111 / 250
第3章111話:来花の想い
しおりを挟む
悠々と舞いながら、敵を切り伏せていくルミ。
斬撃を受けた竜人兵が次々と倒れていく。
(すごい……)
来花は、その圧倒的な剣技に、ただただ見惚れた。
魅せる戦い方というだけじゃない。
ちゃんと威力があり、敵の目を撹乱しながら、効率よく殺していってる。
(あたし、すごい人と探索してる……)
かつてここまで極まった個人を見たことがない。
滅茶苦茶なダンジョン攻略。
圧倒的な武力。
剣術の美しさ。
どれを取っても、隔絶している。
(いいな……)
来花は思う。
なるほど。
配信者として、あっさり抜かれてしまうわけだと。
だって……来花自身も、ルミの配信を追いかけたいと思ってしまった。
きっと自分は、この探索が終わったあと、ルミのチャンネルを登録してしまうだろう。
彼女がこれからどんな攻略をするのか、
彼女がどんなふうに来花たちを驚かせてくれるのか、
観てみたい。
――――でも。
逆にルミは、来花のチャンネルを登録してくれるだろうか?
……しないだろうな。
仮にしてくれたとしても、それはきっと義理だ。
心から来花の配信を見たくて、登録してくれるわけではない。
……悔しい。
来花は強く思う。
追いつきたい。
負けたくない。
置いていかれたくない。
そう思っても、追いすがることさえ出来ない。
どこまでも突き放されていくのだろうと想像できてしまう。
でも……。
(わかってるわ。あたしは凡人だもの)
来花は、自分が平凡だと理解している。
それでも、天才がひしめくダンジョン配信の世界で、上を目指したいと思った。
最初からわかっていたことだ、とんでもない怪物がいることなんて。
だから腐らない。
学ぼう。
この才能から。
そして一つ一つ、丁寧に積み上げていくのだ。
知識を、技術を、経験を。
それこそが、新条来花(しんじょうらいか)の配信道である。
斬撃を受けた竜人兵が次々と倒れていく。
(すごい……)
来花は、その圧倒的な剣技に、ただただ見惚れた。
魅せる戦い方というだけじゃない。
ちゃんと威力があり、敵の目を撹乱しながら、効率よく殺していってる。
(あたし、すごい人と探索してる……)
かつてここまで極まった個人を見たことがない。
滅茶苦茶なダンジョン攻略。
圧倒的な武力。
剣術の美しさ。
どれを取っても、隔絶している。
(いいな……)
来花は思う。
なるほど。
配信者として、あっさり抜かれてしまうわけだと。
だって……来花自身も、ルミの配信を追いかけたいと思ってしまった。
きっと自分は、この探索が終わったあと、ルミのチャンネルを登録してしまうだろう。
彼女がこれからどんな攻略をするのか、
彼女がどんなふうに来花たちを驚かせてくれるのか、
観てみたい。
――――でも。
逆にルミは、来花のチャンネルを登録してくれるだろうか?
……しないだろうな。
仮にしてくれたとしても、それはきっと義理だ。
心から来花の配信を見たくて、登録してくれるわけではない。
……悔しい。
来花は強く思う。
追いつきたい。
負けたくない。
置いていかれたくない。
そう思っても、追いすがることさえ出来ない。
どこまでも突き放されていくのだろうと想像できてしまう。
でも……。
(わかってるわ。あたしは凡人だもの)
来花は、自分が平凡だと理解している。
それでも、天才がひしめくダンジョン配信の世界で、上を目指したいと思った。
最初からわかっていたことだ、とんでもない怪物がいることなんて。
だから腐らない。
学ぼう。
この才能から。
そして一つ一つ、丁寧に積み上げていくのだ。
知識を、技術を、経験を。
それこそが、新条来花(しんじょうらいか)の配信道である。
30
お気に入りに追加
516
あなたにおすすめの小説

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる