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17 隠し事はしません、できません ~全部教えた後の猫脱ぎにがっかりした男
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携帯は今静かに彼女の手のひらにある。
じっと見ていたが感想はない。当たり前だが。
「この動画の事、卓さんは知ってるんですよね?」
「ううん、ちょうどトイレに言ってる間だった。」
何がちょうどなのか。さすがに横いたら撮らなかっただろうし。
「その時にちょうど小愛ちゃんが斜めに見える場所にいて、ちょうど立ち上がって、ちょうど携帯がすぐに取り出せて。」
本当にドン引きされるくらいに、勝手に何度も再生し元気をもらえた。
ただ、もう一人の友達の姿は画面にはない・・・・。
ちょうどいなかったんだと思う。
本当にたまたま、ついつい。
「これ、誰か見たんですか?」
「まさか、部屋でしか見てないから。自分しか見てない。」
ゆっくり顔がこちらを向いた。
怒ってる?呆れてる?それとも、もっと・・・・。
見ると、ぼんやりした顔をしてる。
携帯は返してもらえた。
ほのかに彼女の手のぬくもりが残る携帯。
今消して欲しいと言われれば従うしかない。
特に言われず。
そのままポケットに入れた。
「本当に元気になったんだ。ぼんやり見てた。」
「だから・・・・、そんなに落ち込むほど、何があったんですか?」
また、聞かれて、さっきより遠慮もなく聞かれた。
だから、全部話した。
「じゃあ、きっと宇佐美さんは寂しかったんですよ。今も、きっと。ずっと近くに居てくれた人がいなくなって、私以上の虚無感を感じてて、だから誰か近くに居て欲しくて、その時にたまたま見かけたのが私で。」
顔は見えない。ずっと俯いてて。
「違うよ。確かに部屋は広くなったし、一人だと静かで温度も低い感じがするけど、それを望んだ時間が長すぎて、お互いにやっとと言う気分なんだよ、スッキリしたと言う気分。本当にずっとお互いに気を遣い合う存在でしかなかったから。今は、冷たいようだけど、やっと一人になれたって、そう思うんだよ。お互い限界だったんだよ。だから、やっと踏み出せる時になったと言う気分なんだ。寂しさとかは、相当の昔に流れ去った気持ちなんだ。・・・酷い男って思うよね。」
そう正直に言っても動かない彼女。
「本当に、信じてくれないかな?彼女には未練とかじゃなくて贖罪の気持ちと感謝の気持ちしかない。」
「私もすぐに、1週間で元気になりました。だから自分でもいいんだろうかって思うほどでした。こんな薄情な二人が一緒にいて・・・どうなると思いますか?」
「僕は楽しくなる、もっと一緒にいたいと思うようになる。ずっともっと好きになる。」
あえて断言した。
「小愛ちゃんは?」
「私は・・・・もっと幸せだと思うようになれると思いますか?」
やっと顔を上げてくれた。
「思うよ。絶対そうなるから。」
「だから、一緒にいよう。」
うなずかれた。
「良かった。」
やっと平和な午後が自分たちのベンチにもやってきた。
本当に良かった。
卓・・・・、悪いな。でも本当に元気になったよ、・・・・二人とも。
卓のお陰だ。
これで動画なんて見せたら、完全なのろけだと怒るよな。
残念だが、見せることはないだろうな。
彼女が気にしてるところだろうが、あえて楽しめる自分。
誰も知らないのなら、しばらく自分だけで楽しみたい。
隣を見ると、いきなり視線をそらされた。
あからさまなまでに。
今までこっちを見てたらしい。
ちょっとニヤニヤとした痛い自分じゃなかっただろうかと不安にもなるが、その前に。
「ねえ、今のは何?何でいきなり目が合わないの?そこはもっと猫かぶりで見上げてくれてもいいよ。」
今こそウルウル視線が欲しいところだけど。
「・・・・・。」
無言。
「どうしたの?」
やっぱり諸々の不安が勝る。
「急に分からなくなりました。ちょっとした混乱です。」
「そう?」
なら、いいか。
何とかGWに間に合ったらしい。
楽しい連休にしたいと言っていた彼女に付き合おうじゃないか。
部屋にいてもつまらない、さすがにあの動画では物足りない。
自分だって思いっきり楽しみたい。
じっと見ていたが感想はない。当たり前だが。
「この動画の事、卓さんは知ってるんですよね?」
「ううん、ちょうどトイレに言ってる間だった。」
何がちょうどなのか。さすがに横いたら撮らなかっただろうし。
「その時にちょうど小愛ちゃんが斜めに見える場所にいて、ちょうど立ち上がって、ちょうど携帯がすぐに取り出せて。」
本当にドン引きされるくらいに、勝手に何度も再生し元気をもらえた。
ただ、もう一人の友達の姿は画面にはない・・・・。
ちょうどいなかったんだと思う。
本当にたまたま、ついつい。
「これ、誰か見たんですか?」
「まさか、部屋でしか見てないから。自分しか見てない。」
ゆっくり顔がこちらを向いた。
怒ってる?呆れてる?それとも、もっと・・・・。
見ると、ぼんやりした顔をしてる。
携帯は返してもらえた。
ほのかに彼女の手のぬくもりが残る携帯。
今消して欲しいと言われれば従うしかない。
特に言われず。
そのままポケットに入れた。
「本当に元気になったんだ。ぼんやり見てた。」
「だから・・・・、そんなに落ち込むほど、何があったんですか?」
また、聞かれて、さっきより遠慮もなく聞かれた。
だから、全部話した。
「じゃあ、きっと宇佐美さんは寂しかったんですよ。今も、きっと。ずっと近くに居てくれた人がいなくなって、私以上の虚無感を感じてて、だから誰か近くに居て欲しくて、その時にたまたま見かけたのが私で。」
顔は見えない。ずっと俯いてて。
「違うよ。確かに部屋は広くなったし、一人だと静かで温度も低い感じがするけど、それを望んだ時間が長すぎて、お互いにやっとと言う気分なんだよ、スッキリしたと言う気分。本当にずっとお互いに気を遣い合う存在でしかなかったから。今は、冷たいようだけど、やっと一人になれたって、そう思うんだよ。お互い限界だったんだよ。だから、やっと踏み出せる時になったと言う気分なんだ。寂しさとかは、相当の昔に流れ去った気持ちなんだ。・・・酷い男って思うよね。」
そう正直に言っても動かない彼女。
「本当に、信じてくれないかな?彼女には未練とかじゃなくて贖罪の気持ちと感謝の気持ちしかない。」
「私もすぐに、1週間で元気になりました。だから自分でもいいんだろうかって思うほどでした。こんな薄情な二人が一緒にいて・・・どうなると思いますか?」
「僕は楽しくなる、もっと一緒にいたいと思うようになる。ずっともっと好きになる。」
あえて断言した。
「小愛ちゃんは?」
「私は・・・・もっと幸せだと思うようになれると思いますか?」
やっと顔を上げてくれた。
「思うよ。絶対そうなるから。」
「だから、一緒にいよう。」
うなずかれた。
「良かった。」
やっと平和な午後が自分たちのベンチにもやってきた。
本当に良かった。
卓・・・・、悪いな。でも本当に元気になったよ、・・・・二人とも。
卓のお陰だ。
これで動画なんて見せたら、完全なのろけだと怒るよな。
残念だが、見せることはないだろうな。
彼女が気にしてるところだろうが、あえて楽しめる自分。
誰も知らないのなら、しばらく自分だけで楽しみたい。
隣を見ると、いきなり視線をそらされた。
あからさまなまでに。
今までこっちを見てたらしい。
ちょっとニヤニヤとした痛い自分じゃなかっただろうかと不安にもなるが、その前に。
「ねえ、今のは何?何でいきなり目が合わないの?そこはもっと猫かぶりで見上げてくれてもいいよ。」
今こそウルウル視線が欲しいところだけど。
「・・・・・。」
無言。
「どうしたの?」
やっぱり諸々の不安が勝る。
「急に分からなくなりました。ちょっとした混乱です。」
「そう?」
なら、いいか。
何とかGWに間に合ったらしい。
楽しい連休にしたいと言っていた彼女に付き合おうじゃないか。
部屋にいてもつまらない、さすがにあの動画では物足りない。
自分だって思いっきり楽しみたい。
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