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10 華乃 ~本当に初めて会った・・・・と言える日の出来事~
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トイレでぼんやりしてたら貴乃が心配して来てくれた。
「華乃?気分悪くない?」
「うん、大丈夫。」
「もうさっそく宮藤君が心配してるんだから。ね、絶対傷つけないって約束させたから、何かあったらすぐに相談してね。いい人だと思うよ、今日はちょっと知らなかった部分を見てびっくりだったけど。」
「同じことを小室さんにも言われた。二人がいい人って言うなら信じる。何かあったら相談する。」
「うん、そうして。」
二人でトイレから出たら、そこにいた。
「大丈夫?飲ませ過ぎたかな?」
視線を下げて心配そうに見てくれる。
本当にいいい人かも。
人気あるんだろうに。なぜ?
さっさと先を歩く貴乃。
背中に手を当てられて歩き出す。
テーブルには小室さんが一人でいた。
やっぱりおかしいよね、集団移動。
お会計はごちそうになって先に二人でお店を出た。
外で二人を待つと思ったのに、さっさと歩かれてしまった。
後ろを振り返ったら向こうで二人が手を振っていた。
貴乃の表情が嬉しそう。
こっちでも二人で手を振りかえした。
「もしかしてわざとですか?」
「何?」
「貴乃と小室さんを二人にしたかったのかなって。」
「半分正解。半分は僕も華乃さんと二人がいい。」
そう言ってうれしそうに笑う。
「でも、きっとみんなにとって正解だと思いたい。華乃さんは?間違ってると思う?」
そう言ってしっかり目を見つめてこられて。
「貴乃と宮藤さんがそれでいいなら、私はそれでいいです。」
「ちょっとずるい。華乃さんの『私もそれがいいですっ。』っていう答えを聞きたかったのに。」
そんな事言いません、まだ、言えません。
背中に手を当てられた。
その手がポンポンと跳ねた。
「その内に言って欲しいな。」
その手はゆっくり私の手と繋がれた。
「今日はすごくいい日なんだ。本当にうれしくて眠れなさそう。もし眠れたらすごくいい夢を見れるかな。」
本当にストレートに伝えてくれる。
コーヒーをテイクアウトして外の席に座る。
そろそろ時間も遅いから、人もまばらになってきている。
「宮藤さん、会社には貴乃みたいに頑張ってる人がたくさんいますよね。もっと綺麗な人も可愛い人も。」
「そんなことないよ、って言いたいけど。梶原さんは研修中の美人ランキングのベストスリーに入ってるんだけどね。だから同期にも、後二人は美人はいるみたい。一人は梶原さんの親友だけど。」
そんなことを言う宮藤さんを見上げてた。
「だから華乃さんも同時入賞してたかもね。研修中から話をしてたんだ。聞いた?」
「少しは。」
「あの時は綺麗とは思っても、はっきりものを言いそうだなあって印象しかなかった。そんな風に女性にランキングをつけてる男なんて相手にもしないんだろうなあって。愛想良くいろんな人と喋ってたけど、バレたら睨まれるんだろうなあって。」
「ね、華乃さんがいいって言ったでしょう?僕が欲しいのは月だから。太陽は小室が合うみたい。」
「欲しいって・・・何ですか?」
「そこは聞かれたら自分の手の中に入れて誰からも隠したいと言う感じなのかな。誰にも取られないように、しっかりと抱え込みたい。でも強引に手に入れようとしないように、ちゃんとお姉さんに釘をさされたから安心して。」
「はい。」
「黒い髪似合うね。他の人がやってるような色にはしないの?」
「特には、考えてないです。」
「きれいだろうね、留めてるのを外した感じも。」
「ほめ過ぎです。今日数時間で今まで生きてきた分と同じくらい褒められた気がします。」
「そんなことないでしょう?噂の美人の双子姉妹だったでしょう?」
「貴乃は男の子からも人気ありました。私は全くでした。女の子は私たちを平等に扱ってくれるのに、男子にとっては私はあくまでも似てる妹でしたよ。」
「僕も平等には出来ない。だって別人だからね。梶原さんのことは確かに褒めたことないなあ。あんまりにも扱いに差が大きいって苦情が来たけど、しょうがない。やっぱり僕にとっては大切か、普通かっていうくらい、違い過ぎるから。でもこれでも梶原さんのためにいろいろ頑張ったんだよ。」
「知ってます。」
「うん、だろうね、僕へのご褒美が今日の華乃さんとのお食事会だから。」
そう言って嬉しそうに笑ってくれた。
少しだけ普通じゃなくても、誰も気が付かない。
日曜日の夕方、貴乃から連絡があった。
すごく嬉しい結末になったらしい。
それは良かった。
私のことは宮藤さんを信じてると。
すごく大人だと思えることもあるのに、時々すごく無邪気なくらい真っ直ぐで、信じることはできる。
あの日からずっと会いたかったと言われた、何度も。
そんなことを言われるたびに顔を見た。
私を見てるそのまっすぐな目を思い出す。
はぁ。
「何、華乃ちゃん、恋の悩みですか?」
遥さんに言われてびっくりする。
顔が熱くなったし、バレたのもわかった。
すごく嬉しそうな顔で笑われたから。
「隠せてないかも?すぐ聞きたいけど、明日まで待つね。みんなで喜ばなきゃ。」
明日はお店は休みにして研修に参加する。痩身のメニューの研修だった。
終わったらみんなで食事をする約束だ。
どうしよう、別に週末の今日で報告するのは告白されるまでの経緯、二回目というか、始めて会った一日の出来事なのに。
宮藤さんにずっと・・・とか言われてて、何だか私まであの日からの昨日のことを連続して考えてる。
「そんな、まだ、です。」
「いいの、相手がどんな人か楽しみ!美味しいお酒飲もうね。」
どんな人か、優しい人です。
わざとだと思う、貴乃が真ん中に宮藤さんを挟んで三人で並んで写真をとった。
撮ってくれたのは小室さん。
撮り終わった写真を見て貴乃に携帯を渡した。
でも、面白そうに笑った小室さん。
貴乃は「宮藤君、正直すぎて、ちょっと傷つく。」
そう言っていた。
もらった写真。
全然気が付かなかったけど、三人並んでも貴乃だけ間が空いていて離れてた。
私の方に寄り過ぎてる。体の向きもちょっと。
嬉しそうな本人、ならいいです、私は。
あの一枚をずっと大切にできたらいいと思う。
思い出してしまって、はっとしたら遥さんと目が合った。
「楽しみ、綾さんに伝えとくね!」
そう言われた。
「はい。」
「華乃?気分悪くない?」
「うん、大丈夫。」
「もうさっそく宮藤君が心配してるんだから。ね、絶対傷つけないって約束させたから、何かあったらすぐに相談してね。いい人だと思うよ、今日はちょっと知らなかった部分を見てびっくりだったけど。」
「同じことを小室さんにも言われた。二人がいい人って言うなら信じる。何かあったら相談する。」
「うん、そうして。」
二人でトイレから出たら、そこにいた。
「大丈夫?飲ませ過ぎたかな?」
視線を下げて心配そうに見てくれる。
本当にいいい人かも。
人気あるんだろうに。なぜ?
さっさと先を歩く貴乃。
背中に手を当てられて歩き出す。
テーブルには小室さんが一人でいた。
やっぱりおかしいよね、集団移動。
お会計はごちそうになって先に二人でお店を出た。
外で二人を待つと思ったのに、さっさと歩かれてしまった。
後ろを振り返ったら向こうで二人が手を振っていた。
貴乃の表情が嬉しそう。
こっちでも二人で手を振りかえした。
「もしかしてわざとですか?」
「何?」
「貴乃と小室さんを二人にしたかったのかなって。」
「半分正解。半分は僕も華乃さんと二人がいい。」
そう言ってうれしそうに笑う。
「でも、きっとみんなにとって正解だと思いたい。華乃さんは?間違ってると思う?」
そう言ってしっかり目を見つめてこられて。
「貴乃と宮藤さんがそれでいいなら、私はそれでいいです。」
「ちょっとずるい。華乃さんの『私もそれがいいですっ。』っていう答えを聞きたかったのに。」
そんな事言いません、まだ、言えません。
背中に手を当てられた。
その手がポンポンと跳ねた。
「その内に言って欲しいな。」
その手はゆっくり私の手と繋がれた。
「今日はすごくいい日なんだ。本当にうれしくて眠れなさそう。もし眠れたらすごくいい夢を見れるかな。」
本当にストレートに伝えてくれる。
コーヒーをテイクアウトして外の席に座る。
そろそろ時間も遅いから、人もまばらになってきている。
「宮藤さん、会社には貴乃みたいに頑張ってる人がたくさんいますよね。もっと綺麗な人も可愛い人も。」
「そんなことないよ、って言いたいけど。梶原さんは研修中の美人ランキングのベストスリーに入ってるんだけどね。だから同期にも、後二人は美人はいるみたい。一人は梶原さんの親友だけど。」
そんなことを言う宮藤さんを見上げてた。
「だから華乃さんも同時入賞してたかもね。研修中から話をしてたんだ。聞いた?」
「少しは。」
「あの時は綺麗とは思っても、はっきりものを言いそうだなあって印象しかなかった。そんな風に女性にランキングをつけてる男なんて相手にもしないんだろうなあって。愛想良くいろんな人と喋ってたけど、バレたら睨まれるんだろうなあって。」
「ね、華乃さんがいいって言ったでしょう?僕が欲しいのは月だから。太陽は小室が合うみたい。」
「欲しいって・・・何ですか?」
「そこは聞かれたら自分の手の中に入れて誰からも隠したいと言う感じなのかな。誰にも取られないように、しっかりと抱え込みたい。でも強引に手に入れようとしないように、ちゃんとお姉さんに釘をさされたから安心して。」
「はい。」
「黒い髪似合うね。他の人がやってるような色にはしないの?」
「特には、考えてないです。」
「きれいだろうね、留めてるのを外した感じも。」
「ほめ過ぎです。今日数時間で今まで生きてきた分と同じくらい褒められた気がします。」
「そんなことないでしょう?噂の美人の双子姉妹だったでしょう?」
「貴乃は男の子からも人気ありました。私は全くでした。女の子は私たちを平等に扱ってくれるのに、男子にとっては私はあくまでも似てる妹でしたよ。」
「僕も平等には出来ない。だって別人だからね。梶原さんのことは確かに褒めたことないなあ。あんまりにも扱いに差が大きいって苦情が来たけど、しょうがない。やっぱり僕にとっては大切か、普通かっていうくらい、違い過ぎるから。でもこれでも梶原さんのためにいろいろ頑張ったんだよ。」
「知ってます。」
「うん、だろうね、僕へのご褒美が今日の華乃さんとのお食事会だから。」
そう言って嬉しそうに笑ってくれた。
少しだけ普通じゃなくても、誰も気が付かない。
日曜日の夕方、貴乃から連絡があった。
すごく嬉しい結末になったらしい。
それは良かった。
私のことは宮藤さんを信じてると。
すごく大人だと思えることもあるのに、時々すごく無邪気なくらい真っ直ぐで、信じることはできる。
あの日からずっと会いたかったと言われた、何度も。
そんなことを言われるたびに顔を見た。
私を見てるそのまっすぐな目を思い出す。
はぁ。
「何、華乃ちゃん、恋の悩みですか?」
遥さんに言われてびっくりする。
顔が熱くなったし、バレたのもわかった。
すごく嬉しそうな顔で笑われたから。
「隠せてないかも?すぐ聞きたいけど、明日まで待つね。みんなで喜ばなきゃ。」
明日はお店は休みにして研修に参加する。痩身のメニューの研修だった。
終わったらみんなで食事をする約束だ。
どうしよう、別に週末の今日で報告するのは告白されるまでの経緯、二回目というか、始めて会った一日の出来事なのに。
宮藤さんにずっと・・・とか言われてて、何だか私まであの日からの昨日のことを連続して考えてる。
「そんな、まだ、です。」
「いいの、相手がどんな人か楽しみ!美味しいお酒飲もうね。」
どんな人か、優しい人です。
わざとだと思う、貴乃が真ん中に宮藤さんを挟んで三人で並んで写真をとった。
撮ってくれたのは小室さん。
撮り終わった写真を見て貴乃に携帯を渡した。
でも、面白そうに笑った小室さん。
貴乃は「宮藤君、正直すぎて、ちょっと傷つく。」
そう言っていた。
もらった写真。
全然気が付かなかったけど、三人並んでも貴乃だけ間が空いていて離れてた。
私の方に寄り過ぎてる。体の向きもちょっと。
嬉しそうな本人、ならいいです、私は。
あの一枚をずっと大切にできたらいいと思う。
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そう言われた。
「はい。」
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