キミの足が魅惑的だから

ひなた翠

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第三章 似た者同士

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 専務の部屋に入ると、さくらと兄さんが待っていた。

「……え?」と思わず声があがる。

「事情は全てこちらで把握済みだよ。翔太なら、多く発注した分の商品をこちらで買い取って、他の企業に売り込みにかかると思ってるんだけど、どうかな?」
「合ってます」

「で、午後は企業まわり。その顔では、うまく営業をかけられなかったってことでいいかな?」
「……悔しいですが、その通りです」

「リスト、あるだろ? 出して」
 兄さんが手を出してきた。

「はい?」

「営業をかける企業だよ。同じ商品を扱ってる企業リスト、あるだろ?」
 俺は持ってきた資料から、自分で調べてメモした用紙を出してデスクに置いた。

「んー、僕は五社に声をかけられそうだ」
 兄さんは赤ペンで社名の隣にチェックを入れていく。

「私は七社ほど」
 さくらも青ペンでチェックをいれた。

「なんで僕より多いの?」
「日ごろから朝比奈専務とお繋がりになりたいという企業からのご連絡がありますので」

「うそ?」
「本当です。社長からも選抜したもの以外は教えなくていいと言われてますから。わが社の利益になる会社との会合や接待しか受けてません」

「やっぱりさくらさんは、優秀だなあ」
 兄さんとさくらとのやり取りにムッとする。ヤキモチだってわかっているけれど、感情は止められない。
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