紹介し忘れましたが、これが兄です。

羽月☆

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12 甘えてるつもりでしたが

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結局春日さんとしか呼べずに後で叱られた。
言いにくい。だって家族でもテツって呼んでるんだから。

じゃあって『イチでいい。』そう言われた。
イチさん? おかしくない?

「『イチ。』 なんだか犬みたい。」

そう言って笑った。

「犬みたいでもいい。奈央はそう呼んで。」

「ねえ、今までの彼女は?何て呼んでたの?」

「春日さん。」

「それは最初でしょう。普通そうでしょう。その後は?」

「ずっと春日さん。」

視線をそらされた。嘘?

「イチって呼ばれてたんだ。」

悔しいからイッテツにしようかと思う。それもあったかな?

「いいの、僕はそんなに長続きしてないから。すぐに振られて。・・・面白くないって。」

珍しく体を丸めて胸に頭を寄せてくる。

面白くない?
例えば真面目とか?無反応とか?
よくわからない。
面白さを求める?それは楽しい方がいいけど。

なんだろう?

「優しいのがいいって言いながら優しいだけじゃつまらないなんて、ほんと身勝手なんだから。」

なるほど、そう言うことか。でもそう?
つい春日さんの頭を撫でながら考えていた。

胸の谷間をなめられて、キスをされる。
鼻で器用に胸をゆする。先端をくわえて遊びだして音を立てる。
頭を抱えてゆっくりまた濡れていく。

一晩に何度も愛し合って、かなり強引で激しいところも見えて。
意地悪に何度も中断されては、言葉で何度何度も言わされてお願いもした。
こんな愛し合い方をする人なんだって思った。
優しいだけじゃないじゃない。

最後の最後につけてないでやったのは初めてだって言われた。
すごく気持ちいいと。

疲れた。体がとにかくつらい。
喉も。
ぐったりとベッドの中で横になって抱き合う。
今度こそランチ・・・・・って思ったのに、すっかりお昼は過ぎていて。
お腹空いた。
シーツもなんだか湿って重たい空気を含んでる。

掃除と洗濯と・・・・予定が・・・・いい天気なのに。


少し明るくなった部屋でベッドにいる二人。
眠ってる春日さんの顔が大分見える。
よく考えたら隣に妹がいるんだから、ここでこうすることは二度とないのでは?

じゃあ、・・・・どうするの?

優しい慰めの言葉を信じたいと思った。
ズルいのも計算高いのも、何もかも普通だって。
今は鉄コンに誘ってくれた美幸に感謝するばかり。
あの日会えてよかったと思う。

「イチ。」

小さく呼ぶ。犬みたい。くすっと笑いが出る。
唇に指をあてる。大きく笑うハルヒちゃんと同じ大きな口。

こんな口に・・・・・。

うっ、一人で思い出して赤面してしまう。
すごく素敵なハルヒちゃんのお兄さん。
ハルヒちゃんは喜んでくれるのかしら?
そうよね、きっと。
でも寂しいって思うだろうなあ。
大好きな優しいお兄さんだから。


おでこにキスをして抱きつく。
背中に手を回すといきなり腕が巻き付いてきた。

「きゃあ。」 

油断していたから、びっくりした。

「寝てるふり、気が付かなかった?」

「びっくりした。いつから起きてたの?」

「ずっと。時計見たあたり。」

「もう、お昼すぎちゃった。」

「じゃあ、夕飯にしよう。それまでは自由時間。」

そう言ってまた上に乗ってくる。

嘘でしょう?体が痛い、疲れてる、寝てるだけでも。

「もっといろいろ触ってくれてもいいのに。唇とおでこにチュって、高校生だよ。」

「そんな高校生だったの?」

「嫉妬する?」

むっ。

「うそうそ。全然禁欲的な高校生でした。」

「本当?バンドやってたのに?」

「悲しいかな、そうです。」

「あの頃出会ってたら好きになってくれてた?」

「・・・・・分からない。」

「ええ~、そこは即答でしょう。僕は絶対奈央のこと好きになってた。そしたら初めての相手になれたのに。」

おでこをくっつけて真面目な顔をする。
恥ずかしい事を言う。
高校生で・・・・まあ、そこそこいましたが。

「もうそれは無理だけど記録に挑戦はしたい。」

「何の記録?」

連続記録。と言いながら本当に絡みついてくる。

腰と言わず、しっかりボジションに当たってるものが続投を告げる。

「ねえ、ハルヒちゃん帰ってくるよ。」

「大丈夫、しばらく留守。」

・・・・やっぱり数日分のピッコロの世話を頼まれたらしい。
ピッコロの部屋は小さいから連れて戻るのも簡単だけど。もしかして。

「じゃあ、しばらく隣にいるの?」

「そのつもりだったけど、ここにいていい?」

え~・・・・何でそうなるの?
声には出なかったけど顔に出たらしい。

「嫌なの?奈央、冷たい。一緒にいたいのに。」

「んんん・・・・、いいよ。」

「良かった。記録は伸びるから。」

は?それは日内ではなく連続日数の事?さすがに・・・体力が・・・・。

「安心していいよ。ちゃんと買ってくるからね。さすがに1週間だとね。」

耳にキスをしながらささやく。

「後で買いに行こう。好きなの選んでいいよ。」


きゃあ・・・・もう嫌だ。

なんなの?誰、面白くないって言ったの?冗談ばっかりじゃない。
きっと冗談。

本当にすっかり夕方で。
シーツだけとりあえず洗って乾燥機までかけたい。

隣に戻ってるイチ。
シャワーを浴びて着替えをしてくるって出て行った。
シャワーを浴びて新しいシーツを張りたいけど乾かしたい。部屋の空気を入れ替えて乾かす。

一仕事終えただけでぐったりとなる。

イチが戻ってきて座り込んだ私に言う。

「ごめんね。ハルヒの部屋に泊る?」

「そんなことできるわけない!」

「ハルヒの部屋だと大人しくしてるよ。」

そう言われても、変でしょう?留守の間に上がり込むなんて。

「いい自分の部屋で寝る。」

「そう?じゃあ、喜んでお付き合いします。」

「お兄さんは妹の部屋でもいいですよ。」

そう言うとわざと悲しそうな顔をする。

「だってせっかくの有休の夜だよ、明日から一週間あっても遅いかもしれないのに。一緒にいたいのに。」

「・・・・わかりました。どうぞ」

「良かった。明日からしばらくよろしくお願いします。」

「今話してたのは今夜の話よね。」

「え、明日からは?そんなせっかく近くにいるのに・・・。」

本当に犬のようなお願い顔で見上げられる。

結局そうなる。


お留守番の一週間ほんとに抱き合った。お互いに飽きもせず。
もう犬の様にイチって呼ぶことも抵抗なくなってる。
だってどうかすると甘えてくる。
最初から不思議な人だったけど良く分からない。本当に対応に困る。
もしかしてひねくれてる?
妹にみんなの愛情が注がれて我慢して大人のふりして、三人目の親みたいにふるまって早くに大人になって。
まだまだ子供の時にたっぷりと甘えれなかったとか?

そんな幼児の心理を思ったりして。



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