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第6章200話:他者視点
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<ノノコ・アヤネ視点>
バトルアリーナ。
選手入場口のそばの壁。
そこに背を預けるようにして、ノノコと、あやねぽんが観戦していた。
年間ランカー4位・ノノコ。
くの一のような姿をした女忍者。
身長158cm程度。
きりっとした吊り目。
髪は黒髪であり、ショートヘアである。
年間ランカー7位・あやねぽん(本名アヤネ)。
精霊のコスプレをしているかのような法衣。
身長178cm程度の女性。
糸目。
地面につきかねないほどの、緑色の超ロングヘア。
彼女たちは、ダンジョン配信者ランキングの最上位陣の2人である。
今回、チサトンがバトルアリーナに参戦するということで、観戦しにきたのだった。
「チサトンが優勢じゃな」
と、試合を観戦していたノノコは言った。
あやねぽんは同意する。
「そうね~。チサトンは本当に強いわね~」
「うむ。まあ、簡単に負けられると、年間ランカーの沽券に関わるし、これぐらいやってもらわんと困るがの」
「ええ。そうね~」
あやねぽんは、ルミを見つめる。
ルミは強い。
ダンジョン配信者として見れば規格外の実力を秘めていると思える。
しかし、形勢はチサトンに傾きつつある。
「それにしてもルミのほうはパッとせんのう。上級ダンジョンを単独で攻略するなんて、ワシらでも達成したことはないが……その実力を発揮できていないように見える」
上級ダンジョンの単独攻略。
および、上級ダンジョンのボス討伐。
以上のことは、年間ランカーでもチャレンジした者は少ないし、成しえた者は皆無だ。
特に、ダンジョンボスを倒さない……というのは、暗黙のルールとして守られている。
たとえばパーティーをガッチリ組んで、上級ダンジョンへ出かけたとしても、必ずボス部屋に入る前に攻略を中止するのが、上級探索者のならわしだ。
これは、ダンジョンボスを倒すとダンジョンが消えてしまう恐れがあるからでもあるが……。
何より、年間ランカーの戦死を恐れてのことである。
魔物から社会を守る、人類の守護者たる年間ランカーは、決して失われてはいけない存在なのだ。
「う~ん、まだ本調子じゃないのかしら~」
「人間相手には本気で戦えないタイプかもしれん。そういうのも、世の中にはいるからのう」
バイタルガードつきの武器を使用しているといっても、人間相手に本気で殴りかかるのは、勇気がいるものだ。
無意識に力のセーブがかかっている可能性がある。
(チサトンからすれば、少し拍子抜けじゃろうがの)
バトルアリーナ。
選手入場口のそばの壁。
そこに背を預けるようにして、ノノコと、あやねぽんが観戦していた。
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きりっとした吊り目。
髪は黒髪であり、ショートヘアである。
年間ランカー7位・あやねぽん(本名アヤネ)。
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身長178cm程度の女性。
糸目。
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彼女たちは、ダンジョン配信者ランキングの最上位陣の2人である。
今回、チサトンがバトルアリーナに参戦するということで、観戦しにきたのだった。
「チサトンが優勢じゃな」
と、試合を観戦していたノノコは言った。
あやねぽんは同意する。
「そうね~。チサトンは本当に強いわね~」
「うむ。まあ、簡単に負けられると、年間ランカーの沽券に関わるし、これぐらいやってもらわんと困るがの」
「ええ。そうね~」
あやねぽんは、ルミを見つめる。
ルミは強い。
ダンジョン配信者として見れば規格外の実力を秘めていると思える。
しかし、形勢はチサトンに傾きつつある。
「それにしてもルミのほうはパッとせんのう。上級ダンジョンを単独で攻略するなんて、ワシらでも達成したことはないが……その実力を発揮できていないように見える」
上級ダンジョンの単独攻略。
および、上級ダンジョンのボス討伐。
以上のことは、年間ランカーでもチャレンジした者は少ないし、成しえた者は皆無だ。
特に、ダンジョンボスを倒さない……というのは、暗黙のルールとして守られている。
たとえばパーティーをガッチリ組んで、上級ダンジョンへ出かけたとしても、必ずボス部屋に入る前に攻略を中止するのが、上級探索者のならわしだ。
これは、ダンジョンボスを倒すとダンジョンが消えてしまう恐れがあるからでもあるが……。
何より、年間ランカーの戦死を恐れてのことである。
魔物から社会を守る、人類の守護者たる年間ランカーは、決して失われてはいけない存在なのだ。
「う~ん、まだ本調子じゃないのかしら~」
「人間相手には本気で戦えないタイプかもしれん。そういうのも、世の中にはいるからのう」
バイタルガードつきの武器を使用しているといっても、人間相手に本気で殴りかかるのは、勇気がいるものだ。
無意識に力のセーブがかかっている可能性がある。
(チサトンからすれば、少し拍子抜けじゃろうがの)
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