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放課後
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「そしたら、明後日またここで話し合おうか」
「え?」と僕は顔をあげる。
「伊坂の学力を見て、いくつか候補の大学を探してくるから。それを見て、考えてみればいい」
「ありがとうございます」
僕は頭をさげた。
先生がニコッと笑うと、「気にするな」と返事をしてくれた。
英先生は、手帳をパタンと閉じると席を立った。最初に持ってきた手帳とファイルを小脇に抱えると、「明後日な」と言葉を残して、指導室を出て行った。
僕は「はあ」と息を吐くと、机に顔を伏せた。
英先生は、教師なんだと強く確認させられる。せっかく二人きりで、個室にいたというのに、何もなかった。
いや、何かを期待するほうが間違っているのは百も承知だけど。
でもやっぱ、一度は関係を持った仲だし……とか考えてしまう僕は、馬鹿なのかもしれない。
相当な阿呆だな、僕は。
ガチャとドアノブが捻る音がして、僕は顔をあげた。
「先生、何か忘れものでも?」
僕がドアに視線を合わせると、そこには小暮先生が入ってきていた。
ガチャリとドアに鍵をかける音が耳にしっかりと入ってくる。
何、するつもりだよ!
「ちょ……なんだよ」
僕は全身の筋肉が、固まるのがわかった。身体全体で、小暮を拒否っている。顔も見たくない。
「次は英なんだな?」
「はあ? 何が?」
「菜々さんだ。英に色目を使っていると職員室で話題になっていた」
「知らねえよ」
「24歳の若い教師だもんな。顔もいいし……そりゃ、色目も使いたくなる」
「だから知らねえって言ってるだろ」
小暮に肩を思い切り押され、僕は折りたたみの椅子ごとひっくり返った。
な、何なんだよっ。気でも狂ったのか?
ガンっという衝撃で、背中と後頭部に激痛が走る。
「英は否定しているが、あれは……絶対、菜々さんに気があるに決まっている」
「先生が否定してんなら、違うんじゃねえの?」
やめてくれよ。僕にそういう恋愛ごとをぶつけてくるのはさ。
僕は関係ないじゃん。
あんたらが勝手に付き合って、僕の家族がめちゃめちゃにして。
それを僕に八つ当たりするなんて、間違ってる。
クラクラする頭を抱えながら、僕は立ち上がろうと両手で床を押していると、ドスンと身体が一気に重くなった。
僕の上に、小暮が乗っかってきたのだ。男の重い身体で、僕の動きを封じられる。
「何するんだよ。英先生や母親のことなら当人に聞けばいいじゃん。僕には関係ない」
「菜々さんが三者面談で、英と何を話したんだ? 触れ合ったのか?」
「知らないよ」
「知ってるだろ。三者面談で、その場にいたんだから」
「知らないってば!」
何でいちいち母さんが話したことを、こいつに報告しなくちゃいけないんだ。
「秘密にしてないで、吐け」
小暮の拳が上にいき、僕は瞼を固く閉じた。次の瞬間、ガツンと頬骨に衝撃が走った。
いって。
僕は頬に痛みが響き、目頭がじわっと熱くなる。
泣きたくない。勝手に涙が出てくるものであっても、こいつの前で絶対に涙なんて流すもんかっ!
「秘密になんてしてない。ただ親として、担任と話しただけだ」
「担任と会うのに、露出度の激しい服を着ていたって言うじゃないか」
「知らねえよ」
女の息子の前で、嫉妬してんじゃねえっての。僕が何したって言うんだ。
もう一発、頬に小暮の拳が入った。今度は床にガツンと頭をぶつけた。
ガンガンと頭が痛み、視界がぼやっとしてくる。
これは脳震とうか? なんて考えながら、小暮の執拗な質問が遠くで聞こえていた。
「え?」と僕は顔をあげる。
「伊坂の学力を見て、いくつか候補の大学を探してくるから。それを見て、考えてみればいい」
「ありがとうございます」
僕は頭をさげた。
先生がニコッと笑うと、「気にするな」と返事をしてくれた。
英先生は、手帳をパタンと閉じると席を立った。最初に持ってきた手帳とファイルを小脇に抱えると、「明後日な」と言葉を残して、指導室を出て行った。
僕は「はあ」と息を吐くと、机に顔を伏せた。
英先生は、教師なんだと強く確認させられる。せっかく二人きりで、個室にいたというのに、何もなかった。
いや、何かを期待するほうが間違っているのは百も承知だけど。
でもやっぱ、一度は関係を持った仲だし……とか考えてしまう僕は、馬鹿なのかもしれない。
相当な阿呆だな、僕は。
ガチャとドアノブが捻る音がして、僕は顔をあげた。
「先生、何か忘れものでも?」
僕がドアに視線を合わせると、そこには小暮先生が入ってきていた。
ガチャリとドアに鍵をかける音が耳にしっかりと入ってくる。
何、するつもりだよ!
「ちょ……なんだよ」
僕は全身の筋肉が、固まるのがわかった。身体全体で、小暮を拒否っている。顔も見たくない。
「次は英なんだな?」
「はあ? 何が?」
「菜々さんだ。英に色目を使っていると職員室で話題になっていた」
「知らねえよ」
「24歳の若い教師だもんな。顔もいいし……そりゃ、色目も使いたくなる」
「だから知らねえって言ってるだろ」
小暮に肩を思い切り押され、僕は折りたたみの椅子ごとひっくり返った。
な、何なんだよっ。気でも狂ったのか?
ガンっという衝撃で、背中と後頭部に激痛が走る。
「英は否定しているが、あれは……絶対、菜々さんに気があるに決まっている」
「先生が否定してんなら、違うんじゃねえの?」
やめてくれよ。僕にそういう恋愛ごとをぶつけてくるのはさ。
僕は関係ないじゃん。
あんたらが勝手に付き合って、僕の家族がめちゃめちゃにして。
それを僕に八つ当たりするなんて、間違ってる。
クラクラする頭を抱えながら、僕は立ち上がろうと両手で床を押していると、ドスンと身体が一気に重くなった。
僕の上に、小暮が乗っかってきたのだ。男の重い身体で、僕の動きを封じられる。
「何するんだよ。英先生や母親のことなら当人に聞けばいいじゃん。僕には関係ない」
「菜々さんが三者面談で、英と何を話したんだ? 触れ合ったのか?」
「知らないよ」
「知ってるだろ。三者面談で、その場にいたんだから」
「知らないってば!」
何でいちいち母さんが話したことを、こいつに報告しなくちゃいけないんだ。
「秘密にしてないで、吐け」
小暮の拳が上にいき、僕は瞼を固く閉じた。次の瞬間、ガツンと頬骨に衝撃が走った。
いって。
僕は頬に痛みが響き、目頭がじわっと熱くなる。
泣きたくない。勝手に涙が出てくるものであっても、こいつの前で絶対に涙なんて流すもんかっ!
「秘密になんてしてない。ただ親として、担任と話しただけだ」
「担任と会うのに、露出度の激しい服を着ていたって言うじゃないか」
「知らねえよ」
女の息子の前で、嫉妬してんじゃねえっての。僕が何したって言うんだ。
もう一発、頬に小暮の拳が入った。今度は床にガツンと頭をぶつけた。
ガンガンと頭が痛み、視界がぼやっとしてくる。
これは脳震とうか? なんて考えながら、小暮の執拗な質問が遠くで聞こえていた。
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