眠れる獅子と眠らない獅子

第一幕 ハイランドとローランドの締結

手厚い接待３

　ジェイミーの言葉を聞いていたカイトの突きが一段と奥へと増した。俺の最奥へとずんずんと進入してくる。

「あ、ああ、ん……やめ……」
　壊れる……俺の尻が……壊れそうだ。

　屈辱と痛み……そしてジェイミーへの申し訳なさで涙が零れ落ちていく。俺が一人で辱めを受けるだけなら、我慢できるのに。

　ジェイミーまで……。

「妹は……」
　俺の口から零れた言葉に、カイトの腰がぴたっと止まった。

「駄目です！　カイト様……言っては……」
「煩いっ、黙ってなさい」

　ドリュが鞭を捨てると、拳をジェイミーの腹に打ち込んだ。

「おえっ」と胃液を吐きだしてから、ジェイミーの意識が飛んで、だらりと頭が垂れさがった。

「『妹は』何だ？」

　ずるりとカイトの大きな逸物が、俺から出て行く。俺を脱力して、その場に倒れ込んだ。

「妹は、たぶんもう……ハイランドにはいない。どこに行ったかは俺も、誰も知らない。けど、あんたの敵になりそうなところに行っているはず。それだけはわかる。あんたとの結婚が決まってすぐに、妹は家を飛び出した。結婚をしたくない……と。もともと妹はローランドの人間を嫌ってる。利用することはあっても、一生を共にするなんて妹のプライドが許さなかったんだと思う」

　俺は「ふう」っと呼吸を整えた。

「兄上は、あんたとの結婚を強く望んでた。ブルタニアからのハイランド侵攻の脅威を感じてた。だから、何としてもあんたと妹の結婚を成功させたがった。だから俺が……妹が見つかるまで、妹のふりをしようと……思って。何の伝手もない妹だから、すぐに見つかると思ってた。でもまだ見つからない」

　俺は瞼を閉じる。

「はあ…すっきりした」と言うと、俺は意識を遠くに飛ばした。妹のことを隠しているのが、　どんだけ俺にとって重荷だったのか……今初めて自覚した。