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……のはずだったのに。
部室に行ってしまった。もう一度、昨日の告白の仕切りなおして、エッチした。
(あいつ……婚約者いるよな)
仲良く同じ指輪を薬指につけているのに……って、さっきはつけていなかったような……。
『付き合うとは一体、どういうことをするんだ?』
部室で改めての告白をした明夏に、真面目で硬い表情で聞いてきた。婚約者がいるなら、当然、「付き合う」の意味を知っているはずなのに。
婚約者がいるから、という理由で断られることもなく。教師と生徒だからという理由で拒否られることなく……東雲と『付き合う』ことになった。
いわゆる交際。いつもやっている援助交際とは違う。
東雲は『恋人』であり、『担任』になった。担任であり……恋人だ。
部室で東雲と約束した通りに――いや、一方的に言われたとおりに終礼にきちんと参加している。席に座り、大人しくしている。東雲はいつも通り、くそ真面目な顔で淡々と終礼を進める。必要事項だけを述べ、手帳を閉じると「明日も元気に登校するように」といつも通りに言い、日直に視線を送る。
日直の号令で、先生に挨拶をすると東雲は目も合わせずに、教室を後にした。
(え? どうすんの……これから?)
婚約者と三角関係? 明夏は浮気相手と言う立ち位置になるのだろうか。
「西森君、一つ質問しても……いいかな?」
(なんで、こいつが?)
クラスメートの南野春実南野春実が、申し訳なさそうにか細い声で話しかけてくる。注意して聞いてないと、発した言葉を取り逃してしまいそうなくらい小さい声だ。
学年一位の学力があって、馬鹿がつくくらい人がいい。気弱で、虚弱体質で、いつも担任の東雲に心配されている奴だ。気に入らない。明夏と体系が似ているし、キャラが被っている。中性的で、小柄でつい守りたくなるような……そういう雰囲気が似ていて勝手にライバル視をしている。
明夏は似非だ。思わず守りたくなるような……で終わるが、南野は本当に守らないと倒れる。同じ男とは思えないほど、弱い。明夏の天下になると思っていた高校生活は……南野に半分くらいは奪われていると言っていいだろう。
「なに?」
「あの……おすすめの塾ってある?」
「は?」
(なに、こいつ)
「あ、えっと。塾に通ったことがなくて……自分だけではちょっと難しくなってきたから通おうかと」
「え? 今まで自力で学年一位だったの? それ……ぼくに対する嫌味? 塾に通ってるぼくが二位だから」
「ちがっ……そんなつもりはなくて。本当にわからないんだ。高校入学とともに、こっちに引っ越してきて。まだ地理もわからなかったから。冬夜に聞いても家で勉強するだけでいいって言うし」
「『冬夜』? って、東雲のこと?」
「え? あっ……東雲先生」
(なに? 『冬夜』って呼び捨て? こいつ、東雲とどういう関係?)
ジッと見つめる明夏に、南野は顔を真っ赤にして困った表情になっていた。まるで恋焦がれている人を知られてしまったような顔だ。
嫌な想いが脳裏を掠めていく。
(もしかして、こいつも東雲とそういう関係?)
東雲って今どき珍しいくらいのオツムが固くて真面目一徹な男じゃないの? そう見せているだけで、男好きなのだろうか。婚約者もいるのに。
部室に行ってしまった。もう一度、昨日の告白の仕切りなおして、エッチした。
(あいつ……婚約者いるよな)
仲良く同じ指輪を薬指につけているのに……って、さっきはつけていなかったような……。
『付き合うとは一体、どういうことをするんだ?』
部室で改めての告白をした明夏に、真面目で硬い表情で聞いてきた。婚約者がいるなら、当然、「付き合う」の意味を知っているはずなのに。
婚約者がいるから、という理由で断られることもなく。教師と生徒だからという理由で拒否られることなく……東雲と『付き合う』ことになった。
いわゆる交際。いつもやっている援助交際とは違う。
東雲は『恋人』であり、『担任』になった。担任であり……恋人だ。
部室で東雲と約束した通りに――いや、一方的に言われたとおりに終礼にきちんと参加している。席に座り、大人しくしている。東雲はいつも通り、くそ真面目な顔で淡々と終礼を進める。必要事項だけを述べ、手帳を閉じると「明日も元気に登校するように」といつも通りに言い、日直に視線を送る。
日直の号令で、先生に挨拶をすると東雲は目も合わせずに、教室を後にした。
(え? どうすんの……これから?)
婚約者と三角関係? 明夏は浮気相手と言う立ち位置になるのだろうか。
「西森君、一つ質問しても……いいかな?」
(なんで、こいつが?)
クラスメートの南野春実南野春実が、申し訳なさそうにか細い声で話しかけてくる。注意して聞いてないと、発した言葉を取り逃してしまいそうなくらい小さい声だ。
学年一位の学力があって、馬鹿がつくくらい人がいい。気弱で、虚弱体質で、いつも担任の東雲に心配されている奴だ。気に入らない。明夏と体系が似ているし、キャラが被っている。中性的で、小柄でつい守りたくなるような……そういう雰囲気が似ていて勝手にライバル視をしている。
明夏は似非だ。思わず守りたくなるような……で終わるが、南野は本当に守らないと倒れる。同じ男とは思えないほど、弱い。明夏の天下になると思っていた高校生活は……南野に半分くらいは奪われていると言っていいだろう。
「なに?」
「あの……おすすめの塾ってある?」
「は?」
(なに、こいつ)
「あ、えっと。塾に通ったことがなくて……自分だけではちょっと難しくなってきたから通おうかと」
「え? 今まで自力で学年一位だったの? それ……ぼくに対する嫌味? 塾に通ってるぼくが二位だから」
「ちがっ……そんなつもりはなくて。本当にわからないんだ。高校入学とともに、こっちに引っ越してきて。まだ地理もわからなかったから。冬夜に聞いても家で勉強するだけでいいって言うし」
「『冬夜』? って、東雲のこと?」
「え? あっ……東雲先生」
(なに? 『冬夜』って呼び捨て? こいつ、東雲とどういう関係?)
ジッと見つめる明夏に、南野は顔を真っ赤にして困った表情になっていた。まるで恋焦がれている人を知られてしまったような顔だ。
嫌な想いが脳裏を掠めていく。
(もしかして、こいつも東雲とそういう関係?)
東雲って今どき珍しいくらいのオツムが固くて真面目一徹な男じゃないの? そう見せているだけで、男好きなのだろうか。婚約者もいるのに。
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