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19 森の中の出会いの続き。

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次に目が覚めた時、広いベッドに一人で寝ていた。

起き上がりパジャマを軽く羽織った。
下着はポケットの中に突っ込んだ。
シャワーが浴びたい。



「すみません、遅くなりました。」


リビングでパソコンを抱えてる専務にそう言った。

「シャワー使って、ゆっくりでいいよ。」


「はい、お借りします。」


顔も洗ってスッキリとする。

顔がぐちゃぐちゃだっただろう。
鏡に映る自分を見つめる。

とりあえず最後に思い出だしたことは覚えてる。
なんと言って謝ればいいのか、正直に伝えるしかない。
優しさに甘えてしまったと正直に伝えよう。


ずいぶん時間をかけたのかもしれない。
扉がノックされて声がした。

「何か足りないものないか?」


「大丈夫です。」

そう言ったら扉が開いた。


入ってきた専務。

「なんて顔をしてる・・・・元気になるような食事に行こう。」


「はい。」


化粧をしないといけない。
バッグの中に必要なものはある。
それに着替えもまだだ。


「着替えます、化粧もします。」


「まだいい、そんなに急がなくてもいいだろう。」


カフェオレをいれてきてくれたらしい。

それに口をつける。飲み頃だった、やっぱり待たせたらしい。



「本当にいろんな意味で油断ができない。何を考えてる?」


「いろいろとぐちゃぐちゃと。」


「シンプルでいい。俺は香月が好きだ。仕事以外の時は名前で呼んでくれ。」



「志波さん。」


「できたら大地がいいけど。外では志波さんで、プライベートでは大地で。」


「だから、そんなに器用に三種類も使い分けられません。」

二種類でも無理なのに、そう言ったのに増えてるじゃない。

「じゃあ、志波さんでいい。とりあえず二択でいい。」


「はい。」



「あと・・・・週末の男とは会わないよな?」


「はい。」


しばらくして着替えをして化粧をした。
パジャマのお礼を言って食事に出かけた。


「広い部屋です。一人になると寂しくなってたんじゃないですか?」


「お前がいない今日の夜に寂しくて泣いてる俺の顔でも想像したのか?」


「今日じゃなくて、今までです。もっと長い時間繰り返し一緒にいた人がいなくなったら寂しかったんじゃないですかと聞いたんです。」


「別に誰も一緒にいない、あの部屋は俺の部屋だし。」


「所有の問題じゃないです、存在感の問題です。」


「だから誰もいない。来てない、入れてない、泊まってない。」


そんなことないだろうに。
毎回彼女の部屋に行ってたの
それも想像つかない。
ぜったい自分のテリトリーに引き込んで調理と実食のパターンだろう。


「ソファもすごくいいものですか?」

「そこは長く使うから、自分の気に入ったものを買った。いいだろう、いつでも貸してやるぞ。」

じゃあ会社に持ってきてほしい。
午後の休憩を、一人の時間を。
そうなったら昼寝付きになりそうだけど。

「喜んでくれてもいいだろう。いつでも来いとありがたい入場券を送ったんだぞ。」

「もし必要があったら取り出して眺めます。」


「失くすなよ。」


答えない。

お腹が空いていて、昨日もあんなに食べたのに。
それでもさすがに普通のお店だった。
たくさんの人に交じり合い食べる、いつもとは違ったにぎやかなお店だった。


「初めて普通のお店に入りました。いつも高いお店に行ってると思ってました。」

「そんな奴いるか?」

「さあ?」

「今まではちゃんと話がしたいから静かな場所に連れて行ってたんだから。」


「そう言うわりには話は続かなかった気がします。」

どれだけ気まずかったか。気がついてなかったの?

「珍しく笑顔で美味しそうに食べてるんだから、それを見てたんだよ。」


・・・・そんな事はないだろうが・・・なんて言い返したいのに勝手に顔が赤くなりそう。


俯いたら目に入る私服もやっぱりそれなりだと思う。
ベルトがいい奴なのは見て分かった。
あとはよく分からない。
少ない物でもこだわりを持って揃えるタイプなのかもしれない。

「いつも使ってるボールペンは特別な贈り物ですか?」

「ああ。大学を卒業した時にお祝いにもらったんだよ。大人にみられた気がしてうれしかったし、今では滅多に字も書くことがないけど大切に使ってるんだよ。」


「大切にしてるのは分かります。」


「もらったもので、そんなものはないか?」

考える。ある?

「ない気がします。思い浮かびません。」

「そうか。」

長く使うものを買ってもらうとか、買うとか、そんな事より流行りの物に飛びついてしまう方だから。改めて思っても何もない。


食事を終わりにしてお店を出た。
たまには自分が払いたい気もするのに。

「いい、若い恋人に奢るくらいの見栄は張りたい。」

うれしい事を普通に言う。
そんなに軽口がでるくらいなら最初から出し惜しみしないでほしかった。
最高にうれしいのにひねくれた気持ちでそう思った。


本当に素直じゃない私もどうかと思う。
ふらふらと横を歩いていた。

「この間のお菓子、お兄さん夫婦は喜んでくれましたか?」

「ああ。家族で食べてる写真が来たからな。」

それはうれしいだろう。

「いつもは郵送してるんだけど、今年はお前の分を買うついでに買ってみたんだ。荷物にはなったと思うが、父親のお土産は子供たちも喜ぶだろうしな。」


「逆じゃないですか。私の方がついでです。それでもすごく美味しかったです。ゆっくり味わって三日かけて美味しくいただきました。ありがとうございました。」

「やっぱりお前の笑顔を見るには食べ物が一番だよな。」

「それな単純な扱いですか?」

「どうだろう?」

だって自分じゃ買うこともない高そうなものだったし、本当に美味しかったし。


電車に乗らずにお昼に行ったから、ふらふらと歩くとまたマンションに着いた。
あとをついて入る。

駅に向かえばよかったのだろうか?
何も言われない。
戻ってくるつもりはなかったのに。

「またお邪魔していいんですか?」

「エレベーターの中で聞くことか?これに乗ってどこに行く?」

それはそうだけど。

「連れてきたんだからいいに決まってる。」

そう続けた言葉はだいぶん小さかった。
もっと大きな声で伝えてください!


我慢できなくて部屋について入るなり言った。


「もっとわかりやすくお願いしたいです。『また部屋に来い。』でもいいですから。」

「そこに疑問を持つとは思わないだろう。」

「分かりにくいんです。ちゃんと伝えてくださいってことです。」

「分かってると思ったんだよ。お前こそどこに行くんですかって聞いてもいいよな。分かってないとちゃんと伝えてほしいくらいだ。しかもエレベーターに乗ったら隠しててもわかるだろう。」


「レストランを出たところで、『部屋に戻ろう。』って言ってくれても良かったです。」


「そう言ったらどう言った?」

「『はい。』って返事しましたよ。」

「『何をするんですか?』とか聞くんじゃないか?」

「そんなにひねくれたことは聞きません。」

今ならそう言える。数日前だったら全力で聞いてたかも。


「一緒にいる時間はまだまだあるだろう。だから一緒にいるだけだ。一番楽なのがこの部屋だしな。風呂もベッドもソファもある、声を出してもいい、お水もタオルもある。いいだろう。」


そう言って近寄ってきた顎を手の平で押し返した。


「素直じゃないなあ。」


「来週はデートするか。どこか行きたいところがあれば車も出せる。」

普通の提案に喜んだ。
ちょっと遠くに行ったら目撃されることもないだろう。
いつバレるだろうとびくびくするのも嫌だ。
この場所は会社からも近い。
逆に住んでる人はいないかもしれないけど、いたら困る。


「部屋がいいなら部屋でいい。」

「出かけたいです。連れてってください。」

「どこに?」

「遠くに。」


そう言ったら爆笑された。

「夜逃げか逃避行か、不倫カップルかロミオとジュリエットのような二人か。」

「夜逃げはないですよね。何でですか。」

「他のはあるのか?」

「まさかです。遠出です。ちょっと間違えたんです。」

「どこでもいいか?」

「はい、ドライブに付き合う感じでいいです。」


「トイレのない山の中とか、心霊現象のおこるトンネルとかでもいいのか?」


「普通のデートで行くような場所でお願いします。」

「考えておく。急に仕事にならなければ行こう。」

「やっぱり週末仕事が入ることもあるんですか?」

「それはあるだろう。付き合いなんていう面倒な仕事があるんだよ、特別に出勤をお願いするかもしれないからな。」


「嫌です。」

「会社のお金で美味しものが食べれるぞ。」

「誰かほかの人がいるならいいです、遠慮します。」

「じゃあ、食事は二人で、付き合いは1時間で終わりにする。」

それはそそられる、けどその辺はちゃんとするだろう。


「いいです。不要な同行はいいです。」

「まあな。おじさんとのゴルフとか、立食パーティーとか、うんざりするようなことだからな。」


やっぱりそこは立場というものだった。
少しだけまた現実を見た気がした。

「前の優しい彼からのプレゼントとか、残ってないのか?」

「大学の頃なんて、貧乏です。ちょっとだけ豪華にご飯を食べたら後は予算は少しです。ずっと使い続けるような高価なものはもらってないんです。」

貧乏以外に悲しい事実があったりして。
確かにバイトを頑張ってでも高価なプレゼントをしてくる彼氏は世の中にいるだろう。
そこまで張りこんではもらえてない。
私があげたものもそんな感じだ。
もう持ってないだろう。

目の前の人はもっと女性が遠慮なく欲しいと言ったものをあげたんだろうか?
食事も今までのようなところで、そのままその建物の部屋に二人で入って・・・・。


「なんだ?また変な顔をしてるな。」

失礼な言い草だ。

「これが地の顔です。」

「それで何を考えた?よくよくグルグルと考えるやつだな。」


「別に何でもないです。」

そう言ってふんわりとソファに沈んだ。

恋愛は上手くいかなくてもドキドキして、不安になったり、うれしくなったり。
そう思ってたのに、上手くいっても不安にしかならないなんて。

隣に重さがかかると重い方が沈んで、結果ゆっくり体が斜めになる。

おでこにキスをされた。
目を閉じてるからどこでも選べるのに、なぜかおでこだった。

ゆっくり目を開けた。

優しい目と視線が合った。

誰を見てるの?

もう一度目を閉じてゆっくり開けた、やっぱり目が合う。


「副社長は・・・・・。」


「何?兄さんがどうした?」


「副社長は専務の事を何て呼んでるんですか?」

「まさか名前以外ある?『大ちゃん』とか呼ばれてるのを聞いて爆笑したいのか?」

『大地』と呼ばれてるらしい・・・当たり前だ。
別にそれを聞きたかったわけじゃない。

つい何歳で結婚したのかと聞きたかった。
多分今の専務とそう変わらない年の頃に奥様と出会ってるんだろう。
二年後辺りに結婚したらいい感じに子供二人の出来上がりだから。

優良なハンターも森をさ迷い歩くより、高級な別荘のような檻の中から美しい羽根を持つ鳥を呼ぶんじゃないの?口笛ひとつで飛んできて、可愛がって・・・・。
野良犬もどきの捨て犬にかまってる時間はあと少し。


美しい鳥の目は丸い。黒いかもしれない、でも、もしかしたら見たことのない綺麗な色なのかもしれない。
どんな色の羽の鳥がいいんだろう。
調理と実食なんてしなくても、自分の気に入った場所で自由にはばたかせて、それをうれしそうに見てて。

ここに住むんだろうか?


私の駅からは離れてる。
会社を挟んでも反対方向だし、食事や買い物に来る駅でもない。

じゃあ、いい。


「酒なしでも泣けるんだ。今ここで二人でいるのに、泣くタイミングか?」

「泣いてないですよ。」

涙は出てない、見える専務の顔もぼんやりともしてない。


「泣きそうな顔だったけど。だいたいはっきり言えなんて俺には言うくせに、お前こそ分からない。何を考えてる?」

「何も考えてないですよ。ただただ高いソファは本当に気持ちよく沈むなあ~、これがあの部屋にあったら一人留守番の時に昼寝も出来そうだなあって思っただけです。」

「俺の管理能力が問われるからそれは止めてくれ。お菓子くらいなら許す。」

ぼんやり見た。
上手く騙せたらしい。
でも本当に思った事だから。

「そういえば一向におやつの誘いがないんだが、一人で食べてるだけだな。」


「そう言うなら専務だってお土産に美味しいおやつを買って来てくれたら誘われますよ。いつでもどうぞ。」

「分かった。」

「冗談です!」

訂正した。そんな二人は変だし、この間のついで買いとは違うから。

「たまにはいいじゃないか。外に出るたびに期待してベロを出して待たれても困るが、買ってくる時はそう言うから。」

「・・・・専務が食べたいのなら・・・・。」

何とかそう言ってみた。笑われた。


その笑顔は最高に優しそうだった。
何度もそう思ったのに、最高は何度もあるらしい。


「いい会社だって・・・・褒めてくれたんだよな。」

どアップで聞かれた。
何?言った?多分言ったんだろう。

「はい、そう思ってます。」

嫌なことは今のところ全くない・・・それに・・・・。

「おまけにいい上司だろう?」

それを言いたかったらしいけど、私もそう思ってた。

「はい。」

素直にうなずいた。
少し赤い顔をしてることは言わないであげた。
多分お前もなって言われるだろうけどね。



遅くなる前に専務の部屋を出た。

駅まで送ってもらって一人で電車に乗って帰った。
でも一人の部屋にそのまま戻るのが寂しくて、途中駅の乗り換えの時に空いてるコーヒー屋さんの席に落ち着いた。

携帯を出してみたら優樹菜さんから連絡が来てた。
林森さんの携帯から送って来てくれたみたい。
そして全部筒抜けだと分かった。
確かに逆もあるだろう、今までと方向が違うだけ。
それに仕組んだのは林森さんでも、大人しく部屋で連絡を待ってたらしい専務。
結果をお知らせする義理堅い、友情深い二人だった。

会社の中で広めることはしないだろうからいい。
友達にも言えないから、何か相談があったら愚痴がたまったら、また林森さんに聞いてもらおう。できたら優樹菜さんみたいに笑って言えますように、そう願いたい。

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