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第一幕 ハイランドとローランドの締結
それぞれの強き意思8
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カイトSIDE
『お前を壊したくなる』
壊した……私は、欲望と感情のままに、一人の男を蹂躙させ、無理やり身体を開かせ、破壊した。ベッドの上で寝るには、安眠ができないほど、セシルを激しく抱きすぎた。
汚れに汚れきったベッドを放置し、セシルは薄い布団に包まって暖炉の前で眠っていた。
私はガウンを羽織ると、己の部屋を後にする。
廊下は寒い。冷たい風が私の頬を通り過ぎて行く。身震いを一つした私は、行くあてなど決めずにただ歩き続けた。
広い城内だ。散歩するにはちょうど良い。
眠れそうにない身体を、動かす。
意味もなく歩き、意味もなく彷徨う。
有言実行……だな、まさしく。
私は己自信に失笑し、失望した。昔から私は『有言実行』する人間だ。いや、そうあるべきだと思っていたし、そう教えられて生きてきた。
有言実行こそが、人々に対し、誠意の示し方だと思っている。が、さきほどの有言実行は誠意とは程遠いものだった。
セシルの泣き顔を見て、安心する己がなんと妬ましく女々しい人間なのかと感じる。心の中で、激しく歪んだ感情を持っていると知った。
『やめてくれ』と叫び、涙を見せるセシルに、何度も身体の奥が熱くなり、セシルの中で吐きだしたい衝動に駆られた。
もっと……もっと私に許しを乞えと……心中で声高らかに言っていた。
何の許しが欲しいのか?
セシルに私は何を求めていると言うのか。
「馬鹿だな」
私は自嘲した笑みを浮かべると、足を止めて壁に寄りかかった。
何を求め、何を欲しているのか。
わからないままに、私はセシルに何かを期待している。期待して、何も得られずに、苛つき……勝手に傷ついたような気分になっている。
誰も傷ついてなどいないのに、裏切られたような気になって…私自身が、セシルを壊してしまった。
『イザベラとの結婚を継続するための第一条件だ…いいな? お前は一生、私のために存在しろ。昼間は私のために服を繕え。夜は、私のために足を開き、私の欲望を満たせ』
セシルに言った言葉を思い出し、私は深いため息をついた。
なんてことを言ってしまったのだろう。
あんなことを言うつもりなど、無かった。
セシルの生活を縛りつけるつもりなんて、全く無かったのに。
そうだ……それに。
セシルとジェイミーを拷問して、イザベラについて聞きだすつもりだって、最初は無かったんだ。セシルが自分の口で、私に言ってくれるまで、待っていようと思っていた。
『お前を壊したくなる』
壊した……私は、欲望と感情のままに、一人の男を蹂躙させ、無理やり身体を開かせ、破壊した。ベッドの上で寝るには、安眠ができないほど、セシルを激しく抱きすぎた。
汚れに汚れきったベッドを放置し、セシルは薄い布団に包まって暖炉の前で眠っていた。
私はガウンを羽織ると、己の部屋を後にする。
廊下は寒い。冷たい風が私の頬を通り過ぎて行く。身震いを一つした私は、行くあてなど決めずにただ歩き続けた。
広い城内だ。散歩するにはちょうど良い。
眠れそうにない身体を、動かす。
意味もなく歩き、意味もなく彷徨う。
有言実行……だな、まさしく。
私は己自信に失笑し、失望した。昔から私は『有言実行』する人間だ。いや、そうあるべきだと思っていたし、そう教えられて生きてきた。
有言実行こそが、人々に対し、誠意の示し方だと思っている。が、さきほどの有言実行は誠意とは程遠いものだった。
セシルの泣き顔を見て、安心する己がなんと妬ましく女々しい人間なのかと感じる。心の中で、激しく歪んだ感情を持っていると知った。
『やめてくれ』と叫び、涙を見せるセシルに、何度も身体の奥が熱くなり、セシルの中で吐きだしたい衝動に駆られた。
もっと……もっと私に許しを乞えと……心中で声高らかに言っていた。
何の許しが欲しいのか?
セシルに私は何を求めていると言うのか。
「馬鹿だな」
私は自嘲した笑みを浮かべると、足を止めて壁に寄りかかった。
何を求め、何を欲しているのか。
わからないままに、私はセシルに何かを期待している。期待して、何も得られずに、苛つき……勝手に傷ついたような気分になっている。
誰も傷ついてなどいないのに、裏切られたような気になって…私自身が、セシルを壊してしまった。
『イザベラとの結婚を継続するための第一条件だ…いいな? お前は一生、私のために存在しろ。昼間は私のために服を繕え。夜は、私のために足を開き、私の欲望を満たせ』
セシルに言った言葉を思い出し、私は深いため息をついた。
なんてことを言ってしまったのだろう。
あんなことを言うつもりなど、無かった。
セシルの生活を縛りつけるつもりなんて、全く無かったのに。
そうだ……それに。
セシルとジェイミーを拷問して、イザベラについて聞きだすつもりだって、最初は無かったんだ。セシルが自分の口で、私に言ってくれるまで、待っていようと思っていた。
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