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1 饅頭怖い。
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「やっぱ、つまんねえ。」
そう言われたことがある。
夜のラブラブな時間。
ベッドの上で、後ろから抱きつかれていた時。
その指はたしかに私の胸辺りをウロウロしていた。
すぐに言われた意味を察した私。
そこは自覚もあり、コンプレックスとして敏感に反応する点でもあったから。
振り向いて真ん中の棒を踏んづけなかったけだでも偉いとほめてほしい!
マッパじゃなかったら間違いなく回し蹴りしてたと思う。
さっと体を離して適当に着替えて・・・夏でよかった!!
ひとりホテルの部屋から飛び出した。
背後から怒声が聞こえた気がするが無視。
そいつの連絡先はその場で消去。
きっと友達にない事ない事、・・・・。
本当に胸がなかったんだと広めてうっ憤を晴らしただろう。
そんな奴だったと思う。
あんなデリカシーのない奴だから。
ただの脂肪で出来た二つの膨らみに何を期待するんだ。
高い山を好んで登る人もいれば、山とも言えないなだらかな場所にピクニックを楽しむように気楽に出かける人もいる。
だから・・なんなんだっけ?・・・・だから・・・いろんな山があるんだ!!
それがどうした!!
未練なし。
ただ傷ついた。小さな胸にだって刺さるときは刺さる。
そういう意味では、本当にすごいタイミングで刺してくれたもんだと思う。
本当に呪った。
そうは言っても開き直るには、諦めるに早すぎると思った。
もとよりいろんな努力をしていた。
鶏肉を食べ続けた日々、手を組んで運動した日々、キャベツが効くと言われれば山盛り食べ、バナナがいいと言われれば主食にして。
その為に体重は激しく上下した。
それでも重さの数字が変わっただけだった。
二つの丘・・・・ともいえないような微妙になだらかなもの・・・・の標高は相変わらず。
社会人になった今、もうこれ以上の成長は望めないだろう。
ただ、さすがに最近の下着は、そこに工夫がある。
悩んでるのは私だけじゃない、平均以下だからってレッドリストに載るほど貴重じゃないと言うことだ。
反対にでかすぎる人が多いだけで平均値が上がってるのだ。
そこも欧米化の弊害だ!!
いろんな悩みをカバーすべく、見た目だけはなんとなく膨らみを作ってくれる機能的なもの。
それが今の日本の下着だ!
裸族じゃなかったことに感謝。
四季があって夏だけ乗り切れば、そうそうあからさまじゃない季節になる。
あとは、海がきれいじゃない都会に住んでて良かった。
は~、だいたい母親を見て、期待してはいけなかったんだとわかる。
それに痩せて胸が小さくなる人はいても、太った人が必ず巨乳かというとそうでもないらしい。
諦めた、下着で誤魔化し何とかすることにして。
でも二度とあんなことは言われたくない。
そんなことにならないように『脱がない、見せない、触らせない。』
そう決めた!
でも、という事は、寂しいことになり。
しばらく遠ざかることになる。
しばらく・・・・・永遠に?
『饅頭こわい。』と言うくらいストンとまな板のようなフォルムに愛情を注いでくれる人はいないだろうか?
大きさは別に気にしない、そう言う奴は男性誌の表紙のグラビアアイドルレベルは望まないということであって、まさか前も後ろもわからないレベルは想定外だろう。
今、自分の言葉に傷ついた・・・・。
そう、男なんてたいていは、そういうものなんだ。
でも希少な貴重な存在だって、まったくいないわけではない。
だって私には父親がいる。
そっくり裏表のない母を愛した父親がいる。
普通の人だ。
母は妊娠中は楽しかったと言った。
「だってね、すっごく大きくなるの。毎日が楽しくて。本当は写真撮りたいくらいだった。記念ヌード。でもそれはさすがにね。フィルムの時代だったし。その代わりに服を着たままならたくさん撮ってもらったわよ、パパに。」
確かに私のアルバムは1冊目の半分が母の写真、妊婦姿なのだ。
楽しみにしてくれてるんだなって、ただそう思ってた。
まさかお腹の私より、豊かになった胸に喜びを?
そうじゃないとは思いたいが、気持ちはわかるかも。
好きなタイプ。お父さんみたいな人。
そういう意味も含みます。
そして今。
目の前には出来立てのバカップルが。
同僚のひよりと後輩のコウシ。
最初は恋愛モードオフの私、星野悠里に、しばらく謹慎していた(らしい?)中西ひよりが相談を持ち掛けてきたことに始まった。
「ねえ、悠里。お願い、コウシ君と一緒に飲みたいの。一緒に付き合ってぇ。」
そうお願いされて改めて教えてもらった男の子。
麻耶高志、なんてカッコつけた名前だ。
名前の漢字を見せられて、本人を見たらそう思った。
『まや たかし』か、ひらがなにするとなんだか子供っぽい印象になる。
遠くから見ていても明るく人好きしそうではあった。
今も同期らしい女の子と仲良く話をしている。
仲良く・・・ヘラヘラと・・・・。
ひより・・・・あれを・・・・・?
まあいい。
「私は好きにはならない、だからどんどん応援してあげる。」
そうはっきり言ってあげた。
まあ、今更必要のない宣言だったろうけど。
次の日には週末に飲みに行く約束を取りつけて来たひより。
素晴らしいひよりの行動力、そして手軽に了解したどこまでも緩い男。
きっと両方だろう。
ひよりが前につき合っていた男に二股をかけられたと言ってひと騒ぎして、軽く警察にも通報されるくらいの修羅場も経て、反省して、自分磨きをして。
謹慎していたと言う二カ月間の空白・・・・短っ。
ようやく復帰する宣言をした後に飛び出したお願い。
一体いつから目をつけてたんだろう?
まあ、元気になったならいい。
さすがに怒りが収まって数日は落ち込んでた気がしてたから。
そしてヘラヘラしたコウシとその友達の・・・友達と呼ぶには出来過ぎてるような気がする相葉太陽君。
なかなかかわいいし、しっかり者で優しくて。本当に友達?
名前を見てもしっかりしてるって分かるじゃない。安定感がいいもん。
そして四人で何度か会って食事したり、週末出かけたり。
この度やっと成就したとひよりから聞かされた。
思い起こせばいろいろと世話を焼いた。
何度か飲み会を設定し、休日も付き合い、温かくグループ交際を続け。
なんで二ヶ月もかかった?
それはコウシがアホだからだ。
飲み会ではさっさと酔っ払い、出かける約束の日に寝坊し遅刻したり、出先に忘れ物をしたり、一人迷ったり。
どこかで何かをやらかしてくれる奴。
大人だろう!
こめかみがヒクヒクして、怒鳴りつけたいのをこらえた日々。
ひよりの為だけじゃない、ひとえに太陽君のフォローが良かったのだ。
仕事ではしっかりやってると何度も繰り返し、褒められてるエピソードを披露してポイントが下がらないようにし、逆説的に長所にすり替えて。
どうにもならない時には『そんなところが可愛い奴なんです。』
年下だから通じるんだよ・・・・太陽君。
頭にきてたのは私だけだったらしい。
友達の太陽君は文字通り心も広く温かく、ひよりも全く呆れないで、逆に心配する始末。
信じられない。
世の中こんなにアホを甘やかしてもいいのか?
仕事はきちんと出来てるらしいという太陽君の言葉が信じられない。
きっと勘違いだろうと本当に思う。
もしかしてうちの会社の営業は小学生でも務まるとか?
もし本当だとしたら・・・オンオフ、オフ過ぎる。
そして最後のお祝いの席が今日、今。
おめでとうの二人&お役御免の二人。
話をするのは主役の二人がほとんど。
たまに惚気たり、たまにぼけ合ったり、たまにいちゃついたり。
あ~、何で今日、奢らないといけないんだろう。
逆だよ逆。
何度も思った。
そして・・・・。
人の一番気にしてることをさっきから言い合うコイツら!
思わず視線がきつくなる。
こともあろうか私の前で胸の話をしている。
胸というか。はっきりおっぱい話!
彼女もいるのにあっけらかんとおっぱい好きを公言するあたり、饅頭を押し付けて窒息の刑にしたい。
ひよりは私と足して2で割りたいくらい大きい。
体も柔らかそうなふっくらとした感じなのだ。
おっぱい好きにはたまらないだろう。
そりゃあ、良かったね。勝手にしろ!!
結局言いたかったのは。
色々とふっくら柔らかそうなひよりが優しくしてあげたのにほだされて・・・、はいはい。それが言いたくてさっきからおっぱい話をしてたのか?
『僕が彼女に落ちた訳。』
長々と話をしていたが、ただのおっぱい好きだろう!!
途中でわかったわい。
おっと、心の中のつぶやきだが、どんどん口が悪くなる。
ちょっと飲みすぎかも。
本当に私としては逆、週末を犠牲にしてまで付き合い、お世話をしたから、ありがとうと感謝されたいのに。
それでも隣ではうれしそうに話を聞いてる太陽君、心広すぎ、優しすぎ。
そして、おっぱい・・・・、最後の最後に大きな地雷を踏んだコウシ。
過去形にするまでもなく、今もその場足踏みのように踏み続けている。
何故おっぱいから話題が動かないんだ?
いろんなグラビアの子やアイドルの子まで引き合いに出して、評論家ぶって点数をつけてる。
結局大きさだけがその基準だ。
そろそろこめかみがヒクヒクしてきた。
「悠里さんは細いですよねぇ?」コウシが言い切る。
『だから何だ、言ってみろ。』
心で毒づいて、下を向いて目を閉じ心を落ち着ける。
顔を上げるとヘラヘラした顔があった。
大抵は比例する。
だからある程度は想像してるだろう。
たまに裏切りのヤセ型巨乳がいるから困るのだ。
「いいよね、普通に食べても太らないって。今日だってガンガン飲んでるのに。」
ひよりが続ける。
自分のお金です。遠慮はしません。
半分は太陽君が出すけど・・・・。
私はとうとう胸だけじゃなく他にも肉がつかなくなったのだ。
もう、どうでもいい。
巨体の貧乳よりはいいと思った。
目の前に並んだグラスは毎回片付けられてるけど多分七杯は空けてるかも。
太陽君が勧め上手で、しゃべるのを放棄してひたすら飲んでいた。
最初こそ感謝の言葉はあったが、その内すっかり惚気けて、とうとうおっぱい評論家からただのエロ話になってきているコウシ。
おすすめのシティーホテルなんか聞かされて、いつ誰と行けという?
だいたい付き合い始めたと聞かされて一週間しかたってないのに、なんでそんなにホテルの名を挙げる?
まさか元カノと行った所じゃないだろうな。
だとしたら・・・・もう阿呆らしい。
付き合いきれない。やっぱりコウシはない。
向こうも無いだろうが、こっちも無い。
「ねぇ、静かだけど、どうしたの?」
ひよりが気になったらしい。
「お酒飲みたいの、酔いたいの。」
「目が座ってあぐらかいてるぅ。」
コウシ。黙れ!
思いっきり睨む。
「あれぇ?なんか怖いなぁ。」
そんなセリフを相変わらずヘラヘラと言ってる奴。
それを見て何かが切り替わったかもしれない。
自分が息を吸い込んで大きく口を開いたような・・・・・。
気がついたらここどこ?
・・・・何て落ちが自分の身に起こるとは・・・。
でも服は着てるから、ただの酔っ払いエピソードです。
そう言われたことがある。
夜のラブラブな時間。
ベッドの上で、後ろから抱きつかれていた時。
その指はたしかに私の胸辺りをウロウロしていた。
すぐに言われた意味を察した私。
そこは自覚もあり、コンプレックスとして敏感に反応する点でもあったから。
振り向いて真ん中の棒を踏んづけなかったけだでも偉いとほめてほしい!
マッパじゃなかったら間違いなく回し蹴りしてたと思う。
さっと体を離して適当に着替えて・・・夏でよかった!!
ひとりホテルの部屋から飛び出した。
背後から怒声が聞こえた気がするが無視。
そいつの連絡先はその場で消去。
きっと友達にない事ない事、・・・・。
本当に胸がなかったんだと広めてうっ憤を晴らしただろう。
そんな奴だったと思う。
あんなデリカシーのない奴だから。
ただの脂肪で出来た二つの膨らみに何を期待するんだ。
高い山を好んで登る人もいれば、山とも言えないなだらかな場所にピクニックを楽しむように気楽に出かける人もいる。
だから・・なんなんだっけ?・・・・だから・・・いろんな山があるんだ!!
それがどうした!!
未練なし。
ただ傷ついた。小さな胸にだって刺さるときは刺さる。
そういう意味では、本当にすごいタイミングで刺してくれたもんだと思う。
本当に呪った。
そうは言っても開き直るには、諦めるに早すぎると思った。
もとよりいろんな努力をしていた。
鶏肉を食べ続けた日々、手を組んで運動した日々、キャベツが効くと言われれば山盛り食べ、バナナがいいと言われれば主食にして。
その為に体重は激しく上下した。
それでも重さの数字が変わっただけだった。
二つの丘・・・・ともいえないような微妙になだらかなもの・・・・の標高は相変わらず。
社会人になった今、もうこれ以上の成長は望めないだろう。
ただ、さすがに最近の下着は、そこに工夫がある。
悩んでるのは私だけじゃない、平均以下だからってレッドリストに載るほど貴重じゃないと言うことだ。
反対にでかすぎる人が多いだけで平均値が上がってるのだ。
そこも欧米化の弊害だ!!
いろんな悩みをカバーすべく、見た目だけはなんとなく膨らみを作ってくれる機能的なもの。
それが今の日本の下着だ!
裸族じゃなかったことに感謝。
四季があって夏だけ乗り切れば、そうそうあからさまじゃない季節になる。
あとは、海がきれいじゃない都会に住んでて良かった。
は~、だいたい母親を見て、期待してはいけなかったんだとわかる。
それに痩せて胸が小さくなる人はいても、太った人が必ず巨乳かというとそうでもないらしい。
諦めた、下着で誤魔化し何とかすることにして。
でも二度とあんなことは言われたくない。
そんなことにならないように『脱がない、見せない、触らせない。』
そう決めた!
でも、という事は、寂しいことになり。
しばらく遠ざかることになる。
しばらく・・・・・永遠に?
『饅頭こわい。』と言うくらいストンとまな板のようなフォルムに愛情を注いでくれる人はいないだろうか?
大きさは別に気にしない、そう言う奴は男性誌の表紙のグラビアアイドルレベルは望まないということであって、まさか前も後ろもわからないレベルは想定外だろう。
今、自分の言葉に傷ついた・・・・。
そう、男なんてたいていは、そういうものなんだ。
でも希少な貴重な存在だって、まったくいないわけではない。
だって私には父親がいる。
そっくり裏表のない母を愛した父親がいる。
普通の人だ。
母は妊娠中は楽しかったと言った。
「だってね、すっごく大きくなるの。毎日が楽しくて。本当は写真撮りたいくらいだった。記念ヌード。でもそれはさすがにね。フィルムの時代だったし。その代わりに服を着たままならたくさん撮ってもらったわよ、パパに。」
確かに私のアルバムは1冊目の半分が母の写真、妊婦姿なのだ。
楽しみにしてくれてるんだなって、ただそう思ってた。
まさかお腹の私より、豊かになった胸に喜びを?
そうじゃないとは思いたいが、気持ちはわかるかも。
好きなタイプ。お父さんみたいな人。
そういう意味も含みます。
そして今。
目の前には出来立てのバカップルが。
同僚のひよりと後輩のコウシ。
最初は恋愛モードオフの私、星野悠里に、しばらく謹慎していた(らしい?)中西ひよりが相談を持ち掛けてきたことに始まった。
「ねえ、悠里。お願い、コウシ君と一緒に飲みたいの。一緒に付き合ってぇ。」
そうお願いされて改めて教えてもらった男の子。
麻耶高志、なんてカッコつけた名前だ。
名前の漢字を見せられて、本人を見たらそう思った。
『まや たかし』か、ひらがなにするとなんだか子供っぽい印象になる。
遠くから見ていても明るく人好きしそうではあった。
今も同期らしい女の子と仲良く話をしている。
仲良く・・・ヘラヘラと・・・・。
ひより・・・・あれを・・・・・?
まあいい。
「私は好きにはならない、だからどんどん応援してあげる。」
そうはっきり言ってあげた。
まあ、今更必要のない宣言だったろうけど。
次の日には週末に飲みに行く約束を取りつけて来たひより。
素晴らしいひよりの行動力、そして手軽に了解したどこまでも緩い男。
きっと両方だろう。
ひよりが前につき合っていた男に二股をかけられたと言ってひと騒ぎして、軽く警察にも通報されるくらいの修羅場も経て、反省して、自分磨きをして。
謹慎していたと言う二カ月間の空白・・・・短っ。
ようやく復帰する宣言をした後に飛び出したお願い。
一体いつから目をつけてたんだろう?
まあ、元気になったならいい。
さすがに怒りが収まって数日は落ち込んでた気がしてたから。
そしてヘラヘラしたコウシとその友達の・・・友達と呼ぶには出来過ぎてるような気がする相葉太陽君。
なかなかかわいいし、しっかり者で優しくて。本当に友達?
名前を見てもしっかりしてるって分かるじゃない。安定感がいいもん。
そして四人で何度か会って食事したり、週末出かけたり。
この度やっと成就したとひよりから聞かされた。
思い起こせばいろいろと世話を焼いた。
何度か飲み会を設定し、休日も付き合い、温かくグループ交際を続け。
なんで二ヶ月もかかった?
それはコウシがアホだからだ。
飲み会ではさっさと酔っ払い、出かける約束の日に寝坊し遅刻したり、出先に忘れ物をしたり、一人迷ったり。
どこかで何かをやらかしてくれる奴。
大人だろう!
こめかみがヒクヒクして、怒鳴りつけたいのをこらえた日々。
ひよりの為だけじゃない、ひとえに太陽君のフォローが良かったのだ。
仕事ではしっかりやってると何度も繰り返し、褒められてるエピソードを披露してポイントが下がらないようにし、逆説的に長所にすり替えて。
どうにもならない時には『そんなところが可愛い奴なんです。』
年下だから通じるんだよ・・・・太陽君。
頭にきてたのは私だけだったらしい。
友達の太陽君は文字通り心も広く温かく、ひよりも全く呆れないで、逆に心配する始末。
信じられない。
世の中こんなにアホを甘やかしてもいいのか?
仕事はきちんと出来てるらしいという太陽君の言葉が信じられない。
きっと勘違いだろうと本当に思う。
もしかしてうちの会社の営業は小学生でも務まるとか?
もし本当だとしたら・・・オンオフ、オフ過ぎる。
そして最後のお祝いの席が今日、今。
おめでとうの二人&お役御免の二人。
話をするのは主役の二人がほとんど。
たまに惚気たり、たまにぼけ合ったり、たまにいちゃついたり。
あ~、何で今日、奢らないといけないんだろう。
逆だよ逆。
何度も思った。
そして・・・・。
人の一番気にしてることをさっきから言い合うコイツら!
思わず視線がきつくなる。
こともあろうか私の前で胸の話をしている。
胸というか。はっきりおっぱい話!
彼女もいるのにあっけらかんとおっぱい好きを公言するあたり、饅頭を押し付けて窒息の刑にしたい。
ひよりは私と足して2で割りたいくらい大きい。
体も柔らかそうなふっくらとした感じなのだ。
おっぱい好きにはたまらないだろう。
そりゃあ、良かったね。勝手にしろ!!
結局言いたかったのは。
色々とふっくら柔らかそうなひよりが優しくしてあげたのにほだされて・・・、はいはい。それが言いたくてさっきからおっぱい話をしてたのか?
『僕が彼女に落ちた訳。』
長々と話をしていたが、ただのおっぱい好きだろう!!
途中でわかったわい。
おっと、心の中のつぶやきだが、どんどん口が悪くなる。
ちょっと飲みすぎかも。
本当に私としては逆、週末を犠牲にしてまで付き合い、お世話をしたから、ありがとうと感謝されたいのに。
それでも隣ではうれしそうに話を聞いてる太陽君、心広すぎ、優しすぎ。
そして、おっぱい・・・・、最後の最後に大きな地雷を踏んだコウシ。
過去形にするまでもなく、今もその場足踏みのように踏み続けている。
何故おっぱいから話題が動かないんだ?
いろんなグラビアの子やアイドルの子まで引き合いに出して、評論家ぶって点数をつけてる。
結局大きさだけがその基準だ。
そろそろこめかみがヒクヒクしてきた。
「悠里さんは細いですよねぇ?」コウシが言い切る。
『だから何だ、言ってみろ。』
心で毒づいて、下を向いて目を閉じ心を落ち着ける。
顔を上げるとヘラヘラした顔があった。
大抵は比例する。
だからある程度は想像してるだろう。
たまに裏切りのヤセ型巨乳がいるから困るのだ。
「いいよね、普通に食べても太らないって。今日だってガンガン飲んでるのに。」
ひよりが続ける。
自分のお金です。遠慮はしません。
半分は太陽君が出すけど・・・・。
私はとうとう胸だけじゃなく他にも肉がつかなくなったのだ。
もう、どうでもいい。
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目の前に並んだグラスは毎回片付けられてるけど多分七杯は空けてるかも。
太陽君が勧め上手で、しゃべるのを放棄してひたすら飲んでいた。
最初こそ感謝の言葉はあったが、その内すっかり惚気けて、とうとうおっぱい評論家からただのエロ話になってきているコウシ。
おすすめのシティーホテルなんか聞かされて、いつ誰と行けという?
だいたい付き合い始めたと聞かされて一週間しかたってないのに、なんでそんなにホテルの名を挙げる?
まさか元カノと行った所じゃないだろうな。
だとしたら・・・・もう阿呆らしい。
付き合いきれない。やっぱりコウシはない。
向こうも無いだろうが、こっちも無い。
「ねぇ、静かだけど、どうしたの?」
ひよりが気になったらしい。
「お酒飲みたいの、酔いたいの。」
「目が座ってあぐらかいてるぅ。」
コウシ。黙れ!
思いっきり睨む。
「あれぇ?なんか怖いなぁ。」
そんなセリフを相変わらずヘラヘラと言ってる奴。
それを見て何かが切り替わったかもしれない。
自分が息を吸い込んで大きく口を開いたような・・・・・。
気がついたらここどこ?
・・・・何て落ちが自分の身に起こるとは・・・。
でも服は着てるから、ただの酔っ払いエピソードです。
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