5 / 12
5 華乃 ~誘われた土曜日に会うことになる人達~
しおりを挟む
だから嫌なんだってば・・・・。
分かってるはずなのに、なんで仲のいい人に会わせたいって思うんだろう。
ふ~。
それに好きな人がいるって言ってた。
片想い、研修の頃から・・・・。
春、四月の頃、そんな思いで研修してたなんて、ちょっと羨ましい。
どんな人なのか、そっちは教えてもらえなかった。
よっぽど難しいと思ってるんだろう。
そうじゃなかったらもっと自分で近寄りそうだし。
大人しい人なのかもしれない、今までのタイプとは違うのかもしれない。
どうしたの?って思っちゃう。
写真の画面で見た人があの時の人だか、はっきり思い出せない。
写真も小さかったし、もうあれから随分経って、忘れちゃったし。
でも、私からそんな姉の個人的な話を聞き出そうとしたなんて。
変じゃない?
絶対教えないし。
だって私は知らない人だし、名刺を渡されても、教えたりはしない。
全く聞いてなかったから、ガッカリしてその場がシーンとなって。
よかった、断って。
でも、当然でしょう。
下に降りて行った。
「華乃、やっぱり全然大人しく過ごしてるみたいじゃない。たまには遅くなっていいって。ねえ、飲みにいこう。大人になってから飲みに行くのなんて初めてじゃない。自分達のお金で飲みに行こう。連絡するね。」
さっきはあんなに私の決定権を尊重してくれてたのに、なんでそうなったの?
「でも華乃は朝がゆっくりでいいかわりに、夜が私よりは遅いんだよね。」
「うん、たまに。」
「何時ごろになるの?」
「次の日休みの人が19時まではお店にいる当番。お客様の予約が入ってたらもう少し遅いかも。でも、それも個人的に調整し合ってる。」
「じゃあ、日にち決めた方がいいね。月末と月始め以外がいいみたいだから・・・・。」
そういって土曜日の夜に決められた。
今月の週末休みはあと一つ、日曜日。その日の前日夜に決定された。
遅くなったら泊ってもいいと言われた。
携帯から顔をあげた貴乃。早速連絡を取ったみたい。
「いいって。じゃあその日仮予定。時間は華乃に合わせるから、はっきり分かったら連絡してね。・・・・ああっ」
「何?」
「ううん、あとで。」
俯いて携帯をいじってる貴乃。
なんだか耳が赤いし、何?
夏休みの話をした。
私はどうなるか分からない。
貴乃は決まってるみたい。
一週間の連休になるって言ってる。
お父さんもお母さんも、自由にとれる。
「ねえ、ふたりで旅行して来たら?華乃が留守番してるし、せっかく私たちがちょっと大人になって自由になって、もう安心してくれるよね?」
貴乃がそう言う。
「そうね。じゃあ、お父さんとどこかに行こうかなあ。華乃、留守番頼んでいいの?」
「うん、もちろん。いつでもいいよ。」
今のところ不安なことはない。
貴乃も大丈夫そう、私も何とかなりそう。
喜んで二人を見送れる。
夕方になって、貴乃に誘われて、駅まで送った。
ついでにとお母さんに買い物メモも渡された。
駅まで歩きながら。
「ねえ、華乃、飲みに行くの四人になりそう。ちょっと事情があって、もう一人男の人がくるみたい。協力してくれる?」
照れるような顔で、そう言われたら、どういうことだか分かった。
写真の人が貴乃のために誘ってくれたんだろう。
その人がいいよって言ってくれたんだろう。
「分かった。時間はお願いできそうだったら、他の日と変わってもらって早めに終わるようにお願いしてみる。」
「うん、そこはあんまり、大丈夫。私たちも休みだし。」
「どんな人なの?」
「分からない。あんまり・・・・・自分のことは話をしてないかも。大分慣れて話をするけど、だいたいは私たちが振った話題に答えるくらい。雰囲気がいい人なの。誰とも女子とは話をしてないと思ってたのに、他の子が告白して、振られたみたい。よく知らない子だからって。」
「あああ・・・・、可哀想。」
「そう、だから、一番仲良しだって自信はあっても、なかなかね。宮藤君が誘ってくれたみたい。ちょっと驚く顔が見たいなあ。双子って宮藤君にも教えてないから。妹がいるとしか教えてない。当日まで内緒にしよう。」
楽しそうに言う。クドウ君、そんな名前だったかな?
なんだか楽しそうな貴乃の気持ちが私にも伝染してきた・・・かも。
そんなに楽しみにしてるなら一回くらいは協力してもいい。
そう思った。
仕事も楽しい。
最近ネイル希望の人が増えた。
フェイシャルケアの最中に時短のために、ハンドケアとネイルを希望する人もいる。
ネイルケアは大好きで、実際に爪に色を乗せていくのは私が一番やっている。
京都の商品で爪に優しいネイルの商品は発色がちょっと違う。
ビビッドな発色はないけど、肌や爪に優しく、日本人の肌に馴染む日本の色をベースにしている。
最近古典的パターンを試したいと思ってる。
浴衣に合わせてもいい感じになるような和柄パターン。
イベント用ネイルも学校で一通りやっていた。せっかくだから着物の柄の見本のような本、江戸の画家が描く和服の柄、千代紙など、考えて資料を集めようと思った。
ちょっとご機嫌になる楽しい課題をもらった感じ。
空いた時間に爪見本に塗ってみた。
「ねえ、なんかいいことあった?」
「最近ネイルのお客様にリピートしていただいてて、すごくうれしいです。せっかくなので和柄模様に挑戦中です。浴衣に似合うと思いませんか?世代が上の方も多いし、無地の部分を増やせば普通のOLさんでもいいかなって思って。」
「うん、それは楽しそうだし、リピーターさんはきっと華乃ちゃんのお陰じゃない?」
「ありがとうございます。出来るだけずっと通ってもらえたらうれしいです。」
「そうね。でもそれ以外にご機嫌の理由はないの?」
「あ、この間姉が綺麗になったねって褒めてくれました。あと、夕方の居残りを代わってもらってありがとうございます。」
「二人で会うの?」
「いえ、姉の好きな人も来るらしいです。すごく興味あります。それとその友達です。二人とも姉の会社の人です。」
「なんだか双子なのに姉っていうと。年上の人を想像しちゃう。」
この間年を聞かれて双子だと教えた。
別に隠すことでもないけどあんまり言わない。
そして、やっぱり驚かれた。
「そうです。姉も私のことを妹って言ってるみたいです。当日まで双子なのは内緒です。」
「似てるけど、違うって、不思議な感覚。間違わない自信はあるけど、同じ格好で真顔でならどう?」
「間違え・・・ると思います。」
「ほくろとか、目立つ印がないんです。両親だけは騙せたことがないです。」
「そうなんだ。コツとか聞いてないの?」
「なんとなく雰囲気って言われます。今は髪の毛の色が違います。私は黒いままですから。」
「ああ、なんだか会いたいなあ。今度モニターサービスでもして、来てもらう?興味あるかな?」
「もちろんです。」
「それはそれで、楽しくしてるときっと華乃ちゃんにもいいことあるからね。その時は教えてね。」
そう言われて飲み会の最初の目的を思い出したけど。
何だか今更になった。
どうであっても楽しもう。
「そうだと嬉しいです。」
居残り番をしてても滅多に連絡はない。
急なキャンセルや問い合わせはたいていメールか決まったフォームで来る。
サロンの掃除をして、物品の補充をしたり、整頓をして、日報をしめてお終いにする。
そんな静かだけど落ち着いた日々がすごくうれしいと思ってる。
分かってるはずなのに、なんで仲のいい人に会わせたいって思うんだろう。
ふ~。
それに好きな人がいるって言ってた。
片想い、研修の頃から・・・・。
春、四月の頃、そんな思いで研修してたなんて、ちょっと羨ましい。
どんな人なのか、そっちは教えてもらえなかった。
よっぽど難しいと思ってるんだろう。
そうじゃなかったらもっと自分で近寄りそうだし。
大人しい人なのかもしれない、今までのタイプとは違うのかもしれない。
どうしたの?って思っちゃう。
写真の画面で見た人があの時の人だか、はっきり思い出せない。
写真も小さかったし、もうあれから随分経って、忘れちゃったし。
でも、私からそんな姉の個人的な話を聞き出そうとしたなんて。
変じゃない?
絶対教えないし。
だって私は知らない人だし、名刺を渡されても、教えたりはしない。
全く聞いてなかったから、ガッカリしてその場がシーンとなって。
よかった、断って。
でも、当然でしょう。
下に降りて行った。
「華乃、やっぱり全然大人しく過ごしてるみたいじゃない。たまには遅くなっていいって。ねえ、飲みにいこう。大人になってから飲みに行くのなんて初めてじゃない。自分達のお金で飲みに行こう。連絡するね。」
さっきはあんなに私の決定権を尊重してくれてたのに、なんでそうなったの?
「でも華乃は朝がゆっくりでいいかわりに、夜が私よりは遅いんだよね。」
「うん、たまに。」
「何時ごろになるの?」
「次の日休みの人が19時まではお店にいる当番。お客様の予約が入ってたらもう少し遅いかも。でも、それも個人的に調整し合ってる。」
「じゃあ、日にち決めた方がいいね。月末と月始め以外がいいみたいだから・・・・。」
そういって土曜日の夜に決められた。
今月の週末休みはあと一つ、日曜日。その日の前日夜に決定された。
遅くなったら泊ってもいいと言われた。
携帯から顔をあげた貴乃。早速連絡を取ったみたい。
「いいって。じゃあその日仮予定。時間は華乃に合わせるから、はっきり分かったら連絡してね。・・・・ああっ」
「何?」
「ううん、あとで。」
俯いて携帯をいじってる貴乃。
なんだか耳が赤いし、何?
夏休みの話をした。
私はどうなるか分からない。
貴乃は決まってるみたい。
一週間の連休になるって言ってる。
お父さんもお母さんも、自由にとれる。
「ねえ、ふたりで旅行して来たら?華乃が留守番してるし、せっかく私たちがちょっと大人になって自由になって、もう安心してくれるよね?」
貴乃がそう言う。
「そうね。じゃあ、お父さんとどこかに行こうかなあ。華乃、留守番頼んでいいの?」
「うん、もちろん。いつでもいいよ。」
今のところ不安なことはない。
貴乃も大丈夫そう、私も何とかなりそう。
喜んで二人を見送れる。
夕方になって、貴乃に誘われて、駅まで送った。
ついでにとお母さんに買い物メモも渡された。
駅まで歩きながら。
「ねえ、華乃、飲みに行くの四人になりそう。ちょっと事情があって、もう一人男の人がくるみたい。協力してくれる?」
照れるような顔で、そう言われたら、どういうことだか分かった。
写真の人が貴乃のために誘ってくれたんだろう。
その人がいいよって言ってくれたんだろう。
「分かった。時間はお願いできそうだったら、他の日と変わってもらって早めに終わるようにお願いしてみる。」
「うん、そこはあんまり、大丈夫。私たちも休みだし。」
「どんな人なの?」
「分からない。あんまり・・・・・自分のことは話をしてないかも。大分慣れて話をするけど、だいたいは私たちが振った話題に答えるくらい。雰囲気がいい人なの。誰とも女子とは話をしてないと思ってたのに、他の子が告白して、振られたみたい。よく知らない子だからって。」
「あああ・・・・、可哀想。」
「そう、だから、一番仲良しだって自信はあっても、なかなかね。宮藤君が誘ってくれたみたい。ちょっと驚く顔が見たいなあ。双子って宮藤君にも教えてないから。妹がいるとしか教えてない。当日まで内緒にしよう。」
楽しそうに言う。クドウ君、そんな名前だったかな?
なんだか楽しそうな貴乃の気持ちが私にも伝染してきた・・・かも。
そんなに楽しみにしてるなら一回くらいは協力してもいい。
そう思った。
仕事も楽しい。
最近ネイル希望の人が増えた。
フェイシャルケアの最中に時短のために、ハンドケアとネイルを希望する人もいる。
ネイルケアは大好きで、実際に爪に色を乗せていくのは私が一番やっている。
京都の商品で爪に優しいネイルの商品は発色がちょっと違う。
ビビッドな発色はないけど、肌や爪に優しく、日本人の肌に馴染む日本の色をベースにしている。
最近古典的パターンを試したいと思ってる。
浴衣に合わせてもいい感じになるような和柄パターン。
イベント用ネイルも学校で一通りやっていた。せっかくだから着物の柄の見本のような本、江戸の画家が描く和服の柄、千代紙など、考えて資料を集めようと思った。
ちょっとご機嫌になる楽しい課題をもらった感じ。
空いた時間に爪見本に塗ってみた。
「ねえ、なんかいいことあった?」
「最近ネイルのお客様にリピートしていただいてて、すごくうれしいです。せっかくなので和柄模様に挑戦中です。浴衣に似合うと思いませんか?世代が上の方も多いし、無地の部分を増やせば普通のOLさんでもいいかなって思って。」
「うん、それは楽しそうだし、リピーターさんはきっと華乃ちゃんのお陰じゃない?」
「ありがとうございます。出来るだけずっと通ってもらえたらうれしいです。」
「そうね。でもそれ以外にご機嫌の理由はないの?」
「あ、この間姉が綺麗になったねって褒めてくれました。あと、夕方の居残りを代わってもらってありがとうございます。」
「二人で会うの?」
「いえ、姉の好きな人も来るらしいです。すごく興味あります。それとその友達です。二人とも姉の会社の人です。」
「なんだか双子なのに姉っていうと。年上の人を想像しちゃう。」
この間年を聞かれて双子だと教えた。
別に隠すことでもないけどあんまり言わない。
そして、やっぱり驚かれた。
「そうです。姉も私のことを妹って言ってるみたいです。当日まで双子なのは内緒です。」
「似てるけど、違うって、不思議な感覚。間違わない自信はあるけど、同じ格好で真顔でならどう?」
「間違え・・・ると思います。」
「ほくろとか、目立つ印がないんです。両親だけは騙せたことがないです。」
「そうなんだ。コツとか聞いてないの?」
「なんとなく雰囲気って言われます。今は髪の毛の色が違います。私は黒いままですから。」
「ああ、なんだか会いたいなあ。今度モニターサービスでもして、来てもらう?興味あるかな?」
「もちろんです。」
「それはそれで、楽しくしてるときっと華乃ちゃんにもいいことあるからね。その時は教えてね。」
そう言われて飲み会の最初の目的を思い出したけど。
何だか今更になった。
どうであっても楽しもう。
「そうだと嬉しいです。」
居残り番をしてても滅多に連絡はない。
急なキャンセルや問い合わせはたいていメールか決まったフォームで来る。
サロンの掃除をして、物品の補充をしたり、整頓をして、日報をしめてお終いにする。
そんな静かだけど落ち着いた日々がすごくうれしいと思ってる。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる