配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第6章248話:チサトンのあいさつ

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観客から巨大な歓声が上がった。

チサトンが前に出る。

貴誌村『チサトン選手には、まず準優勝賞じゅんゆうしょうしょうを授与いたします』

チサトンに、銀色の表彰トロフィーが贈られる。

拍手喝采が炸裂する。




貴誌村『また――――』

貴誌村『チサトン選手が見せてくれた夢想剣は、多くの人間を魅了し、また、研究資料として価値のある映像を残してくれました』

貴誌村『よって、準優勝賞に加え、剣術賞も、授与させていただきたいと思います』




ふたたび、大きな拍手が鳴った。

スタッフが、マイクをチサトンに渡す。

貴誌村『それでは、チサトン選手から、今大会についての感想をいただきましょう』

と、貴誌村が言う。

チサトンは、トロフィーを左腕の脇に抱え……

右手でマイクを持って語り始めた。

「感想か。そやな……まず、みんな、応援ありがとう!」

と、チサトンが軽く礼をする。

観客たちが拍手で応じる。

「ウチにとって、今大会こんたいかい、一番記憶に残ったのは、やっぱり決勝戦や。知っての通り、ウチは優勝を逃してしもた。勝てんかった」

チサトンが、微笑みながら、言う。

「でもな、恥じない戦いはできたと思っとる。今後、決勝の試合動画は、何年、何十年と、視聴され続けると思う。ウチが負けてしまった試合の動画やけど、それを見られるのが、恥ずかしいとは思わん」

曇りのない顔で、チサトンが告げる。

「だって、ホンマに良い試合やったからな。あれだけの戦いができたことは、ウチにとって、一生の誇りや」

勝っても負けても。

名勝負として語り続けられる。

だから、恥はない。

見苦しい試合をしたわけでは、ないのだから。

「でも、いつかはルミさんにリベンジしたいな。そんときは、またみんな、応援してな!」

ふたたび拍手が起こった。

チサトンが、スタッフにマイクを返す。




貴誌村『チサトン選手。ありがとうございました』

貴誌村が、そう述べる。
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