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第6章212話:完封

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チサトンは顔をしかめ、次なる剣技を放つ。

「ステルスソード!!」

刀身を透明化させることのできるスキル――――ステルスソード。

チサトンの刀が透明状態になる。

その状態で振るわれる剣を、回避することは至難の業だ。

日本最強ともいえる、チサトンの剣術や体術もあわさっているのだから尚のこと。




神埼「チサトン選手! 防御から一転、見事な剣術スキルで反撃を開始します!」

新田(あくまで攻めの姿勢を忘れない、か。さすがは年間ランカーだな)





人間は本能的に、苦しいときほど守りに入りたくなるものだ。

しかし、戦いでは、きついときこそ攻めの姿勢を忘れてはいけない。

チサトンはよくわかっている。

だが。

それでも。

ルミには届かない。

「くっ!!」

チサトンは歯噛みする。

ルミはチサトンの刀のリーチを完璧に把握していた。

ゆえに、ステルス状態の剣で斬りかかっても、紙一重で回避される。

不可視の剣を、ルミはかわし続ける。

「まだや……!!」

チサトンはさらなる追撃をおこなう。

さきほど沖田チサトンと謳われた最強剣技―――桜刃撃おうじんげきだ。

「ハァアアッ!!」

実は、ステルスソードは別のスキルと組み合わせて使うことができない代物だ。

ところが、桜刃撃だけは例外である。

桜刃撃は、ステルス化した状態で放つことができるのだ。

つまり、見えない三段突きの攻撃が、ここに具現する。

チサトンが放つ、不可視の三段突き。

「……!」

けれど、ルミは。

軽々と距離を取って、桜刃撃の射程範囲から外れる。

この程度の攻撃では、もはやルミには通用しないのだ。
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