5 / 7
5 動き出したら突き進むのみ、自分の役目もあと少しと思った七瀬。
しおりを挟む
本当に妹?
あと少し盛り上げてから席を外したいのに。
なんとなく南雲君が気がついた気がするんだけど。
さっき小田君を見る目がそう言ってた。
その後全然里玖の方を見てない。
やばいなあ・・・・・とか思ってる?
焦ってる?それとも少しは前向きに考えてくれてる?
視界の隅で南雲君をとらえながら、空になった里玖のグラスを見る。
「里玖、次何飲む?」
そう言ったら目の前の小田君がちょっとごめんと席を外した。
携帯を持ったまま真面目な顔をして。
里玖と南雲君を見る。
三人でどうしたんだろうって感じで。
南雲君のお酒の注文も聞いて席を立つ。
「小田君の妹ちゃんの相談に乗ってたの。ちょっと気になるから注文をしながら様子を見てくる。」
ちょっとぎこちない感じの二人だったけど、もう広げようもないと思ってその場を後にした。
わざとだと里玖は思ってるだろう。
でも半分は本当。
嘘じゃないんだろうし、ちょっと真剣な顔をして出ていったのが気になるし、なにかあったんだろうか?
すぐに店員さんを捕まえてお酒を頼んで、小田君を探した。外にいた。
「小田君、大丈夫?どうかした?」
「ああ、大丈夫。愚痴を聞いてほしかったらしい。電話で話して聞いてあげたらスッキリしたみたい。」
「そう。良かった。」
「どうかな?やっと海が気がついた気がしたけど。」
「うん、私もそう思うけど、沈黙のままだった。帰るに帰れない。」
「何か合図をもらえることになってるの?」
「ううん。里玖のことだから見たらわかるかなって思って。」
「二人が暗かったらがっかりだね。」
「多分どっちかは席を立つよ。むしろ二人残ってたら何も言ってないんだなって思う。」
「その判断は七瀬さんに任せる。」
「了解。」
「じゃあ、様子を見にちょっとだけ戻る?」
「そうだね。」
二人で遠くからのぞいたら南雲君がいなかった。
え~、南雲君がいなくなるパターンって何?
ぼんやりしてる里玖を見ても判断に迷う。
でも今なら聞ける。
「先に帰る。トイレにでも行って来て。」
「分かった。」
席に戻って里玖を見る。
ぼんやりのままの里玖。
「どうした?」
小声で聞いた。
「どうもしてない・・・・。」
「言ってないの?」
うなずいた里玖。最悪じゃないらしい。
「南雲君はトイレ?」
「多分。」
里玖も南雲君にバレたって気がついたかな?
「この後時間もらってみれば。中途半端も嫌でしょう?」
「うん、そう言ってみたい。そう思うんだけどね・・・・・。」
「言えないなら私が言ってあげるよ。」
「最悪お願い。」
「うん、こっそり教えてね。」
「でも本当に小田君の名前知らなかったの?」
「覚えてなかった。酷いかな?失礼かな?」
「他に覚えてる人いるの?」
「ほとんどいない。名字はうっすら出るかも。」
「じゃあ、いいよ。特別な名前だけ覚えて後はまあまあって事で。」
こんなに何度も飲んで、しかもバックアップまでしてもらって、その他大勢って可哀想だけど、しょうがない。里玖なら許されるだろう。
本当にそんな子はいる。
周りが思わず助けたくなる子。
そして私はついつい助けてしまう方だ。
そういうものなんだろう、ちょうどいい具合の組み合わせだったらしい。
忘れられない一日目、入社日の朝。
指定された部屋の前でコートについた鳥のうんちを教えてあげた時。
驚いて泣きそうな顔でその部分を見ようとした里玖。
最初からそういう役割だったのかもしれない。
そのままトイレに一緒に行って、そのまま隣の席に座ったその時から。
あと少し盛り上げてから席を外したいのに。
なんとなく南雲君が気がついた気がするんだけど。
さっき小田君を見る目がそう言ってた。
その後全然里玖の方を見てない。
やばいなあ・・・・・とか思ってる?
焦ってる?それとも少しは前向きに考えてくれてる?
視界の隅で南雲君をとらえながら、空になった里玖のグラスを見る。
「里玖、次何飲む?」
そう言ったら目の前の小田君がちょっとごめんと席を外した。
携帯を持ったまま真面目な顔をして。
里玖と南雲君を見る。
三人でどうしたんだろうって感じで。
南雲君のお酒の注文も聞いて席を立つ。
「小田君の妹ちゃんの相談に乗ってたの。ちょっと気になるから注文をしながら様子を見てくる。」
ちょっとぎこちない感じの二人だったけど、もう広げようもないと思ってその場を後にした。
わざとだと里玖は思ってるだろう。
でも半分は本当。
嘘じゃないんだろうし、ちょっと真剣な顔をして出ていったのが気になるし、なにかあったんだろうか?
すぐに店員さんを捕まえてお酒を頼んで、小田君を探した。外にいた。
「小田君、大丈夫?どうかした?」
「ああ、大丈夫。愚痴を聞いてほしかったらしい。電話で話して聞いてあげたらスッキリしたみたい。」
「そう。良かった。」
「どうかな?やっと海が気がついた気がしたけど。」
「うん、私もそう思うけど、沈黙のままだった。帰るに帰れない。」
「何か合図をもらえることになってるの?」
「ううん。里玖のことだから見たらわかるかなって思って。」
「二人が暗かったらがっかりだね。」
「多分どっちかは席を立つよ。むしろ二人残ってたら何も言ってないんだなって思う。」
「その判断は七瀬さんに任せる。」
「了解。」
「じゃあ、様子を見にちょっとだけ戻る?」
「そうだね。」
二人で遠くからのぞいたら南雲君がいなかった。
え~、南雲君がいなくなるパターンって何?
ぼんやりしてる里玖を見ても判断に迷う。
でも今なら聞ける。
「先に帰る。トイレにでも行って来て。」
「分かった。」
席に戻って里玖を見る。
ぼんやりのままの里玖。
「どうした?」
小声で聞いた。
「どうもしてない・・・・。」
「言ってないの?」
うなずいた里玖。最悪じゃないらしい。
「南雲君はトイレ?」
「多分。」
里玖も南雲君にバレたって気がついたかな?
「この後時間もらってみれば。中途半端も嫌でしょう?」
「うん、そう言ってみたい。そう思うんだけどね・・・・・。」
「言えないなら私が言ってあげるよ。」
「最悪お願い。」
「うん、こっそり教えてね。」
「でも本当に小田君の名前知らなかったの?」
「覚えてなかった。酷いかな?失礼かな?」
「他に覚えてる人いるの?」
「ほとんどいない。名字はうっすら出るかも。」
「じゃあ、いいよ。特別な名前だけ覚えて後はまあまあって事で。」
こんなに何度も飲んで、しかもバックアップまでしてもらって、その他大勢って可哀想だけど、しょうがない。里玖なら許されるだろう。
本当にそんな子はいる。
周りが思わず助けたくなる子。
そして私はついつい助けてしまう方だ。
そういうものなんだろう、ちょうどいい具合の組み合わせだったらしい。
忘れられない一日目、入社日の朝。
指定された部屋の前でコートについた鳥のうんちを教えてあげた時。
驚いて泣きそうな顔でその部分を見ようとした里玖。
最初からそういう役割だったのかもしれない。
そのままトイレに一緒に行って、そのまま隣の席に座ったその時から。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
いつかまた、桜の木の下で
岡本梨紅
恋愛
私には、前世の記憶というものがある。それを思い出したのは、中学生の頃。
前世の時代はおそらく大正時代ごろ。その当時は体が弱かった私だけど、桜が大好きで、死期を悟った私は旦那様に連れて行ってもらって、『来世、でもまた、愛を誓いあってくれますか?』といって、そのまま亡くなるのだ。
前世を思い出してから桜の時期になると、この小さな神社にある樹齢何十年の桜の木のもとに通う。ただ、あの人が来るのを私は待ち続けているのだ。
桜の雪
hosimure
恋愛
オレが彼女をはじめて見かけたのは、桜の花びらがまるで雪のように舞い散る日だった。
翌日、同じ高校の先輩として再会した彼女に、オレはすぐに告白した。
恋人になってから1年―。
再び桜が咲く頃になり、オレの胸の中には不安が降り積もっていた。
まるで雪のように…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる