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第一幕 ハイランドとローランドの締結

それぞれの強き意思11

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「相談すると、やめろと言われるから相談しなかった」
「当たり前です! 議長の座をみすみすあんな男に渡すなんて有り得ない」

「もともとああいうのは好きじゃない。あーだこーだと適当に発言して、纏まりのつかない会議のまとめ役など私には向いてない」

「向き不向きの問題ではなくてっ! 『議長』である肩書が必要なんです」

「『必要』って何に? 不必要だろ。いらない、あんな肩書。面倒なだけ。ああいうのは、権力を欲しがっている男にくれてやるのが一番だ。まあ、かろうじて評議会の議員であるから、安心しろ」

「安心できませんね! 議長になれたのだって、王家の血筋があってこそ…なんですよ」

「違うだろ。王位継承権で敗れたお情けで頂いた権威だ。敗北したのは可哀想だから、これで我慢してね…的なものだ。興味の対象にもならない代物だ」

 ドリュが窓から離れると、私の前に仁王立ちした。腰に手をあてて、上から私を見下ろしていた。

「怒っても無駄だ。もう文書を書いて、部下に持たせたから。怒るだけ、時間が勿体ない」

「いつもいつも…そう勝手なことばかり。ローランドにおいて、国王より次に力のある席をなぜ手放すのですかっ。国王の不在となった折には、議長がその任を…」

「興味無いね。それに国王が居なくなれば、すぐにブルタニアの王が首を突っ込んでくるさ。今のアルバはブルタニアに臣従している状態だから。ラッキーと言わんばかりに、スキップで踏み込んでくる。評議会の議長の権限なんてあっという間に握りつぶされて、評議会自体が消え、アルバはブルタニアに吸収されるだろうな…もしくは奴隷の国と化す」

「まさか…」

「ブルタニアはそのために、アルバの王に臣従させた。どっちに転んでも、ブルタニアの王にとって有利に作用するように、な。あいつは計算高い男だよ。利用できない男たちには決して権力は与えない。だからお祖父様は、王位継承権であっさりと敗北した。ブルタニアの王にとって、賢い血が流れている一族は嫌いなんだよ」

 私はドリュににっこりと笑った。ブルタニア国の王は、ズル賢い男なんだ。

「アルバの国王陛下が支配する世の中でも…、たとえ陛下が不慮の死を遂げても…国民の反乱が起きても…ブルタニアにとって良い方向になるように仕組まれていた?ってことですか?」

「そうだ。それがわかっているから、ハイランド貴族を纏めているセシルの父が、今回の結婚に承諾した。たとえアルバ王国が消えさることになっても、我が一族とハイランド貴族が手を組み、我々の領土だけはブルタニアから守ろうと」

「あの男も…わかっているんですか?」
 ドリュの視線がちらっとセシルに向く。
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