コタロとマシロ~仲良しの二人~

羽月☆

文字の大きさ
上 下
3 / 15

3 遠い夏の思い出に懐かしさとともに違う気持ちもよみがえって。~コタロ③

しおりを挟む
次の日、一人ダラダラとテレビを見ていたら、買い物を頼まれた。
歩いてすぐのスーパーだ。

「もう、そんなにだらりと起きなくても、すぐそこなんだからちゃちゃっと頼まれてよ。」

そんなに言うんだったら母さんがちゃちゃっと行けばいいのに、なんて言えない。

結局高級アイスを一つだけ買っていいからと言われてお金を預かり、寝ぐせのついた髪にササっと手櫛を通して楽な部屋着のままで出かけた。
アイスにつられたわけじゃない。
だいたい別に食べたいって天気でも気分でもないし。
ただ、父親がいなかったし、本当にすぐ近くだし、でも母さんが持つには重いし、それにどうせ逆らえない自宅暮らしなのだから。

ちゃっちゃと買って、両手に膨らんだ袋を持って帰ってきた。


「あ、コタロ。」

誰だかはすぐ分かった。
そんな呼び方をする人も他にはいないし、昨日だってその声は聞いたし。

マシロがそこにいた。

重いコメの袋と、除湿剤とゴミ袋と、キッチンペーパーなど。
だいたい重たくてかさばるものを頼まれた自分。
選んだアイスはちょこんと間に挟まれてる。


「重たそうじゃない。持ってあげる。」

そう言って一番軽そうな袋を持ってくれた。
あんまり変わらないし、バランスが悪くなっただけだったけど、親切にはお礼を言った。

「ありがとう。マシロ、実家に帰ってきたの?」

「そうそう。なんだか懐かしくなって。コタロもいると思ってた。」

そう言ってデザートの箱を掲げる。
どこのだかは知らないけど、自分の分もあるんだろうか?

「ねえ、時間ある?ちょっと話しない?」

もしや今更柴田との戦いを始めるんじゃないよな?何だろう。


「だって昨日すぐに帰ったじゃない。眠かったんでしょう?」

楽しそうにそう言うマシロ。

あの頃よくいろんなところで電池が切れた様に寝ていた。
昔からどこでも寝れた。
疲れたらそのままゴロンと横になって、だからマシロの家で昼寝したり、夕寝したりすることも多かった。
おばさんが電話してくれて、心配もされなかったんだろう。

夕食の時間には迎えに来てもらって、ボケッとしながら家に帰ってた。

だからって、お酒が弱いと思ってるんだろうか?
結構飲めるのに。

歩き出して、とりあえず自分の家に向かう。
本当に重たい荷物なのだ。さっさと放り投げたい。

マシロは自分の後ろにくっついてくる。
自分の家の様に、当然の様に。

「ただいま。買って来たよ。」

「お帰り、ありがとう、虎太郎。」


「こんにちは、おばさん。」

本当に後ろをついてきて、上がりこんでるマシロ。

「これ、使ってみてください。髪の毛の栄養クリームです。夜つけて、そのまま寝てください、朝にはツヤツヤ髪になりますので。」


「あら、いつもありがとう。久しぶりね、帰ってきたの?」

「はい。そこでコタロに会って、久しぶりだからデートしてきます。」

「あら、虎太郎でいいの?どうぞどうぞ、退屈してゴロゴロしてたから。」

「じゃあ、コタロ、懐かしの私の部屋へどうぞ。私以上にすっごい久しぶりでしょう?」


そう言って歩き出した。
ついて行くべきらしい。

「じゃあ、行ってくる。」

昔はこのセリフだって本当に嬉しそうに言ってた気がする。

『じゃあ、マシロのとこに行ってくるぅ!』

子どもの自分のそんな声が聞こえそうだったけど。
やっぱり大人になったんだなあ。
そんなに嬉しそうには言えない。何でだろう。


それでも行ってきますと声を残して家を出た。


本当にゴロゴロしてただけだから。
連れられるように隣の隣の懐かしいマシロの家に行った。

「ただいま~。」

マシロがそう言っても誰も返事をしてくれなかった。

「いないのかな?まあ、その内帰ってくるかな。」

そう言って二階に上がるマシロ。
本当にマシロの部屋に行くらしい。
大人しくついて行った。


本当に懐かしいマシロの部屋・・・・・のはずなのに、まったく違った。
カーテンが引かれて外が見えない。

マシロがカーテンを開けて窓も開けてくれた。

外の景色は懐かしい気もする。
だけど部屋の様子は全く知らない感じになっていた。

あの時遊んでたのは下の階のリビングがほとんどだったし。
この部屋で遊んだのは本当にマシロが小学生になって、部屋をもらって、机を買ってもらって、ベッドを買ってもらって。
そんなころだ。
小学生ちょっと前からだとしても、本当に数ヶ月。
マシロもうれしかったんだろう、この部屋に招待してくれて、二人で遊んでいた。


そう言えば宿題を手伝わされたりした。
平仮名の書き取りなんて薄い線をなぞればいいだけの物。
それくらいは手伝えた。


懐かしいと思うほどの記憶は少ないうえに、ここに来ない間にマシロは中学生にも高校生にもなったんだから。
部屋の様子だって当然変わった。
それは当たり前だ。

高校生の頃の部屋で時を止めたみたいな部屋だ。
大学に入ったらすぐに1人暮らしを始めたマシロ。


「コタロ、どうしたの?ぼんやりしてる。」

そう言って腕を掴まれた。

「ああ・・・・懐かしいなあって。」

「そうでしょう?ちょっと飲み物持ってくるから、プリン食べよう。美味しいんだよ。」


そう言って二つのプリンを取り出して、残りを持って下に降りて行った。


しばらくしたらコップを二つ持って来て上がってきたマシロ。
手にはスプーンも握られていた。


「ねえ、大人になったよね。昔は本当にスーパーのプリンを半分に分けて美味しいって食べてたのにね。」

それは一つづつ食べてることを言うのか、美味しいと評判の高そうなプリンを食べてる事を言うのか。

本当に美味しかった。
カラメルソースがほろ苦くて、するっととけるプリンもいい。


「ねえ、昨日本当に疲れてた?連絡先も交換してなかったじゃない。」

「・・・ああ、うっかりしてた。名刺をもらったからつい交換してた気分だったし。」

バッグから携帯を出された。
こっちを見られて、画面を見せられた。
連絡先の交換が終わった、昨日の名刺はいらなかったらしい。

マシロのアイコンは堂々と水着の写真だった。
ただ床に置いて撮影したらしい水着。
さすがに着ている写真じゃなかった。

「マシロ、何コレ?」

「ビキニ。今年の夏用に買ったんだ。色っぽいお姉さんを想像するでしょう?」

「別に。こんな写真を普通使うものなの?」

「いいじゃない、楽しみなんだから。」

「夏にどこかの海に行く予定があるの?」


「普通あるでしょう?」

ちょっと間が空いたけど、ないの?って、当然あるよね?って感じだったらしい。

「ふ~ん。」

自分の写真は最初からずっと変わってない。
寅年に買った土鈴のトラの写真だ。
ただ名前からの連想で、次の干支周りの寅年まではこれでいいと思ってる。
24歳になる年だ、あと少し。

「コタロのこれはあそこの神社のでしょう?私はウサギを持ってる。虎以外にも買ってるの?」

「毎年買ってるよ。お正月に行った時に買うから。」

「そうなんだ。」


「虎も可愛いね。」

プリンをつつきながら話をする。

近くにある神社は普段行くこともないけど、お正月には近所の人が初詣に行く。
それなりに出店が出て賑わう。

毎年元旦に家族で行って、その時に干支の土鈴を買うんだ。


そういえば、神社を思い浮かべて、まったく忘れてた記憶が出てきた。
なんで今だったんだろう。
それにあれも夏の記憶だ、それは間違いない。
夏の夜の記憶だ。





小さい頃に浴衣を着て、マシロの母親とうちの母親と、四人で花火を見に行ったことがあった。

電車で三つ離れたところの川沿いで見れる花火に行った。
夕方のお出かけは珍しいし、浴衣のマシロは可愛くて。
背中のリボンが大きくて前から見ても見えるくらいフリフリしていた。
可愛い金魚みたいだった。そう思って、そう言ったかもしれない。

一度しか行かなかった。
あまりの人の多さに、小さい子供を連れて行くのも大変だと思ったらしい。
駅を出るところからすでに混んでいた。
大きな荷物をもった人が同じ方向に歩いて行って、子供の手をつないでたからゆっくりだった。

川沿いに出ても人混みはすごくて、その内諦めてちょっと離れた場所で見た。
近くのマンションの駐車場にいた人に紛れて、見た。

大きく上がる空の花火は見れた。
多分地上で這うように仕掛けられたものは見れてない。
音がして歓声が上がっても見れないものがあったから。

子供二人は花火よりも、手に持ったお菓子を食べて喜んで、時々大きな音がしてそっちを見て。そんな記憶はある。


それ以降、特に行った記憶はない。

今まで、本当に、一度もないのだ。見事に、他の場所の花火も。


ただその日に出かけていたことはあった。

電車で帰ってくる時に車窓から花火が見れた。
川に架かる橋の上をちょっとだけゆっくり電車が走ってくれた。
綺麗だったけど、それだけだった。

『ああ、今日は花火の日だったんだ。』
そう思っただけだった。
その花火は最後の最後だったらしい。
連続でどんどんと上がって、自分の駅まで行くころには音もしなくなっていた。
終わったんだなってちょっと思った。

少し時間がズレてたら電車が混んでたかもしれない。
ラッキー、なんて思ったくらいだった。

駅前で母さんから頼まれたものを買って、のんびりと帰っていた。

途中神社の前を通る。
土鈴を買う神社だ。

少しの木々があり、普段はほとんど灯りもないし、人もいない夜。
ふと横眼で見たら二人の人陰が見えた。
明らかに男女だと思ったのは浴衣を見たから。
明らかに男性と女性。

歩きながら見てしまった。
ちょっとした好奇心で。

一人がマシロだった。
それはすぐに分かる。
暗闇に浮かぶシルエットだけでもさすがに分かる。
見たことがない大人の浴衣姿でも、間違いなかったと思う。

相手は知らない。

まあ、普通彼氏だろう。

どこかで花火を見てたんだろうか?

まだ終わったばかりなのに、ここにいるのはちょっと早い。
そう思ったけど、そんな事はどうでも良かった。

二人の距離は別に花火なんてどうでもよかったんだと、そう思えた。
そんな距離でくっついた二人が、目を逸らすちょっと前にもっとくっついた。


多分くっついた。
完全にくっつく前には、視線を逸らしてて、早足になって、その場から立ち去れた。

ドキドキしていた。

知らないマシロに、そんな二人に、そんな場面を見た自分に。

高校生だったと思う。マシロも、自分も。
高校は違う学校だったから、相手のことは知らない。

急いで家に帰り、買い物の袋ごとテーブルに置いて母親にお礼を言われた。

そのまますぐにお風呂に入った。
シャワーを浴びる間きつく目を閉じた。
浮かんでくるのが花火じゃなくて、もっと違うシーンだったから。


数日、思い返すたびに首を振り映像を振り払ってた気がする。


今、もっと大人になったマシロを見る。
楽しんで夏を待つマシロ。
きっと楽しみなんだろう。
いろんな思い出もあるんだろう。


僕がぼんやり回想してる間、マシロは土鈴を探していたらしい。

「ほら、兎。可愛いよね。」

真っ白に赤い目を描かれた土鈴の兎。
多分家にも同じものがあると思う。



「コタロ、どうしたの?」

「何?」

「すごく悲しそうな顔してるけど。」

そう言われて自分の顔を触る。
何を考えてたんだろう?
兎の土鈴の今を思っただろうか?


「別に、気のせいだよ。」

「ねえ、せっかく会えたんだし、これからも飲みに行こう。コタロとだったら、ほら、楽だし、なんだかホッとする。」

それはそうだろう。
懐かしい幼馴染の年下の男の子、弟のように昔可愛がってた男の子だ。
あれから本当に変わってないと言われるんだったら、そんな感じだろう。


「もう、コタロ、全然嬉しそうじゃないじゃない。せっかく飲みに誘ってるのに。本当にうれしくない?誘わない方がいい?」


マシロが冗談のように言って緩めた表情をやめて聞いてきた。

「そんなことないよ。」

僕はそう言った。



「どうせいつでも暇だから。マシロが飲みたいなら付き合うよ。」

そう思ってした返事は、やっぱりマシロが期待した反応じゃなかったのかもしれない。
しばらく無言になった。

マシロがしゃべらないと静かになる空間。

あの頃、どんな風だったのか。
遠すぎてよくは思い出せない事も多いけど、もっと近くて、楽しくて、仲良しだったのは間違いない。
結局大人になって一層不器用になることもあるんだって分かった。
そんな事も押し隠すように大人らしく器用に振舞えないと、永遠に暇なのかもしれない。



「コタロ、好きな人いる?」

「いないよ。」

「誰か好きになりたい?」

そう聞いてきたマシロ。

普通彼女が欲しいって聞くところなのに。


「そうだね。」

柴田も、他の奴も楽しそうだったのに、僕だけ一人だったじゃないか。
だから嫌いなんだ、飲み会なんて。
絶対不器用な自分を見せられるから。
だからあんまり行かないようにしてたのに。


「じゃあ、どんな人がいい?」


マシロを見た。
好奇心をためた目が知りたいと言ってる。

「純粋で大人しくて優しくて上品で・・・・。」

そんな子がいるんだろうか?

マシロの眉間もそう言ってる、もしくは何を非現実的な事をと。

「同じ年か、年下がいい。」

そう付け加えた。

マシロの眉間は一瞬深く溝を作り寄せられて、直ぐに緩んだ後ため息をつかれた。



「コタロ、馬鹿。」

自分だってそんな相手があちこちにいるとは思ってない、いても自分を相手にしてくれる可能性なんてレア現象だろうと思ってる。
でも限りなくそんな感じに近い子がいいと、正直にそう思っただけだ。
もっと言うと年なんて関係ないかもしれない。
限定すると同じ年か大学生かってことになる。
矢来さんみたいに専門卒で働いてる子もいるかもしれないけど、ほとんど学生になる。

そんな相手とどこで出会う?


「じゃあ、可哀想な虎太郎君のために飲み会を開いてあげようかなあ。今の条件に合う子を探してみる。私が探せるのは自分の会社の中だけだけど、女子は多いからね。いい子がいたら連絡する。」


話しが終わった。
じゃあ、帰った方がいいって感じの流れで。
プリンも食べ終わったし。


「じゃあ、マシロ、元気で。」


冗談の続きのようで、連絡が来るとは思わなくて。
そんな挨拶をして立ち上がった。

見下ろすと、やっぱり不機嫌そうな顔をしてるマシロ。
そんな顔、あの頃してた?

「プリンごちそうさま。美味しかった。ありがとう。」


そう言って片付けもせずに、ちょっとだけ懐かしかった部屋を後にした。


自分の家に戻ってただ今と顔を出した。
夕飯はまだだけど作ってもらえないと困るから、ちゃんと存在を教えた。

「真白ちゃん、また綺麗になってたね。」

「そう、かな。」

「懐かしい話が出来たんじゃないの?」

「まあね。」

一人で思い出しただけだ。
思い出したくないことまで思い出して、つまんないって思った。


「虎太郎も頑張って、週末はいそいそとデートするくらいでもいいのに。その辺はお父さんに似て奥手なんだから。」

そんな父親をひきずりまわしたらしい母親。
やっぱりそのくらいパワーがないと、自分に似てる父親はなかなか先に進めなかったんだろうか?

自分はそんな母親とは逆のタイプを希望したいのに、やっぱりそれは無理なのかも。
まあ、いいや。
どこかにいるなら早く会いたい、自分とぴったり合う人に。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

処理中です...