配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第6章227話:不調の理由

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神埼『チサトン選手! 猛追もうついです! さすがにルミ選手も、攻めあぐねている様子でしょうか!!?』

新田『ルミの調子が落ちてるな』

神埼『え?』




ルミが不調になり始めている。

細かいケアレスミスが増えていたり、フェイントや攻撃のキレが甘くなっているのだ。

そして、その理由を、新田は次のように分析する。

新田(応援の力……か)

新田は目を細める。

新田(たくさんの声援に支えられて、チサトンはどんどん調子を上げている。今が絶好調というべき状態だろう)

新田(対してルミへの応援は、ほとんどない。試合開始からずっと、会場はチサトンの応援一色おうえんいっしょくだ)

新田(ルミを罵倒ばとうするようなアンチの声こそないものの、ここまでチサトンの応援にかたよっていると、ルミもさすがに思うだろう――――自分の勝利は、望まれていないのではないかと)




どれだけ鈍感な人間でも、どれだけ周囲の声を無視しようとも。

少しずつ少しずつ、心をむしばんでいく。

相手の勝利は望まれ、自分の勝利は望まれていないという感覚が。

ルミは、まるでチサトンに倒されるべきラスボスのような、悪役ヒールの役割を押し付けられている。

それがいよいよ、ルミの心だけでなく、パフォーマンスにも影響し始めたのだ。

新田(だが、そういうのも含めて勝負なんだろうな)

なぜなら。

チサトンも、ルミも、配信者だからだ。

配信者は人気商売。

人気のある者が優位に立ち、人気のない者が劣位れついを強いられる。

今、ルミを苦しめ始めているモノとはまさに――――配信者としての人気の浅さなのだ。

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