配信者ルミ、バズる~超難関ダンジョンだと知らず、初級ダンジョンだと思ってクリアしてしまいました~

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第3章116話:斬風

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「なんて戦いなの……」

すみのほうに避難し、観戦していた来花はひそかにつぶやく。

戦いの余波がここまで飛んでくるほどの激戦だ。

尋常ではないエネルギーのぶつかりあい。

形勢は、互角に見える。

しかし――――わずかにルミが押していた。

戦闘に瞬間移動を織り交ぜはじめたからだ。

瞬間移動を効果的に使うことによって、ルミは、形勢を優位に進めている。

わざと吹っ飛ばされたように見えて、即座に瞬間移動で同じ場所に戻り、カウンターを繰り出す。

高速で瞬間移動をして残像を作り、攻撃の位置を定ませない。

フェイントや撹乱、攻撃にフェイクを作ることによってルミは、竜人王を翻弄しはじめていた。

「瞬間移動……厄介なスキルを所持しているな。ならば我も出し惜しみはせぬ。―――――戦風刃せんぷうじん!!」

斧を思いきり振る。

その一振りによって、三つの竜巻たつまきが宮殿内に出現し、吹き荒れる。

斬性ざんせいをともなった竜巻であり、祭壇や支柱に裂傷を浴びせていく。

しかしその竜巻は竜人王を傷つけない。

彼が敵と認識した相手だけにダメージを与える斬風ざんぷうである。

「……っ」

ルミは仮面の下で、顔をしかめた。

竜巻と一定の間隔をあけて行動しなければならないので、移動範囲が大きく制限される。

それは竜人王に読まれやすい。

しかも。

「ふンッ!!!」

竜人王が竜巻の中から姿を現し、斬りかかってきた。

慌てて瞬間移動でその場を離れ、退避する。

竜人王は竜巻の中だろうと外だろうと、自由自在に動き回る。

ルミの行動範囲だけを減らす、厄介な技だ。

だが。

ルミはこういう展開のほうが、燃えるタチだ。

(面白い……!)

戦闘は、ある程度、力が拮抗きっこうしているから楽しいのだ。

楽勝で倒したってつまらない。
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