15 / 15
15 子供の頃の願いを大人になっても呪文のように囁くコタロ。
しおりを挟む
ある日、母親に頼まれたかさばり重いものリストの物を買って歩いていた。
「虎太郎君、やっと会えた~。」
声をかけてきたのはマシロのお母さんだった。
マシロと今の様になって以来、初めてで、緊張もする。
「こんにちは。いつも、お世話になってます。」
「うん、聞いてる。本当にビックリな話だけど、すごくうれしいから。家は二人とも喜んで大歓迎よ。虎太郎君なら間違いなく・・・・・真白が素直でわがままでいられるって安心してるから。」
わがままって言うほどじゃない。
素直はそうなんだろうか?
褒められたと思って、安心してもらってると分かって、うれしい。
実際はそう言われてるのは知ってる、母親も同じようにマシロの事を言ってるし。
「仲良くしてます。そのつもりです。」
「うん。時々食事も掃除も何もかもしてくれてるみたいじゃない?すごくうれしそうだし、それなのに太った太ったとか笑いながら言うし。」
「それは言われてます。お礼も言われてるし、太らせないでとも言われてます。」
まだまだ細いからいいのに。
「ねえ、今度真白の子供の頃の話でもしましょうね。本当にあの頃お姉さんぶって面倒見ながらも、がっしりと手をつかんで離さなかったからね。」
「もうその頃からお世話になってたから、今は時々恩返しです。」
「ありがとう。これからもよろしくね。」
「はい。」
できたら、ずっとって思ってます。そう言いたかったくらい。
家について別れる前にもう一度お礼を伝えた。
そのままキッチンに行っておばさんの事を伝えて。
手伝いのお礼を言われた。
「虎太郎、ありがとう。」
今まで平凡な人生だった。
あの頃の盛り上がりの中心はやっぱりマシロだったんだろう。
そして今最大の盛り上がりが順調ならいいじゃないかって思う。
あの頃の大好きで当然だったマシロと、今綺麗になって側にいて欲しいと思うマシロと、これ以上ないほどくっついている。
『大好き、マシロ、ずっと側にいて。』
耳元でそう繰り返してお願いしてる。
眠りに落ちる最後の瞬間、それはまるでおまじないの呪文のように。
ゆっくりでもいいからマシロに効いてくれればいい。
いつか、本当になればいい。
「虎太郎君、やっと会えた~。」
声をかけてきたのはマシロのお母さんだった。
マシロと今の様になって以来、初めてで、緊張もする。
「こんにちは。いつも、お世話になってます。」
「うん、聞いてる。本当にビックリな話だけど、すごくうれしいから。家は二人とも喜んで大歓迎よ。虎太郎君なら間違いなく・・・・・真白が素直でわがままでいられるって安心してるから。」
わがままって言うほどじゃない。
素直はそうなんだろうか?
褒められたと思って、安心してもらってると分かって、うれしい。
実際はそう言われてるのは知ってる、母親も同じようにマシロの事を言ってるし。
「仲良くしてます。そのつもりです。」
「うん。時々食事も掃除も何もかもしてくれてるみたいじゃない?すごくうれしそうだし、それなのに太った太ったとか笑いながら言うし。」
「それは言われてます。お礼も言われてるし、太らせないでとも言われてます。」
まだまだ細いからいいのに。
「ねえ、今度真白の子供の頃の話でもしましょうね。本当にあの頃お姉さんぶって面倒見ながらも、がっしりと手をつかんで離さなかったからね。」
「もうその頃からお世話になってたから、今は時々恩返しです。」
「ありがとう。これからもよろしくね。」
「はい。」
できたら、ずっとって思ってます。そう言いたかったくらい。
家について別れる前にもう一度お礼を伝えた。
そのままキッチンに行っておばさんの事を伝えて。
手伝いのお礼を言われた。
「虎太郎、ありがとう。」
今まで平凡な人生だった。
あの頃の盛り上がりの中心はやっぱりマシロだったんだろう。
そして今最大の盛り上がりが順調ならいいじゃないかって思う。
あの頃の大好きで当然だったマシロと、今綺麗になって側にいて欲しいと思うマシロと、これ以上ないほどくっついている。
『大好き、マシロ、ずっと側にいて。』
耳元でそう繰り返してお願いしてる。
眠りに落ちる最後の瞬間、それはまるでおまじないの呪文のように。
ゆっくりでもいいからマシロに効いてくれればいい。
いつか、本当になればいい。
0
お気に入りに追加
9
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
悪女さま、手筈は整えております
西原昂良
恋愛
フリデン王国屈指の名門貴族、オリブリュス公爵家。その令嬢、リティア・デル・オリブリュスは気づいてしまった。淡い桜色の髪、透き通るような白い肌、淡い紫の瞳。全体的にふんわりした色あいの可憐な容姿。生まれながらにこの国の王太子の婚約者である立場。ヒロインの特徴がこんなに顕著に出ているのだから自分は絶対にこの物語のヒロインだと。だが、ヒロインはヒロインでも暫定ヒロインだと。
私は噛ませ犬で真のヒロインは悪女、なのでしょう?
◇ ◇ ◇ ◇
過去世の記憶が中途半端で曖昧に蘇ったせいですれ違うお話です。
設定はゆるめ。初めて書くファンタジーです。寛大なお心でおねがいします。
この作品は小説家になろう、魔法のiらんどに掲載しています。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる