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第一幕 ハイランドとローランドの締結
それぞれの強き意思5
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「イザベラがここに来たら、死ぬのは俺のほうだろ。処刑されるのは俺だ。違うか? イザベラが居れば、俺は用無しだろ」
カイトの眼球がぎろりと動いて、俺を怒りの籠った目で見つめてきた。俺はぎょっとして、ベッドの上で尻もちをついた。
な、なんだよっ。
怖い顔をして俺を睨んでどうすんだよ。
俺はあんたに睨まれたからって、おびえたり泣いたり…なんてしねえっつうの。か弱い女じゃねえんだから。
それに今の会話で、俺を怯えさせる必要がある内容だとは思えねえし。
「そんなに死にたいのか? それともジェイミーを庇いたいだけか?」
「死ななくていいんなら、死にたくねえよ。そりゃ…死ぬのは怖いし、痛いし、どうなるかわかんねえし。避けて通っていいなら、通りてえよ。それにジェイミーを庇ってるつもりはない。ジェイミーに責任がないから、無いとはっきり言っているだけだ。事情は知っていた…が、ジェイミーはハイランドの人間だ。あんたに全てを打ち明ける義理はない。だから黙っていただけ。責任はない」
カイトが立ち上がると、椅子の横にあるテーブルに立てかけてあった長剣に手を伸ばした。
「そんなに死にたいなら、今ここで私が殺してやろう」
「だからっ! 俺の話し、ちゃんと聞いてるか?」
「死にたいのだろ?」
「違うっ。どう答えれば、あんたは納得する? 泣いて命を乞えばいいのか? それとも、ジェイミーが俺の代わりに処刑になって良かったぜ…って喜べばいいのかよ」
カイトの長剣が、鞘から引き抜かれ、きらりと刃先が光った。
「お前は上に立つ人間の心得を知らない」
カイトの剣の切っ先が空を斬り、俺の喉元の前でぴたっと止まった。
「な…」と俺は口を半開きにして、ひっくり返った。ベッドにごろんと倒れる俺の上に、カイトが跨る。腹に重みが加わり、俺は息苦しくなった。
「人の上に立ったことがねえんだから…心得てるわけねえだろ」
俺はカイトの剣をじっと眺めながら、答えた。
親父の庇護のもとでぬくぬくと育って、いきなり妹のふりをして外にポンと飛び出した俺が、人の上に立つ心得なんて知るわけねえだろ。
なんだよ、人の上に立つ心得ってさ。
なんで、こいつは不機嫌なんだよ。
わけわかんねえよ。
俺、何か間違ったことを言ったのか?
カイトの眼球がぎろりと動いて、俺を怒りの籠った目で見つめてきた。俺はぎょっとして、ベッドの上で尻もちをついた。
な、なんだよっ。
怖い顔をして俺を睨んでどうすんだよ。
俺はあんたに睨まれたからって、おびえたり泣いたり…なんてしねえっつうの。か弱い女じゃねえんだから。
それに今の会話で、俺を怯えさせる必要がある内容だとは思えねえし。
「そんなに死にたいのか? それともジェイミーを庇いたいだけか?」
「死ななくていいんなら、死にたくねえよ。そりゃ…死ぬのは怖いし、痛いし、どうなるかわかんねえし。避けて通っていいなら、通りてえよ。それにジェイミーを庇ってるつもりはない。ジェイミーに責任がないから、無いとはっきり言っているだけだ。事情は知っていた…が、ジェイミーはハイランドの人間だ。あんたに全てを打ち明ける義理はない。だから黙っていただけ。責任はない」
カイトが立ち上がると、椅子の横にあるテーブルに立てかけてあった長剣に手を伸ばした。
「そんなに死にたいなら、今ここで私が殺してやろう」
「だからっ! 俺の話し、ちゃんと聞いてるか?」
「死にたいのだろ?」
「違うっ。どう答えれば、あんたは納得する? 泣いて命を乞えばいいのか? それとも、ジェイミーが俺の代わりに処刑になって良かったぜ…って喜べばいいのかよ」
カイトの長剣が、鞘から引き抜かれ、きらりと刃先が光った。
「お前は上に立つ人間の心得を知らない」
カイトの剣の切っ先が空を斬り、俺の喉元の前でぴたっと止まった。
「な…」と俺は口を半開きにして、ひっくり返った。ベッドにごろんと倒れる俺の上に、カイトが跨る。腹に重みが加わり、俺は息苦しくなった。
「人の上に立ったことがねえんだから…心得てるわけねえだろ」
俺はカイトの剣をじっと眺めながら、答えた。
親父の庇護のもとでぬくぬくと育って、いきなり妹のふりをして外にポンと飛び出した俺が、人の上に立つ心得なんて知るわけねえだろ。
なんだよ、人の上に立つ心得ってさ。
なんで、こいつは不機嫌なんだよ。
わけわかんねえよ。
俺、何か間違ったことを言ったのか?
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