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10 自分らしく、びっくりするくらいの自分らしく。
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再び青空の下を進む。
本当に近かった。
車で来たことがなかったからあんまり距離感が分からなかった。
道沿いの駐車場も結構埋まってる。
車を降りて海じゃなくて反対の方へ向かった。
「せっかくだから夕日を見よう。もう少しあそこにいればいいよ。」
広めのガラス張りのレストランがあった。
外から見る限りランチも終わり席も空いてる気がする。
窓際に近い席に案内された。
本当の窓際は埋まっていたのでしょうがない。
コーヒーとデザートを頼んで待つ。
携帯で夕日が見えそうな時間を調べた。
「夕日まではあと一時間以上あるよ。」
「少しは海岸を歩いていいし、ここが混むまではゆっくりしてもよさそうだよね。」
「ねえ、昨日私より先に陽から連絡来たでしょう?」
「いつ?」
「私が夜に連絡するちょっと前。」
「来ないよ。亜紀さんと別れた後は一度の報告だけ。それ以降は連絡とってないよ。今朝うれしい報告はしたけど返事はないし。」
「本当に?」
「ないよ。」
陽はしばらく起きて待つように言うって言ってたのに。その後すぐ電話を切った癖に。
わざとだったらしい。
そうすれば律儀に連絡しなくちゃって思うだろうと読まれてたんだろうか?
本当に底が浅いのかも・・・素直と言ってもいい、そう言いたい。
ケーキを分け合い、ゆっくりと海の青を見ながら話をして、夕陽が主役になる時間を待つ。
「そろそろ行こうか。人が集まってる。」
犬を連れた人や家族連れが海岸にぽつりぽつりと見え出した。
夕日が沈んだらすぐに暗くなるだろう。
海岸に出た。
手はつないで。
その手が外されて腰に来て。
砂の上を歩く。
ゆっくりと待って海を見る。
後ろから抱き寄せられるように腕を回されて、私は後ろにある体にもたれてる。
背が高く、がっしりしてるとそんな二人も無理がない。
陽はちょっと細くて無理だな。
陽と柴田さんの二人の姿を思い浮かべた。
示現君の手に自分の手を重ねた。
あと30分くらい。
「亜紀さん、今日も一緒にいていい?」
「お願い。一緒にいて。」
思ってたより素直にそう言ってお願いした。
「じゃあ、獣の夜が楽しみ。」
耳元で言われた。
思わず重なった手を叩いた。ピシリと音がした。
「痛い。何で?いいいじゃん。陽には教えてないよ。内緒。」
そうやって囁かなくても普通位だと思う。
わざわざ聞くこともなかったけど、驚かれることもなかった。
そう突飛な反応でもないと思うのに。
まるで私が変だと言わんばかりじゃない。
「自分の人を見る目は自信があるんだ。今まであんまり外したことがない。仲良くなれる人となりたい人はたいてい一緒だよ。」
「それは女性に限れば必ず好きになった人に好きになってもらえたって言う連勝記録の自慢なの?」
「まあ、一部の女性に限ればね。」
「おめでとう。」
「ありがとう。だから自信があるって言ったじゃん。絶対こうなるって思ってたって。」
私の事を私に自慢してどうする。
そうですか、としか言えない。
「だからこれからもよろしく。」
「こちらこそ。」
海を見ながら、頭の上に声の振動を感じながらそんな会話をして。
またずっと立ったままの二人だった。
ずいぶん太陽が下になって来た。
あと少しで水平線にくっつきそう。
「綺麗だね。」
「うん。」
ゆっくり太陽が沈むのを見てる立ったままの二人。
あちこちで皆が静かに見てる時間だ。
本当に昨日来てくれてよかった。
またそう思った。
陽にも冬美にもハグをして感謝したいくらい。
嫌がられそうな顔が浮かぶ、特に陽なんて。
本当に私だってちゃんといい人を見てる、見つけてる、見つけられてもいるんだから。
お世話になった前の彼だって、これからお世話になるだろう後ろの人だって。
それって私がいい女って事?
もしかしてさっきさり気なく褒めた?
手のひらで示現君の甲をパンパンと叩いた。
「何?さっきから表情が忙しそうだけど。」
声をした斜め上を見た。
ニコニコと笑ってる。
「私だって人を見る目はあるからっ!」
「前の前の彼氏以前はなかなか曲者だったって聞いたけど。あれ?友達だったかな?」
冬美・・・・・なんでいろいろバラしてるの?
せっかく言い切ったのに、まったく説得力がなかったらしい。
「まあ、そこそこ学習しての、最近ヒットな男二連チャンでしょう?」
自分で言う?それは自画自賛じゃない。全然私を褒めた感じじゃない。
「それでもいい。」
「もうすぐ夜が始まるね。」
あと少しで太陽の頭が完全に隠れる。
「亜紀さんの大好きな夜だね。」
無視。
「帰ろう。」
周りの人も見終わった感じで動き出している。
薄暗い感じが一層進んだ。
本当に太陽の光で自分たちの時間が照らされてるんだと分かる、不思議な感覚。
絶対途切れることない規則的な動きだと誰もが信じてる。
そこは誰も疑わない。
夜の次には朝が来る。
まだかまだかと待っても、あっさり眠っても、同じ時間過ぎたら朝が来る。
その朝の前に、まだ二人の時間はたくさんある。
いっそ素直になったらどう思うだろうか?
びっくりして物足りないでしょう?
あの頃からあんまり変わってないみたい。
ちょっとひねくれた女のままらしい。
でも今度は迷惑をかけないようにしたい。
後々後悔するようなことはしないように。
だから普通の時間も二人の時間が重なる夜の時間も大切にしたい。
そうやって繰り返し大切な時間をつないだら、きっとあっという間に時間は過ぎちゃうのかもしれないけど。すぐ近くにいてくれるならいい。
「帰ろう。」
手をつないで歩き出した。
足元が暗くなり、つないだ手に力をこめた。
車の中からはもっと暗くなった海が見えた。
昼間の青い海とは違う顔を見せている。
どこまでも深く静かでちょっと怖い。
「亜紀さん。」
名前を呼ばれて振り向いた。
顔が近くに来てキスをした。
何度か音を立てるようにくっついて離れて。
「せっかく海に来たんだしね。」
海はキスをする場所らしい。
ふ~ん。
「じゃあ、帰ろう。」
帰るのは私の部屋。
今夜も私が頼んで一緒にいてもらう・・・・・ことになったとしておこう。
大切な時間が重なる。
これから、たくさん重なる。
昨日は改めてそんな重なりの始まりの日になったらしい。
だれもが素直になれそうな夜の時間。
はっきり照らす太陽が隠れて、隠してた本音をちらりと見せたくなる時間。
待って、獣って、どういうこと?
そんな野性味あふれる暴れ癖も噛みつき癖もない。
それとも手なずけるのに時間がかかるとか、牙をむくとか。
どうあっても『素直な女性』からは程遠い。
おかしい。
『底が浅い』と言われたのに。
一緒にいる時間が短すぎて判断材料不足でしょう。
もっともっと驚く顔をさせてやる。
素直で可愛く野性味なんてない、愛玩動物のような思わず撫でたくなる可愛さを、女子力を。
たくさん一緒の時間を重ねて、少しづつ見せてやる。
「怖い顔してるけど、唸り声も出てるよ。部屋に着くまで待ってね、あと少しだから。」
唸り声って何?
静かにひとり目標を掲げてただけなのに。
俄然やる気が出てきた。
思わず陽に報告したくなるような、誰も知らない私を見せて驚かしてやる。
本当に自分でも知らないような・・・・そんな一面を・・・・・絶対驚いてもらう。
海に誓えばよかった。
ひとり車の中じゃあ今一つ。
暗い夜の街を見る。
カーナビが教えてくれてる。あと少しで部屋に着くらしい。
私が一番私らしくいれる場所。
それは獣じゃないから、本当に・・・見せてやる!!
「鼻息が荒いよ。トイレに行きたい?」
全然だ、誤解だ。
やっぱり示現君の思考のパターンがおかしいんじゃない?
それでも握こぶしを作っていたらしい、ゆっくり開いてリラックスした。
ゆっくりゆっくりでいい。
その内に。
しばらくは付き合ってもらえるだろうから。
そうゆっくりでいい。
今度はだれの事もがっかりさせないように。
自分も最後には良かったって思えるように。
いつまでも反省しかない日々じゃない。
楽しかったって思える毎日になったらいい。
本当に近かった。
車で来たことがなかったからあんまり距離感が分からなかった。
道沿いの駐車場も結構埋まってる。
車を降りて海じゃなくて反対の方へ向かった。
「せっかくだから夕日を見よう。もう少しあそこにいればいいよ。」
広めのガラス張りのレストランがあった。
外から見る限りランチも終わり席も空いてる気がする。
窓際に近い席に案内された。
本当の窓際は埋まっていたのでしょうがない。
コーヒーとデザートを頼んで待つ。
携帯で夕日が見えそうな時間を調べた。
「夕日まではあと一時間以上あるよ。」
「少しは海岸を歩いていいし、ここが混むまではゆっくりしてもよさそうだよね。」
「ねえ、昨日私より先に陽から連絡来たでしょう?」
「いつ?」
「私が夜に連絡するちょっと前。」
「来ないよ。亜紀さんと別れた後は一度の報告だけ。それ以降は連絡とってないよ。今朝うれしい報告はしたけど返事はないし。」
「本当に?」
「ないよ。」
陽はしばらく起きて待つように言うって言ってたのに。その後すぐ電話を切った癖に。
わざとだったらしい。
そうすれば律儀に連絡しなくちゃって思うだろうと読まれてたんだろうか?
本当に底が浅いのかも・・・素直と言ってもいい、そう言いたい。
ケーキを分け合い、ゆっくりと海の青を見ながら話をして、夕陽が主役になる時間を待つ。
「そろそろ行こうか。人が集まってる。」
犬を連れた人や家族連れが海岸にぽつりぽつりと見え出した。
夕日が沈んだらすぐに暗くなるだろう。
海岸に出た。
手はつないで。
その手が外されて腰に来て。
砂の上を歩く。
ゆっくりと待って海を見る。
後ろから抱き寄せられるように腕を回されて、私は後ろにある体にもたれてる。
背が高く、がっしりしてるとそんな二人も無理がない。
陽はちょっと細くて無理だな。
陽と柴田さんの二人の姿を思い浮かべた。
示現君の手に自分の手を重ねた。
あと30分くらい。
「亜紀さん、今日も一緒にいていい?」
「お願い。一緒にいて。」
思ってたより素直にそう言ってお願いした。
「じゃあ、獣の夜が楽しみ。」
耳元で言われた。
思わず重なった手を叩いた。ピシリと音がした。
「痛い。何で?いいいじゃん。陽には教えてないよ。内緒。」
そうやって囁かなくても普通位だと思う。
わざわざ聞くこともなかったけど、驚かれることもなかった。
そう突飛な反応でもないと思うのに。
まるで私が変だと言わんばかりじゃない。
「自分の人を見る目は自信があるんだ。今まであんまり外したことがない。仲良くなれる人となりたい人はたいてい一緒だよ。」
「それは女性に限れば必ず好きになった人に好きになってもらえたって言う連勝記録の自慢なの?」
「まあ、一部の女性に限ればね。」
「おめでとう。」
「ありがとう。だから自信があるって言ったじゃん。絶対こうなるって思ってたって。」
私の事を私に自慢してどうする。
そうですか、としか言えない。
「だからこれからもよろしく。」
「こちらこそ。」
海を見ながら、頭の上に声の振動を感じながらそんな会話をして。
またずっと立ったままの二人だった。
ずいぶん太陽が下になって来た。
あと少しで水平線にくっつきそう。
「綺麗だね。」
「うん。」
ゆっくり太陽が沈むのを見てる立ったままの二人。
あちこちで皆が静かに見てる時間だ。
本当に昨日来てくれてよかった。
またそう思った。
陽にも冬美にもハグをして感謝したいくらい。
嫌がられそうな顔が浮かぶ、特に陽なんて。
本当に私だってちゃんといい人を見てる、見つけてる、見つけられてもいるんだから。
お世話になった前の彼だって、これからお世話になるだろう後ろの人だって。
それって私がいい女って事?
もしかしてさっきさり気なく褒めた?
手のひらで示現君の甲をパンパンと叩いた。
「何?さっきから表情が忙しそうだけど。」
声をした斜め上を見た。
ニコニコと笑ってる。
「私だって人を見る目はあるからっ!」
「前の前の彼氏以前はなかなか曲者だったって聞いたけど。あれ?友達だったかな?」
冬美・・・・・なんでいろいろバラしてるの?
せっかく言い切ったのに、まったく説得力がなかったらしい。
「まあ、そこそこ学習しての、最近ヒットな男二連チャンでしょう?」
自分で言う?それは自画自賛じゃない。全然私を褒めた感じじゃない。
「それでもいい。」
「もうすぐ夜が始まるね。」
あと少しで太陽の頭が完全に隠れる。
「亜紀さんの大好きな夜だね。」
無視。
「帰ろう。」
周りの人も見終わった感じで動き出している。
薄暗い感じが一層進んだ。
本当に太陽の光で自分たちの時間が照らされてるんだと分かる、不思議な感覚。
絶対途切れることない規則的な動きだと誰もが信じてる。
そこは誰も疑わない。
夜の次には朝が来る。
まだかまだかと待っても、あっさり眠っても、同じ時間過ぎたら朝が来る。
その朝の前に、まだ二人の時間はたくさんある。
いっそ素直になったらどう思うだろうか?
びっくりして物足りないでしょう?
あの頃からあんまり変わってないみたい。
ちょっとひねくれた女のままらしい。
でも今度は迷惑をかけないようにしたい。
後々後悔するようなことはしないように。
だから普通の時間も二人の時間が重なる夜の時間も大切にしたい。
そうやって繰り返し大切な時間をつないだら、きっとあっという間に時間は過ぎちゃうのかもしれないけど。すぐ近くにいてくれるならいい。
「帰ろう。」
手をつないで歩き出した。
足元が暗くなり、つないだ手に力をこめた。
車の中からはもっと暗くなった海が見えた。
昼間の青い海とは違う顔を見せている。
どこまでも深く静かでちょっと怖い。
「亜紀さん。」
名前を呼ばれて振り向いた。
顔が近くに来てキスをした。
何度か音を立てるようにくっついて離れて。
「せっかく海に来たんだしね。」
海はキスをする場所らしい。
ふ~ん。
「じゃあ、帰ろう。」
帰るのは私の部屋。
今夜も私が頼んで一緒にいてもらう・・・・・ことになったとしておこう。
大切な時間が重なる。
これから、たくさん重なる。
昨日は改めてそんな重なりの始まりの日になったらしい。
だれもが素直になれそうな夜の時間。
はっきり照らす太陽が隠れて、隠してた本音をちらりと見せたくなる時間。
待って、獣って、どういうこと?
そんな野性味あふれる暴れ癖も噛みつき癖もない。
それとも手なずけるのに時間がかかるとか、牙をむくとか。
どうあっても『素直な女性』からは程遠い。
おかしい。
『底が浅い』と言われたのに。
一緒にいる時間が短すぎて判断材料不足でしょう。
もっともっと驚く顔をさせてやる。
素直で可愛く野性味なんてない、愛玩動物のような思わず撫でたくなる可愛さを、女子力を。
たくさん一緒の時間を重ねて、少しづつ見せてやる。
「怖い顔してるけど、唸り声も出てるよ。部屋に着くまで待ってね、あと少しだから。」
唸り声って何?
静かにひとり目標を掲げてただけなのに。
俄然やる気が出てきた。
思わず陽に報告したくなるような、誰も知らない私を見せて驚かしてやる。
本当に自分でも知らないような・・・・そんな一面を・・・・・絶対驚いてもらう。
海に誓えばよかった。
ひとり車の中じゃあ今一つ。
暗い夜の街を見る。
カーナビが教えてくれてる。あと少しで部屋に着くらしい。
私が一番私らしくいれる場所。
それは獣じゃないから、本当に・・・見せてやる!!
「鼻息が荒いよ。トイレに行きたい?」
全然だ、誤解だ。
やっぱり示現君の思考のパターンがおかしいんじゃない?
それでも握こぶしを作っていたらしい、ゆっくり開いてリラックスした。
ゆっくりゆっくりでいい。
その内に。
しばらくは付き合ってもらえるだろうから。
そうゆっくりでいい。
今度はだれの事もがっかりさせないように。
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