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2 水鳥~そして九時間後の朝、そのちょっと前。

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ふかふかのベッドは寝心地がよくて、いい気分で目が覚めたと思う、よっく寝た~、いつもよりそんな気分で体を伸ばして目を開けた。


あれ?


確かに寝心地よかったベッドはいつもの自分の部屋のものじゃなくて。
広くて、ものすごく広くて。
だって確実に三人の大人が眠れたくらいだったし。
二人の女性と男性一人が寝ても余裕だった。

本当にこんなに広いんだ・・・・・・評判通り。


隣は深くは知らない女性で、その隣は誰よりよく知る男性。


記憶を再現して、ちょっとだけ反省したけど、しょうがない。
皆が無事に朝を迎えてしまった、何事もなく。


こっそりとベッドを抜け出して、先にシャワーを浴びることにした。

バスタオルは4枚あったのだろう、三枚が使われている。
几帳面なお兄ちゃんがきちんと開いてくれてたらしく何とか乾いてる。
どれを使うかは迷ったけど、もう一枚の未使用をもう一人の女性に使ってもらうとして、私は適当に一枚とって熱いシャワーを浴びた。


スッキリ目が覚めて、携帯を見ると未読メッセージがたくさんあった。


『美味しかったね。』

『美味しかったね、でも見事にそれだけだったね。』

『一人でも盛り上げる陽気な人がいたら違っただろうけどね。さすがに水鳥も無力だったね。』

『水鳥も頑張ってたけど、ちょっと反応が薄くてね。』


『でも美味しかったし、まあまあお金も出してくれたし、いいか。』

『まあね。』

『水鳥は?』

『遅くなったから帰るのが面倒だって言ってたけど。』

『もしかして?』

『何?』

『一人だけ、どうかなった?』

『誰と?』

終わった後、すっかり私以外のメンバーで盛り上がったらしい。
ちょっと待ってよ、残念ながらそんなオンリーワンじゃないよ。

『おはよう。期待に沿うような展開は全くなしだよ。誰よりも飲んでたじゃない、途中で諦めたんだから。』


まだ誰も起きてないみたいで、反応はない。

まあ、いい。


それにしても静かな部屋だ。

ぐっすり寝てる二人の寝息もいびきもなく。

それにしても、間に人がいたとしても、同じベッドで寝るなんて小さい頃以来じゃない?
良かったね、いびきもないタイプで。
これでうるさかったら、がっかりされるところだよ。

せっかくのチャンスをつぶした私が言うことじゃないけどね。


昨日は本当に美味しく飲んで食べた。
目の前には知り合いの男子がいた。
誘ってきたその子がさっさと酔っぱらって、しかも残りがなぜか一様に大人しく。

誘われた私はメンバーを集めた責任感もあって頑張って盛り上げようとしたのに、話にならない幹事の相棒の分も頑張ったのに。
ほんとうに話が弾まないし、笑いは薄いし。

結局さっさと食事とお酒を楽しんで、女子で盛り上がることにした。
誰も責めてなかったけど、本当はがっかりしてたよね。

こっちだって彼氏無しを集めたんだから。


やけになって飲み過ぎて、いい具合に酔っぱらったら家まで帰るもの面倒だなあって思えて。そんな時人混みの中に見慣れた姿を見つけた。偶然って素敵。頑張った私へのご褒美でしょう?

丁度いいじゃん、ちょっとお世話になろう!!


みんなと別れて、一人そっちに歩き出した。


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