香『はぁ…どこまでも奥手というかなんというか…』
七海『…』
玲香『じゃあ、私は一哉に告白するよ』
七海『え!?』
玲香『私も何だかんだ一哉に恋してる部分あるし?
もっとちかづきたいし』
七海『…』
玲香『いいんだね?』
七海『…うん…』
玲香『じゃあ…学校戻ったら告白しようかな』
七海『頑張ってね…玲香…』
玲香『(うーん…逆効果か…)ありがと』
私は…一哉が好きだけど…玲香や里奈さんには勝てないよ…。
練習3日目最後の日…俺は好一と真春の様子を見に2人の部屋に
向かった。
同じ部屋だから…といなぞの理由で里奈もついてきている。
一哉『あのさ…里奈…わざわざいいんだよ?』
里奈『なにが?』
一哉『真春や好一は俺が面倒見るし…わざわざ…里奈が来なくても…』
里奈『何、迷惑なわけ?』
一哉『そーじゃないけど…』
俺達がそんな話をしながら歩いていると前から七海がやって来た。
七海『あ…一哉、里奈さんおはよう!』
一哉『おはよ~疲れはとれた?』
七海『う、うん…なんとかね』
里奈『ごめんね…無理させちゃって…』
一哉『だから…激しくやり過ぎるなって言ったのに…』
そう…初日で倒れた2人は危険度Ⅱの熱中症だったため昨日休んでいた。しかし…七海まで昨日の終わりに倒れてしまったのだ。
まあ…七海は危険度Ⅰの熱中症の重度だったため、もう大丈夫の
ようだが…。
里奈『誰のせいでこんなに頑張ってきたと思ってるの?』
一哉『うっ…それは…』
七海『いやいや!全然平気ですよ!気にしないでください!
ほらほら!!』
七海は走り回って元気アピールをしていたが…
七海『うっ…』
一哉『危ない!!』
俺は階段の近くで倒れそうになった七海をなんとか…支えた。
一哉『だから…無理しちゃダメだって…』
七海『ごめん…まだ十分に動けないみたい…』
一哉『まったく…あ、里奈は気にすんなよ?ほんとに。
今まできつい練習しなかった証拠ってだけだから』
里奈『う、うん…(今の一哉…すごい速くなかった…?)』
七海『ごめん…』
一哉『里奈?悪いんだけど…2人のこと頼んでいい?』
里奈『う、うん…もちろん』
俺は七海を背負って七海の部屋まで行った。
七海『ごめんね…一哉…』
一哉『いいってば…何回謝るの…』
七海『せっかく…大好きな里奈さんと一緒にいれたのに…』
一哉『は?大好き?』
七海『だって…この前の話聞いてると…一哉…好きなんでしょ?里奈さんのこと…』
一哉『…まあ…昔は好きだったよ…雄介と付き合うまでは』
七海『でしょ?だから…悪いなって…』
一哉『でも…今は、違う…かな。好きな人…いるっちゃいるけど…』
七海『え…?里奈さんじゃないの…?雄介さんはもういないし…』
一哉『いないからかなぁ...いないからこそ…里奈を好きでいちゃいけないと思った…そこから好きっていう気持ちは守らなきゃっていう思いに変わったかな…』
七海『(そんな…じゃあ…誰が…?)』
それを聞こうとしたが…部屋についてしまったので聞くことが
できなかった。
玲香『あれ?一哉……って七海!?』
一哉『玲香…しっかり面倒見ててよ…無理して走り回って階段から落ちそうになってあぶなかったんだから…』
玲香『いや…寝てて…起きたらもういなかったから…』
一哉『七海、今日の練習は休まなきゃダメだよ。わかったね?』
七海『(そんな優しい声で言われたら…逆らえるわけないじゃん…
)うん…』
一哉『玲香…じゃあ、七海をよろしく…あ、もうじき練習はじまるから玲香もしっかり来なよ?』
玲香『うん…七海を寝かせてからいくよ』
七海『私は子供か!』
一哉『七海…!おとなしくしてなって…』
玲香『まったく…』
一哉『じゃ、俺はこれで。里奈に2人を任せてあるから、そっちいかなきゃいけないから』
一哉はそういって出ていった。
玲香『七海…分かりやすすぎだって……その分かりやすい七海の気持ちに気づかない一哉もかなりの鈍感だけどね…』
七海『…私…諦めたくない…』
玲香『え?』
七海『…勇気出してもっと近づきたい…』
玲香『な、なにがあったの…』
私は玲香に事情をすべて話した。
玲香『なるほどね…じゃ、応援するよ』
七海『え、玲香も好きなんじゃ…』
玲香『私?好きじゃないよ?昨日のあれは七海のやる気を出させるために言っただけのことだし』
七海『ほんと…?』
玲香『本当…だから頑張ってね!…じゃ!おとなしく寝てるんだよ!私練習行ってくるから!』
玲香は部屋を出ていった。
その日練習が終わるまで私はずっと休まされていた。
しかし、帰る挨拶にはでなきゃいけないので、
荷物をまとめて体育館に向かった。
俺たちは…出場メンバーが練習できず
練習の意味がないという顧問の判断で半日分だけ
練習を早く切り上げて帰ることになり
体育館に再び集まった。
…今日はすぐに沢木さんの挨拶が始まった
沢木『えー…若杉第三高校の皆さん、3日間お疲れさまでした。
最初はどうなることかと思いましたが、最後までできてよかったです…皆さんの都合で1日早く終わってしまうのが心残りですが…
再来週のインターハイでまた会いましょう
出場選手一同皆さんと戦えることを心待にして
これからの練習をしていきたいと思います
本当に3日間お疲れさまでした』
里奈『皆さんと戦えることを楽しみにしてます。
ありがとうございました!!!』
星稜『ありがとうございました!!』
若杉『ありがとうございました!!』
一哉『(今日は揃った…よかった)』
俺達は順番に荷物をバスにのせて、バスに乗り込んでいった。
俺が待っていると…。
里奈『一哉!!!』
一哉『里奈…本当にありがとう。…雄介のこと…本当にごめん。
インターハイで…会おう』
里奈『雄介のことはもういいって…うん、インターハイで
お互い頑張ろう…じゃあね!』
俺はバスに乗り込んだ。
短い短い合宿が…終わってしまった。
帰りのバスは行きとは違い皆が疲れて眠っているか
悔しそうな表情を浮かべていた。
真春『先輩…すいません…今日しか練習できなくて…』
好一『不甲斐ないです…』
一哉『お前らも気にすんなって…残りの練習頑張ればいいから』
七海『そうだよ…頑張ろう!』
玲香『一哉は優勝、私と七海は里奈さんに勝つ!』
一哉『おう。絶対にな…』
俺達は行きのバスほ元気もなく…その後は眠りについた。
それから2時間後…私たちは無事に学校に戻ってきた。
顧問『お疲れさまでした…また明後日から練習を行います
倒れてしまったメンバーたちは明日1日ゆっくり休んで
備えてください…解散!』
一同『はい!!』
例によって私と一哉と玲香は3人で帰っていた。
一哉『いやぁ…疲れた…星稜はなんだかんだ疲れる…』
玲香『ほんとだよね~』
七海『そんなこと言ってちゃダメだよ!』
一哉『体調悪いやつが言える台詞かよ(笑)』
七海『酷いなぁ…』
わたしたちはそんな他愛のない話をしながら、
各自の家に戻っていった。
夏休み…もう少しで終わりだな…。
そして…インターハイ…当日。
会場になっているのは新潟県。』
俺達4人はインターハイにやってきた。
途中で里奈達と合流した。
里奈『みんな!ひさしぶり!』
一哉『いやぁ…インターハイ会場来るのはじめてだから緊張…』
七海『一哉!里奈さんにしっかり返事して!すいません里奈さん…』
里奈『こんなのいつものことだよ(笑)』
玲香『なんか…里奈さん変わりました?』
七海『確かに…なんか…』
一哉『髪…切ったんだな』
里奈『よくわかったじゃん?』
一哉『そりゃ…そんなバッサリいってれば……』
玲香『え、バッサリ…でもなくない?』
一哉『いや里奈は短くすると言っても5cmしか切らないような人なんだよ』
里奈『そうそう…イメージ変わるのが嫌だったからね。
でも…過去の自分を捨てるために…10cm切りました』
玲香『どうりで…でも明るくなってません?』
里奈『それは…雄介の真実が知れて自由になれた…からかな』
一哉『あ、試合始まるぞ、女子からか…頑張ってこいよ』
好一『みなさん、ファイトです!』
しかし、俺が心配する必要なんて更々なかった。
七海も玲香も絶好調に決勝へ出場をきめた。
里奈ももちろん圧勝で勝ち進んだ。
ついに…この3人が対決する。
しかし、男子も決勝までやらなきゃいけないため
俺たちも試合を行った。…問題なく俺も好一も試合に向かった。
まあ、俺も好一もなんなく決勝へ進出し…
ついに雄介との約束を果たすときがやってきた。
まず、男子決勝。勝つしかない。優勝する。
一哉『(里奈や七海に胸を張って帰る…)』
そして、準備のこえがかかり俺達はセットする。音とともに
一斉に走り出す。
一哉『(走ってるときは…風を切るのが気持ちいい…風が俺に話しかけてくる…こういうことなんだな…里奈…七海!)』
俺は過去最高に絶好調で風の声を聞きながら走った。
【45.42】…優勝………自己最高記録だった。
好一は【50.05】で4位という結果を納めた。
その後の女子決勝は…なんと3位までに3人が独占するという
快挙を起こした。
タイムもそれぞれの最高記録。
里奈【53.43】1位
七海【53.59】2位
玲香【54.05】3位
俺達は……無事に雄介との約束を果たした。
男子選手はダメだったけど…七海や玲香をインターハイで入賞させれた。
試合後俺達は雄介のご両親へ報告した。
メダルやトロフィーの写真を送って…。
後日…お礼の手紙が俺達それぞれのもとへ届いたのだった
里奈『皆すごいよ!!!!私負ける…!って焦っちゃった!』
七海『ひっくりしました!あんな過去最高記録だせるなんて!!』
玲香『やっぱ陸上ってたのしぃー!なんか色んな物に話しかけたい気分!』
一哉『え、例えば…食べ物とか?スプーンとか?箸とか?』
玲香『何でスプーン!?なんで箸!?』
一哉『ものっていったから…』
七海『まあまあいいじゃん?こんな驚きの結果…』
里奈『ストップ!それ以上言うと著作権とか色々引っ掛かるから!』
七海『アメージ…』
一哉『やめろっての!!』
玲香『セーフ?かな?』
里奈『多分……でもさ…一哉の速さはおどろいたよ…』
一哉『あ…七海…俺がなんで走るかって気になってたよね』
七海『うん…なんでなの?』
一哉『やっぱり俺も…風の声を聞くのが楽しいからかな!!』
里奈『前私がそういったとき…爆笑してたのはどこのどいつよ…』
一哉『やっとわかったんだ…理由が…そして…俺が速いときの
方程式じゃないけどルールも』
里奈『え、なに?』
七海『そんなのあるの?』
玲香『教えてよ?』
一哉『里奈や七海、玲香…皆がいるとき…皆を思うとおれは速くなる』
里奈『なにそのかっこつけ!』
一哉『事実だから仕方ない!』
七海『でも嬉しい!』
玲香『悪い気はしないね~』
俺達は…試合後ずっとしゃべっていた。
しかし…やはり別れが訪れる。
七海『里奈さん…本当にお疲れさまでした』
里奈『ありがとう…七海も玲香も一哉もお疲れさま!』
一哉『おう。また…ちょくちょく遊びに来るよ…冬休みも合宿できたらいいな』
玲香『あ!それいいアイディア!』
里奈『沢木先生に頼んでおくよ!…じゃあ…』
里奈は俺たちとそれぞれ握手をしてバスにのって帰っていった。
一哉『俺たちも帰ろう…優翔や真冬さんがまってるよ』
そう…優勝報告をしたら2人がパーティーをしたいと言い出して
真冬さんの家でパーティーをすることになっていたのだ。
玲香『そうだね…行こう!皆が待つ東京へ!』
俺たちがバスに向かって歩き出すと七海が突然叫んだ。
七海『来年もインターハイ来るからね!!!』
七海は俺たちを追い抜いてバスに乗り込んでいた。
玲香『やっぱ七海らしい(笑)』
一哉『だな…俺たちもいこう』
俺達の長い長い夏が…今終わろうとしていた。
午後18時半
俺は熱いインターハイ決勝を終えて…帰りのバスで眠っていた
一哉『zzz…』
七海『ねーねー、一哉~せっかくの優勝なんだからもっと
話して盛り上がろうよー』
玲香『七海…優勝したからこそ寝てるんだよ…』
七海『だって暇じゃんー…アドレナリンでて眠れないよ~』
玲香『まあわかるけど…って真春?どうしたの…』
真春『いや…皆さんの結果に感動してしまって…自分はまだまだぁなって思ったら…』
七海『ほんっと真春いいこ!食べちゃいたい!』
真春『食べられたいですぅ…』
玲香『(この2人…危ないな…)好一、来年もインターハイ狙うからね』
好一『もちろんです。来年は西野先輩の優勝を奪います!』
真春『じゃあ、私は七海さんの玲香さんの記録を抜きます!』
七海『負けないよ~?』
玲香『私も七海狙うよ~?』
七海『玲香はやめてぇ~(笑)』
🎶♪🎶♪~♪🎶♪🎶
玲香『この歌…なんだっけ…てか一哉のスマホだよね?…
でも寝かせてあげよっか』
真春『そうですね…この曲…』
七海『私、冒頭の歌詞なら歌えるよ!』
真春『え、聞きたいです!』
七海『いつもの夏と違うんだ、君は気づいていないけど~』
一哉『うるさーーーーーい!!!!』
4人『!?!?』
一哉『も…ゆっ…くり寝かせて…』
玲香『ね、寝言?げ、現実?』
七海『びっくりした…』
一哉『なんで君たちそんな元気なの…』
玲香『あ、起きてたんだ』
一哉『そりゃ…あんな大声で歌われたらね…ん?着信履歴…
真冬さんから!?なんで番号知ってるの!?』
七海『ま、真冬さん…』
玲香『相変わらず…いつの間に…』
一哉『かけ直すか…』
俺はそう言って着信履歴の番号にかけ直す。
TEL
真冬『もしもし~?』
一哉『あの…西野ですけど…なぜ番号を…』
真冬『優翔からきいたの…今どの辺かなぁって思って』
一哉『なるほど…(あいつがかければいいのに…)』
真冬『今、優翔がかければいいのに…って思った?』
一哉『え!あ…いや…すいません…』
真冬『ていうか、同期生なのになんで敬語?』
一哉『いや…なんとなく…』
真冬『まあいいけど…いまどこ?』
一哉『あと10分くらいでつきます』
真冬『優翔が学校にいるから合流して私の家来てね』
一哉『え、あぁ…わかりました…』
真冬『じゃあ、まってるね!ばいばーい!』
電話を切った途端、皆が色々聞いてくる。
七海『真冬ちゃんなんだって?』
一哉『優翔と合流してから家来てって』
玲香『他には?』
一哉『豪華に用意したからたのしみにしててだって』
真春『へぇ…料理うまいんですか?』
七海『かなりね!』
玲香『おいしかったし!』
一哉『あ、玲香はたべたことあるんた』
七海『わたしもあるよ?』
真春『えー!うらやましい!』
一哉『今日食べれるじゃん』
好一『ですね!』
玲香『まあ真冬の料理は期待していいと思うよ!』
真春『はい!』
俺たちがそんな話をしてると…やっと学校へとついた。
俺達が降りて正門の方へ歩いていくと優翔がいた。
優翔『おーい!みんな!お帰り!おめでとう!』
一哉『優翔…ただいま』
七海『ただいまー!』
玲香『やっほー!』
優翔『1年の2人もお疲れさま!』
真春『ありがとうございます!』
好一『ありがとうございます!!』
優翔『じゃ、真冬の家にいそごう!』
玲香『おー!』
真春『緊張します…』
一哉『緊張するなって…』
優翔『そうだよ~する必要なんてないよ~』
真春『は、はい…』
玲香『可愛い人だからって好一、好きになっちゃダメだよ~?』
優翔『そうだぞー!』
好一『な、なりませんよ!!』
俺達は優翔に案内されて真冬さんの家へとついた。
玲香『でか!?』
七海『うそ!?』
優翔『やっぱりいった(笑)』
一哉『真冬さんって…なんなの…』
玲香『普通の大きさなのかもしれないけど…なんか豪華』
七海『豪華なオーラなせいで大きく見える…?』
優翔『そうかもね~』
真春『優翔先輩…どうしたんですか?』
玲香『なんか他人事のような……』
優翔『まあ、皆が合宿いってる間に色々あって。まあ気にしない気にしない!』
玲香『(なんかあった…?…一哉が誘われたことと関係あるのかな…)』
七海『じゃ入ろう!』
俺達は七海に促され、動き出した。
インターホンを鳴らすと…。
真冬『あ!皆いらっしゃーい!丁度準備できたの!入って!』
一哉『お邪魔します…』
七海『お邪魔しまーす!』
真春『お、お邪魔します…』
俺達は奥のリビングに通された。
真冬『じゃあ!今日は皆!おめでとう!
インターハイ…西野君は制覇!七海と玲香は2.3位!
真春ちゃんは惜しかったけど…成宮君は4位!
この結果に……かんぱーーーい!』
一同『乾杯!!』
俺達は食事を始めた。
玲香『うっわ!おいしー!!』
真春『こんなに美味しいの食べたことないです!』
七海『ヤバイよぉ~』
真冬『西野君?どう?』
一哉『はい…おいしいです…優翔も幸せだな』
優翔『あぁ。だろ!』
一哉『おう!』
玲香『いやぁインターハイ…我ながらいい試合だった…』
七海『里奈さんがここにいないのが悔しいね…』
一哉『だな…でも…里奈がいたらえらいことになるぞ…』
真冬『里奈って誰??』
七海『一哉の幼なじみで今年の女子優勝の人だよ!めちゃくちゃ速いんだよ!』
玲香『速いよね…今日の一哉もかなり速かったけど…』
真春『動画見ますか!?決勝の動画ありますよ!』
優翔『あ!いいじゃん!見ようよ!』
玲香『なんか恥ずかしいなぁ~』
一哉『いいんじゃない?見ようよ』
俺達はまず男子決勝の動画を見た。
真冬『え!?これ!?速くない!?』
玲香『めちゃくちゃ速いでしょ!?』
優翔『す、ずげぇ…』
七海『…あ!これ!これが里奈さん!!』
一哉『あいつもやっぱ速いな…』
優翔『あ、もしかして一哉の好きな人ってこの人?』
一哉『昔のな』
優翔『へぇー!見る目はあるじゃん?』
玲香『でも、今の好きな人教えてくれないんだよね~』
七海『まあ、いつかは聞き出すけどね!』
一哉『おれは教える気ないけどね?まあ、今は楽しもうよ!』
俺達はその後2時間ほど騒ぎ続けた。
時間ももう9時をまわっていた。
しかし、せっかくの夏休みということで
真冬さんの家に全員泊まることになったのだった。
俺達は2人1部屋で空き部屋を借りることになった。
一哉『まあ、男子は3人…女子は4人…誰か1人部屋か…』
優翔『俺、好一と仲良くなりたい』
好一『俺も優翔さんともっと話したいです!』
この2人はなぜか意気投合し…師弟関係のようになっていた。
一哉『わかったよ…どうぞ』
俺はその結果…1人部屋になった。
俺が1人で真冬さんに案内された部屋で音楽を聴いていた。
『(1人でいるのが1番楽だった…か…
確かにそーだったかもしれないな…
今は…皆がいてくれる。里奈も俺を許してくれた…この曲はもう俺には必要…ない…かな?保存はしておこう…)』
『(空の下は自由だと言ってる…未来とは今が入り口か…
今…俺がこうしてる間にも未来への扉は開けようとしてるのか…)』
『(失敗しても前を向いて…君ならできる…か
このアーティスト…俺やっぱ好きだ…)』
そう思っていたとき…不意に肩をつつかれた。
俺はイヤホンを片方外して後ろを向くと七海がいた。
七海『なに聞いてるの?』
一哉『この曲…』
俺は真冬さんにイヤホンの片方を差し出した。
七海『本当にこのアーティストが好きなんだね…』
一哉『あぁ…他にもこんな曲もきいてるよ』
七海『あ…この曲は…』
一哉『決心のきっかけは理屈ではない…いつだってこの胸の衝動から始まる』
七海『いい歌詞だね…』
一哉『俺さ合宿行ってよかったよ』
七海『え?』
一哉『だって…里奈にもしっかり話せて…わだかまりが消えた』
七海『今頃…里奈さんなにしてるかなあ』
一哉『あいつのことだから…練習してるんじゃないかな?』
七海『あー、…って!夜何時だとおもってるの!(笑)』
一哉『(俺は…この七海の笑顔が好きなんだよな…)』
七海『ん?な、なに?…そんな見つめられたら恥ずかしいよ…』
一哉『ごめん…みとれてた(笑)』
ー4日後ー
4日後…俺達は学校が始まり教室にいた。
いつものように4人で登校して教室にやって来ていた。
しかし…俺は…この日、目と耳を疑うことを目にしてしまった。
佐々木『はい、では…夏休みも終わり…またこのクラスに
転校生がやってきました。新しくこのクラスの仲間になる
人がいます』
一哉『(懐かしい…俺もこんなことあったんだよな)』
などと他人事のような気持ちで転校生が入ってくるのを
待っていた。
佐々木『じゃあ…堀さん?入ってきて?』
一哉『!?』
七海『え!?』
玲香『あれって…!』
佐々木先生に呼ばれて入ってきたのは…。
佐々木『じゃ、自己紹介よろしくね』
堀『兵庫の星稜高校からやってきました。堀里奈です』
一哉『里奈!?』
佐々木『あら?知り合い?…あ、西野君も星稜だったわね…』
里奈『あ、一哉…』
同級生A『え、なになにこの展開…』
同級生B『え…まさかの知り合い?』
同級生C『ていうか…堀里奈って…一哉と一緒に新聞に載ってなかった?』
同級生A『あ!インターハイ女子優勝!?』
里奈『まあ…そうです』
一同『えー!!』
佐々木『こんな偶然ってあるものなのね…まあいいわ…
じゃあ、堀さんの席は西野くんの真後ろの席で…隣はいないけど前の2人から色々教えてもらって?』
里奈『わかりました』
里奈は何気無い顔で俺たちの後ろの席に座った。
一哉『里奈…なんで転校!?』
七海『そ、そうだよ!星陵は!?』
里奈『なんだろ…親の転勤とでも言っとく』
一哉『うそつけ…』
里奈『んー…転勤は本当だけど…転勤先は北海道
遠すぎるからって私を東京の家に預けたの』
一哉『なんかにたような感じ…』
七海『陸上部入ってくれる…?』
里奈『もちろん!』
一哉『雄介のことは…もう大丈夫?』
里奈『私はもう吹っ切れた…よ』
一哉『そっか…まあ今日から…よろしくな!』
玲香『一哉、顔がにやけてるよ~?』
里奈『私、一応雄介の彼女だよ?…まあ死んでるし…別れたも同然だけど』
一哉『そんな顔してないから!…なんか悲しいこと言うなよ…』
突然やって来たことに俺は最初戸惑ってしまったけど
実際に仲間になってみるとなんも違和感がなかった。
一哉『(昔に戻ったみたいだな…雄介…里奈が俺達の…
ところへ戻ってきたよ)』
俺そんなことを思いながらその日の授業を受けていた。
昼休み…いつもの4人に里奈を加えた5人で食事をしていた
優翔『一応俺だけ面識ないから…北野優翔!
サッカー部だけど…よろしくな!優翔って呼んでよ!』
里奈『私は一応…堀里奈だよ…よろしく優翔』
優翔『おう!……ん?あ、真冬!!こっちきて!』
入口にいた真冬さんを優翔が呼び寄せる。
里奈『だれ?』
玲香『あ、優翔の彼女の山下真冬だよ!』
真冬『山下真冬です!よろしくね!』
真冬が里奈にウィンクをする。
一哉『(やばいな…里奈が嫌いなタイプ…抑えてくれよ…)』
里奈『わたしは堀里奈。よろしく』
一哉『(ほっ…)』おれがほっとしたのも束の間…。
里奈『真冬さんって…あざといんだね』
真冬『うっ…そ、そうかな…』
優翔『ちょ!?里奈ちゃん!?目が怖い目が!』
一哉『里奈…』
里奈『…ハッ!ん?どうしたの?優翔も真冬ちゃんもそんな怯え……』
その様子を見てた七海が小声で聞いてくる。
七海『もしかして里奈さんって…』
一哉『うん…真冬さんみたいなタイプが苦手なんだ…
だから…無意識に毒をはく…』
七海『意外…』
……と、里奈の別の一面を知って、小さな恐怖を覚える
七海達であった………
里奈が転校してきて、早1ヶ月。
俺達は明日に迫った秋の修学旅行の予定を確認していた
俺と里奈は途中参加のため、班に所属していなかった。
しかし、佐々木先生の考慮で
沖縄に行くという優翔、玲香、七海の班に入ることになった。
沖縄の国際通りや美ら海水族館という定番のコース巡りを
することになっているらしい。
里奈も馴染んで来てはいたが…俺といるときのリーダーシップは
クラスにいるときはまだ発揮できていない。
しかし、部活になるとうって変わって…
インターハイ1位の俺と里奈のツートップに
皆はついてくる…という形に変わっていた。
玲香には『最強コンビに部活のメニューは任せる』と
言われるぐらいだった。
しかし…里奈と俺の練習のしかたは兎に角真逆だった。
里奈の方向性はとにかく基礎だけを徹底する。
実践練習は最後の20分ぐらいしかやらない…というもの。
俺の方向性は基礎をしっかり前半でやって、
後半は各種目ごとに練習。そして最後に実践練習も30分以上しっかりやる…というもの。
一哉『だから…そんなに基礎だけやっても実力は延びないでしょ…』
里奈『わかってないなぁ…練習は基礎にあり!って沢木さんに言われたでしょ!』
一哉『基礎ばっかやってたら本来の実力がつかないっていってるの!基礎を否定してるわけじゃない!』
七海『里奈…一哉…ちょっと落ち着きなって…2人で仲良く決めてよ…』
2人『落ち着いてます!!』
玲香『またやってるの…?相変わらず…息ぴったりだな…合宿の時と全然違う…』
一哉『はぁ…少しは変わったかな…って合宿で思ったのに…
まったくかわってない…雄介も大変だったろうな…』
里奈『はぁ!?今、雄介は関係ないでしょ!
雄介じゃなくて一哉が死んでもよかったんじゃなくて!?』
一哉『なんだと…!?』
玲香『はい!里奈!そこまで!!!』
好一『西野先輩もそこまで!!!』
俺は好一に止められ、里奈は玲香に止められる…ということが
日常茶飯事になっていた。
七海『もう…里奈さんも一哉ももっと仲良くしなよ…
合宿の時みたいに…』
一哉『里奈がもっとおとなしくなれば…はぁ』
里奈『一哉がもっと雄介みたいに優しくなれば……はぁ…』
俺達は再び睨みあう。
玲香『やめなさいっていってるでしょ!』
七海『玲香がお母さんに見えてきた…』
玲香『やめてよ…はぁ…』
七海『仲良く仲良く!…一哉の好きなグループもいってたじゃん!ポジ○ースって!!』
一哉『はあ…玲香…メニュー決めてよ…里奈じゃ話にならない…』
俺が最後まで言い終わる前に七海に口を塞がれた。
七海『一哉!!シッ!』
玲香『わかったわかった…今日も私が決めるよ…
今日は大会形式でタイムを測ります。もちろん練習前に走り込みをやってから…皆!いくよ!』
一同『はい!』
皆が一斉に走り出す…。
教室では普通の友達のように静かなのに…。
部活になると…必ずこの喧嘩が繰り広げられる。
玲香『じゃあ…次!短距離!七海と…一哉!』
七海『一哉!!よろしくね!』
一哉『もちろん!負けないよ』
もちろん…俺が勝ち、44秒という記録を叩き出した。
七海『男女とはいえここまで差があると悔しい…』
一哉『まあまあ~体の作りがちがうからね…』
その日の練習も無事に終わり…
俺と里奈は普通に戻っていた。
里奈『一哉、帰ろうよ』
一哉『あぁ、いいよ…ああー疲れた…』
七海『(本当にこの2人不思議…)私も一緒に帰る!』
一哉『よし、帰ろう!』
俺達は4人で帰るのが日課のようになっていた。
一哉『なぁ?』
七海『ん?どうしたの?』
里奈『??』
玲香『どうしたの?一哉』
一哉『沖縄のさ部屋…1人の部屋あったよね?』
里奈『あ、あったね』
玲香『優翔がじゃんけんで負けてなかった?』
一哉『俺が1人部屋になっていいかな?』
里奈『え、なんで?病んでるの?』
一哉『そうそう…最近疲れちゃって……って違うわ!!』
七海『あははは(笑)』
里奈『じゃあ、なんで?』
一哉『んー…1人のほうが気がらくだから』
玲香『じゃ、優翔にたのめばいいじゃん?』
里奈『そうだよ』
一哉『わかった…じゃ、俺が1人部屋ってことで』
里奈『修学旅行…楽しみ!!!』
玲香『だね!!!インターハイのお祝いの感じで遊びまくろう!!!』
七海『うん!!!』
その日の夜
七海達とLINEで会話をしていた。
LINE
里奈『修学旅行たのしみだね!』
一哉『いやーゆっくり楽しもうっと…』
玲香『もう明後日だもんね!』
七海『一哉?優翔にきいたの?』
優翔『え?なんのこと?』
一哉『あ、そうだった…優翔、1人部屋変わってくれない?』
優翔『え、まじ!?いいの!?』
一哉『ああ』
優翔『じゃ、頼んだ!』
一哉『おう』
里奈『良かったね…病んでる一哉くん』
優翔『え、病んでるの?』
一哉『里奈💢…だから病んでないって』
玲香『まあまあ…とにかく遅刻しないようにね!明日!おやすみ!!』
里奈『うん!おやすみ!』
七海『一哉!皆!おやすみ!』
一哉『おやすみ~』
優翔『グッドドリームアメージング!最高に驚く夢見ろよ!おやすみ!』
という普通の高校生の会話をして俺は眠りについた。
AM6時30分…
学校に集合していた俺達。
長い長い校長の挨拶がおわり俺達はバスへと乗り込んだ。
里奈『一哉!写真とって!』
一哉『優翔に頼めよ…zzz…』
七海『優翔も寝てるんだもん…ねぇねぇ…撮って?』
一哉『わ、わかったよ』
俺は言われた通り写真を撮る。
その後も寝てたら起こされ…の繰り返し。
お昼時になれば外での写真撮影…
一哉『(女子の写真好きという気持ちがわからない…)』
里奈達を見ると玲香を見て爆笑している。
俺は気になったので声をかけてみることにした。
一哉『なに笑ってんの?』
七海『あ、一哉…れ、玲香が…壊れた(笑)』
玲香『七海がやれっていったんじゃん!』
一哉『ん?なにを?…見せてよ』
玲香『えー……箸君箸君…』
一哉『それ俺が好きなアーティストがやってたやつ(笑)』
七海『そう!昨日番組見てたらやってて…面白いからやってもらったらにてて…ククク…』
などといつもの明るい会話をしながら空港までの
時間を俺達は楽しく過ごした。
俺達はついに修学旅行の目的地…沖縄へとやって来た。
現在の時刻は4時。今日はホテルで自由行動になる。
しかし…俺は疲れてしまったため、ホテルで休むことにした。
1人…ホテルで初めて今日1人になる。
いつも真春や好一に陸上を教えていたり
里奈と言い争っていたり…日頃のストレスがあるのだろうか。
俺はベッドにダイブすると…すぐに眠ってしまった。
俺は…ドアをどんどん叩くおととスマホの着信音で目が覚めた。
俺は寝ぼけ眼で現在時刻を確認する。
一哉『(18:30…!?やばい!飯の開始時間1時間すぎてる!)』
俺が、そう思って急いで扉を開けて部屋を出ると…そこには七海がいた。
一哉『七海…飯は…?』
七海『もう…何度も呼んだのに…』
一哉『他の皆は…?』
七海『お風呂だったり…20:00までは外出できるから、皆出掛けてる』
一哉『…んで、七海はなにしてるの?』
七海『待っててあげたんじゃん!』
一哉『え!?飯は!?』
七海『食べてない…』
一哉『え!?なんで……あ、俺が寝てたからか…』
七海『ってことで、私をご飯につれてってください』
一哉『いいけど…』
七海『お腹すいたから早くいこうよ』
一哉『わかったよ…何食べる?』
七海『無難にマックじゃない?』
一哉『まあ…だね。いこう』
七海『一哉…お財布は?』
一哉『あ、忘れてた…待ってて…』
七海『(もう…寝ぼけてるんだから…一哉といたくて待ってたんだけど…先が思いやられる…部活の時の一哉はあんなにかっこいいのに…)』
一哉『お待たせ。いこっか』
七海『うん!』
俺達はホテル近くのマックへとやって来た。
一哉『ごめんね…ホテルの料理みたいに豪華じゃなくなっちゃって……』
七海『まったく…でもこういうのもいいじゃん?ある意味いい思い出だよ』
一哉『七海は何食べてるの?』
七海『普通のハンバーガー』
一哉『無難だな(笑)』
七海『いいじゃん!…一哉は?』
一哉『エグチ』
七海『…意外』
一哉『そう?』
七海『うん…あ、ちょっとお手洗い行ってくる』
一哉『おう』
七海は席を立ってトイレへと向かっていった。
私は玲香とのLINEを見返していた。
LINE
玲香『修学旅行でカップル成立…とかベタだけどせめて距離は縮めなよ?』
七海『う、うん…合宿で頑張るって決めたし…』既読
玲香『里奈さんと付き合っちゃう前に気持ち奪っちゃえ』
七海『でもどーしたら…』既読
玲香『告白あるのみ。無理なら…明日の自由行動2人で行動することを約束してもらえばいいんだよ』
七海『わかりました…。』既読
私はトイレの鏡の前で自分の姿を見た。
七海『(一哉は…どんな格好の人が好きなのかな…里奈さんみたいに大人っぽい格好?それとも真冬や玲香みたいに軽い露出がある色っぽい服…?)はぁぁぁ…わかんないや…』
私は悩みながら…玲香にLINEを送った。
LINE
玲香『修学旅行でカップル成立…とかベタだけどせめて距離は縮めなよ?』
七海『う、うん…合宿で頑張るって決めたし…』既読
玲香『里奈さんと付き合っちゃう前に気持ち奪っちゃえ』
七海『でもどーしたら…』既読
玲香『告白あるのみ。無理なら…明日の自由行動2人で行動することを約束してもらえばいいんだよ』
七海『わかりました…。』既読
七海『一哉はどんな格好が好きなのか…何をすれば喜んでくれるのか…まったく検討もつきません…』
七海『はあ…』
私は悩みながら一哉のいる席に戻った。
一哉『大丈夫?遅かったけど』
七海『心配無用だよ…』
一哉『な、なんでそんな元気ないの…』
七海『いや…別に…』
一哉を見るともうすべに食べ終わっていた、
七海『一哉…これ食べる?…飲み物も飲んでいいよ…
私疲れて眠くなっちゃった…』
一哉『え…でも…』
七海が『いいよ、食べなよ…私のお腹は気にしないで』
一哉はなぜか迷いながらも…わかったといって、
私のハンバーガーやら飲み物を食べ始めた。
一哉はハンバーガーを一瞬で食べ終わったが…
喉につまらせ私の飲み物を飲んで助かっていた。
七海『そんな焦って食べなくても…』
一哉『…いや、眠いなら早く帰って寝ないとね…明日も早いし』
…見ると一哉は顔を真っ赤にしている。
七海『一哉…熱でもある?顔真っ赤だよ?』
一哉『!!そ、そんなことないよ…』
七海『(なんでそんな赤くなってるの?早く帰ろうとしてくれたことに恥ずかしくなった?……ハッ!!)』
私は…そこまで考えて…自分の行動が恥ずかしくなった。
七海『か、間接キス…』
一哉『だから、言ったのに…』
七海『まさか…照れ隠しで一気に食べたの?』
一哉『…うん…まあ…………さ、さあ!行こう!』
七海『照れなくてもいいのに…一哉なら歓迎するよ……』
一哉『!?』
七海『ハッ!!な、なんでもない!い、行こう!うん!』
私はホテルに帰る前に一哉と沖縄の浜辺に立ち寄った。
俺は…先程の七海の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。
一哉『(歓迎…)』
七海『海…きれいだね…』
一哉『だね…七海…?』
七海『うん?なに?』
一哉『歓迎ってどういうこと…?』
七海『!!気にしないで!いいから!ね!』
一哉『そんな否定しなくても…』
七海『一哉はさ…明日の午後誰といくか決めてる?』
一哉『んー…後日行きたい場所はグループでいくとき行くし…
浜辺でトレーニングしたいのが本音』
七海『なんで沖縄来てまで…』
一哉『まあね…雄介に負けないためにも、ね』
七海『雄介さんとか里奈さんのこと本当に大切なんだね』
一哉『あぁ。大切な幼馴染みだよ』
七海『そっか…一哉は……前も同じこと聞いたけど…』
一哉『え?』
七海『里奈さんのこと…今も…好きなの?』
一哉『里奈ね…嫌いじゃないよ』
七海『え…?好きなの?』
一哉『…あいつは雄介の彼女だから。雄介がいなくても
あいつの気持ちは雄介にある…だとしたら俺が好きでいても無駄でしょ?…だからって訳じゃないけど…里奈はもう過去の恋』
七海『…なんか寂し…あ!それで病んでたんだ!』
一哉『そうそう!本当にさぁ…違うから!!』
七海『でも…好きだった人と一緒にいるとまた好きになるもんじゃないの?』
一哉『俺も合宿いくまではそう思ってたけど、大丈夫だった。
俺は…今新しい恋してるから』
七海『ねー、それいい加減教えてよ~』
一哉『七海がさっきの歓迎の意味教えてくれたら、俺もじゃあ教えるよ』
七海『な、なんでよ!ずるくない!?』
一哉『ずるくないよ?』
七海『むう…』
一哉『はは(笑)そろそろ戻ろう?』
俺は立ち上がって歩き出した。
しかし、七海が立ち上がらない…。
一哉『七海?』
七海『え?あ、行くんだよね!よし!戻ろう!』
一哉『(?)あー明日の午後はゆっくりしよっと…』
七海『ねぇ…一哉…その事なんだけど…』
一哉『ん?』
七海『午後さ…わたしと出掛けない?』
一哉『え?どこに?』
七海『残波岬…』
一哉『え、岬?』
七海『なんか…きれいな場所なんだって…行きたいなって』
一哉『わかった。じゃ優翔とかには俺から…』
七海『ちがうの!……2人で行きたいの…』
一哉『え!?………………』
七海『だめかな…』
一哉『…いいよ』
七海『ほんと!?』
一哉『いくよ』
七海『やったぁー!!!』
七海は嬉しそうに先に走り出した。
一哉『あ!ねぇ!自由行動終わったらすぐいく?』
先を走っていた七海が俺の方を振り返り…
七海『一哉に任せるよ?』
と、おもいっきり、叫んでいた。
一哉『あ、ほんと?じゃそうしよっか!』
俺は七海を追いかて…つられるように走り出した。
翌朝…俺は…朝早く目が覚めてしまったため、
昨日、七海と約束した海岸まで散歩に行くことにした。
しかし…まだ太陽は昇っていなく、外は暗闇が溶け始める直前だった。
俺が海岸について、砂浜に佇んでいると…どこからか歌が聞こえてきた。
一哉『(こんな朝早く…だれだ…?それにこの曲…)』
俺は声がする方まで歩いていく。
一哉『(やっぱり…この曲…この声…)』
歌声『サヨナラに強くなれ…この出会いに意味がある……
悲しみの先に続く僕たちの未来…。
始まりは…いつだってそう何かが終わることもう1度君を抱きしめ…』
俺が近づいていくと…その歌の主は俺に気づいたようで歌うのをやめてこちらを振り返った。
一哉『里奈…』
里奈『一哉…?どうしたのこんな朝早く…』
一哉『里奈こそ…俺は目が覚めちゃったから』
里奈『私もそんなとこかな…』
一哉『でも…その曲は…別れを惜しむな…出会ったことにこそ意味があるんだって歌う曲だよね…そう…雄介が好きな歌だった』
里奈『さすがだね…この曲は…私の宝物。
この曲は唯一…私と雄介を繋いでてくれる…』
一哉『そっか…俺も歌おうかな…ってカラオケじゃないけどね(笑)』
里奈『いいじゃん?歌いなよ』
一哉『まあ…気晴らしに歌おうかな…どういう意味の歌か
当ててみて』
里奈『イントロみたいだね(笑)まあ、やってみるよ』
一哉『では…ゴホン………地球と太陽みたいに光と影が生まれて…
君を探してばかり…距離は縮まらない…
重力引力惹かれて…1から10まで君次第…存在するだけで
影響与えてる…』
里奈『…なんでその曲…?』
一哉『俺と雄介の存在を象徴してる歌なんだ。
いつも皆を照らしていた雄介と…いつも里奈を困らせたり
喧嘩して機嫌を損ねさせたりする俺…。本当にこの曲のように光と影の存在だった…光の雄介は里奈を見つけ彼女にし、
影の俺は里奈を見つけられなかった…っていうね』
里奈『光と影…か…一哉が光になってたら…すべて未来は
違ったのかもね…』
一哉『…え?』
里奈は立ち上がりそう言い残してホテルの方へ戻っていった…。
一哉『(里奈…どういうこと…?)』
俺は…1人残されたまま…しばらくその場で考えいた。
やがて…太陽が昇り始め、明かるくなり始めた頃。
??『一哉~!!なにやってんのー?』
俺は声がする方へ顔を向けた。
一哉『七海…玲香や優翔も…里奈まで…どうしたんだよ』
一哉『(さっき帰ってった里奈まで…)』
里奈『私は皆に誘われたから』
玲香『一哉だっているじゃん?1人って……本当に病んでるんじゃないの?』
一哉『病んでないってば…ただ朝日を見に来たの』
七海『わぁ!本当だ!めっちゃきれい!アメイジングサン!』
一哉『なんだよそれ…(笑)いやさぁ、学校にいるときはこんなの見れないじゃん…こんな人の心みたいな青空』
優翔『確かにな…一哉もたまにはいいこと言うじゃん?』
七海『この空が…景色が…人の心か…じゃあ、恋心は雨空だね』
里奈『なんでよ?そこは…快晴とかでしょ』
一哉『んー、でも悩んだりすれば暗くなるし…振られれ涙を流すし…ある意味あってるかもよ?山の天気みたいにころころ変わっちゃうけどさ』
玲香『あー、なるほどね…』
優翔『なんでみんなそんな感傷に浸ってるんだよ~』
一哉『俺は…今年の夏こっちにきて、皆とこの景色みたこと
絶対忘れないと思う』
里奈『あー…それはわかる。私も忘れないかな』
優翔『まあこんな景色友達とみたことなんて忘れないよな』
玲香『今年の夏…2人が来てくれてよかった』
一哉『玲香…ありがとう…………そろそろ戻ろっか』
里奈『そうだね…見つかったら怒られるし』
優翔『よし!戻ろう!!』
俺達は…朝日が空に昇るのを見送ってホテルに戻っていった。
俺は1人立ち止まり…もう一度空を見上げた。
一哉『さっきまでの空はないか…今の空は…いいことがあった
快晴空かな?……恋雨空…か…いつか体験するのかな…』
俺は…わからないけど…その空を見れる日はそう遠くない気がした。
玲香『一哉!!なにしてるの?はやくいくよ!』
一哉『おう!今いく!』
俺は玲香に再び呼ばれて、ホテルへと走っていた。
修学旅行へとやってきた若杉第三高校のメンバーたち。
今日、俺達は午前中はクラスで首里城前へとやってきていた。
里奈『でか…赤…』
優翔『坂……』
七海『さすが世界遺産だねぇ…』
玲香『里奈…優翔…小学生みたいな感想いわないの…!』
一哉『ま、とりあえず早くいこうよ』
俺は先に歩き出す。
里奈『私先行くからね。一哉…遅』
里奈はどんどん前へと進みながら俺とすれ違うときにそんなことを
呟いてきた。
一哉『(カチン)あー早く上の景色がみたーい!!!』
俺はそんなこと言いながら坂と階段を一気にかけ上がる。
七海『ちょ!?一哉!!里奈!?』
玲香『部活でもないのになんであのモード…』
その結果…俺と里奈はクラスのみんなが全然下にいるのに
俺達は2人先についてしまった。
ついたために、10分ほど皆がくるまで待つことになった。
一哉『全く…こんな待つことになるじゃん…』
里奈『私は何も言ってないけど?勝手についてきたんじゃん』
一哉『まったく…』
里奈『ねぇ、一哉』
一哉『ん?』
里奈『一哉ってさ七海のこと好きなの?』
一哉『!?…は!?』
里奈『そんな驚かなくても…今朝仲良さそうだったから』
一哉『そりゃ、俺がこっちにきて始めてできた友達だし?……
里奈もそうだろ?』
里奈『まあね~いいこすぎて一哉に狙われてたらどうしようと思ってさ』
一哉『なんだよそれ…』
里奈『私は…一哉に救われてるから』
一哉『…え?』
里奈『…ううん…なんでもない』
一哉『え…?』
俺らがそんな話をしていると皆が階段を昇りきって
門を潜り俺達に声をかけてくる。
クラスメイトA『おーい!西野!堀さん!』
クラスメイトB『1回集合だよー!』
里奈『うん!いまいくー!』
一哉『おう!(なんなんだ里奈のやつ…)』
おれば皆と合流して首里城を見てまわった。
その後皆で国際通りに行き、午後の自由行動となり、
俺が1人でいると約束くしてる七海が近づいてきた。
七海『一哉!!いこっか!』
一哉『おう!残波岬…だっけ?』
七海『うん!楽しみ!』
俺達は国際通りを離れ、残波岬へと向かった。
ー残波岬ー
一哉『海綺麗だな…』
七海『快晴空だから余計に綺麗に見えるね…』
一哉『灯台が他の色より強調して青と合ってて綺麗だな』
七海『やっぱり!一哉ならここの世さわかってくれると思った!』
一哉『ちょっと座らない?』
七海『うん!』
一哉『まさか七海とこんなところ来るなんてな~』
七海『え、どういうこと~?』
一哉『今だから言うけど…最初は優翔や七海のテンションに
ついていけないことがあったんだ』
七海『嘘!?…ご、ごめん…』
一哉『全然。でも、合宿でその明るさに助けられたりして…
七海の存在のありがたさが凄くよくわかった』
七海『…な、なに!?急に…照れる…』
そう言って七海は顔を隠してしまった。
一哉『なんかこんな綺麗なとこつれてきてくれたお礼?じゃないけど…なんか言いたくなった』
俺は七海にそう微笑みかけた。
七海『…私だって一哉に感謝してるんだから…』
一哉『俺、なんもしてないよ?いつも里奈と迷惑かけて…』
七海『合宿で助けてくれたり…部活応援してくれたり…』
一哉『それは別に…当たり前のことで…』
七海『そうかな?でも…私は嬉しかった』
一哉『七海…』
七海『そ、そろそろ戻ろうか!時間も30分ぐらい経ったし!』
七海が立ち上がって去ろうとした…俺は反射的に七海の手を掴んでいた。
七海『!』
一哉『…もうちょっといようよ』
七海『……うん……』
一哉『あ!ごめん…手…』
俺がそう言って手を離そうとすると…七海は握り返してきた。
七海『…このままでいたい』
一哉『…うん……あ!音楽聞く?』
七海『う、うん!』
一哉『最近…この曲をよく聞くんだよね』
俺はイヤホンの片方を七海に渡して流し始めた。
七海『…っていうかこの曲この前も聞いてたよねー』
一哉『よくない?胸の衝動から決心するって』
七海『私もそろそろ…決心しなきゃな…』
一哉『…え?』
七海『一哉…今日の19時に…ホテル抜け出して昨日約束した場所に来てくれないかな…?』
一哉『いいけど…なんで?』
七海『私の決心…見てほしい』
一哉『わ、わかった』
🎵🎶🎶🎵~🎶🎵🎵🎶
俺のスマホのメロディが鳴り響く。
一哉『ごめん…ちょっと』
俺の手を離すのを躊躇いながらも電話に出る。
TEL
一哉『もしもし?』
玲香『一哉!!!いまどこ!』
一哉『え、残波岬ってとこだけど…』
玲香『あ…ごめん…やっぱりいいや…』
一哉『え、なに?なんなの?』
俺がそう聞くと玲香は躊躇いながら…
玲香『…大変なの!!!』
一哉『だからなにが!?』
玲香『里奈が…』
一哉『里奈?里奈がどうした?』
玲香『里奈が…倒れたの!!』
一哉『は!?なんで!?』
玲香『わかんない…わかんないけど!』
一哉『わかった。今いく!』
玲香『え…でも…七海と…』
一哉『…緊急事態にそんなこと言ってられない…』
玲香『…そっ…そうだよね…ごめん…』
俺は電話を切って、七海にいった。
一哉『七海…ごめん…俺行かなきゃ…』
七海『…里奈?』
一哉『倒れたんだって…』
七海『倒れた!?…はやくいってあげなよ!?』
一哉『…ごめん…約束は守るから…待ってて…』
七海『うん…待ってるから…』
一哉『ごめん…いくね…』
七海『うん…』
俺は七海を置いて、市立病院へと急いだ。
一哉『(体調悪いのに無理しやがって…)』
俺は気づけなかった自分へのイラつきと言わなかった里奈への
謝罪の気持ちで…自然と走っていた。
ー市立病院ー
俺が病院の受付で倒れた里奈の名前を告げて、
病室を確認していると…階段から玲香が降りてきた。
玲香はこちらに気づいて近づいてきた。
一哉『玲香…』
玲香『一哉…ごめんね…』
一哉『里奈は?』
玲香『この8階段の820…今寝てる』
一哉『なんで倒れたの…?』
玲香『軽い熱中症と…貧血らしいよ』
一哉『熱中症…秋でも沖縄はさすがってことか…普段鍛えまくってる里奈が倒れるなんて…いや…貧血の方が大きいのか…』
玲香『早く行ってあげて?』
一哉『うん…』
俺が部屋にいこうとすると…
玲香『ねぇ!七海は?』
一哉『…残波岬にまだいると思う…』
玲香『…わかった』
一哉『七海のこと…ちょっと任せた』
俺はそう言い残して急いで上へと向かった。
一哉『(820…ここか…)』
俺は念のためノックをして部屋に入った。
しかし、里奈はまだ眠っていた。…落ち着いているようで俺は安心をして…里奈のベッドの横の椅子に座った。
時間はもう15時を回っていた。
私は…みんなと国際通で買い物してて…待ってる最中に…なんだっけ…………あぁ…貧血が出たんだ。
私はどれくらい眠っていたんだろう。
目を開けるとそこには白い天井があった。
??『里奈…?』
と名前を呼ばれ、横を見てみると…一哉がいた。
一哉『里奈…大丈夫か?』
里奈『…なんで一哉が…七海と一緒だったんじゃ…』
一哉『玲香から電話もらって来たの』
里奈『…玲香が…(なんで…)』
一哉『…大丈夫?』
里奈『もう平気』
私はそう言ってベッドから降りて立ち上がろうとする。
しかし…まだ十分に動けず倒れそうになってしまう。
一哉『里奈!!』
一哉が私の体を支えてくれた。
一哉『だめだって…まだ寝てなきゃ…』
里奈『…ごめん…今何時?』
一哉『18時になるところ』
里奈『え!?そんなに眠ってたの!?』
一哉『3時間ぐらいか…よく寝てたよ』
里奈『な!まさか!寝顔見てたの!?』
一哉『そりゃ、ずっとここにいたからね』
里奈『!!!………こ、この変態!』
一哉『な!?せっかく面倒見ててやったのになんだその物言い!』
里奈『…ごめん』
一哉『!?…お、おう…』
里奈『ねぇ…屋上つれてってよ…』
一哉『…はぁ?だからだめだっ…』
里奈『一哉が背負っていってくれればいいでしょ?』
一哉『里奈…熱でもある?』
一哉はそう言って私のおでこに手を当てた。
里奈『!?…………さ、さわらないでよ!…へ、変態!』
一哉『まあいいや…じゃ、屋上行こうか』
里奈『う、うん…』
一哉『さ、乗れよ』
一哉は私の手を持って起き上がらせてくれる。
私は…恥ずかしながらも、一哉に身を任せた。
里奈『(知らない間に優しくなったんだね…)』
一哉『さあ、着いたよ』
私の病室が8階なだけにすぐに屋上についた。
一哉は私を屋上のベンチに座らせてくれた。
一哉『あー!空気いい!』
里奈『だね…空気が澄んでる』
一哉『まったく…倒れたって聞いたときはなにがあったんだって
ビックリしたぞ…』
里奈『ごめん…最近貧血気味で…』
一哉『そういうことは早くいえよ』
里奈『…一哉には関係ないじゃん…』
私がそう言った瞬間呆れ気味に笑ってた一哉の顔が曇った。
一哉『関係ない?……関係なくなんかねぇよ!』
里奈『な、なによ…』
一哉は…落ち着いたトーンで再び話し始めた。
一哉『里奈になんかあったら…雄介に顔向けできねぇんだよ…
里奈は大切な仲間なんだぞ』
里奈『…(一哉…そんなに責任感じてるんだ…)』
一哉『まったく…』
里奈『…ごめん。雄介……一哉…あのね…』
私は…自分の中にある雄介を思う気持ちと同じ気持ちを…一哉にいつの間にか抱いていた。
一哉『ん?』
里奈『私…一哉のことが好き』
一哉『え…?』
里奈『私は西野一哉が大好きです…』
一哉『……』
里奈『私を…雄介から奪ってください…』
一哉『…里奈…そういう冗談は…』
私は…一哉に抱きついた。
里奈『私は…冗談なんか言わない。私の性格知ってるでしょ…』
一哉『…里奈…』
里奈『(でも…私は知っている…)』
一哉『里奈…あのね…』
里奈『…もういい…それ以上言わなくても…私はわかってる』
一哉『……』
里奈『一哉のここには…他の誰かがいるよね?私のことを心配してくれたり助けてくれるのは私を守らなきゃっていう使命をどこかで感じているから…まあ仲間だからってのもあると思うけど…
私に返事せず…いかないと…どうせ…あの子も思いを伝えるために一哉を呼び出してるよね?…待ち合わせがあるなら…行かなきゃ…ね?』
私は一哉から離れて、一哉の胸に手をあてながらそう言った。
一哉『ごめん…里奈…』
一哉は…私を強く抱きしめてから…屋上を出ていった。
里奈『(はぁ…あっさり振られたな…あれ…おかしいな…)』
私は振られるとわかっていたはずなのに…涙が零れた。
一哉が出ていって…私は一人で泣いていた。
一哉『(急がないと……時間がない…)』
俺は病院から全力で走って、約束の浜辺へと向かった。
時間に余裕はない。俺は……里奈を振ってしまった。
……俺のここにいる人…か…。
俺は練習の時よりがむしゃらに、全力で走り続けた。
時間はすでに…19時をまわろうとしていた
俺は里奈を振り、自分の心にいる人物が誰なのか…それが、
やっとわかった。
好きな人はいると思っていた。
でも、本当にその人なのか…俺は断言しきれなかった。
思えば俺が真剣に部活をやるとき…
俺が過去を話せずにいたとき…
合宿のきっかけを作ってくれたり…
どんなときでもどんなことをするときも
そばにいてくれたのは……七海だった。
七海は俺に私の決心を見せてあげる…そう言った。
それに答えなきゃいけない。
どんなに思いを圧し殺そうとしても
里奈を振ってしまった以上中途半端なことはできない。
一哉『(あとすこし…時間は…19:04…過ぎちゃってるけど…
必ず待っててくれるはず…)』
俺がホテルの前を通りすぎ、浜辺に降りようとした瞬間…
??『西野!!!!』
と名前を叫ばれた。
俺は躊躇したが…立ち止まり振り返ると…そこには…
学校で鬼と呼ばれる体育教師の赤坂がいた。
赤坂『お前、何時だと思ってるんだ?』
一哉『…』
赤坂『何時だと思ってるんだと聞いてるんだ!!早く部屋に戻りなさい!!』
一哉『…』
赤坂『聞こえないのか!?戻れといってるんだ!』
一哉『すいません…でも…戻れないです…』
赤坂『団体行動を乱す行動は慎めと言ったよな』
一哉『はい…』
赤坂『わかったらはやく戻れ』
一哉『嫌です!』
俺はそう言って再び走り出した。
赤坂『おい!西野!待て!』
赤坂は追いかけてくるが…インターハイ優勝の俺に…死角なし…
久しぶりに自分の陸上馬鹿に感謝する俺だった。
俺は再び急いで七海の待つ…約束のところへ向かった。
着いたのは…19:30になる直前だった。
俺は…息を切らしながら浜辺に七海の姿を探した。
私は約束の時間より…少し早く、約束の場所に来ていた。
七海『(あと…5分…来るよね…来てくれるよね…?)』
わたしは昨日約束した場所に座って待っていた。
しかし…待てども待てども一哉の姿は現れない。
七海『(やっぱり…里奈が心配で約束なんか忘れちゃったのかな…)』
私は…そう思った途端、涙が自然と流れてきた。
七海『(そっか…私は…失恋したんだ…)残念だなぁ…』
私は…立ち上がり…その場所をゆっくりと去っていった。
時間は…すでに35分も過ぎていた。
俺は…間に合わなかった…?
七海との約束に…間に合わなかった…。
俺は結局約束も守れず中途半端なことをしてしまった。
どんなに悔やんでももう遅い。
さっき、なんで赤坂にとめられたからと立ち止まってしまったのか、何度でも途中で走り出せたはずだった。
俺は…里奈を雄介から譲り受けることを拒否した。
なのに、俺を待っていてくれた七海を…傷つけた。
俺にできることは…もうないのか…。
私は一哉のことを思いながらも…ホテルまでの道をゆっくり…
ただゆっくりと戻っていた。
ホテルの入口が見えてくるところに…赤坂先生がいた。
赤坂『櫻井…?お前何時だと思ってるんだ!!』
七海『すいません…部屋に戻ります…』
赤坂『あ、待て!』
七海『え…?』
赤坂『西野をみなかったか?お前と同じ陸上部の』
七海『…一哉…?見てません…』
赤坂『あの野郎…俺が止めたのに勝手にどこか行きやがって…』
七海『(え…どういうこと…?)先生…それどういうことですか…?』
赤坂『あ?…あぁ、5分くらい前か…西野が走ってどこかへ行こうとしていたから、ホテルに戻れと止めたんだ。…まああいつはどこかにいきやがったが…』
七海『(!!!…)せ、先生!それ…5分前って確かですか!?』
赤坂『あ、あぁ…なんだ、心当たりでもあるのか?』
七海『すいません!』
私は…無我夢中に…約束の場所に走った。
七海『(一哉は…来ようとしていた…しっかり約束を覚えて、
来てくれようとしたんだ…先生に止められて…間に合わなかったんだ…)』
私は…一哉がまだ里奈と付き合っていないという希望と
願いを思いながらひたすらに走りつづけた。
俺は約束を破った…。本当に後悔しても遅い。
七海は俺に決心を見せずに帰ってしまった。
自業自得ながら…腹が立つ…。
俺は空を見上げた。
一哉『(人の心に現せば…恋は雨空…か…)』
俺は七海の言葉を思い出しながらも涙を流した。
本当にもうできることはないのか…やれることはないのか…。
不意に俺のスマホが鳴った。
もう…あのメロディーは使っていない。
TEL
一哉『もしもし…』
里奈『七海と会えた?思い伝えた?』
一哉『約束に間に合わなかった…』
里奈『え…』
一哉『ごめん…切るよ…』
里奈『ばっかじゃないの!?』
一哉『は…?』
里奈『約束に間に合わなかった。それで終わらせていいの!?』
一哉『でも…俺にはもうできることなんて…』
里奈『一哉の好きなアーティストを思い出して。…辛いとき…私たち3人は必ずその曲をきいてたはず……七海はあなたに決心を見せるつもりだとおもう…なら…一哉も決心を見せないとダメでしょ!』
一哉『(曲…アーティスト…辛いこと…)』
俺はそこまで考えて…1つの答えにたどり着いた。
里奈『ねえ!一哉!きいてるの!?』
一哉『…里奈!!ありがとう!』
俺はそう言って電話を切った。
里奈がなにか言っていたが…あとで聞き直せばいい。
俺にできることは1つしかなかった。
俺と七海がよく聞いていた曲…。
俺は…1人でその曲を歌った。
これがどうになるとかそんなのは知らない。
俺がここにいる。それをわかってもらうにはこれしかない。
きっと届く…そう信じて俺は歌った。
私は一哉がまだ待っていると信じて…。
海へと引き返してきた。涙や回りの暗さで…
前がよく見えない
でも…私は一哉の名前を叫んだ。
七海『一哉!!!いる!?いたら…いたら返事をして!!』
しかし…辺りはシーンと静かに静まり返っている。
私は…何度も何度も一哉の名前を呼んだ。
七海『一哉!!いるんでしょ!?…いるなら…返事してよ…』
私は…悲しさと悔しさでしゃがみこんでしまった。
七海『(もう…帰っちゃったのか…な…)』
私がそう思ったときだった。
私が聞き覚えのある…あの音楽が聞こえてきた。
私が…決心をする勇気をくれた曲。
一哉と何度も聞いた曲…。
私は…声のする方に向かって再び走り出した。
一哉『~決心のきっかけは…理屈ではなくて
いつだってこの胸の衝動からはじまる
流されてしまうこと抵抗しながら
いきるとは選択肢…たったひとつを選ぶこと…』
一哉『(とどけ…とどけ!七海…約束守れなくてごめん…
でも俺はここにいる…)』
そう思いながら…祈りながら俺は歌い続けようとした。
その時…
??『一哉!!!!!』
俺は歌うのをやめて…振り返った。
そこには…涙を流した七海がいた。
一哉『七海…』
七海『一哉…』
七海は俺に近づいてきた。
七海『遅いよ…バカ…19時っていったのに…』
一哉『ごめん…守れなかった…でも…』
七海『でも、嬉しい…約束は破られてしまったけど…こうしてきてくれたことが…』
一哉『七海…七海が俺に決意を伝えるといったけど…最初に俺の言葉を聞いてくれないかな…』
七海『………うん…』
俺は七海に近づく。
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七海『…知ってる…』
一哉『でも…それ以上に…櫻井七海が…』
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一哉『はい…』
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俺は…七海をそっと抱き締め返した。
七海『やっと通じた…』
一哉『七海が…言ってた通りだね…』
七海『…え?』
一哉『泣いたりすることもある…心の空は…』
2人『恋雨空…』
七海『でしょ…?でも…いま私の心は晴天だよ…過去最高の…』
俺はもう一度七海を抱き締めた。
もう…俺は七海を離さない。
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END
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