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13 こっそりと競い合いたい、兄とのひそやかな勝負
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足取り軽く帰って来た。ご飯はいらないと言っていたから・・・・。
どうだったんだろう?
自分の部屋に入った後もノックは響かず。
自分から聞くのもどうかと思ってそのまま部屋にいた。
結局その日、うれしい報告はなく、ただ男友達と飲んだだけだったのかな?と思ってた。
次の日は休みでのんびり起きだした。
太郎がいなくて、テーブルにはいつもあげないパウチの美味しそうなおやつがあった。
「お母さん、これ何?」
「お兄ちゃんが太郎に買って来たからって、散歩から帰ったらあげるみたいよ。」
朝早くから太郎とデートだとするとやっぱり・・・・。
でも、これはなに?明らかに特別感のある物。
頭ゴチゴチのお詫びか、浮かれて気が大きくなったか・・・・。
両方だといいけど。
「椎名、お昼は何食べる?お兄ちゃんもお父さんもお出かけだから、今日は外に行く?」
「うん。たまにはお母さんも楽していいよ。」
「まあね。」
しばらくして帰って来たお兄ちゃんは最高にご機嫌だった、怖いくらい。
太郎の足を洗った後、『待て!』と例のパウチを見せながらご機嫌に戯れていた。
今日の外出が何やら楽しいのかもしれない。
そう思ってあげよう。
詳しくは報告があるまで聞かないであげよう。
バレバレだけど気がつかないふりをしてあげよう。
夕方遅く帰って来た足取りも本当に軽かった。
さすがに我慢できなくなったらしく、ノックの後部屋に入って来た。
「今日、阿里ちゃんとデートみたいに会ってた。」
「そう。『みたい』がつくの?」
「うん、そこは、まだ、そういうことで。」
「でも取りあえず一歩前進?」
「うん。そうだな。」
嬉しそうにそう言ってあっさりと出て行った。
中身は語るほどもないらしい。
ご飯+ちょっと、くらいだったのだろう。
明日も天気はいいらしい。
私も予定があるのだ!
ずっとずっと他愛ない連絡を取り合っていた木佐貫君と初めて会う。
お昼ご飯を一緒に食べることになった。
お母さんにはちゃんと『友達』に会うって言ってる。
自分達の駅は離れようとちょっとだけ電車で移動して。
そう言ってたら大きな公園のイベントに行くことになった。
楽しいだろうか?
ずっと座って話すより、歩いて話をした方が楽なこともある。
屋台でご飯を食べたり、フリーマーケットを見たり、コンサートがあったりもするらしい。
『行きたかったの?』
『うん、友達誘おうかなって思ってた。』
『そうなんだ。じゃあ、誘えたね。いいよ。楽しもう!』
時間を決めて、明日。
ずっと文字だけでお互い声を聞いてない。
最初の日の声なんてほとんどよくわからなかったし。
声だけでもちょっとイメージが変わることもある。
思ったより低いんだ、とか、いい声だなとか、喋り方が落ち着かなかったり。
本当に人との相性って五感で感じて決まるかも。
なんて思ってた。
あ、味わいはしないから、だから四つ、その中でも目と耳。
見た感じと声や話し方が全然会わなくても変だし、声だけがよくてもね。
なんだかそんな事も楽しみになって、でも自分もどう思われるだろうなんて思ったりして。
だけど、私だってやっぱり楽しみ。
そんな事を考えてて、実際に待ち合わせ場所でお互いに会って、ちょっとお互い見つめ合った。
写真を見ていたから、そう違和感はない。
じゃあ、私はどうなんだろう?
「改めて、初めまして。郷里椎名です。」
「木佐貫 潤です。ずっと、付き合ってくれてありがとう。突然で変な感じだったのに、その、ありがとう。」
「うん。あれは驚いた。でも、私はイメージとは違うかもよ。もっと大人しいと思ったとか、意外に雑な性格だねとか、そう言われても私は責任もてないよ。」
「もちろん、そんなギャップがあったら驚いて楽しむようにしたい。」
「ギャップどころじゃなくてビックリしたりしてね。」
「それは僕だって。」
「だって私はもともと知らないから。そうなんだあって思うだけだよ。」
「それでもガッカリされないようにしたいけど。」
「じゃあ、いいかな?あんまりお互いに期待しないで、行こう!」
そう言って腕をつかんで歩き出した。
思ったより大きなイベントらしくて、駅から会場まで人が動いてるし、幟があったから分かりやすい。
「何か食べたいものある?」
「色々食べたい。」
「そうだね。せっかくだもんね。」
ご機嫌なお兄ちゃんからお小遣いをもらった。
『友達とイベントに行くからお昼ご飯代欲しいなあ。』
そう言ったら五千円くれた。
ラッキー。
ちゃんとお母さんに伝えてお母さんからは特別にはもらってない。
ダラダラと食べながら話をして、歩いて、喉が乾いて、飲み物飲みながらダラっと話をして、帰ってきた。
最初の瞬間だけちょっと緊張したけど、何だかそれも続かない感じで、文字で話してた時と違和感なくて、本当にずっと友達だったみたいに自然だったと思う。
まぁそれでいいんだろうけど、ちょっとくらいドキドキ体験したかったりして。
「椎名、ぼんやりしてどうした?」
お兄ちゃんに言われるなんて、なんか虚しい。
「何か悩みごとか?」
別に。
「お腹いっぱいなだけ。あんまり太郎に美味しいおやつあげてると贅沢になるからね。」
「分かってる、ちょっとお詫び。」
ニコニコと嬉しそうな顔を見てるとまぁいいかって思えてきた。
太郎もニコニコして嬉しそう。美味しいらしい。
特別だからね、味わうんだよ。
あ~あ、比べてもしょうがない。
一応いい年だし、大人だし。
私たちは高校生だし。
太郎がおとなしくお座りをして笑ってる。
最近素っ気ないと言っていたけど、どうやら手元のおやつにつられて、仲直りしたらしい。
お兄ちゃんの小さな一歩の喜びくらい太郎に還元してあげよう。頭ゴチゴチのお詫びだ。
私はもっと大きなハッピーの後に相談料の請求書を回してやる。
『阿里ちゃん』と呼んでもいいという許可で、大人のテンションをあそこまで上げれる阿里さんに会ってみたい。
私は最初から椎名ちゃんと呼ばれてたから、どこのポイントで喜ぶべきだろう?
今日も割り勘で、お互いに分けあって奢られた感もない。
友達との食事、学校は違うけど普通の同じ年の二人。
そんな感じ。
部屋に戻り携帯を見た。
友達からのメッセージに混じって潤君からのものもあった。
『すごく楽しかったです。ちょっと緊張して、なんだか記憶が曖昧。変じゃなかったらいいけど、また遊びに行けたら嬉しいです。』
『こちらこそ、楽しかったし、美味しかったね。あと安心していいよ、変じゃなかったよ。また誘ってください、待ってます。』
最後の一言を何度も悩んだけど、思い切ってそのまま送った。
すぐに読んでくれたみたいだ。
『本当に誘っていいのかな。たくさん会いたい、ちょっとだけ食事するだけでもいいし、コーヒー飲みながらおしゃべりだけでも、何でもいい。僕は毎週でも会いたい。』
『本当に、邪魔じゃなければ。どうかな?』
すぐに返事が届いて、思いっきり本当の気持ちなんだろうと嬉しくなる。
『用事がなければ、大丈夫だよ。ちょっとだけ、今後は太郎の散歩係が増えそうなんだ。だけど昼間は大丈夫だから。』
『じゃあ、来週末も・・・・いい?映画も一緒に見たいし、遊園地とかにも行きたい。ぶらぶらとお店見てもいいし、本当に太郎君の散歩に付き合ってもいい。何でもいい。少しの時間でも大切にしたい、隣にいたい。』
おお~、なかなか凄い。
隠さないタイプなんだ。
だからラブレター?
だから学校名とクラスと出席番号まで書いてくれて。
こんな事言われる私もかなりなものじゃない?
とりあえず私も『変』じゃなかったらしい。
『今のところ大丈夫。もう少し何をするか考えていい?週末までにお互いに考えとこう。』
『すごくうれしい。ありがとう。』
携帯を持ったままニンマリと笑う。
うれしい反応がいい!
本当に信じられる感じ。ああ、なんてストレートでわかりやすいんだろう。
ドキドキはないかもしれないけど、安心する感じ・・・・でいいのかなあ?まあいいか。
一緒に太郎の散歩もしてくれるなら、ゆっくり歩きながら、話しもできる。
絶対阿里さんより先に太郎に潤君を紹介してやる。
そう言えば、お兄ちゃんは何て呼ばれてるんだろう?
『文土さん』って呼ばれてる?
きっとしばらくは『郷里さん』だと思う。
会社でもいきなり『文土さん』とか呼んだら変だしね。
へへっ、そこも負けてない。
・・・・・それが必要な勝負かどうかは分からないけどね。
どうだったんだろう?
自分の部屋に入った後もノックは響かず。
自分から聞くのもどうかと思ってそのまま部屋にいた。
結局その日、うれしい報告はなく、ただ男友達と飲んだだけだったのかな?と思ってた。
次の日は休みでのんびり起きだした。
太郎がいなくて、テーブルにはいつもあげないパウチの美味しそうなおやつがあった。
「お母さん、これ何?」
「お兄ちゃんが太郎に買って来たからって、散歩から帰ったらあげるみたいよ。」
朝早くから太郎とデートだとするとやっぱり・・・・。
でも、これはなに?明らかに特別感のある物。
頭ゴチゴチのお詫びか、浮かれて気が大きくなったか・・・・。
両方だといいけど。
「椎名、お昼は何食べる?お兄ちゃんもお父さんもお出かけだから、今日は外に行く?」
「うん。たまにはお母さんも楽していいよ。」
「まあね。」
しばらくして帰って来たお兄ちゃんは最高にご機嫌だった、怖いくらい。
太郎の足を洗った後、『待て!』と例のパウチを見せながらご機嫌に戯れていた。
今日の外出が何やら楽しいのかもしれない。
そう思ってあげよう。
詳しくは報告があるまで聞かないであげよう。
バレバレだけど気がつかないふりをしてあげよう。
夕方遅く帰って来た足取りも本当に軽かった。
さすがに我慢できなくなったらしく、ノックの後部屋に入って来た。
「今日、阿里ちゃんとデートみたいに会ってた。」
「そう。『みたい』がつくの?」
「うん、そこは、まだ、そういうことで。」
「でも取りあえず一歩前進?」
「うん。そうだな。」
嬉しそうにそう言ってあっさりと出て行った。
中身は語るほどもないらしい。
ご飯+ちょっと、くらいだったのだろう。
明日も天気はいいらしい。
私も予定があるのだ!
ずっとずっと他愛ない連絡を取り合っていた木佐貫君と初めて会う。
お昼ご飯を一緒に食べることになった。
お母さんにはちゃんと『友達』に会うって言ってる。
自分達の駅は離れようとちょっとだけ電車で移動して。
そう言ってたら大きな公園のイベントに行くことになった。
楽しいだろうか?
ずっと座って話すより、歩いて話をした方が楽なこともある。
屋台でご飯を食べたり、フリーマーケットを見たり、コンサートがあったりもするらしい。
『行きたかったの?』
『うん、友達誘おうかなって思ってた。』
『そうなんだ。じゃあ、誘えたね。いいよ。楽しもう!』
時間を決めて、明日。
ずっと文字だけでお互い声を聞いてない。
最初の日の声なんてほとんどよくわからなかったし。
声だけでもちょっとイメージが変わることもある。
思ったより低いんだ、とか、いい声だなとか、喋り方が落ち着かなかったり。
本当に人との相性って五感で感じて決まるかも。
なんて思ってた。
あ、味わいはしないから、だから四つ、その中でも目と耳。
見た感じと声や話し方が全然会わなくても変だし、声だけがよくてもね。
なんだかそんな事も楽しみになって、でも自分もどう思われるだろうなんて思ったりして。
だけど、私だってやっぱり楽しみ。
そんな事を考えてて、実際に待ち合わせ場所でお互いに会って、ちょっとお互い見つめ合った。
写真を見ていたから、そう違和感はない。
じゃあ、私はどうなんだろう?
「改めて、初めまして。郷里椎名です。」
「木佐貫 潤です。ずっと、付き合ってくれてありがとう。突然で変な感じだったのに、その、ありがとう。」
「うん。あれは驚いた。でも、私はイメージとは違うかもよ。もっと大人しいと思ったとか、意外に雑な性格だねとか、そう言われても私は責任もてないよ。」
「もちろん、そんなギャップがあったら驚いて楽しむようにしたい。」
「ギャップどころじゃなくてビックリしたりしてね。」
「それは僕だって。」
「だって私はもともと知らないから。そうなんだあって思うだけだよ。」
「それでもガッカリされないようにしたいけど。」
「じゃあ、いいかな?あんまりお互いに期待しないで、行こう!」
そう言って腕をつかんで歩き出した。
思ったより大きなイベントらしくて、駅から会場まで人が動いてるし、幟があったから分かりやすい。
「何か食べたいものある?」
「色々食べたい。」
「そうだね。せっかくだもんね。」
ご機嫌なお兄ちゃんからお小遣いをもらった。
『友達とイベントに行くからお昼ご飯代欲しいなあ。』
そう言ったら五千円くれた。
ラッキー。
ちゃんとお母さんに伝えてお母さんからは特別にはもらってない。
ダラダラと食べながら話をして、歩いて、喉が乾いて、飲み物飲みながらダラっと話をして、帰ってきた。
最初の瞬間だけちょっと緊張したけど、何だかそれも続かない感じで、文字で話してた時と違和感なくて、本当にずっと友達だったみたいに自然だったと思う。
まぁそれでいいんだろうけど、ちょっとくらいドキドキ体験したかったりして。
「椎名、ぼんやりしてどうした?」
お兄ちゃんに言われるなんて、なんか虚しい。
「何か悩みごとか?」
別に。
「お腹いっぱいなだけ。あんまり太郎に美味しいおやつあげてると贅沢になるからね。」
「分かってる、ちょっとお詫び。」
ニコニコと嬉しそうな顔を見てるとまぁいいかって思えてきた。
太郎もニコニコして嬉しそう。美味しいらしい。
特別だからね、味わうんだよ。
あ~あ、比べてもしょうがない。
一応いい年だし、大人だし。
私たちは高校生だし。
太郎がおとなしくお座りをして笑ってる。
最近素っ気ないと言っていたけど、どうやら手元のおやつにつられて、仲直りしたらしい。
お兄ちゃんの小さな一歩の喜びくらい太郎に還元してあげよう。頭ゴチゴチのお詫びだ。
私はもっと大きなハッピーの後に相談料の請求書を回してやる。
『阿里ちゃん』と呼んでもいいという許可で、大人のテンションをあそこまで上げれる阿里さんに会ってみたい。
私は最初から椎名ちゃんと呼ばれてたから、どこのポイントで喜ぶべきだろう?
今日も割り勘で、お互いに分けあって奢られた感もない。
友達との食事、学校は違うけど普通の同じ年の二人。
そんな感じ。
部屋に戻り携帯を見た。
友達からのメッセージに混じって潤君からのものもあった。
『すごく楽しかったです。ちょっと緊張して、なんだか記憶が曖昧。変じゃなかったらいいけど、また遊びに行けたら嬉しいです。』
『こちらこそ、楽しかったし、美味しかったね。あと安心していいよ、変じゃなかったよ。また誘ってください、待ってます。』
最後の一言を何度も悩んだけど、思い切ってそのまま送った。
すぐに読んでくれたみたいだ。
『本当に誘っていいのかな。たくさん会いたい、ちょっとだけ食事するだけでもいいし、コーヒー飲みながらおしゃべりだけでも、何でもいい。僕は毎週でも会いたい。』
『本当に、邪魔じゃなければ。どうかな?』
すぐに返事が届いて、思いっきり本当の気持ちなんだろうと嬉しくなる。
『用事がなければ、大丈夫だよ。ちょっとだけ、今後は太郎の散歩係が増えそうなんだ。だけど昼間は大丈夫だから。』
『じゃあ、来週末も・・・・いい?映画も一緒に見たいし、遊園地とかにも行きたい。ぶらぶらとお店見てもいいし、本当に太郎君の散歩に付き合ってもいい。何でもいい。少しの時間でも大切にしたい、隣にいたい。』
おお~、なかなか凄い。
隠さないタイプなんだ。
だからラブレター?
だから学校名とクラスと出席番号まで書いてくれて。
こんな事言われる私もかなりなものじゃない?
とりあえず私も『変』じゃなかったらしい。
『今のところ大丈夫。もう少し何をするか考えていい?週末までにお互いに考えとこう。』
『すごくうれしい。ありがとう。』
携帯を持ったままニンマリと笑う。
うれしい反応がいい!
本当に信じられる感じ。ああ、なんてストレートでわかりやすいんだろう。
ドキドキはないかもしれないけど、安心する感じ・・・・でいいのかなあ?まあいいか。
一緒に太郎の散歩もしてくれるなら、ゆっくり歩きながら、話しもできる。
絶対阿里さんより先に太郎に潤君を紹介してやる。
そう言えば、お兄ちゃんは何て呼ばれてるんだろう?
『文土さん』って呼ばれてる?
きっとしばらくは『郷里さん』だと思う。
会社でもいきなり『文土さん』とか呼んだら変だしね。
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