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1 お地蔵さまと出会った日~桐乃~
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今日も通ってしまう。
もう毎週のようにあちこちと通ってる、週末ごとにあちこちと。
本当に沢山いるらしいこの世界のプロ。
『占い』
奥が深いのか、統計学の極みなのか。
何かありがたいアドバイスをもらえるかも・・・・そこを疑わないように、そう思いこんで、今日も通う。
ただ、相談したいことのついでに、というかそれが前提の様に欠点をズバリと指摘されて、もうどんどん自分の嫌な部分が目の前に並べられて。
逆効果じゃないの?
統計学で導かれた自分の欠点。見事に三人に同じことを繰り返し指摘された。
短所は長所、そう教わったんだから、逆説的に長所にするように言ってくれる優しさも欲しい。一応お客様です。
それでも、今日こそは・・・・と『有り難し』な救いを求めて並んでいる私。
順番を待って丸椅子に座っている。
入り口のタブレットでどの分野の誰にお願いするか決めて、空いてる枠に予約をして、時間を確認して、電話番号を入れて、時間になったら呼ばれるのを待つシステムらしい。
すべてタブレットで済むから受付なんていらない、そんなこの場所。
食券を買うみたいな手軽さにありがたみも薄れそう。
上手く次の枠が空いていて、出直すほどでもないのでそのままイスに座って待った。
ものすごく当たる!そんな人にたどり着くにはまだまだ心が決まらない。
決定的に断言されたら、弱い心を一気に染め上げられそう。
呪いの様にとらわれそう。
まだ、そこまでは・・・・・。
それに相手もまだまだ見つけられてない状態だし。
静かに待ってると聞こえてくる声。
楽しそうに話が弾んでる人がいるらしい。
明るい元気な声が聞こえてくる。
過去の彼氏の文句を罵るように披露してる人もいる。
みんな元気。
みんな幸せをつかみ取る自信があるように見える。
目の前をスッキリしたような笑顔で帰って行く女の人。
そんなラッキーなこと言われたの?
その後ろ姿を羨ましく見送った。
「次の方どうぞ、お待たせしました。」
呼ばれた。私の番。
入る前から懺悔の気持ちが高まる、はい、ごめんなさい。
欠点は隠せません。
ほぼ統計上のその通りだと思ってます・・・・。
「よろしくお願いします。」
「じゃあ、こちらにお名前と生年月日をお願いします。」
出された紙に書いていく。
時計を見て始まるのは初めての幸運のお告げか再びの自省の時間か。
余計なことを言い過ぎると、話がそれてしまうから、恋愛で、とそれだけ言った。
それだってもう何度も見てもらってる。それがメインテーマだし。
お付き合いしてる人は?好きな人は?そんな基本の情報を吐き出す。
本当にまっさらから始めます。
まったく根も芽も葉も花もないような状態です。
そしてやはり言われる。
『高望みしすぎる』
『欠点を許せない狭量さがある』
『飽きっぽいしプライドも高いから、去るもの追わず、だから縁を逃しやすい。』
言葉は違えど、そういうこと。
既に携帯のメモに記憶させたようなこと、目新しくもないこと。
隠せないリアルな私の欠点がそれ、その通りです。
でも、今回の占い師さんはまだ優しく言ってくれたほうかもしれない。
『譲れない点が多くて、そこはなかなか頑固みたいですね。』
『細かいところにも気がつくし、違和感を感じると流せないみたいですね。』
『自分以外に時々無関心になる傾向があるから、相手に誤解されやすいかもしれないですね。』
すごく優しく言われた方、もう涙が出るくらい。
分かってもらえてる・・・と言いたいけど、さんざん指摘された欠点の側面だと気がつくと、やはり落ち込む。自分のこだわりや長所と思ったところも一転して欠点としてあげてしまいそう。
本当に言霊の呪いにかかってる・・・・。
そして未来へのアドバイス、ここからが本番。
『この先二年はなかなかないみたい。二年くらい前に何かあったでしょう?そこは大きなチャンスだったけど‥‥。』
さあ、思い出してごらんなさい、そんな視線を受けて思い返す・・・までもなく心当たりなし。首をかしげるしかない。
『大丈夫、さり気なくいいことはあるから。あとは運と実力次第ね。これだと思ったら自分でつかみ取らないとね。』
二年前のビッグチャンスも気が付かなかった私なのに、さりげないものをつかめると思う?
でもそれでも何かあるのなら、それにしがみついてみてもいいって思えてきた。
何もない数年を過ごすのなら、一人でも多くの人と出会いたい。
そう思ってうなずいた、力強くうなずいた。
私の目に強い意志が表れていたのかもしれない。納得してもらえた、伝えることは伝えられた、そう占いの人が満足したように終わり時間だと言われた。
「それじゃあこれをお守りに、財布に入れててください。」
地蔵のカードをもらった。
本当にアニメでもイラストでもない、石の地蔵、本物の写真を少し加工したもの。
綺麗なツルツルの石だから、どこかに所蔵されたものだろうか?
ご利益があると、心から信じたい。
「心を丸く、あんまりトゲトゲしないように、ゆるりとした気持ちで過ごせますように。」
合掌で終わった。
もしかしてこれはご利益よりも、欠点矯正のストッパーにもなるようなもの?
イライラしたら癒されて、優しく穏やかに微笑めるように・・・。
相談者みんながもらってると思いたい。
合掌で終わるスタイルの人なんだと思いたい。
何故分かりやすい恋愛の神様じゃないのか、深くは考えまい。
地蔵菩薩信仰の人なんだと思いたい。
お礼を言って、お金を払い席を離れた。
二年前のチャンス、見逃したらしいチャンス。
あった?いた?だれ?どこに?
本当に目の前を高速のスピードで通り過ぎたでしょう?
全く気が付かなかった。それは悔しい。
でも、ここ何度目かにして、初めてチャンスがあったんだと言われた。
自分にも人並みに可能性があったことが分かった。
それは過去だったけど、今更どうにもできないけど、何かが私にもあったのだと。
これからだって小さな楽しみはあるらしい。
大切なのはこれからの未来のこと、本当にしっかり両目を開けて見逃さないようにしたい!
さりげないことも掴み取りたい。
貪欲に、漏らすことなく掬い上げ掴み取りたい。
獲物に喰らいつくくらいの野生の本能を奮い起こしたいくらいだけど、心も顔もまるまると優しく穏やかに。
きっとそう諭したかったんだろう。
こうなったら菩薩でもマリア様でも、目指してやる!
そうは思っても、ほら、笑って許せる範囲とか、やっぱりあるじゃない。
特に仕事じゃ、ちゃんとするところはちゃんとして欲しい。
ダメなものはダメ。
本当に、これはちょっとね、もう何度も繰り返してるなら、なおのことね。
もう毎週のようにあちこちと通ってる、週末ごとにあちこちと。
本当に沢山いるらしいこの世界のプロ。
『占い』
奥が深いのか、統計学の極みなのか。
何かありがたいアドバイスをもらえるかも・・・・そこを疑わないように、そう思いこんで、今日も通う。
ただ、相談したいことのついでに、というかそれが前提の様に欠点をズバリと指摘されて、もうどんどん自分の嫌な部分が目の前に並べられて。
逆効果じゃないの?
統計学で導かれた自分の欠点。見事に三人に同じことを繰り返し指摘された。
短所は長所、そう教わったんだから、逆説的に長所にするように言ってくれる優しさも欲しい。一応お客様です。
それでも、今日こそは・・・・と『有り難し』な救いを求めて並んでいる私。
順番を待って丸椅子に座っている。
入り口のタブレットでどの分野の誰にお願いするか決めて、空いてる枠に予約をして、時間を確認して、電話番号を入れて、時間になったら呼ばれるのを待つシステムらしい。
すべてタブレットで済むから受付なんていらない、そんなこの場所。
食券を買うみたいな手軽さにありがたみも薄れそう。
上手く次の枠が空いていて、出直すほどでもないのでそのままイスに座って待った。
ものすごく当たる!そんな人にたどり着くにはまだまだ心が決まらない。
決定的に断言されたら、弱い心を一気に染め上げられそう。
呪いの様にとらわれそう。
まだ、そこまでは・・・・・。
それに相手もまだまだ見つけられてない状態だし。
静かに待ってると聞こえてくる声。
楽しそうに話が弾んでる人がいるらしい。
明るい元気な声が聞こえてくる。
過去の彼氏の文句を罵るように披露してる人もいる。
みんな元気。
みんな幸せをつかみ取る自信があるように見える。
目の前をスッキリしたような笑顔で帰って行く女の人。
そんなラッキーなこと言われたの?
その後ろ姿を羨ましく見送った。
「次の方どうぞ、お待たせしました。」
呼ばれた。私の番。
入る前から懺悔の気持ちが高まる、はい、ごめんなさい。
欠点は隠せません。
ほぼ統計上のその通りだと思ってます・・・・。
「よろしくお願いします。」
「じゃあ、こちらにお名前と生年月日をお願いします。」
出された紙に書いていく。
時計を見て始まるのは初めての幸運のお告げか再びの自省の時間か。
余計なことを言い過ぎると、話がそれてしまうから、恋愛で、とそれだけ言った。
それだってもう何度も見てもらってる。それがメインテーマだし。
お付き合いしてる人は?好きな人は?そんな基本の情報を吐き出す。
本当にまっさらから始めます。
まったく根も芽も葉も花もないような状態です。
そしてやはり言われる。
『高望みしすぎる』
『欠点を許せない狭量さがある』
『飽きっぽいしプライドも高いから、去るもの追わず、だから縁を逃しやすい。』
言葉は違えど、そういうこと。
既に携帯のメモに記憶させたようなこと、目新しくもないこと。
隠せないリアルな私の欠点がそれ、その通りです。
でも、今回の占い師さんはまだ優しく言ってくれたほうかもしれない。
『譲れない点が多くて、そこはなかなか頑固みたいですね。』
『細かいところにも気がつくし、違和感を感じると流せないみたいですね。』
『自分以外に時々無関心になる傾向があるから、相手に誤解されやすいかもしれないですね。』
すごく優しく言われた方、もう涙が出るくらい。
分かってもらえてる・・・と言いたいけど、さんざん指摘された欠点の側面だと気がつくと、やはり落ち込む。自分のこだわりや長所と思ったところも一転して欠点としてあげてしまいそう。
本当に言霊の呪いにかかってる・・・・。
そして未来へのアドバイス、ここからが本番。
『この先二年はなかなかないみたい。二年くらい前に何かあったでしょう?そこは大きなチャンスだったけど‥‥。』
さあ、思い出してごらんなさい、そんな視線を受けて思い返す・・・までもなく心当たりなし。首をかしげるしかない。
『大丈夫、さり気なくいいことはあるから。あとは運と実力次第ね。これだと思ったら自分でつかみ取らないとね。』
二年前のビッグチャンスも気が付かなかった私なのに、さりげないものをつかめると思う?
でもそれでも何かあるのなら、それにしがみついてみてもいいって思えてきた。
何もない数年を過ごすのなら、一人でも多くの人と出会いたい。
そう思ってうなずいた、力強くうなずいた。
私の目に強い意志が表れていたのかもしれない。納得してもらえた、伝えることは伝えられた、そう占いの人が満足したように終わり時間だと言われた。
「それじゃあこれをお守りに、財布に入れててください。」
地蔵のカードをもらった。
本当にアニメでもイラストでもない、石の地蔵、本物の写真を少し加工したもの。
綺麗なツルツルの石だから、どこかに所蔵されたものだろうか?
ご利益があると、心から信じたい。
「心を丸く、あんまりトゲトゲしないように、ゆるりとした気持ちで過ごせますように。」
合掌で終わった。
もしかしてこれはご利益よりも、欠点矯正のストッパーにもなるようなもの?
イライラしたら癒されて、優しく穏やかに微笑めるように・・・。
相談者みんながもらってると思いたい。
合掌で終わるスタイルの人なんだと思いたい。
何故分かりやすい恋愛の神様じゃないのか、深くは考えまい。
地蔵菩薩信仰の人なんだと思いたい。
お礼を言って、お金を払い席を離れた。
二年前のチャンス、見逃したらしいチャンス。
あった?いた?だれ?どこに?
本当に目の前を高速のスピードで通り過ぎたでしょう?
全く気が付かなかった。それは悔しい。
でも、ここ何度目かにして、初めてチャンスがあったんだと言われた。
自分にも人並みに可能性があったことが分かった。
それは過去だったけど、今更どうにもできないけど、何かが私にもあったのだと。
これからだって小さな楽しみはあるらしい。
大切なのはこれからの未来のこと、本当にしっかり両目を開けて見逃さないようにしたい!
さりげないことも掴み取りたい。
貪欲に、漏らすことなく掬い上げ掴み取りたい。
獲物に喰らいつくくらいの野生の本能を奮い起こしたいくらいだけど、心も顔もまるまると優しく穏やかに。
きっとそう諭したかったんだろう。
こうなったら菩薩でもマリア様でも、目指してやる!
そうは思っても、ほら、笑って許せる範囲とか、やっぱりあるじゃない。
特に仕事じゃ、ちゃんとするところはちゃんとして欲しい。
ダメなものはダメ。
本当に、これはちょっとね、もう何度も繰り返してるなら、なおのことね。
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