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第一幕 ハイランドとローランドの締結

結婚というなの契約1

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「私を騙すとは…。随分と馬鹿にされたものだな。この屈辱、どうやって晴らそうか」

 黄金に輝く髪が、俺の上で怒りに戦慄いている。細い目が吊り上がり、あり得ないくらい鋭い瞳でベッドの中で俺を睨んでいた。

 俺の二の腕を掴んでいる指に力が入り、ぎりぎりと骨が軋むような痛みが全身を駆け巡る。骨が折れてしまいそうなくらい痛い…が、『痛い』と口にしても、状況は何ら変化しないのを俺は知っている。

 いや、『痛い』と言ってしまったほうが、この場合……負けとなる。だから俺は絶対に言わない。言ってやるものか!

 表情だって、無表情で極め込んでやるんだ。

「弁解の言葉すらないのか? それとも私が、男女の区別も付けられない大馬鹿者だと? 性器の判別もないない盲目だとでも言いたいのか? ん? どうだ?」
 俺の上に乗りかかり、平べったい俺の胸の二つの突起を摘まみあげた。

「んっ…」
「ほうぉ、女のような声色だな」
 金髪ブルーアイの男がにやりと笑った。

 薄い唇が満足気に持ち上がり、「じゃあ、これは?」とピンク色の突起を手の平で転がされた。

「んあっ…ん」
 今度は全身に寒気が走り、俺の腰が勝手に浮く。まるで次の快感を求めて、俺の股間を金髪男に摺りあてるみたいな……。

 俺の動きに満足な笑みを送った金髪男の指が、俺の着ている夜着の裾を捲くしあげた。

「やめっ…」
 男の指が太腿のゆっくりと撫であげる。全身の毛が逆立つような感覚に、俺は身悶えする。

「まるで女だな。ここはしっかりとした男なのに」
 金髪男がぎゅうっと俺の逸物を握りしめた。意識を持ち始めた俺自身を、握りつぶさんばかりの勢いで握力をかけてくる。

 くそっ、痛いんだよ!

「はあっ…くっ」
無表情を決め込んでいた俺の顔の筋肉がふるふると震え出し、痛みで眉に力が入った。口から洩れる声は、快感ではなく苦痛からくる嗚咽だ。

 男としての象徴を、つぶさんばかりに力を入れてくる金髪男が、楽しそうな表情を浮かべた。

「顔も声も、仕草も女だが…ここだけは男なんだなあ。さあ、どうやってこの危機的状況を打破するつもりだ? イザベラ・ドナルドと偽って私と結婚しようとした名も無き男よ」
 くすくすと可笑しそうにうす笑いを浮かべ、金髪男が俺の下半身から手を離した。
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