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第6章202話:三段突き

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「そんじゃこっからは殴り合いや! いくで!」

戦意をみなぎらせるチサトン。

「食らえや――――スキル、桜刃撃おうじんげき!!」

チサトンが刀を引きながら、まっすぐに突っ込んできた。

そして間合いに入った瞬間。

強烈な突きを放ってきた。

その突きは一撃ではない。

いや、正確には一撃なのだが、まるで三度の突きを同時に放ったかのような、三段突きだ。

一度の突きが、三つの突きにへんげするスキル――――桜刃撃。

チサトンの十八番の一つであった。

「がはっ!!?」

ルミは桜刃撃の二突を防いだ。

しかし、残る突きの一つを防ぎきれず、食らってしまう。

吹っ飛ばされ、地面を転がる。

観客の歓声。



「おおおおおおおおおおおお!!」

「うおおおおおおおおおおおお!!」

「でたー!!」

「沖田チサトンだああああ!!」

「沖田! 沖田! 沖田!!」

「必殺の三段突き!!」

「これが沖田チサトン!!!」

「試合で見られるのか、沖田剣術」

「かっけえええええええええええええ!!」




観客たちが「沖田」というワードをしきりに使って盛り上がる。

実況の新田は、その様子に、首をかしげた。




新田『おい……なんで"沖田"なんだ?』

神埼『ああ、それはですね。沖田総司のことですよ』

新田『沖田総司? 新撰組の?』

神埼『はい。沖田総司は三段突きを得意としたとされていますからね』

神埼『一度の突きを放つ時間で、三度の突きを放つ、神速の三段突き』

神埼『沖田が好んで使ったその剣技は、実は、桜刃撃というスキルによるものだったのではないか、という説があります』

新田『ほう』

神埼『で……その沖田が使ったとされるスキルと、同じスキルを、チサトンは所持しているということですね』

新田『それを試合中に使ってくるか。配信者らしいな』
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