12 / 31
12 目覚めが悪いと分かった朝から嬉しい一日が始まる予感の日。
しおりを挟む
聞きなれないアラームに気がついたときはすっかり朝で。
横で身じろぎするけど一向に目覚めない彼女がいる。
意外に朝は弱いのかな?
「真奈さん、朝だよ。起きる時間?」
「ぅうん、ねむいよう。」
声はすっかり戻ってる気がするけど、寝ぼけた声はなんだか幼い声だった。
可愛い。昨日上げていた色っぽい声もいいけど、これまた甘えた声が可愛い。
すこし気を許してもたれてきてもなかなかこんな甘い声で甘えてくれない。
もっと聞きたい気がする。目覚ましに反応しない当たり半覚醒だろう。
「まな、サノマルに挨拶しよう。待ってるよ。」
まだ起きださない。
今までよく遅刻せずに起きれてたもんだ。
アラームはまだ鳴っている。
「まな、遅刻はダメだよ。起きて起きて。」
髪をかき分けておでこにキスをしてみる。ぼんやりと目が開いてきた。
ビックリして後ろに下がった彼女。
「おはよう、真奈さん。」
はたと思い当たったらしく挨拶を返してくれる。
「おはようございます。」
目覚ましを渡してとりあえず止めてもらう。
「真奈さん、準備しなくちゃ。コーヒーとパンは僕が準備するから他はいつものようにどうぞ。」
もう一度おでこにキスをして先にベッドから降りる。
顔を軽く水洗いしてさっぱりする。
背伸びをしてカーテンを開く。
明るい朝の陽ざしが入り込む。
コーヒーを二人分セットして、パンを焼く。
ようやく起きだした真奈さんがのろのろとバスルームに行く。
顔を洗って肌を整えた彼女はようやく目が覚めたようだ。
「サノマルに挨拶は?」
「・・・ん?・・・サノマル・・・・・・って何で知ってるんですか?」
そりゃ当然驚くだろうけど。
「だって昨日そう呼んでたから。」
「・・・・・っ。」
声にならない恥ずかしさに顔は真っ赤になっている。
すっかりはっきり目が覚めただろう。
下を向いて酷いと繰り返す。
「かわいい名前だね、サノマル。ふてぶてしくなってなきゃいいけど。でも、違う名前で呼ばれてるだろうからいいか。真奈さんがつけたこの部屋限定の名前だもんね。」
後ろを向いて寝室に行った。ついでに着替えをしてるらしい音がする。
「着替え終わった?朝ごはんばっちりできました!」
寝室もカーテンが開けられて明るくなっている。
着替えをして化粧をした彼女が出てくる。
「あの・・・・枕の下に見慣れないものがありました、頭の方にも。」
「あ、ごめん、忘れてた。置いといてくれる?又使うよね。」
「久しぶりって言ったのに・・・・。」
「そうだよ、わざわざ遠くのドラッグストアで買いました。小学生を迎えに行く途中だったからドキドキだよね。バッグの中に入るサイズで良かった。」
「当たり前です。何で仕事中に買ったんですか?」
「だってこの近くじゃ買えないしね。」
「真奈さん、間違って捨てないでね。」
「捨てません。」
「良かった。じゃあまたすぐに使うから。大切に保管してて。」
朝ごはんの前に座り食事をする。
「いいね、こういうの。」
彼女がこっちを向く。
さっきまでちょっとからかいすぎたせいか疑うような視線になってる。
「どうしたの?」
「いいえ。別に。」ふいとそらされた視線。
「そういえば、寝起き悪いんだね。随分アラーム鳴ってたよ。」
「ううう・・・・っ。」
「でもおかげですっごくかわいい声が聞けた。」
「な、なんですか?」
「眠いって言った声が寝ぼけてたのかすごく可愛かった。」
「?」
首をかしげる彼女。
「甘い声で可愛かった。いつかあんな声でおねだりされたい声だった。」
「知りません。ちょっと寝起きは自信がなくて。」
「いいこと聞いちゃったかも。」
ニコニコとしてる自分にムッとする表情を見せる彼女。
「真奈さん、時間大丈夫?続きはまたね。」
自分も着替えて荷物をまとめる。支度を終えて一緒に出かけ、途中で彼女と別れて自分の部屋へ向かう。
さて、今日もいい一日になりそうだ。
別れたばかりなのにまた今日も彼女に会いたくてあの部屋に行きそうだ。
どのくらいなら嫌がられないろう。
そんなことを考えながら見知った街並を自転車で走る。
せめて、次の約束をして来ればよかった。
掃除洗濯をして約束の時間よりは早めだけど部屋を出る。
横で身じろぎするけど一向に目覚めない彼女がいる。
意外に朝は弱いのかな?
「真奈さん、朝だよ。起きる時間?」
「ぅうん、ねむいよう。」
声はすっかり戻ってる気がするけど、寝ぼけた声はなんだか幼い声だった。
可愛い。昨日上げていた色っぽい声もいいけど、これまた甘えた声が可愛い。
すこし気を許してもたれてきてもなかなかこんな甘い声で甘えてくれない。
もっと聞きたい気がする。目覚ましに反応しない当たり半覚醒だろう。
「まな、サノマルに挨拶しよう。待ってるよ。」
まだ起きださない。
今までよく遅刻せずに起きれてたもんだ。
アラームはまだ鳴っている。
「まな、遅刻はダメだよ。起きて起きて。」
髪をかき分けておでこにキスをしてみる。ぼんやりと目が開いてきた。
ビックリして後ろに下がった彼女。
「おはよう、真奈さん。」
はたと思い当たったらしく挨拶を返してくれる。
「おはようございます。」
目覚ましを渡してとりあえず止めてもらう。
「真奈さん、準備しなくちゃ。コーヒーとパンは僕が準備するから他はいつものようにどうぞ。」
もう一度おでこにキスをして先にベッドから降りる。
顔を軽く水洗いしてさっぱりする。
背伸びをしてカーテンを開く。
明るい朝の陽ざしが入り込む。
コーヒーを二人分セットして、パンを焼く。
ようやく起きだした真奈さんがのろのろとバスルームに行く。
顔を洗って肌を整えた彼女はようやく目が覚めたようだ。
「サノマルに挨拶は?」
「・・・ん?・・・サノマル・・・・・・って何で知ってるんですか?」
そりゃ当然驚くだろうけど。
「だって昨日そう呼んでたから。」
「・・・・・っ。」
声にならない恥ずかしさに顔は真っ赤になっている。
すっかりはっきり目が覚めただろう。
下を向いて酷いと繰り返す。
「かわいい名前だね、サノマル。ふてぶてしくなってなきゃいいけど。でも、違う名前で呼ばれてるだろうからいいか。真奈さんがつけたこの部屋限定の名前だもんね。」
後ろを向いて寝室に行った。ついでに着替えをしてるらしい音がする。
「着替え終わった?朝ごはんばっちりできました!」
寝室もカーテンが開けられて明るくなっている。
着替えをして化粧をした彼女が出てくる。
「あの・・・・枕の下に見慣れないものがありました、頭の方にも。」
「あ、ごめん、忘れてた。置いといてくれる?又使うよね。」
「久しぶりって言ったのに・・・・。」
「そうだよ、わざわざ遠くのドラッグストアで買いました。小学生を迎えに行く途中だったからドキドキだよね。バッグの中に入るサイズで良かった。」
「当たり前です。何で仕事中に買ったんですか?」
「だってこの近くじゃ買えないしね。」
「真奈さん、間違って捨てないでね。」
「捨てません。」
「良かった。じゃあまたすぐに使うから。大切に保管してて。」
朝ごはんの前に座り食事をする。
「いいね、こういうの。」
彼女がこっちを向く。
さっきまでちょっとからかいすぎたせいか疑うような視線になってる。
「どうしたの?」
「いいえ。別に。」ふいとそらされた視線。
「そういえば、寝起き悪いんだね。随分アラーム鳴ってたよ。」
「ううう・・・・っ。」
「でもおかげですっごくかわいい声が聞けた。」
「な、なんですか?」
「眠いって言った声が寝ぼけてたのかすごく可愛かった。」
「?」
首をかしげる彼女。
「甘い声で可愛かった。いつかあんな声でおねだりされたい声だった。」
「知りません。ちょっと寝起きは自信がなくて。」
「いいこと聞いちゃったかも。」
ニコニコとしてる自分にムッとする表情を見せる彼女。
「真奈さん、時間大丈夫?続きはまたね。」
自分も着替えて荷物をまとめる。支度を終えて一緒に出かけ、途中で彼女と別れて自分の部屋へ向かう。
さて、今日もいい一日になりそうだ。
別れたばかりなのにまた今日も彼女に会いたくてあの部屋に行きそうだ。
どのくらいなら嫌がられないろう。
そんなことを考えながら見知った街並を自転車で走る。
せめて、次の約束をして来ればよかった。
掃除洗濯をして約束の時間よりは早めだけど部屋を出る。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。



白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる