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一章 〜最強少女はモブに転生しました〜
1話 サレンティス学園-1
しおりを挟む「何これ!!!!」
「うるさいぞ」
そう言うと牢屋を見張っている兵が槍を強く打ち付けた。その瞬間響く、鉄がぶつかり合う音に耳を塞いだ。
「あ、あの...ここは何処で...」
「お前、馬鹿なのか?ここはシャリゼン王国だ。お前は城への侵入で捕まったのだろ」
「あ、そうでした。あはは」
私は苦笑いで頭をかいた。
いや、知らないし。まず、私って誰?
ふと、私はおじさんの言っていた力を思い出した。私の力であれば、簡単にこの牢を壊せるのでは?
私は手を壁の方に付けると強く念じた。壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ...。
だがしかし、魔法は出る様子もない。
「お、おじさんの嘘つき!!」
すると、突然地響きと共に私の触っていた壁が崩れ始めた。その様子に兵も驚いたようで、口をあんぐり開けて壁をみている。これは...脱出するチャンス。
私は牢屋を出ると城の中らしき場所を走り抜けた。
私に気づき、剣で斬ろうとして来る者もいるが、私には全く当たらない。
「何これ、体軽い...」
「お、おい!止まれ!」
私は目の前に出来た兵の壁を見ると袖口を口元に当てクスリと笑った。
「ちょっとだけ試させてくださいね」
兵の壁に手を掲げると風圧で兵を吹き飛ばした。少し弱めで出したはずが、壁まで吹き飛んでしまいそうな勢いに焦り魔法を止めた。これは手加減しないと大変だな...。
私は城の塀に飛び乗ると、こちらを見つめる兵に手をヒラヒラと振り飛び降りた。まずは住む場所を探さなくては行けない。
「出来るだけあの学園のそばがいいですね...」
私は数々の家の屋根を軽く飛び渡った。私の新たな人生はこれからだ。
1年後...。
年月が過ぎるのは早かった。私は転生した後、サレンティス学園のあるエジェスト国を目指し冒険をした。私の力であれば、魔物を倒しお金を稼ぐのは苦ではない。
「制服を着て、装備も整えて全てが完璧!」
私は大きく背伸びすると宿の窓を開け放った。少し向こうに見える大きな建物、あれが私が今日から通うサレンティス学園だ。
大きく息を吸うと、荷物を持ち1階へと駆け下りた。
「お、ニエちゃんもう行くのかい?」
宿を営んでいるおばさんは私が渡した鍵を受け取ると、私にそう問いかけた。もうこの街に滞在して半年ちょっとだ、流石に私の事を覚えてくれたみたい。
「はい!また来ますから」
「嗚呼、いつでも待ってるさ。ちゃんと学生書は持ったかい?」
「勿論です!行ってきます」
私は宿を出てローブを深く被ると軽く飛び屋根に乗った。ここから馬車を使うのが良いのだが、私の力を使わないでどうすると言うんだ。私は木を飛ぶように移り飛び学園の方向へ進んだ。
「あ、人がいっぱい」
学園の前には沢山の人が止まっていた。確かここで待っていろとの手紙があった気がする。ふと、学園の上空にメガホンのようなものが現れた。
『新入生の皆さんは講堂にお集まりください』
私はその声を聞き、木から地面に飛び降りた。講堂への道は分からないため、前の人達に着いて行く。
ふと、見覚えのある顔を見つけ私はニコリと笑った。どうやら、新入生の様子を影から見ているみたい。乙女の嗜好6の悪役令嬢サーシャ・ガーセリオン。だが、サーシャ・フォル・フォーレットと言う名前で学園に入学したようだ。
ふと、前の人が大きな扉の前で止まった。どうやら、扉は開くことがなみたいだ。私は真上に魔法の気配を感じ速攻で魔法を発動させた。
「"ここを通りたくば、全ての試練をくぐり抜けろ"もしかして最終試練的な何かですかね..."右突き当たりの部屋"...なんだ、ちゃんと道も教えてくれてるじゃないですか」
私はとルンルン気分で右の廊下へ足を進めた。
後ろを振り返ると、誰も居ない。私一人だけと言うのも寂しいな...と思いつつ進んでいると、大きな扉が目の前に立ちはだかった。なんとも古めかい扉だ...触ってしまえばボロボロ塗りが剥がれ落ちそう。
私はその扉を押し開けた。中は大きめな極普通の部屋だ。反対側に扉があるのだが、ドラゴンが真ん中に居るため簡単には先へ行けなそうだ。それに、よく見るとドラゴンの首に鍵が付いた紐をぶら下げている。
「ねぇ、起きてください」
私はドラゴンを軽く叩き起した。首を上げたドラゴンは真っ直ぐ私を見る。
『やっと来たのか、人間』
「えっと...待たせてました?その鍵が欲しいのですが...」
『我を倒せばやろう。だが、1人しか居ないようだが他の人間を待った方が良いだろ?』
「いえ、大丈夫です。私、こう見えて強いのですよ」
私は腕まくりをし、小さなコブを見せニコリと笑った。
きっと、この大きな部屋でもドラゴンからの攻撃は避けきれない。出来るだけドラゴンから距離を取る。
『ならば、お前から攻撃をさせてやろう。我は今機嫌がいい』
私はニッと笑いドラゴンに手を掲げた。ドラゴンはドラゴンだ。それなりに力はある、ならば一発で倒し終わらせる。
すると、私の周りに光が出てきたかと思うと次の瞬間にはドラゴンを光の柱が包み込んだ。
光の柱が消えた頃にはドラゴンはその場に倒れ込んでいた。
「あれ...思ってたより弱いドラゴンだったのですね」
私はドラゴンの首から鍵を取ると扉を開けた。
部屋の先は真っ暗な通路、凄く不気味だ...。魔法倉庫を出すと私は中からランプを取り出し辺りを照らした。どうやら、普通の廊下のようだが、暗すぎる...。
「お前、ここから逃げろ!」
その声と共に暗闇の中から炎の玉が飛んできたもので、私は咄嗟に横に避けそのまま倒れた。間一髪だった...。
「大丈夫でした?」
そう言うと、三つ編みをした女の子が私に手を差し出す。
「えっと...今の何ですか?」
「試練だよ。さっきから向こうから魔法が来るばかりでちっとも進めない」
もう1人の女の子は白色の髪を持つ綺麗な子。どうやら、2人でペアのようだ。
「もしかして、1人で最初の試練を乗り越えてきたのですか?」
「あ、うん...動物を少し倒しただけだよ。そんなに強くも無かったし」
「運が良かったのですね」
そう言うと女の子は前へと歩き出した。だが、やはり攻撃は私たちの歩みを止める。
「暗くて敵の位置さえ分かりません。これじゃあ進めそうもないですよ」
「見えないんだったら明るくすれば良いよね?」
「それが出来たら苦労は...」
私は前に手を掲げ真っ直ぐな廊下に火の玉をいくつも浮かばせた。
「これで大丈夫?」
呆気に取られ私を見る2人に対し私はニコリと笑みを見せた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最強少女の本編は魔王の娘です。
細かい内容まではお話の中に入って来ないこともあります。
ですので、詳しい内容を知りたい方は御手数ですが、魔王の娘の4章辺りから読んでくださるとありがたいです。
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