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第一幕 ハイランドとローランドの締結
結婚というなの契約2
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「危機的状況なのはあんたのほうだ。アルバ王国キャリック伯カイトⅢ世。俺が枕の下に短剣を隠し持ち、命を絶つ機会を待っていたとしたら…絶好のチャンスだ。こんな間近にお前の首があるのだから」
「ほぉ、寝首を掻きたいか? 枕の下に何もないくせに強がって」
カイトⅢ世の言葉に挑発された俺は、枕の下から宝石が散りばめられた柄の短剣を取り出した。
「何もないと思ったのか?」
「馬鹿か? この状況で、お前がどれほどの腕力を持った男かなどわかりきったこと。私に勝てるはずもなかろう」
「くっ…ああっ!」
俺はいとも簡単に手首を返されて短剣が床の上に落ちた。
なんて関節技だ! あっさり手の力が抜けて、短剣が落ちたじゃねえか。
俺は床にことんと落ちた短剣を恨めしそうに見やった。
「で? 次の作戦はなんだ?」
ニヤリとカイトⅢ世が勝ち誇った顔をした。
「…ねえよ」とぶっきらぼうに俺は答えると、足をばたつかせて、頭を激しく振った。
別に、最初から殺す予定なんてなかったし…短剣だって身を守るために突っ込んでおいただけ。
「随分とお粗末な策士だな。本当にハイランドの血が流れているのか?」
「あのなあ…あんたのせいで、人一人が自殺を図って今も床に伏せっているんだよ!」
「だから?」とカイトⅢ世の眉がぴくっと上に動く。
「『だから』? 何、平然と言っちゃってくれるわけ? 俺、怒ってんの! あんたを恨んでるんだよ。あんたの勝手な私利私欲のために、俺の可愛い可愛い妹が、自殺を図り、今もベッドの中で毎夜泣いているのかと思うだけで…あー」
俺は腹筋にぐっと力を入れると出る限りの叫び声をあげて、カイトⅢ世の鼓膜を刺激してやった。
妹が泣く姿を思い出すだけで、腹立たしくて俺の上にいる男が憎らしい。カイトⅢ世が、迷惑そうな表情になると、枕を俺の顔面に叩きつけた。
「ほぉ、寝首を掻きたいか? 枕の下に何もないくせに強がって」
カイトⅢ世の言葉に挑発された俺は、枕の下から宝石が散りばめられた柄の短剣を取り出した。
「何もないと思ったのか?」
「馬鹿か? この状況で、お前がどれほどの腕力を持った男かなどわかりきったこと。私に勝てるはずもなかろう」
「くっ…ああっ!」
俺はいとも簡単に手首を返されて短剣が床の上に落ちた。
なんて関節技だ! あっさり手の力が抜けて、短剣が落ちたじゃねえか。
俺は床にことんと落ちた短剣を恨めしそうに見やった。
「で? 次の作戦はなんだ?」
ニヤリとカイトⅢ世が勝ち誇った顔をした。
「…ねえよ」とぶっきらぼうに俺は答えると、足をばたつかせて、頭を激しく振った。
別に、最初から殺す予定なんてなかったし…短剣だって身を守るために突っ込んでおいただけ。
「随分とお粗末な策士だな。本当にハイランドの血が流れているのか?」
「あのなあ…あんたのせいで、人一人が自殺を図って今も床に伏せっているんだよ!」
「だから?」とカイトⅢ世の眉がぴくっと上に動く。
「『だから』? 何、平然と言っちゃってくれるわけ? 俺、怒ってんの! あんたを恨んでるんだよ。あんたの勝手な私利私欲のために、俺の可愛い可愛い妹が、自殺を図り、今もベッドの中で毎夜泣いているのかと思うだけで…あー」
俺は腹筋にぐっと力を入れると出る限りの叫び声をあげて、カイトⅢ世の鼓膜を刺激してやった。
妹が泣く姿を思い出すだけで、腹立たしくて俺の上にいる男が憎らしい。カイトⅢ世が、迷惑そうな表情になると、枕を俺の顔面に叩きつけた。
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